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2005年11月11日

そろそろソフトバンクの『敗因』を語ろうではないか。

まずは、毎度おなじみの私のもう一つのブログの宣伝ですが、現在は日経金融新聞にて展開された楽天の理論株価の試算をネタに、理論株価の算定法に基礎的な考え方をご紹介しています。ご興味のある方はご一読下さい。

金融ニュースの「行間」を読む

なお、当ブログと上記のブログとの棲み分けですが、上記のブログは依頼をいただいて執筆している今年12月までの期間限定のもので、どちらかといえば分かりにくい事項を分かりやすく説明する「ティーチング」的なスタンスとなっています。対して、こちらは「なんでもあり」で、私が言いたいことを言うといった感じに棲み分けが形成されつつあります。来年1月以降は、当ブログにて両者が混在する形になりますので、あらかじめご了承下さい。

さて、本題のソフトバンクだが、9月の中間決算で営業損益が5年ぶりに黒字に転換すると、本日の日経新聞9ページで報道されていた。これは8月の孫氏の黒字宣言を受けてのものであり、そのときの私の印象は下記のエントリーに記されている。

「利益を出す」とどよめかれる会社

黒字といっても、営業損益のレベルであり、ボトムの最終損益は41億円の赤字である。しかも営業損益は44億円の黒字なのだが、「会計処理方法の変更に伴う利益押し上げ効果(76億円)(日経新聞より引用)」に助けられてのことであり、監査法人からのお墨付きを得ていたにせよ、こうした会計操作を駆使してようやく達成できた営業黒字であることは無視できまい。加えて株主資本比率は10%前後である。私がかつて受験した中小企業診断士試験の事例問題の企業が10%前後の株主資本比率であったなら、「財務の健全性に問題がある」と書いておけば得点をもらえるであろう、そんなレベルである。加えて、これから参入する携帯電話事業では、先行投資が必要となることは確実であるものの、それが本当に将来の収入に結びつくかどうかはかなり不透明である。ソフトバンクはかなり大変な状況なのである。どうしてこんなことになってしまったのか?
考えられる最大の理由が、統制機能(コントロール)の弱さ。孫氏はビジョンは大きく語るが、ビジョン型リーダーは概してコントロールを不得手とすることが多いもの。うろ覚えだか、ソフトバンクでは新規ビジネスの参入を検討するにあたって、「千本ノック」と称し、様々なシナリオ下での収支予測を行った上で意思決定を行うと聞き、感銘を覚えたものである。しかし、ソフトバンクの業績の推移を見る限りでは、この「千本ノック」は意思決定に使われただけで捨てさられ、その後の数値コントロールに使用された形跡はない。もし、これから半年後のソフトバンクの通年の黒字が、資産売却益によってようやく達成されたというような事態であれば、コントロール不在は深刻である。
また第二の理由は新規参入してきた分野での顧客獲得が、値引きによってしか達成できなかったこと。こうした既成に縛られたマーケットに参入し官と戦ったという点でヤマト運輸の小倉氏を若干連想させるが、あちらは単なる値引き合戦ではなく宅急便という全く新しい便益を顧客に提供したが、ソフトバンクのADSLも固定通信もプライス以外に大きな差別化要因があるわけではない。
と、ここまで書いておいてソフトバンクの株価チャートを見て驚いた。市場は私とは全く異なる見解を持っているようである。どちらの見解が正しいのか、それを見極める上で極めて重要となるのが、半年後に発表される通期のソフトバンクの決算の質である。

Posted by Ken Kodama at 2005年11月11日 10:45
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