本日の日経新聞の一面の『会社とはなにか』と題するコラムに、グーグルが拠点をアメリカのアナーバーに新設し、1000人を雇用するとの記述があった。実は私はこのアナーバーという街に訪れたことがあり、私の大好きな街である。日本でいえば、成城かなー。ハイソな感じがそこはかとなく漂い、近くに自然も多くある、素敵な住宅地なのである。で、なんで行ったことがあるかというと、フォードに勤務していたときの研修で行ったのだ。アナーバーはGMやフォードの本拠があるデトロイトの郊外にある街で、両者のエグゼクティブが多く住んでいる街なのだ。
私が参加した研修はフォードのファイナンス部門への新入社員の研修。大分前にもこのブログで書いたことがある気がするのだが、また書くと、この研修で私は人生ではじめて自らの学歴を恥ずかしいと感じることとなった。参加者の8~9割はアメリカ人で、ヨーロッパとアジアがちらほらいて計40人だったのだが、6割くらいの人達の最終学歴がMBA。で、3割くらいがBBA(経営学部卒)。そして残りの1割に数学専攻の人や、私のような"Liberal Arts"専攻が入ってくる。ちなみに、私は上智大学外国語学部英語学科卒なのだが、正式な書類でない限り、外人には「英語専攻」とは口が裂けても言わない。だって、そんなに英語上手くないもん(笑)。
話がそれてしまったが、常に"Best & Brightest"しか採用しないグーグルがアナーバーに拠点を設けるということは、恐らく危機に瀕するフォードやGMから優秀な人材を獲得したいからであろう、というのが私の推測。
フォードはファイナンス部門が力を持ち、あらゆる部門に数値分析を担当する人々が配置され、数値的な分析に基づいた経営を行っている。そして彼等の多くはMBAホルダーである。一方で、我が世を謳歌するトヨタにはもちろんいくらかのMBAホルダーがいるではあろうものの、フォードほどはいまい。かつてフォードの日本法人に勤務した者としてフォード社の名誉のために申し上げれば、私が仕事を一緒にさせていただいたMBAホルダーは皆聡明で、尊敬に値する方々ばかりであった。そしてそんな方々が、全世界のあらゆる部門に配属されているのに、皮肉なことにフォードは「財務的な」危機に瀕している。私がお会いした個々の人々に対する素晴らしい印象を忘れて外からフォードの組織を見るならば、このMBAホルダー達によって構成されるファイナンス部門が、現在の危機の一因を担っていたとの仮説は、やはり成立するのであろう。
そんな折に、本日本屋に立ち寄るとこんな本を目にした。
普段であれば、こんなセンセーショナルなタイトルの本は、私は見向きもしない。「MBA」とタイトルに入っているだけで、マーケティング臭がぷんぷんだからである。しかし、朝読んだ記事のこともあったので、手にとってみると、なんと著者はあのミンツバーグである。中小企業診断士の受験講座でも名前を覚えさせられるほどの、有名な経営学の高名な「グル」の一人である。なかなか渾身の力作のようであり、500ページを超える大作だ。恐らくは私の抱いた疑問、すなわち「フォードを駄目にしたのはMBAなのか?」という疑問に対するなんらかの回答があるのではないかと期待しているのと同時に、この本のテーマはMBAに代わり得る、有効なマネージャー育成プランを提唱することにあるようであり、であるならば企業研修を担当する私が読まないわけにはいかない。とりあえず購入して、1ヶ月くらいは忙しいので「ツンドク」になるだろう。もし、先に読まれた方がいたら、是非ご感想を書き込んでいただけると幸いです。