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2006年05月30日

日本の投資家はどこまで財務諸表を読めているのか?

日経金融新聞の『スクランブル』欄は面白い。大抵の記事は、私の知的好奇心を満たすだけの新奇な切り口で市場を読んでいる。これはまた裏返せば、私レベルであっても理解できうる平易な語り口で記述されていることの証でもある。
本日のスクランブル欄は『益だし決算、続けますか』と題して、多額の特損を計上せねばならない企業が、ほぼ同額の含み益を吐き出してボトムの利益の帳尻を合わせている様を嘆いている。で、このような会計上のお化粧に投資家はだまされているのかといえば、「そんなに投資家は馬鹿ではない」というのが、本日のスクランブル欄のいわんするところである。特別利益を除けば赤字に転落してしまう企業を抽出して、その株価の「年初からの騰落率」を観察すると、ほぼ全ての企業の株価が日経平均に比して大幅に下落している。日本の投資家は、そんなお化粧はお見通しなのである。
と一方で、これは下記の先日の私のエントリーと部分的に矛盾が生じてしまうかのごとく見えてしまう。

ソフトバンクの『異例の財務手法』と孫正義の『モータリティ』の自覚と無垢な投資家達

(コピー始)
>日本の投資家達はどうであるかといえば、5月19日の日経金融新聞の『見かけの業績、株価撹乱』と題したスクランブル欄の記事によれば、私が想像した以上にマネーリテラシーに乏しいようである。同記事を要約すれば、新日鉄等の株価の観察に基づけば、投資家達は特殊な会計要因を読み解く力をもたず、ボトムの利益の増減で投資判断をしているらしい、というもの。
(コピー終)

上記の私のコメントも元ネタはやはり日経新聞のスクランブル欄である。こちらを読むと投資家はボトムの利益だけを見ているかのごとくであり、本日の日経金融新聞の記事とは矛盾する。
ここで、上記の引用中にある新日鉄の会計の特殊要因とは在庫評価益のことである。例えばこちらのニュース記事を参照されたい。在庫の評価益とは経常利益に至るまでの間に記載される項目である。したがって、5月19日のスクランブル欄と本日のスクランブル欄をあわせた矛盾のない仮説をたてるとすれば、以下のようになるのではないか?

日本の投資家は経常利益までについては、内訳の特殊要因等を詳細に検討せず、単純に前期との増減で投資判断をしている。ただし、経常利益の下の特別利益のお化粧については、お見通しである。

で更に一歩進めて、上記の仮説を信じて、投資行動に移すとなると、経常利益までに至る内訳項目を詳細に検討することにより、株式市場のアノマリーを発見し、利益につながる可能性があるといえるのかもしれない。しかし、くれぐれも断っているように、当ブログの記述がもとで、損失を被った方が出たとしても、当方では全く責任が負えませんので、その点はご了承をw

Posted by Ken Kodama at 2006年05月30日 17:35
Comments

>die Kiefer様

書き込みありがとうございます!さすがにプロだけあって、見るところを見ていらっしゃいますね。やっぱり、B/Sを見てそこから意味を考えられる方っていうのは、そうそう多くはいないんですよね。ご指摘されているCF計算書についても、2期間のB/SとP/Lがあれば作れてしまうんですが、作ってみると「読み手に優しい」情報が多く、isologueさんで「CF計算書を注意深く読んでいれば、ライブドアの粉飾は見抜けた」という趣旨のエントリーがあったのが印象的でした。
またKiefer様のブログの更新も楽しみにしています!

Posted by: 児玉 at 2006年06月05日 10:35

確かに経常損益の中身まで見ようとするとかなりかったるいですね正直。営業利益の増減くらいは見ますけど、「売上増えてるのに粗利減ってる、何だコイツ」とか(逆の方が場合によっては怪しいけど)。
特別損益はやっぱりわかりやすいですからね。そこを目立たないように化粧する(上に持ってっちゃう)というのもあるんでしょうが。
あと個人的にはB/S見ますね、「在庫へって借金減らしてる、売掛減って買掛増えてる、やるじゃん」みたいな。それで売上とか利益が減ってるんなら問題外ですが(笑)。
そうやって考えると、キャッシュフロー計算書が一番読み手に優しいんでしょうか。作るの大変だけど。

Posted by: die Kiefer at 2006年06月02日 18:22
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