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2006年12月16日

『自己』とはなにか?

私が大学生だった1990年ころは、「ポストモダン哲学」というキーワードが流行したり、浅田彰、中沢新一といった論客の本がベストセラーになっていたりと、思想的にも「バブル」の真っ只中といった時期でした。当時流行に弱かった私は、全く分からないままに、彼らの書いた著作を読み漁ったりしたものです。哲学の分野においては、「自己とは何か」といった根源的な問いかけが発せられますが、生意気だった学生時代から10数年経た今、この問いを職業上の課題として真摯に向き合わねばならない自体に遭遇しようとは、夢にも考えておりませんでした。
そうした自己の概念、及びその自己を「拡張」するための古今東西の「セラピー」を、分かりやすくまとめたのが、ケン・ウィルバーの『無境界』という下記の著作です。

彼のこの著作の25ページにあるチャートをい、私流に数式で表現してみると、以下のように表されます。

ペルソナ + 影 = 自我
自我 + 身体 = 全有機体(ケンタウロス)
有機体 + 環境 = 統一意識

思えば、私の現在のメインの仕事となりつつある、ヒューマン・アセスメントという仕事も、「自分が気づいていない自分」あるいは「自分であると認めたくない自分」の領域に目を見開かされるための、一種のセラピストのような仕事といえるのかもしれません。「心」と「身体」の融合についてはヒューマン・アセスメントでは限界があるものの、受講生の方々に自分の良い面も悪い面も直視して「受容」していただき、更なる成長のために的確なアドバイスができるよう、日々奮闘しているつもりです。
これがウィルバーの言う「統一意識」のレベルになると、これはもはや「企業研修」という枠組みの中において行うヒューマン・アセスメントの領域ではなくなります。しかし、現在でも、例えば環境問題を考える映像資料等を駆使した研修が一部の企業で行われていると聞いています。しかし、当たり前のことですが、それは「『私』を取り巻く『環境』」という視点での話しであり、「『私という有機体』と『環境』の間に存在する境界を取り除く」というアプローチではありません。逆に後者の視点で研修を行っている企業が現在あったとすれば、なんだか「あやしげ」という印象を受けますが(笑)。
ただ、人材開発という分野も流行に弱かったり(某社の広告で「コーチングの次はこれ!!!」というコピーには苦笑しました)、また、年々確実に進化を遂げていることから、将来的には有機体と環境との間に存在する境界の除去をテーマとした企業研修が導入されても、少しもおかしな話ではないと思います。ただし、そのような場合は当然「科学的な」裏づけが必要となることでしょう。ダニエル・ゴールマンが感情の問題を脳科学の研究成果によって裏付けるアプローチをとったように。
なぜ、こんなエントリーを暮れも押し迫った、クソ忙しい時期に書こうと思ったかというと、本日の日経新聞の1面の左下に下記の著作の広告を見たからです。

そして、本日の日経新聞の広告には『なぜ脳に「私」という感覚が生まれたか?(引用)』という実に巧妙なセールスコピーが付されています。またアマゾンの説明には下記のような、購買欲をそそる記述があります。

(引用始)
『「私」が感じるこの「感じ」、すなわちクオリアは、誰とも共有できず、どのような精巧なコンピュータでも再現できない。脳はいかにして、これほどまでに多様で複雑なクオリアを生み出すのか。なぜ意識には「私」が生じたのか?そもそも「心」は脳の活動によって説明できるのか?』
(引用終)

果たして、この著作が「スピリチュアル」の科学的な礎となるかは分かりませんが、年内にレポートを書き終えたならば(笑)、是非読んでみたい著作です。

Posted by Ken Kodama at 2006年12月16日 14:15
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