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2006年08月01日

日航増資 第五の疑問

最初に断っておく。本日のエントリーは日航増資を題材にしたロジカル・シンキングのトレーニングである。日航増資の背後に黒いものがあるなどと糾弾する類のものでは当然なく、私にそのような情報網があるはずがない。論理的に思考を積み重ねると、後述するようなブラックな結論がでてきてしまうが、それは私の有する情報の絶対量が不足していることに起因する。
本日の日経金融新聞には『日航増資 4つの疑問』と題された囲み記事が掲載されていた。日経新聞を愛読されている方なら、日経新聞がさながらネガティブ・キャンペーンのごとくの断続的な批判を増資発表後から行ってきたことから、よもや日航株を買おうと思った方はいるまい。そこで、ごく素朴な疑問が私の頭の隅に引っかかっていた。この期に及んで日航の新株を引き受ける人々というには一体どんな人々なのか?一つの仮説として、マネーリテラシーが完全に欠落していながら、しかし株で一儲けしたいという、「卑しき無知善良の民」のような人々が日航株をそそのかされて「買わされた」というストーリーが考えられるだろう。しかし、本当にそんな馬鹿でお人よしがそれほどたくさんいるものなのかという素朴な疑問が依然として残る。
この疑問への解答の手がかりとして、本日の日経金融新聞には『最後は国内が2億7千万株、海外が4億3千万株になった(引用)』と、記述されていた。つまり、海外の投資家の方が圧倒的に多いわけである。となると、前段で建てた私の仮説である「卑しき無知善良の民」というのは、青い目の人々であると考えを修正せねばならない。例えば、ケンタッキー州在住の63歳の退役軍人ジョン・ドーン氏みたいな。あるいは、ユタ州在住の信心深いモルモン教徒のおばあちゃん、イザベル・モンロー未亡人74歳みたいな。まあ、想像力を逞しくしてこのように考えていけば、「青い目の卑しき無知善良の民」が日航新株を購入したという仮説は、いかに馬鹿げた仮説であるかが、容易に分かる。今までは「海外の投資家」といえば、二アリーイコール「ヘッジファンド」であった。だとすれば、今回日航新株を購入したのも、やはりヘッジファンドと考えるのが妥当ではないか?
と、考えると今度はまた素朴な疑問が湧く。ヘッジファンドとはみすみす損をするような人々ではなく、したがって希薄化により値下がりすることが事前に分かっている株を購入するはずがない。この文章は前段は正しいが、後段は必ずしも正しくない。希薄化により値下がりすることがわかっている株を購入しても、確実に儲かる方法は存在する。それは、事前に空売りしておくこと。
とここで、本日の日経金融新聞が「第一の疑問」として掲げているものを引用しておきたい。

(引用始)
『6月30日時点でモルガン・スタンレー証券グループ8社が日航の発行済み株式の5.78%を握る筆頭株主になった経緯だ。大半はヘッジファンドなどの貸株需要に応じるためとされるが、同日は日航が公募増資を発表した日。そんな急に集まるのか。』
(引用終)

結論めいたものを言うとすれば、いないとは思うが、このブログを読んで、今更ながら「希薄化」という言葉をググッているような人は、悪いことは言わないから、個別株投資はするな、ということである。

Posted by Ken Kodama at 2006年08月01日 23:44
Comments

>ヤマアラシさん

お久しぶりです!また今回も非常に丁寧な書き込みをいただき、誠にありがとうございます。
ご指摘のポイントは、私に勘違いがあったようですね。
先週から忙しく、ロクにIR文書や株価もチェックせぬまま、「夜中に」エントリーをアップしてしまったので、魔がさしたようです。ヤマアラシさんがご指摘をしていただいたおかげで、他の読者の方が誤認する心配はないため、特に本文の方は訂正せず今の形で残しておこうと思います。私自身へのいましめとしても。

と、ヤマアラシさんのご指摘と合わせて考えると、JAL新株を購入した方には(1)私がエントリーで書いたような、発表当時付近の空売りとセットで新株を引き受けた人たちと合わせて、(2)発行価格が当時の市場価格に比べて異常に低く「見える」ために誤認して買ってしまった、という「青い目の卑しき無知善良の民」も含まれるのでしょうね。

どっちにせよ「希薄化」も知らないで、株に手を出すなという結論に変わりはありませんが。

これからも更新時間が「夜中」になっているものは、注意してかかっていただければ幸いです(笑)。重ねてありがとうございました。

Posted by: 児玉 at 2006年08月07日 20:01

また、公募増資に応じれば、市場で取引されている価格より安く株を手に入れられるのですから、買いたい、という人が多くいても不思議はない気がします。
私は、株主のことを考えない企業に投資する気にはなりませんが。
以上、どのようにお考えになりますか?

Posted by: ヤマアラシ at 2006年08月05日 21:46

補足ですが、6/30に新株発行を発表し(終値287円)、発行は7/20-24に211円で行われました(払い込み金額は198円)。この価格は7/19の終値212円に合わせた価格でした。新株発行の発表から実施までの期間に76円株価が下落したことになります。
元々1982383千株(4/30)だったところへ700000千株の新株発行をしたのですから、将来の収益に対する権利は、およそ24%下がった、あるいは薄まったことになります。そう考えると大体新株が発行された価格は、希薄化された価格に落ち着いてるように思われますがいかがでしょうか?若干、その価格は希薄化を単純にした”理論的な”価格より低いですが、それは経営者への評価が下がったことで説明できるのではないでしょうか。

Posted by: ヤマアラシ at 2006年08月05日 21:40

こんにちは。

素朴な疑問なのですが、新株が発行された後、希薄化により株価が下落するのではなく、新株発行が公表された後、希薄化により下落した価格で、新株が発行されるのではないですか?

児玉さんの文章では、新株が発行された後、希薄化により株価が下落するように受け取れるのですが。

それにしても私が面白いと思ったのは、新株発行の公表の後、だらだらと株価が下落したことです。やはり株式市場は瞬時に情報を価格に織り込めないのだなと、と感じました。

Posted by: ヤマアラシ at 2006年08月05日 20:43
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