いつまでも、彼方の「スピリチュアリティ」の話をしているわけにはいかない。ビジネスマンがこの分野を語る「リスク」に気付かせてくださった方もいるし、また、こればっか語っているとアクセス数は確実に減少する(笑)。
「『日本』経済新聞」という閉塞感と題したエントリーで、いつまでも村上ファンドとホリエモンの亡霊に怯え、あるいは「酒の肴」に一杯やっている感のある日本のメディアの閉塞感に吐き気を催した私は、早速行動を起こすべく最新のBusiness Week誌を購入してみた。ドリームゲートで起業アドバイスをする際、いつも私は「日本で新しくはじめようとすることは、必ずアメリカでビジネスになっているのだから、まず英語で検索してみなさい」とアドバイスしている。そんなエラソーなこというならば、自分が普段から情報収集しないでドースル?そんな後ろめたさも手伝ってか、極めて刺激的な記事に出会うことができた。
2006年7月3日号の72ページ記載の記事で、"Lots of Loans, But No Banks"と題した記事がそれであり、ピア・ツー・ピア・レンディングをWeb2.0的な基盤で行っているビジネスの紹介記事である。記事中に紹介されているサイトのアドレスを以下に記しておきたい。
Zopa Ltd. (ロンドン)
Prosper Marketplace Inc. (サンフランシスコ)
ピア・ツー・ピア・レンディングという言葉自体、馴染みが薄いかもしれないが、要は仲間内で行うお金の貸し借りのことである。これは、ネット云々のはるか前から存在していた経済活動であり、ビジネスウィークの記事では、ベトナムのホイと呼ばれる仕組みが紹介されていた。これを読んで、私ははるか昔に沖縄出身の友人から、ものすごく似た話を聞かされた記憶が蘇った。インパクトある言葉だと思ったんだけど、なんだっけ??
色々検索するうちに、沖縄のピア・ツー・ピア・レンディングは模合(もあい)という名前で呼ばれていたことが確認できた。一つ、人類学的な見地から興味深いのは、ベトナムと沖縄の地理的な近さである。少なくとも無学な私が知る限りでは、日本の本州では同様な仕組みを知っておらず、この手の仲間内の資金の融通は「南方」の文化圏で発達したかもしれないということは、文化人類学的な観点から興味深い。
この「模合」をネット上で行うとどうなるか?当然のごとく失われるのは、フェース・ツー・フェースのコミュニケーションであり、お金に余裕のある人とお金に困っている人を結びつけるマッチングサイトとなる。そして、そのマッチングはレートを競い合う、いわゆるオークション的な仕組みにより実現される。上記にリンクを掲載したProsper社のサイトのトップページの下の方にあるローンの一覧を見ていただけば、おおよその雰囲気は理解いただけることであろう。
私はこのビジネスに対して、二つの側面から大いに関心を抱いている。第一の側面は、「信」とは何なのか?「Web2.0」と「バフェット」と「オーラの泉」を結ぶものという仰々しいタイトルをつけたエントリーで考察して、ネット上の『信』という観点から。知らない人とお金のやりとりをする、ということ自体については、我々日本人の多くはヤフー・オークション等で、既に慣れている。そうした際に相手の「信頼性」を判断する材料としては、過去に取引した相手からのアンケートの集積である「星印」が有力な手がかりとなる。しかし、売買は1度きりで完結するが、資金の貸し借りとなると、少なくとも1年以上の期間がたたないことには完済されるかどうかが微妙である。見知らぬ相手にお金を貸す場合に、どうやって相手の信頼性を判断するというのか?この質問への直接的な回答にはなっていないが、リスク分散という形が一つの対抗策になっているようである。記事では、5,000ドルのローンを100人でファンディングする可能性が言及されている。これって、かっこよくいえば、シンジケートローンじゃないか!こうしたピア・ツー・ピア・レンディングのサイトが、将来的に既ローン債権の売買まで手掛けるようになったとしたら、痛快である。
もう一つの信頼性の向上策はいわゆる、潜在的な借り手集団となりうるリアルなコミュニティをグループという形で、ネット上に持ち込もうというもの。グループのリーダーには、リーダーとなるインセンティブも付与されており、リアルな仲間からの監視の目があるから、容易に貸倒は発生し得ない、という考え。Prosper社のグループの概念を解説したページは実に興味深い。
私の第二の方面からの関心は、いわゆる既存の金融業界との関係。例えば消費者金融業界などにとっては、大いに脅威になるのではないかと考えられるかもしれないが、この手のビジネスモデルは既存金融のパイを奪うというよりは、全く新たな資金需要を発掘するのではないかという気がする。「月末に生活資金が足りなくなったからここで借りよう」とは恐らくは思うまい、だってクレジットカードとかに比べたら、あまりにも面倒だから。それよりも、例えば近所の主婦が集まってお弁当をビジネス街に売りにいくための販売カーを買うための資金だとか、日本育英会の資格要件になんらかの形で引っ掛かってしまう方に対する教育資金だとか、恐らくそんな資金ニーズが満たされていくこととなるのではないかという気がする、短期的には。しかし、長期的には間接金融という仕組そのものを脅かす勢力に発展する可能性を秘めている。が、それはこれら2社等の先駆者の腕及び頭次第といったところであろう。
当ページに来訪される検索ワードから、多くの金融関係者がこのブログをご覧いただいていると推測している。どなたか、こんなサイトで起業したくなったら、ご相談下さい(笑)。
【追記】
上記のエントリーを書き終えたあと、Zopa, Prosper, Web2.0の3語で検索してみたところ、なんとトップにきたのは日本の方のエントリーだった。
お金とWeb2.0の関係? ~Prosperがサービス開始~
2月6日と今年早々に書かれたエントリーである上、私よりもはるかに「地に足のついた部分」で議論をされているので(笑)、関心のある方は是非ご一読されてみて下さい。
>mukuhara様
書き込みいただきありがとうございます!
紹介していただいたサイト、拝読いたしました!面白すぎる!!!
いやあ、こんなことも知らないで、エラソーなこと書いてた恥ずかしさもありますけど(笑)、最近思うのは「Web2.0」とかってはしゃいでる人たちって、そもそもリアルなコミュニティーに対して、深く考えていなかったり、勉強を怠っていたりして、テクノロジー偏重な方が多いんですよね。
実際、金銭の貸借がからむとなると、規制の関連からビジネスに結びつけるのはかなりシンドイとは思われますが、頼母子講や模合といったコミュニティーの深部を考えることが、新たなウェブビジネスを生み出していくのではないかという気がします。
興味深いサイトをご紹介いただき、大変感謝しております!
こんにちは。ちょっと本論からずれるのですが……
沖縄以外の日本における「模合」に似たシステムとして、「頼母子講」や「無尽」があると思います。下記のページが参考になると思います。
『探検コム』内「頼母子講・無尽について」
http://www.tanken.com/tanomosi.html