冒頭にですが、昨日Kiefer様よりコメントを頂いたのですが、そもそも株式分割のなにが問題なのか、私の説明不足も相俟って、分からないという方も多いと思われます。そのような方のために、もう一方のブログで執筆した『やさしい株式分割の話』という連作が参考になるかもしれないため、URLを下記のご紹介しておきます。
さて本題。本日の日経新聞においても、ライブドア株への投資による投信の影響が若干記述されていたが、日経金融新聞では、スクランブル欄で『ライブドア株に揺れる投信』と題した特集が組まれていた。投資信託にはアクティブ運用とパッシブ運用の2種類がある。パッシブ運用はインデックスに連動するように銘柄選択をあえて行わないものであり、アクティブ運用はインデックスを上回ることを目的として、どの銘柄をピックアップするかがファンドマネージャーに委ねられ、アクティブ運用ファンドの運用者はその対価としてインデックスファンドより高い信託報酬を得ることとなる。ライブドア株を購入していたファンドが中小型株を対象としたインデックスファンドであるならば、そのファンドがライブドア株を組み入れるのは仕方がない。逆に組み入れていないのであれば、それは投資方針に外れた運用を行っており、それはそれで問題である。
しかし、銘柄を主体的にピックアップするアクティブファンドがライブドア株を積極的に買っていたのであれば、それは大きな問題であると思う。もちろん、容疑の引き金となった偽計取引や粉飾決算を事前に見抜くことを求めるのはかなり酷な話である。しかし、ホリエモンが「株主の皆様のために・・・」といった趣旨の発言を連発しながら、実は自社の株主を徹底的に舐めきっていたことを見抜くのは、若干の知識があれば朝飯前である。ロイターやブルームバーグの端末などから遠ざかってしまった、自称「隅の老人」である私ですら、開示文書からライブドアの「株主軽視」を読み取ることができるのである。ライブドア問題は様々な方面に波紋を投げかける。もしかしたら、日本ではほとんど語られることのなかった「投資信託のガバナンス」という問題にメスを入れるきっかけとなるかもしれない。
さて、新聞の社説ばりの単調な正論はここまでとして、面白い話をお披露目しましょう。ソースはボーグルの『インデックスファンドの時代』。この著が、私のようなインデックスファンド信奉者のFPのバイブルとなっていることは、いまさら説明するまでもないが、実はインデックスファンドのパフォーマンスがアクティブファンドのパフォーマンスに及ばない領域というものが、データを見る限り存在する。それが、数年前までのライブドアのような企業がくくられれていた小型グロース株のカテゴリーである。同著は株式ファンドを「①大型②中型③小型」と「(A)バリュー(B)ブレンド(C)グロース」の3×3の9つのクラスターに分類した上で、それぞれのカテゴリーのインデックスファンドとアクティブファンドのリスク調子後リターン(リターンからリスクを引き算することで求められます)を比較している。するとある一つのクラスターを除いて、インデックスファンドの優位が確認されるのであるが、その優位が確認できないのが小型グロース株なのである。ボーグルもこの結果に当惑し、『このファンド・グループのサンプル数が比較的少ないこと、あるいは検証対象が特定の期間であることから、単にデータの異常値のせいかもしれない(引用)』と述べるにとどまっている。
William Bernsteinの"The Intelligent Asset Allocator"はさらに一歩進んで、こうまで言い切っている。
(引用始)
"small-cap growth stocks have poor long-term returns, and it is probably wise to avoid investing in this area, active or indexed."
(引用終、「小型グロース株のリターンは長期的に見れば魅力的ではなく、このエリアへの投資はインデックスであれアクティブであれ避けるべきである」)
両者とも過去のデータに基づいた結論であり、その「なぜ」に対しては明快な切れ味を欠いている。もちろん、私も彼等にかわって仮説を提供しうるほどの見識もないが、「ライブドアのようなトンデモ企業がいるから」というのも一つの説明になるかもしれない。アセットアロケーションの観点からはアセットクラスを増加させることはリターン増加にとてもリスクの減少にとってもプラスの働きをもたらし、したがって小型グロース株も投資の検討対象として有力であるが、私の個人的な意見としては、この領域への投資を考えるのであれば、優れたファンドマネージャーのいるアクティブ・ファンドを使うか、あるいは自ら徹底的に企業の戦略を分析して銘柄選択を行うかの二者択一であるかと考えている。
Posted by Ken Kodama at 2006年01月27日 10:07> masato様
コメントをいただき誠にありがとうございます。まず、記述していただいたURLが、当方のブログの不具合により反映されてないので、下記に転記させて下さい。もし、転記することに異論がありましたら、ご連絡をいただければと思います。
http://matto.blog2.fc2.com/
さて、内容に関してですが、masato様とほぼ同様のことを私も下記のエントリーにて考えておりました。
http://www.aimhighconsulting.com/weblog/archives/000249.html
ただ、今自分のエントリーを振り返って見て思うのは、小型株という分類に加えて、バリュー・グロースの分類がかけている点です。小型バリュー株については、タワー投資顧問に代表されるファンドの動き、および追随する個人投資家の動きにより、ご指摘の通りの水準訂正が、恐らくは進んでいると思います。
しかし、小型グロース株については、適正な方向への水準訂正が起きるには「空売り」が必要となります。タワー投資顧問はロング・ショートであると言われているので、もしかしたら空売りを仕掛けているのかもしれませんが、「割高なグロース株」とは、ライブドアのように一種神がかった勢いがある企業であり、これに空売りを仕掛けようと個人投資家が追随するには、かなりの肝っ玉が必要になるかと思うのです。
ですから、小型バリュー株のアノマリーは消失しつつあるかもしれないが、小型グロース株のアノマリーは依然として残るであろうというのが私の見解で、そうするとボーグルのアメリカのデータとも整合性がとれると思います。とはいえ、私もそのアノマリーでもうけようとするほど、「肝っ玉」はすわっていませんけどね(笑)。
はじめまして。いつも楽しく拝見させてもらっています。
で、「小型株のプレミアム」に関してですが、これは現時点ではかなり存在していると思われます。タワー投資を筆頭に優良な小型株で大きなリターンを得ていることらもうかがえます。
なぜ、小型株にプレミアムが存在するのか?
第一に、私は「今の日本の株式市場のおいて小型株の分野に関して大型株にそれに比べれば、市場が効率的ではない。もしくは非効率の部分がかなり残っている。」と考えています。というのは、小型株というのは今まで、アナリストや証券各社にカバーされてきてなかったんだと思います。
それが、最近、タワー投資を筆頭とした優秀な小型株ファンドが買いあさることによって、水準訂正されてきているのではないかと考えています。
そして第二に、投資家が「失われた10年」で小型株に関しては過度にリスクを見積もっていたことも関係してきているはずです。それが景気拡大局面とともに見直されてきていることもあると思います。
どうでしょうか?