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2005年11月09日

医療のデジタルデバイド

遅ればせながら、先月の入院の暇つぶしにとiPodを購入しました。なにせ20GBで7,500曲も入るとのことなので、最近暇を見つけてはダンボールに溜め込まれたCDからの移行作業に精を出しています。私は、自分の音楽の「趣味の良さ」はかなりのものだと自負しているつもりなのですが、そんな私の趣味からは到底考えられない俗悪趣味CDが出てきたりして、一人で赤面していたりします。例えば宇多田ヒカルのデビューアルバムとか、河村隆一のベストとか・・・あんまり例を出すと、ファンの方に嫌われそうなので、これくらいにしておきますが。その極めつけがスピードのひとえちゃんのソロシングルINORI!!これが箱から出てきたときは私は腰をぬかしそうになりました。でも、これらのCDを買った理由は、私には分かっています。カラオケで歌ってみたかったのです。

さて、本題ですが、私はドリームゲートというところで起業相談を行っています。私に寄せられる相談の多くは「こんなアイデアあるのですが、どうでしょう?」といったタイプのものですが、そもそもビジネスとして成立しうるか否かで、まず二分されます。そして、ビジネスとして成立し得て、かつ、私がおもしろいなと思うアイデアは、英語で検索してみると、必ずアメリカでは既に成立しているビジネスなのです。
本日の日経新聞15ページのベンチャー欄にある、『医療版グーグルに商機』で紹介されているビジネスは、ドリームゲートで受け付けた相談ではありませんが、先月、私が胆石で入院するにあたって直面した問題に、正しくヒットするビジネスでした。
私が受けた「腹腔鏡下胆嚢摘出術」は、腹腔鏡を使用した手術の中では、最も症例の多いもので、比較的軽い手術として知られています。しかし、とはいえお腹を切るわけですから、①薬で溶かしたり、衝撃波でお腹を切らずに石を破壊したりという治療法を適用できないのか、ということをまず知りたいわけです。また、腹腔鏡下胆嚢摘出術とはお腹に1センチから3センチくらいの穴を四箇所あけて胆嚢を引っ張り出すという手術ですが、運が悪いともっと切る部分が広くなる「開腹手術」に麻酔で眠っている間に切り替えられたりして、起きてみて想像以上の痛みを感じるという悲劇がおきる可能性もあるわけです。「開腹手術」に切り替えられる判断は、胆嚢のお腹の中での癒着度合いなどに応じて決定されるとのことですが、それに加えて執刀医の経験及び技術力というのが大きな意味を持つというのは言うまでもないことです。したがって、いくら軽い手術と言われていようと、②経験豊富な名医を探すことに意味があるわけなのです。
当然のことながら、上記①②に関して私はネット上で情報収集をはじめたわけですが、医療においては知りたい情報になかなかたどり着けないという状況に直面するわけです。特に、②のようなある分野において誰が名医であるのか、といった情報を探し出すのは至難の業です。そうした体験を経て、「会員制にして有料サービスにしても、命が関わることなのだから医療情報を個人向けに提供するサービスがあっても、かなりの需要は存在するだろうな」と考えていたら、本日の日経新聞でアメリカでの同様なビジネスを知ったわけです。紹介されている企業のサイトは、こちらから訪問できますので、ご興味のある方は訪れてみて下さい。
ちなみに、私が執刀を受けた医師を探りあてることができたのは幸いにもこちらのサイトにたどりつけたからであり、ここを探りあてるのに結構な時間を費やしました。また、こうした分野においては、結構2chの情報が頼りになるということも、今回得た教訓です。こういう情報ほど、書き込んだ人のプロフィールが分かるMixiの情報に頼りたいのですが、Mixiの胆石コミュニティの登録人数は30人前後にすぎず、かつ、みながアクティブに書き込みをしているわけではないので、生々しい情報量という点では2chに及ばない状況でした。

さらに、日本の医療制度というマクロ的な側面に想いを馳せると、日本の医療制度というのは少し奇妙だな、とも思えるのです。日本という国は、我々が好むと好まざるとに関わらず、アメリカの後をひたすらおっています。所得の二極分化が現在進行中ですが、そうした中で依然として万人に対して平等であるのが医療です。不勉強ではありますが、アメリカの医療はもっと不平等であると聞いており、そうした道も選択肢としてはあり得るはずです。もちろん、医療が万人に対して平等であるというのは、私を含めた多くの人にとって「よいこと」ですが、それは他の社会制度の向かう方向とは一つだけ方向性を異にしており、それが将来的に問題の種にならないか、という点が若干気がかりではあります。
そうしたことは考えないで、現状の医療制度をそのまま受け容れるのであれば、良い医療を受けられるか否かはインターネットを使いこなせるどうかにかかっている、とも言え、そういう意味で本日のエントリーのタイトルを医療のデジタルデバイドとしてみた次第です。


Posted by Ken Kodama at 2005年11月09日 10:47
Comments

>heartcross様

レスポンスありがとうございます。

>保険事務業務にもトランザクションコストをかけすぎています。

レセプト電子化を画像データにするという報道には、私も唖然としました!当ブログでも取り上げようと思ったのですが、「けしからん」以上に内容の広がりを持たない話題だったので、あえて取り上げませんでしたが(笑)

>現在の小泉政権は大衆迎合的で政治哲学が感じられません。

私も全く同感ですが、小泉首相は自らの使命をわきまえていて仕事をしっかりとするので、私の中では哲学がない点についてはよしとしています。中曽根元首相とかは口うるさいですけど(笑)日本のビジョン構築については、ポスト小泉に期待したいところです。

今後とも思うところがありましたら、お気軽にお書き込みになって下さい。

Posted by: 児玉 at 2005年11月11日 18:56

丁重なご返答ありがとうございます。いつもブログを楽しく読ませていただいています。児玉様の鋭いご指摘のとおり、現在の厚生労働省の医療制度への取り組みは「部分最適」主体であり、「全体最適」への取り組みが希薄な印象を受けています。「健康日本21」で掲げている方針と実際の医療制度に矛盾が多く、「日本の政治全体における哲学不在」を感じざるを得ません。保険事務業務にもトランザクションコストをかけすぎています。制度疲労でしょうか。明治維新の際には今よりもずっと政治哲学が健在であったような気もします。現在の小泉政権は大衆迎合的で政治哲学が感じられません。明快なビジョンがないのでしょう。今後も児玉様の鋭い提言を期待しています。

Posted by: heartcross at 2005年11月10日 19:21

>heartcross様

幅広い見識が窺える書き込みをしていただき、大変感謝しております。私のエントリーが舌足らずであったかもしれないため(毎度のことですが(苦笑))私の問題意識について補足させていただくと、私が違和感を抱くのは、「日本の政治全体における哲学不在」です。
私は経営コンサルティングも生業とするため、政治を企業経営と類推して考えがちですが、企業経営においては、全ての経営戦略はビジョンと整合性がとれているべきで、「全体最適」ではなく「部分最適」を志向していたのでは、ほぼ確実に衰退の一途をたどります。
「小さな政府」を推進するのは「いいこと」のような気がするし、「国民皆保険制度」はheartcross様が指摘するように世界に誇れる制度であることは間違いないと思います。しかし、それらの諸制度の方向性を統合する「全体最適」の視点が存在しないというのが私の漠たる気がかりなのです。
じゃ、整合性をとるために国民皆保険を切り捨てよ、とかいう極論ではなく、「所得の二極分化」「小さな政府」「国民皆保険」を踏襲するのであるならば、それらを統合しうるような新たなビジョンを打ち立てねばならないであろう、というのが私が本当に言いたかったことなのです。
heartcross様のようなフィードバックなしには、私はますます独善的な人間になってしまいます。私の書くものに違和感を覚えられましたら、今後ともご教授いただければ大変幸いです。

Posted by: 児玉 at 2005年11月10日 12:24

医療のマクロ面に関しては、日本は国民皆保険制度を取り入れているために、フリーアクセスが守られています。万人が医療を受けられることで日本はWHOの評価でレベルの高い基準の医療制度であると言われています。ちなみに米国の医療制度は高くありません。技術は高いものもあるのでしょうが、ERのドラマで見るように医療が受けられずに困る人たちの暴動寸前のストレスは大きなものだと思われます。日本社会も貧富の差が広がっていくでしょうが、その面からもなおさら最低限のセイフテイーネット・最低限の医療の保障(フリーアクセス)は守られていくべきではないでしょうか。この皆保険制度は日本が長寿国になったことに大きな貢献をしているものと思われます。富豪層は日本でも自費診療が認められており、また会員制健康倶楽部も充実してきており、そちらで担保されれば問題ないように思われますがいかがでしょう。またインターネット情報はいい面も多いのですが、間違った情報やバイアスが存在することも否定できないと思われます。

Posted by: heartcross at 2005年11月09日 20:55
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