昨日のエントリーなどは、少しぶっ飛びすぎているのかなとも思っています。私のもう一つのブログに、外国為替証拠金取引に関する、かなりオーソドックスなエントリーを書きましたので、ご興味がある方は、ご参照してみて下さい。
さて、ソースを改めて引用するまでもない、みずほ証券の誤発注ですが、実は私が古巣の某証券で働いているときに、同様の誤発注の処理を近くから傍観したことがあります。当時報道された範囲でお話すると、原因は今回のような誤「入力」ではなく、テストデータを誤って本番環境に流してしまったというものでした。
いかにしてこのような誤入力を防ぐシステムを構築するか、というスタンスで書いた方がはるかに社会的な意義が高いのでしょうが、私が今回の事件と過去の私の体験を比べて感じたことは、「売り」の誤発注は「買い」の誤発注に比べてはるかに怖いという点です。それは、「決済」という観点と、「損失額の大きさ」という観点の2つからいえることです。
まず、「決済」についてですが、株式の売買においては、売買の日から3営業日後に、お金と株券を実際に受け渡ししなければなりません。(もちろん電子的に行われますが。)この場合、お金の方は、色がついていないわけですから、極端な話、借りてくればどうとでもなります。しかし、株券の方は数が限られており、今回のような上場直後の株式についてはなおさらです。金融機関が決済できないというのは致命的なことです。その回避策の1つとして、本日の日経金融新聞では、こんなことまで書かれています。
(引用始)
『ジェイコムがみずほ証券を引受先とする第三者割当増資を実施して株を調達するというシナリオもあるという。ただこれは大幅な株式価値の希薄化を招き、ジェイコムの資本政策も混乱する。』
(引用終)
まあ、まさかこんな手段はとらないとは思いますが、みずほ側にここまで考えさせたくなるほど、「決済」ができないというのは重いことなのです。
また、「損失額の大きさ」という点についても、「売り」の誤発注の方が「買い」に比べて大きくなる可能性がある、といえるでしょう。もし、誤って買ってしまった場合、実際にそうする金融機関はないですが、腹をくくって、長期的に持ち高を少しずつ減らしていくという戦略をとることすらできます。しかし、空売りのポジションが形成されてしまった場合、理論的には損失額は無限大に膨らみむので、一刻も早くポジションを解消せねばなりません。買いポジションの理論的な損失は、購入金額に限定されるのと比べると対照的です。なお、「空売り」の仕組みについては、私が過去に書いたエントリーをご参照下さい。
加えてネット・デイトレーダーという外野が増加した今日を考えると、みずほの足元をみて、今から買い向かう方も少なくないと思います。しかし、もしみずほの誤発注が「買い」であったならば、その状況下で儲けをえるためには空売りをせねばならず、空売りができる個人投資家となると、その数は格段に減少します。
最後に余談ですが、本日の日経新聞7ページに小さく顔が出ている方は、私の記憶が正しければ、「あのとき」日本にいた市場部門のヘッドのはずです。昨日の報道を聞き逃すはずはなく、「日本人不信」に陥っているかもしれません(笑)。