執筆者のプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif

2005年10月04日

『ハルとナツ』 ~持続的技術へのノスタルジー~

本題に入る前に、昨日から郵便局での投信販売が開始されました。3つのユニークな投信の内容を、下記の私のもう一つのブログで分かりやすくお伝えするつもりなので、よろしければご覧になってみて下さい。

金融ニュースの「行間」を読む

さて、本題ですが、ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授著の『イノベーションのジレンマ』では、新技術には持続的技術破壊的技術の二種類が存在すると指摘されています。持続的技術とは「製品の性能を高めるもの(引用)」であり、破壊的技術とは「少なくとも短期的には、製品の性能を引き下げる効果を持つ(引用)」ものと定義しています。破壊的技術のイメージが湧きにくいことと思われるので同著の中の実例を引用すると、例えば「総合証券サービス」に対する「オンライン証券取引」、「外科的手術」に対する「関節鏡・内視鏡手術」、「ブリック・アンド・モルタル式の小売業」に対する「オンライン小売業」などが破壊的技術に相当するものです。
では、「製品の性能を高める」持続的技術はといえば、本日の新聞記事に限定したことではありませんが、新聞紙面はさながら持続的技術のオンパレードの様相です。以下に、NIKKEI NETの見出しを引用しておきましょう。

プラズマTV、消費電力半分に・松下など3社が開発
新日鉄と神鋼、鋼材量産コスト削減へ新型プラント導入
TDK、磁気ヘッド記録密度で新技術・世界最高水準に

そして、「大手企業を失敗に導いたのは破壊的技術(引用)」でありながらも、優良企業であればあるほど破壊的技術への投資を躊躇するものなのです。その理由をクリステンセン教授は、「(1)破壊的技術を用いた商品は利益率が低く、(2)市場も小規模であり、(3)優良企業にとっての収益性の高い優良顧客は破壊的技術を利用した商品を求めないから」と説明しています。
優良企業が破壊的技術への対応に苦慮する理由をマネジメントそのものに見出すのがクリステンセン教授の主張ですが、組織の構成員の持つ価値観も多少影響を与えているのではないか、というのが私の漠とした印象であり、持続的技術へのノスタルジーを現在5夜連続で放映されているNHKの『ハルとナツ』に見て取ったというのが、本日私が書きたかったことです。かなり無理のあるこじつけととられても仕方がありませんが(笑)。
『ハルとナツ』をご覧になっていない方も多いと思われるので簡単に説明しておくと、橋田壽賀子の手によるものといえば、粗筋の9割を説明したに等しいといっても過言ではありません。ブラジルと日本に2つの国に引き裂かれた姉妹が苦労を重ね、70年の歳月を経て再会するというのが大まかなストーリですが、その苦労の道は姉妹なので「おしん × 2」と考えていただければ、あらかた間違いありません。(子役も「女王の教室」でいじめられてた志田未来。なんだか小林綾子に似てますね(^o^)。こういう顔って脚本家がいじめてみたくなる顔なんでしょうか(笑))この2人の姉妹は筆舌に尽くしがたい困難に立ち向かうこととなりますが、2人は困難から逃げようとせず真正面から向き合い、運命を受け入れた上で克服しようともがくからこそ、お茶の間のギャラリーの涙腺を緩めるわけです。
破壊的技術そのもの、あるいはその技術の根底にある思考法は、こうした人生の意味や感動を無化させる効果すら持つものです。橋田ドラマを見て涙腺を緩める1億人の日本人は、無意識下において「持続的技術」的なものへのノスタルジーがあり、それが日本の優良企業が破壊的技術への取り組みをより一層難しくしているのではないか、というのがドラマを見て漠然と感じたことです。
とまあ、多少無理矢理、橋田壽賀子とクリステンセンを同じ土俵に持ち上げてみたわけですが、80近くの小柄な老婆に我々日本人1億人の涙腺をコントロールされているっていうのも、どうしたもんですかね(笑)

Posted by Ken Kodama at 2005年10月04日 11:23
Comments
Post a comment









Remember personal info?