職場からご閲覧いただいているサラリーマン皆様。私もまだまだ働いておりますよ(笑)。昨日はバカップルがペア席でいちゃいちゃしているマンガ喫茶で、一人キーボードを激しく叩きながら、レポートの作成に追われていました(笑)。
今日は久々にFPがらみのネタで。本日の日経金融新聞によれば、「三菱東京UFJ銀行が来年3月、コンビニATMの顧客手数料の無料化に踏み切る(引用)」とのこと。これは金額ベースで「年間50億円の『顧客還元策』になる(引用)」とのことで、一見預金利用顧客への大盤振る舞いに見える方針である。しかし、この50億円の減益要因を、三菱東京UFJ銀行はコスト削減により吸収しようとはつゆほども考えていないはずであり、失った50億円は預金顧客から別の手段で取り戻そうと考えているはずである。
というのも、同様の手数料無料化戦術により好感度ナンバーワンに躍り出た私が個人的に嫌いな「あの銀行」は、おびき寄せられた預金客にデリバティブを駆使した「ハイリスク預金商品」を売りつけることにより、高収益をも維持している前例があるからである。個人顧客は手数料無料化という大盤振る舞いを「個人顧客重視」のサインと受け取り、また高金利の預金商品をも「個人顧客重視」と受け取ってしまう。これがいかに浅薄な知識に基いた判断であるかについては、下記の2つの過去エントリーをご参照されたい。
このような顧客獲得の手段としてのATM無料化の動きは、金融の世界にも一般のリテールビジネスのマーケティング手法が浸透してきた結果であるとみることもできる。そのマーケティング手法とは、コトラーの教科書ではキャプティブ・プライシングと呼ばれ、これに関するエントリーは下記をご参照されたい。
ここで、金融機関の個人顧客としての我々が気づいておかねばならないのは、通常の預金という「先発品」を購入(使用)することと、例えば外貨預金や特殊な定期預金等のハイリスク・ハイリターンの「後発品」を購入することは、別個に意思決定できる自由を持っているという点である。かみそりと替え刃、プリンターとインクは同じメーカーの純正品を使用しないことには、製品を使用することすらできない。しかし、ATM無料の預金を使用したからといって、同じ銀行で猫だましのような高金利商品を購入せねばならない義理はない。
つまり、ATM無料化という戦術は、後の個人顧客へのハイリスク・ハイリターン・高手数料の商品の押し込み販売という戦術とセットで考えるならば、「個人顧客の合理性」というものを否定した、言い換えれば「我々個人客がばかである」との前提にたった戦術であるともいえる。
先にも述べたように、こうしたプライシングは金融以外の世界では日常茶飯事であり、当たり前の話ではあるが違法性などは全くなく、私が批判するのは、私の主観的な好みだけの問題である。私が気がかりであるのは、(1)比較的透明性の高かった金融商品の価格の透明性が失われつつあるように感じられること、また(2)1億人の日本人が果たしてこれらの金融機関の期待するように、経済的に非合理的な行動をしてくれるのか、ということである。
そんな中、「提携銀行の顧客の利用回数に応じて銀行側から手数料を受け取るビジネスモデル(引用)」を採用する、セブン銀行はしたたかである。105円を節約したいがために銀行で数分並ぶせこい私も(笑)、三井住友銀行が同様のATM無料化に踏み切ってくれたならば、迷うことなく最寄のコンビニで預金を引き出すことになるであろう。来年3月以降のセブン銀行は大幅な収益増が期待できるということにとどまらず、近い将来にはATM無料化戦術は三菱東京UFJ銀行の店舗戦略にもなんらかの影響を及ぼすはずである。セブンイレブンは自社がなすべき領域がはっきりと見通せている企業である。コリンズが下記の著作で使用した「針鼠」という概念を、非常によくわきまえた企業であるともいえる。
それに比べて、最近の多くの金融機関は、例えば地銀がREITへの投資を増加させたりと、針鼠のスピリッツを忘れちゃーいませんか?心当たりがある方は、年末こたつの中で上記の著作を読んでいただければ得るものがあると思いますよ!!