執筆者のプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif

2006年04月13日

BNPパリバ 急成長

こんな見出しが本日の日経金融新聞に掲載されており驚いてしまった。見出しに掲載されている企業は私の古巣であるが、もちろん決して悪い企業ではないのだが、「急成長」という見出しはなんともしっくりこない、フランスの保守的な名門金融機関なのである。と、記事を読んでみると疑問は氷解する。

(引用始)
『全額出資子会社のカーディフが販売する住宅ローンの疾病保証特約が地方銀行などで人気を集めているためだ。カーディフの2006年のローン保障保険の収入保険料は前年比54%増の102億円となる見通しだ。』
(引用終)

つまり、「急成長」しているのは住宅ローンのいわゆる「団信」の疾病保障特約つきなのである。これがどんなものかを知りたければ、本日の日経新聞の11ページの広告をご覧いただければイメージがつかめると思う。中央三井信託の住宅ローンの広告だが、『「ガン」と診断された時点でローン残高が0円になります。(広告より引用)』とデカデカとコピーが掲載されている。そして、引受保険会社はといえば「カーディフ損害保険会社」と控え目に記述されている。
ここで興味深いのは、まずその商品性である。ガン保険なんて昔からある。団信だって昔からある。簡単に言えば、それら二つが「バンドリング」されただけのことである。つまりガン保険が住宅ローンとひもつきになったと考えれば遠くはない。住宅ローンとひもつきになった保険というのは、保障額が段階的に少なくなる逓減保険であるというのが重要なポイントである。フツーの生命保険会社が力を入れて販売するのは、保障額が5,000万円なら5,000万円でずっと変わることのないタイプの保険であり、こういった商品は当然のことながら、オーバー・インシュアランスといった不経済を引き起こす。しかし住宅ローンとひも付きとなることにより、保険料に無駄のない逓減保険へと生まれ変わることが可能となる。
しかも、より重要なのはそれが被保険者にとって分かりやすいということ。「逓増保険」「逓減保険」とかいわれたってよく分かんないけど、「ローン残高がゼロになります」というのは誇大広告でもなんでもない正当な広告である。つまり住宅ローンとひも付きになるということは、マーケティング上でも実に有効なことなのである。
またこうした住宅ローンとひも付きの商品が拡大することは、貸付金融機関のクレジット・リスクを抑える上で大いに有効に機能する。こうした保険商品が拡大することで、貸出金融機関はクレジット・リスクを抑えながら、新たなパイを獲得することが可能となる。
カーディフはこうした商品を自ら個人と接触する販売網をもたずとも、金融機関と提携するという、ただそれだけで急成長を遂げてしまった。つまり、ここで実に興味深いのは、ビジネスモデルが成功を収めたという点である。BNPパリバに限らずとも投資銀行部門というのは、「人」が全ての世界である。もし利益が急上昇するようなことがあれば、その裏にはどこかに「尊大さ」も急上昇してしまって扱いにくくなった「稼ぎ手」が存在していたということを意味していた。カーディフの営業マンだって投資銀行の営業マンと同様に法人を相手にしているものの、その裏にひしめく個人顧客の恩恵を直接的に与れるようなビジネスモデルを組むことで、扱いにくい「天狗」という副産物を産みだすことなく急成長を遂げることが可能となったのである。(ま、本当にいないかどうかは関知せざるところではあるが)まあ、こんなオイシイビジネスはないわけで、日経金融新聞でも締めくくっている通り、『他の生損保も追随する可能性があり、今後引き受け競争が激化しそうだ。(引用)』ということなのだろう。

それにしても、「カネをもらわないで書く」ということの自由さといったら、たまらない!!今まで3ヶ月弱、全く自由にならないレポートを書いていてフラストレーションがたまっていたが、久々に本当に自己表現ができた気がして、大満足です(笑)

Posted by Ken Kodama at 2006年04月13日 09:57
Comments

児玉様はじめまして

当地ローマでは10月からBanca Nazionale del Lavoro銀行が
パリバに買収されました。

パリバとは、どんな企業なのかと
検索していてたどりつきました。

私にはよく仕組みは分からないのですが、
街角を歩いていて、住宅ローン市場・消費者金融
の顧客取り合いが激しくなってきているように感じます。


Posted by: せりか at 2006年10月25日 15:05
Post a comment









Remember personal info?