本日は暮れも押し迫ってきたということで、みなさんも「年末モード」に入ってきて、あまり固い話題をどうのこうのという雰囲気ではないとお察し致します。そこで、個人の「学習」というテーマにそって書いてみたいと思うのですが、みなさんの関心を惹くために一点ご忠告しておくと、「学習」とはリーダーになるための重要な要素の一つであるといわれています。例えば、モーガン・マッコール著の『ハイ・フライヤー 次世代リーダーの育成法』には、以下のような記述さえあるほどです。
(引用始)
『リーダーシップに関する才能の最低必要条件は、経験から学ぶべきことを学ぶ能力であるといえる。』
(引用終)
最近のアクション・ラーニングなどによるリーダーシップ開発は、こうした理論的背景のもとに、リーダー候補者に必要な「経験」を与えるために実施されているのですが、しかし、そこから何を学びとるのかは、ほとんど「個人」に委ねられているというのが現在の状況です。そこで、老いても学び続ける良きロールモデルとして、本日は私の趣味の領域から二人をご紹介したいというのが、当エントリーの趣旨であります。
私が選ぶ「学習」の達人の一人目は、将棋の世界から青野照市九段です。現在52歳の青野九段。さすがに年齢の波には勝てず、今期の成績は今ひとつさえないのですが、今から2年前将棋棋士のトップ10が集まるA級リーグにおいて大健闘し、羽生世代の優秀な棋士をして、「青野九段は50歳に近づきつつも、なお強くなっている」とさえ言わしめたほどです。もちろん、外野にいる我々からは「強くなった」という「変化」が伴わないことには、「学習」を継続しているということが見えないわけで、そうした可視的な「変化」から「学習」の痕跡を私は類推しているわけです。
そして、二人目が標題に挙げた87歳のジャズ・ピアニストであるハンク・ジョーンズ氏です。ハンク・ジョーンズについては、以下の2つの参加アルバムがお気に入りでした。
Steal Away/Charlie Haden & Hank Jones
All My Tomorrows/Grover Washington, Jr.
これらの作品に共通するハンクの特徴は、そのタッチの柔らかさにあると思います。ハービー・ハンコック、チック・コリアという「バリバリ」引きまくる人は、それはそれで魅力的だけど、ハンクの柔らかさは他のどのピアニストにも出せない味わいです。ところが、そのハンク・ジョーンズ参加の以下の新作をCDショップで試聴して私は驚きました!
何に驚いたかといえば、一言でいえば演奏が若々しいのです!「生きる喜び」みたいなのがみなぎっているのです。これは私の個人的な感覚なのかと思い、色々検索してみると、例えばこちらの日本語のブログでも、好意的なコメントが書かれていますし、英語のサイトでは以下のようなコメントが記載されています。
(引用始)
『Hank Jones, who celebrates his 87th birthday this month, is in the midst of one of the most productive periods of his long, distinguished career.
(今年87歳になったハンク・ジョーンズは彼の長く際立った音楽キャリアの中で、最も生産的な期間の一つの真っ只中にいる。)』
(引用終)
この二人は、それぞれのスタイルの「変化」から、老いても確実に何かを「学習」したと推測されるのですが、では何をどのようにして「学習」したかについては、二人が回想録でも書かないことには明確にはならないことでしょう。もちろん、青野九段の棋譜を詳細に分析したり、ハンクの新作を徹底的に聞き込めば何らかの手がかりは得られるのでしょうが、それは私の拙い文章では言語化する対象になりません。でも、細かいことは抜きにして、老いてもなお「学習」し続けて、魅力的な変貌を遂げる有名人が二人もいるというだけで十分ではありませんか!私もやはり87歳で「現役」でいたいものですが、ただの「現役」ではなく、いまだに「チャレンジ」し続けている「現役」でありたいものです。
ちなみにハンク・ジョーンズは来年ブルーノートに来日する予定です。最後の来日になるかもしれないので、私は見に行くつもりですが、ミシェル・ペトルチアーニのときも予約までして、その後に訃報を聞くという哀しい思い出があるため、来年3月までは、そしてその後も末永きに渡って、ハンクが健在であることを祈りたいです。