昨日、報道ステーションにチャンネルを合わせたら、劇団ひとりがスーツ姿で会見に臨んでいた。一体、何をやらかしたのかと思いきや、この人、民主党の永田寿康議員であるらしい。そのくらい、私は疲れている。(ちなみに、劇団ひとりを真ん中に永田議員とヒューザー被害者の住民代表の赤司さんを両脇に配すれば、ナンシー関が普及させた「顔グラデーション」が完成するかもしれない。永田代議士と劇団ひとりと、どちらがより芸人向きの顔かという観点からいえば、間違いなく永田代議士だと思う。)
私が法律に強くないことは、当サイトに訪れていただいている方には周知の事実である。加えて、2月は少々スケジュールが多忙で、3時間くらいしか眠れない日が2~3日続いたりする。だから、新聞もろくに読めないし、まだ頭の中も疲れている。・・・と、十分に予防線を張った上で、ドン・キホーテのTOB問題を僭越ながら語らせていただきたい。
今までの経緯の新聞記事を読んではいないのだが、本日の日経新聞朝刊11ページの江尻弁護士の記者会見のやりとりの一節に、今回の件の核心が浮かび上がっているように私には感じられる。以下に、一部だけ引用させていただきたい。
(引用始)
『江尻弁護士「資本市場にはルールがあり、現在あるルールを守っていれば、グレーという議論にはならない。今回のケースは真っ白だ。」
記者「TOB失敗後の市場での買いつけについて、TOB開始前から意図して実施した場合はどうか。」
江尻氏「グレーだと思う。」』
(引用終)
上記の短いやりとりは、様々な観点から興味深い。まず、法律のシロウトの私にとっては、江尻氏の発言は、詭弁以外のなにものではないように感じられるという点。TOB失敗後の市場での買いつけも、TOB自体もオリジン東秀の支配権の獲得を目的としたものであることは間違いない。どういう論理を展開すれば、両者の間に関連性はないという方向に持っていけるのか?もちろん、弁護士には勝算があっての発言なのだろうが、両者を「一連の取引」とみなすかみなさないかの議論は、我々にとって空恐ろしいくらい不毛な論である。しかし、この点を巡って日経新聞は大々的に紙面を割き、法曹界の専門家は議論を戦わせ、そして私のような専門外の人間までブログ執筆に時間を費やす始末である。
もう一点は、法曹関係者のモラルという問題。上記の発言からも、「真っ白だ」と言いながらも「グレーである」可能性が濃厚であるとの認識を、弁護士が持っていることは明らかであろう。このようなグレーな取引に一般人が果敢に挑むことは難しく、法曹関係者のアドバイスなしには、グレーな領域に飛び込むことは難しい。つまり、私が問題視するのは、法曹関係者がグレーな領域に飛び込むことを後押しすることをビジネスとしているように見えるという点である。ライブドアのときもそうであった。弁護士にモラルの認識がないわけがない。であるから、私にとっての関心は、彼らの内面においてビジネスチャンスとモラルの相克をどのように処理しているのかという点である。なんとなく、養老孟司氏の『無思想の発見』あたりにその答えがありそうな気がするのだが、時間がなく読む暇がない。
もちろん、このように弁護士を使うことを意図するのは経営者の側である。ドン・キホーテによるオリジン東秀買収の一連の動きを見ていて連想したのは、トロイの木馬である。すなわち、だましうち。ビジネスとはパートナーとの信頼関係を構築しないことには成立し得ないものである。かつて、ドン・キホーテは、仕入先との関係のあり方を、公正取引委員会に問題視されたことがあった。ドン・キホーテの経営は顧客満足だけしか頭になく、ビジネスパートナーとの信頼関係の構築などは、恐らく一秒たりとも考えたことがないのだろう。今回の一連の騒動により、仮にドン・キホーテがオリジンの経営権を取得できたとしても、ビジネスパートナーは警戒感を深めるであろう。長期的に見れば、失うものも大きいはずである。
良心に呵責を感じつつもビジネスを追求する弁護士と、そもそも倫理観を持たない経営者。これは無思想の日本人の縮図である。我々もこうした一面を持っているということであり、我々の内面に巣食う「弁護士」と「ドン・キホーテ」と対峙せねばならない。