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2006年06月07日

村上ファンドは「株主価値」の向上に貢献したのか否か?

本日のエントリーは、「スピリチュアリティー」とかいう、ファイナンス系の方がドン引きしてしまうタームは抜きで、粛々と財務理論の枠組みの中で進めていきたいと思います(笑)。
本日の日経新聞では、『村上ファンドの功罪』と題した経営者アンケートの集計結果が記載されていた。まあ、全ての項目の値はそれなりに興味深いわけだが、私の目を引いたのは「株主価値向上に貢献」と題した項目で、これは20%に見たず、低い値を示していたのが印象的であった。で、本日の「日経金融新聞」の方は、同グループ紙からの「インサイダー情報」(笑)により、スクランブル欄であまりにもタイミングよく、村上ファンドと株主価値向上の問題を取り上げていた。同紙は、この問題に関しては下記のような2つの見方があると指摘している。

(引用始)
『多額の現預金を抱えるなどした企業の株主となって、大幅増配や自社株買いといった還元策を勝ち取ってきた。』

『長年の蓄えを吐き出させているだけ。総会屋やグリーン・メーラーと変わらない』
(引用終)

そこで、この2つの見方を検証すべく、村上ファンド保有銘柄と東証インデックスのパフォーマンスを比較し、圧倒的に村上ファンド保有銘柄のパフォーマンスが高いことから、「村上ファンドは株主価値の向上に貢献した」としている。
まあ、相変わらずタイムリーで面白いスクランブル欄なのだが、こうした対立的な見方が出てくるのは、株主価値という用語の定義が共有されていないからであろう。
株主価値を時価総額と同義であるとするのであれば、本日のスクランブル欄が検証したとおり、村上ファンドは株主価値の向上に確かに貢献したのであり、これは抗うことのできない「ファクト」である。一方で、村上ファンドは基本的にはバリュー株を投資対象とするわけだが、ここでバリュー株とは理論的な価値に比して時価総額が見劣りする株式のことである。で、村上ファンドのやることといえば、実際の時価総額が理論的な価値に収斂すべく、経営陣に圧力をかけるにすぎない。すなわち、村上ファンドが新たな付加価値を生み出しているわけではなく、理論的な価値の顕在化に尽力しただけの、ある意味アービトラージャーにすぎないのである。株主『価値』というと、どうしても付加価値を連想してしまうが、こう連想する方々は、村上ファンドは株主価値を向上させたかと問われれば、即「NO」と答えるのであろう。
ホリエモン騒動と村上ファンドの影響で、にわかに「企業価値」「株主価値」といった用語が新聞を埋め尽くすようになったが、学者の方々も含めて、これらの用語に対する定義が共有されていないように思われる。ましてや、経営者の間での認識の不一致たるや、甚だしいのであろう。こうしたアンケートの意義を向上させるためにも、定義の共有化が図られることが好ましいのであろう。

Posted by Ken Kodama at 2006年06月07日 10:07
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