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2006年04月20日

マックの生き残り ~鍵はEBMにあり~

本日の日経新聞朝刊はマックのセット商品の値上げを報じていた。昨年4月に原田CEOは100円メニューと500円セットの「分かりやすい」価格体系を打ち出したが、予想外の客数増とそれを打ち消す客単価減少により、3ヶ月弱で軌道修正を迫られることとなったのは、昨年にもお伝えしたとおり
「百円メニューは集客効果が高いため5月以降も継続する(本日の日経新聞より引用)。」とあるものの、私自身マックヘビーユーザーなのだが、マックの店舗にあるメニューは「どうか百円メニューを注文しませんように!!」と祈念するかのごとく、メニューの隅っこに小さく書かれている。500円セットは早くも崩壊してしまったのだから、100円メニューを温存させるということは、原田CEOの面子を保つ以外に大きな意味をもっていないはず。価格戦略に限定していえば、マックジャパンの今回の一連の動きは「失敗例」としてケーススタディで語り継がれることになるのかもしれない。
そんな中で、マックに光が見出せるのは以下の記述だろう。

(引用始)
『一方、24時間化は全店の約5%に相当する約200点で5月下旬から今夏にかけて、順次実施する。』
『店舗運営効率が改善、昨年から進める早朝など営業時間拡大でコスト増を上回る効果が出ているため、一気に広げる。』
(引用終)

別に私は「24時間運営がマックを立て直す」と言いたいのではない。こうしたマーケティング上の施策を実施店舗を選別しながら、慎重に実施・拡大していくだけの規模を備えていることこそがマックの強みだと思う。小売業界の経験がない原田CEOが大胆な価格戦略を実施したこと自体が、思い上がりの産物であるといってもそれほど過言ではあるまい。原点に立ち返って、豊富な店舗網を活用してマーケティング上の「実験」を繰り返して、その効果を確かめることこそが、マック本来の姿といえるであろう。
2006年4月号の日本語版ハーバード・ビジネス・レビューは『「決断」の科学』と題され、その中に「エビデンス・マネジメント」と題された論文が掲載されている。今回のマックような現場実験を含めて、(直観等に過度に頼りすぎることはなく)エビデンスに基づいたマネジメントを実践することを、エビデンス・マネジメントと呼ぶ(あるいは、少なくとも執筆者はそう呼びたい)らしい。
EBMとはもともと医療の世界の概念であり、例えばこちらのサイトでは以下のように定義している。

(引用始)
『EBMはEvidence-Based Medicineの頭文字を取ったもの,日本語に訳すと,”根拠に基づく医療”です.簡単に言うと,現在利用可能な最も信頼できる情報を踏まえて,目の前の患者さんにとって最善の治療を行う,ということになります.』
(引用終)

「店舗での実験なんて、そんなこと昔から誰だってやってんるジャン!」と言いたければそう言えばよいが、私は医療の世界で発達したEBMの精神をマネジメントが学ぶことは大いに有意義であると思っている。
基本的にはEBMは典型的な「左脳経営」である。だって、データをきっちり分析して経営に活かすのだから。でもこれからは「右脳の時代」だと言う学者もいる。それがDaniel Pinkの"A Whole New Mind"であり、ダイヤモンドで大前研一が勧めていたので、昨日紀伊国屋でペーパーバックを購入してみた。そのうち大前研一氏監訳で日本でも発売されるらしいので、ご興味のある方は是非ご一読を。
本当のところは、これからは自分の脳内の中で左脳と右脳が自在にキャッチボールをできるようにすることこそが重要なのだろう。したがって、21世紀は両者をつなぐ脳梁の時代であるというのが、私の説である。「じゃ、脳梁ってどうやって鍛えられるの?」さあ、どうなんでしょうか。私は知りません(笑)。

Posted by Ken Kodama at 2006年04月20日 10:04
Comments

>sakura様

レスが遅くなりました。そういえば香港映画が主テリトリーでらっしゃいましたね(笑)。

>脳に関することなど人間の最もシンプルな部分にやはり向かうような気がします。

今私がはまっているのは『脳の右側で描け』という本です。ブザンのマインドマップの本でも、そしてここで紹介したD.Pinkの本も、立脚したコンテンツが紹介されています。そのうち、本文で紹介したいと思っています。ではまた!

Posted by: 児玉 at 2006年04月29日 13:13

ありがとうございます。
4月号のHBR読んでみます。ちなみに、この間まで何の関係もなかった雑誌です。(笑)
ティップス、いただいてばかりで・・・。

瑣末な知識よりも、意思決定とか児玉様が書かれているような脳に関することなど人間の最もシンプルな部分にやはり向かうような気がします。

易経・老荘、ブルース・リー、身体脳がマイブームになってます。
香港人の危機管理のポイントみたいで。
私のことはどうでもいいんですが(爆)

Posted by: sakura at 2006年04月26日 07:28

>sakura様

お久しぶりです。書き込みありがとうございます。 sakura様は今回の類の意思決定関連の話題にご関心があるのですね。4月号のHBRは、その手の話題が満載ですので、是非ご覧になってみて下さい!まだ、「完全復活」といえるほど時間がとれないのですが、GW頃には時間にゆとりが持てる状況になっているはずなので、溜まったストレス解消に書きまくろうと思っています(笑)

Posted by: 児玉 at 2006年04月24日 22:12

完全復活おめでとうございます(笑)
すでに脳梁全開ですよー。

私的な関係からも医療現場における意思決定手法に興味を持っていましたのでEBM、参考にさせていただきます。
これって裏返すと患者の立場でどのように決定してゆくかの参考にもなりますよね。結果の重篤さ(生命に関わる)から考えても意思決定手法としては参考すべきものが多いような気がします。

Aim High テイストのエントリ、楽しみにしてまーす。
ではでは。

Posted by: sakura at 2006年04月21日 09:18
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