以前、こんな仰々しいタイトルのエントリーで、人はどのようにして信じるか、そのプロセスへの関心を吐露するエントリーを書いた。
「信」とは何なのか? 「Web2.0」と「バフェット」と「オーラの泉」を結ぶもの
実は今トフラーの『富の未来』を下巻の130ページあたりまで読んだところなのだが、トフラーの著作にはこんな興味深いセンテンスがあった。
(引用始)
『皮肉なもので、市場調査会社、世論調査会社、広告代理店、調査機関などは、人々が「何を」信じているかを質問するために、大変な努力をし、巨額の資金を投じている。だが、人々の見方を知るうえで、はるかに意味のある質問はしていない。「なぜ」それを信じているかという質問である。』
(引用終)
このように切り出した上で、トフラーは人々が「真実の基準」として使用する以下の6つのフィルターを記述している。
①常識
「他の多くの人々が信じているから私も信じます」というもの
②一貫性
他の真実とみられる事実との間に一貫性があれば、あるいは矛盾がなければ信じるというもの。
③権威
会計士の語る会計の知識は信じ、弁護士の語る法律の知識は信じるというもの。タワー投資顧問の清原氏の買う銘柄を盲目的に買う、「清原銘柄」なる現象もこのフィルターが基盤とされていると思われる。
④啓示
いわゆる「神秘的な啓示」という奴。トフラーは、ここに深入りはしないが、6つのフィルターの1つであるとは認識している。
⑤時の試練
「長く語り継がれたものは真実だ」と考えるもの。
⑥自然科学
特に説明を必要としないだろうが、最後の自然「科学だけはみずから誤りを修正できる(引用)」とした上で、他の5つのフィルターよりも重要性があると、トフラーは認識している。
トフラーはこれまでにも、『第三の波』や『パワーシフト』と呼ばれる衝撃的な作を世に送り出していることで知られるが、恥ずかしながら実際に手にとって読んだのは、今作がはじめて。だから、他の著作ともしかしてだぶる部分とかあるのかもしれないが、私にとっては新鮮な内容。というよりも、恐れ多くも感じたのは「この人、私と似ている」という感覚(笑)。関心の幅の広さ、深さ、ユーモアのセンス等々々・・・もし私のブログの視点や文体が好きで継続的に訪れていただいているという奇特な方がいるとすれば、そのような方はトフラーを読んで唸ること間違いない。不思議なことに、私はなぜかアルコールを適量摂取した上でトフラーを読むと、ビンビンと訴えかけてくるものがあった(笑)。
トフラーの出した6つのフィルターがあるからといって、そこで思索を止めるような私ではない。例えば上記の6つのフィルターとグーグルのページランクの関係。私はSEO専門業者ではないので、グーグルの最新のページランク・ロジックは知らないが、私の知る限り、現在のグーグルは①の「常識」と③の「権威」のミックスにより成り立っているはずだ。「リンクが多いほど重要性が高い」というのは、①の「常識」をベースにしていることに他ならない。また例えば「トヨタ」のような会社のサイトからリンクが張られればページランクが高くなるというのは、③の「権威」を数値化しているからに他ならない。あとは⑤の「時の経過」なども比較的簡単に、ページランク概念に取り込めるはずだ。グーグルが雇っているという「言語学者達」がbrilliantであり、かつ適切なミッションが課せられていれば、近い将来②の論理的「一貫性」も取り込むことができるかもしれない。
あと、下記のようなエントリーで使用したエニアグラムという枠組み。
エニアグラムの9つのタイプとトフラーの掲げる6つの「信」のフィルターには明らかに相関性があると思われる。(ご自身のタイプと各タイプの説明をご覧になりたい方はこちらをご参照のこと)例えばタイプ6はその性質上、明らかに重要視するフィルターは「権威」であり、一部のブランド信仰的なタイプ3もやはり「権威」になびくことであろう。また知的なプロセスを楽しむ5は「自然科学」を重視するであろうし、対人的なつながりを重視するタイプ2は「常識」を重視することであろう。ぶっ飛んでいるタイプ4は「啓示」により「信」を固めることかもしれない。
一方で、この6つのフィルターだけでは、少し足りないのではないかという気もしないではない。例えば、私のサイトに継続的に訪れていただいている方々。リアルな知り合いは別として、なんらかの検索で迷い込んでしまい、そのまま居ついてしまった方は、なぜ私のサイトに定期的に訪れていただいているのか?私の書くことはどちらかといえば、「①常識」への挑戦だし、時として「論理的②一貫性」を欠いてでも直観を重視する。また無名の私に「③権威」がつきまとっているはずもない。「⑤時の試練」というほどこのブログは長続きしていないし、「⑥自然科学」めいた厳密な手法はとっていない。・・・じゃ「④神の啓示」???んなわけないし、となると、この6つのフィルターでは明らかに足りない。
21世紀を見通す上で、このトフラーの『富の未来』と『フラット化する世界』と『ハイ・コンセプト』の3書は非常に重要と考えられるが、3書の関心・アプローチは微妙に異なる。トフラーを読み終えた後に、3書の比較を簡単にしてみたいと思う。