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2005年12月27日

改めて考える。「百貨店」とは何なのか?

改めてソースを引用するまでもない、セブン&アイ・ホールディングスとミレニアムリテイリングの経営統合の報道。本日の日経新聞朝刊では、両社の経営統合を以下のような文章で表現している。

(引用始)
『両社は業態の垣根を越え日本最大の流通グループとなる強みを生かし複合商業施設や商品を共同で開発する。』
(引用終)

まあ、こんなバラ色の未来を語る前に、そもそも「百貨店」とは何であるのかという地に足のついた視点から、両社の経営統合を考えようというのが本日のエントリーの趣旨。百貨店の特徴としては以下の6つが、とりあえず私が思いついたところ。

①豊富な品揃え
②アミューズメント ~買う楽しさ~
③中心市街地に立地している
④比較的長い歴史
⑤ブランドバリュー
⑥外商 ~富裕層へのパイプ~

まず、「百貨店」の語源でもある①と、デパートに連れていってもらえなかったときのカツオ君の怒りからも察することができる②に関してだが、もはや百貨店単体では、刺激に麻痺した消費者の満足し得る品揃えとアミューズメント機能を満たしえないのではないか、というのが私の印象である。百貨店をも一テナントとした大型SC(ショッピングセンター)には明らかにこの点ではかなわないし、百貨店は必ずしもSCにとって不可欠な要素であるとはいえない。
このように考えると、セブン&アイが西武とそごうを傘下に収める意味は、③から⑥にあるのであろう。つまり、③と④が⑤のブランドバリューの源泉になっているのであり、⑥の外商部隊によりはじめて、百貨店の高収益は維持されるのである。執筆時間に制約があるため、詳細なデータを把握できなかったが、例えばこちらのサイトによれば、高級時計の売上に関しては、外商での販売が店頭販売の実に9倍にも上るブランドも存在するとのことである。まあ、叶姉妹が三越本店で貴金属を買い漁る目撃情報が皆無であることからも、外商部隊が富裕層への販売ルートとして威力を発揮している実態を垣間見ることができるといえよう。
外商には金のかかる店舗は不要である。しかも利益率は、福袋に殺到する我々下流層が店舗で落とすものとは比較にならないほど高い。では、なぜ外商に特化する百貨店がいまだかつて出現しなかったのかといえば、そこが富裕層の心理であり、銀座や新宿といった場所に店舗すら持たぬ店の営業マンを家に上げる気になるだろうか?百貨店の支払う高い地代は、好立地での集客を目的としているというより、ブランドの維持費という側面が強いのかもしれない。
さて、セブン&アイは、残念ながら三越でなないものの、西武とそごうを手にいれた。イトーヨーカ堂のカード会員数は、本日の日経新聞によれば730万人ということであり、購買履歴をシステムにかけて分析すれば、新たな外商ルートを開拓できるかもしれない。イトーヨーカ堂の包装紙ではお中元を出したくなかった人も、西武百貨店の包装紙で配送されるというのであれば、考え直すかもしれない。
日経新聞の社説の下記の指摘は、一応うなずける。

(引用始)
『問題は肝心のセブン側にこの統合でどれほどの果実が期待されるのかがはっきりしないことである。』
(引用終)

確かに確たるプランのないままの、見切り発車の経営統合である感は否めないが、小売業界を知り尽くした鈴木敏文氏と和田繁明氏の直観にもとづく、このようなM&Aも「あり」かと思う。百貨店とスーパーが一緒になることで、様々な可能性が広がる。しかし、その可能性を成功につなげるのは、やはり冷静な現状分析が必要なのであろう。

Posted by Ken Kodama at 2005年12月27日 11:03
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