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2006年01月26日

聖書に学ぶ『法の運用』

ボビー、実は39歳だったとのこと。ムルアカが同じ事務所だったりと、よく分からない世界。ちなみに、野球を見ない私は、昨年まで「ボビー」といえば「オロゴン」しかいないと思っていた。ヤフーのヘッドラインを見て、どう考えても腑に落ちないニュースが多いなあ、と首をかしげていたところ、バレンタイン監督もボビーであることを、かなり最近知った。こういうところが、一人で仕事をしていく上での恐さである。
さて、本題だが、本日の日経新聞の上村早大教授による『経済教室』は熟読に値する名文である。新聞という媒体に適した読みやすさであり、かつ専門的な見識に裏付けられ、かつハートも感じられる。お手元にある方でまだ未読の方は、是非目を通していただきたいと思う。
話題は、当ブログでは、「またー」のライブドア問題であるが、教授は金融庁の法運用に問題があったとの見方をとり、その様子を『法改正があるまではやり放題という自堕落な気分にあふれた証券市場(引用)』と手厳しく批判している。これは誠に的確な表現であると思うが、ではなぜ、このような自堕落な気分にあふれた証券市場になってしまったのかという点については、規制当局である金融庁と自主規制の担い手である東証や証券各社とのコミュニケーションが必ずしも十分とは言い切れない点があったということが第一であろう。この点については、以前も下記のエントリーにおいて考えてみた。

証券取引所の「自主規制」を考える

株式分割には問題があるというのは誰でも知っていたことだが、ではそれに対処すべきは、証券各社のレベルなのか、東証なのか、あるいは法改正を待つのか、という点において3すくみ状態であったため、問題が長らく放置されてしまったのであろう。したがってまず必要となるのは、これらの機関が密にコミュニケーションをとり、どこがアクションをとるべき問題なのかを明らかにすることにあるだろう。
第二の理由は、規制当局が保護すべき投資家に目線を合わせていなかったという点に求められるであろう。東証や証券各社が株式分割の問題への対抗策を打ち出し始めたのは、ライブドアが株式分割をバックに、敵対的買収を仕掛けるほどの勢力をつけてきて、大企業の経営陣の地位を脅かしはじめたからに他ならない。それまでも、多くの無知な個人投資家(投機家?)が株式分割の生贄となっていたが、それだけでは規制当局は動こうとしなかった。規制当局は、今後は投資家保護と真摯に対峙してゆかねばならない。
では、今後法の運用とはどのようにあるべきかという点については、上村教授は以下のように述べている。

(引用始)
『市場をメカニズムを守り抜くために包括規定を活用し、市場阻害阻害行為に対しては法制度の趣旨に反するか否かを経済的実質に即して判断し、果敢に排除するという法の運用姿勢の確立でなければならない。』
(引用終、太字は私の判断)

ここで、「包括規定」についてだが、教授はSECの10b-5ルールが、アメリカにおいてはよく機能していると言う。ここでSECの10b-5ルールを原文のままで恐縮だが、引用しておきたい。

(引用始)
It shall be unlawful for any person, directly or indirectly, by the use of any means or instrumentality of interstate commerce, or of the mails or of any facility of any national securities exchange,

A. To employ any device, scheme, or artifice to defraud,

B. To make any untrue statement of a material fact or to omit to state a material fact necessary in order to make the statements made, in the light of the circumstances under which they were made, not misleading, or

C. To engage in any act, practice, or course of business which operates or would operate as a fraud or deceit upon any person,

in connection with the purchase or sale of any security.
(引用終、こちらのサイトより引用させていただきました)

面倒臭いのでいちいち訳さないが、一言で言ってば「悪いことはやってはいけません!!」ということである。(このずぼらさが、法を生業とする人と私の間にある永遠に埋められぬ溝なのです・・・)こうしたごくごく一般的な包括規定を根拠に、次から次へと繰り出される新手の金融取引手法の是非を判断するというのは、金融庁のお役人が得意とする仕事とは思えない。
環境変化が著しい現代においては、「法」の有効性というのは、数年のスパンで著しく失われてしまう。そこで、法を運用する規制当局も、規制される側の企業も、Compliance(法令順守)という近視眼的な視点だけではなく、Compliance & Ethicsという幅広い視点で考える必要があるのであろう。以下に、新約聖書の一節を引用しておくが、以下の一節は法の運用という問題を考える上において、ハートに訴えかける重要な指針になるのではないかと思う。

(引用始)
『わたしが律法や預言者を廃するためにきた、と思ってはならない。廃するためではなく、成就するためにきたのである。よく言っておく。天地が滅び行くまでは、律法の一点、一画もすたることはなく、ことごとく全うされるのである。それだから、これらの最も小さいいましめ一つでも破り、またそうするように人々に教えたりするものは、天国で最も小さい者と呼ばれるであろう。しかし、これをおこないまたそう教える者は、天国で大いなる者と呼ばれるであろう。わたしは言っておく。あなたがたの義が律法学者やパリサイ人の義にまさっていなければ、決して天国に、はいることはできない。』
(引用終、マタイによる福音書 第5章17節より20節まで、直接的にはこちらのサイトより引用させていただきました)

以前も聖書を引用したエントリーを執筆したが、聖書はかなり奥深く、かつ現代の世界にも通じる部分が多いように思われる。

Posted by Ken Kodama at 2006年01月26日 14:50
Comments

>Kiefer様

お役にたてて光栄です。その番組多分私も見ましたが、教育テレビのやつですよね?・・・って、こんな番組も見れてしまうなんて、ドイツにいらっしゃるなんて少しも想像できないのですが(笑)

Posted by: 児玉 at 2006年02月01日 13:09

すみません、名乗り損ねました。前のコメントは自分です。
追記ですが、昨日のNHKの経済解説番組でほぼ同様の解説がされていました。ひょっとしてパクられたかも?(なぞ)

Posted by: Kiefer at 2006年01月30日 22:04

読ませていただきました。http://blog.goo.ne.jp/aimhighconsulting/
だいぶクリアになりました。対応ありがとうございます。

Posted by: at 2006年01月30日 22:01

>Kiefer様

書き込みいただきありがとうございます!この辺りの問題は、私自身にとっては「ライフワーク」に近い類の問題であったため、最近のエントリーは一人で舞い上がっていたのかもしれません(笑)。記述が分かりにくかった点を反省しています。
とはいえ、Kiefer様のあまりにも深遠なご質問に全てお答えするには、ステップを数多く踏まねばならないのですが、幸いにも、私のもう一つのブログで「やさしい株式分割の話」というものを連載させていただきました。少々長いのですが、まずは、こちらをご覧いただけると概要をつかんでいただけると思います。

http://blog.goo.ne.jp/aimhighconsulting/

こちらをお読みいただければ、少なくとも(1'')のご質問には答えていると思います。その上で(1)ですが、株式分割は違法ではありません。漠然といってしまえば「倫理的」に問題があるのですが、もう少し明確化させると「経営陣が受託責任を負っているはずの株主を欺いている点」が大きな問題であるというのが私の考えです。
(1')については、東証は5分割程度であれば、需給のアンバランスは左程問題ではないと考えていると推測されますが、恐らく「5」という数値には根拠がないと思われます(笑)。
(2)については、逮捕時の容疑については、ライブドア本体ではなく、ライブドアマーケティングの「偽計取引」と「粉飾決算」であると私は認識しております。両者と株式分割の関連については、上記のURLの文章をお読みいただければ、おぼろげながらつかんでいただけると思います。
Kiefer様に理解できにくいということは、恐らく8割の読者の方にとって理解できにくいということのはずです。今後も分かりにくい点等ありましたら、どんどんご指摘下さい!

Posted by: 児玉 at 2006年01月27日 09:41

 エー、低レベルな書き込みをさせていただくことを先にお詫びします。ご迷惑ならスルー願います。
 ライブドア関連で今報道されていることで自分が理解できないことがいくつかあります。
 もし出来ましたら、ちょっと教えていただけるとありがたいと思います。
(1)なぜ株式分割は悪なのか、法に触れているのか、倫理的な問題なのか
(1')現在東証では株式分割は5分割までに制限されていると聞きましたが、なぜ5分割なら良いのか
(1'')ライブドアは株式分割によって自社株の価格を吊り上げたとされていますが、なぜ分割すると価格(総額)が上がるのか
(2)結局、経営陣逮捕の時点(この時点では粉飾決算というのは容疑に上がっていたのでしょうか?)ではライブドアの何が違法だったのか、逮捕容疑はなんだったのか。

Posted by: Kiefer at 2006年01月26日 22:46
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