本題に入る前に二つ。まず、私のもう一つのブログで、昨日のGMの増産報道をネタに、企業会計の基本である「増産すると利益が増える」仕組の解説を、本日のエントリーから開始しました。会計に馴染みの薄い方は、是非ご一読してみて下さい。
余談の2つ目ですが、先日数人でテレビを見ていたときに、江原啓之氏が映ったのをみて、「この落語家最近よくテレビで見かけるね」と言った方がいたのです。こういう天然ボケ的発言は、私の笑いのツボを最も刺激する類の発言であり、そのときはお腹のキズも完全に塞がっていなかったため抗議したら、「じゃ、なんなのこの人?」と返され、返すべき言葉に戸惑ってしまいました。本人のサイトには「スピリチュアル・カウンセラー」との肩書きがありますが、「じゃ、それって何?」と言われたときに、私は説明できません。落語家でもよしとしておきましょうか。
しかし、江原氏が出演するオーラの泉ですが、「金髪の魔女」と「得たいの知れぬ落語家」と「30を超えても現役男性アイドル」の3人が毎週登場する映像って、改めて考えるとスゴイですよね。1億人の茶の間はこんな衝撃的な映像にも慣らされてしまっているわけですから、メディアの浸透性にパワーがあるのか、日本国民の寛容さがハンパではないのか、いずれにせよただ事ではない気がしました。しかも次回のゲストは森久美子とのことで・・・私は見たいと思っているのですが。
さて、本日の本題はアマゾンが書籍のバラ売りを開始するとの報道に関わるものです。以下にスポニチのネット上の報道を部分的に引用しておきます。
(引用始)
『米インターネット小売り最大手アマゾン・コムは4日までに、書籍で必要なページや章だけを“バラ売り”する有料サービスを開始する計画を発表した。アマゾンは、書籍本文のデータベース化を進め、単語や文章を入力すると書名を検索できるシステムを開発。新サービスはこのシステムと連携させることなどで可能となる。購入したページはネット上で閲覧する。米メディアによると来年中にサービスを開始し、料金は内容などによって設定するとみられる。』
(引用終)
私はアマゾンという会社と「スゴイ」と思っています。当初は「ネット上で書籍を販売する」くらいの認識しかなかったのですが、この背景にある経営陣の洞察力・革新性は並外れていると思います。専門書等の地域的には販売部数の少ない書物であっても、全世界からの注文を集めることにより、アマゾンの上では収益を生み出すプロダクトとして成立しています。また、購入履歴に応じて送られる新刊本の案内メールは、まさしく完全なワン・トゥ・ワン・マーケティングを実現していると言ってよいでしょう。また、どこで読んだのかうろ覚えですが、アマゾンは書籍販売で蓄積した販売データをもとに、出版事業に乗り出せば高収益モデルを構築できるとの記述を見かけた記憶があります。アマゾンにはこれからも大きな可能性が秘められている気が致します。
そんな中で書籍のばら売りの報道ですが、この動きは「『本』とは何なのか」を改めて考えさせる深遠な動きであると、私は考えます。私がよく購入するビジネス関係の本は、ページ数にして200ページ前後、価格は1,500円から2,000円前後といったところでしょうか?しかし、この価格帯やページ数は、本を作り販売する側の事情により恣意的に設定されたものにすぎず、顧客の視点に立っていないということに改めて気付かされます。
例えば、ホリエモン騒動のしばらく後に、ホリエモン関連本の出版が相次ぎました。そして出版された本のページ数、価格帯も概ね上記の幅に相違ないものとなっていました。200ページ近くのボリュームを埋めるためには、ホリエモンのパーソナリティを語り、ライブドアの沿革を紹介し、アメリカの企業買収のカルチャーを説明し、MSCBとは何かを解説するといった幅広い話題をかき集めてくる必要があります。しかし、読む側から見れば、ホリエモンのエニアグラムのタイプだけに関心があったり、MSCBの仕組だけに関心があったりと、こうした総花的な本は、そもそも顧客ニーズにあっていなかったわけです。
アマゾンが既存の書籍のばら売りを行うことによって販売データが蓄積されれば、本当のコアな顧客ニーズを収集することが可能となります。そしてそのデータを元に、焦点を絞りページ数を抑え、低価格のPDFベースの電子書籍を販売していけば、出版の常識が覆されていくのではないかという気がします。
音楽の世界においても、iPODの普及等も手伝ってばら売りが進行しています。これについては、下記のエントリーを以前執筆いたしましたが、ばら売りの行き着く先を考える上で、両者の動きを合わせて押さえておくことが必要となるのかもしれません。