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2007年01月04日

カッツェンバックを読んでふと考えたモチベーションとコミットメントの違い

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

さて、年明け第一弾はブックレビュー的なエントリー・・・と思っていたのですが、少し私の思考は横道にそれてしまいました。読んだ本というのは、下記の著作です。

日本語版の初版は2001年9月発行とのことであり、原著の発行がその数年前とすると、いささか古めの感もしますが、それでも読んだのは、やはり『ビジョナリー・カンパニー』から生じた疑問を解消しようとの思いがあったからです。『ビジョナリー・カンパニー』では、「適切な人々をバスにのせ、不適切な人々をバスから降ろせば、もう動機付けについて心配する必要はない」的な記述があったと記憶しています。しかし、「不適切な人々をバスから降ろす」というのは、日本においては非現実的であることは、過去にも下記のエントリーで考察したとおりです。

You Put A Move On My Heart(現場の心に灯をともす)

また、適切な人々についても、ビジョンと一体化していさえすれば、動機付けに関して心配する必要がない、といった類の主張は、私には夢物語に聞こえます。やはり、組織の成員全てをビジョンに向かわしめる工夫が必要であり、その「工夫」が5つのパターンに分類されて詳述されているのが、このカッツェンバックの著作です。その5つの手法をブログ上で全て紹介すると、やはり著作権の観点からも問題でしょうし、正直そんな「おまとめ」的なことを手を煩わせて書きたくないので(笑)、章のタイトルだけ抜き書きして、皆様にはなんとなく雰囲気を味わっていただくことにいたしましょう。

MVPパス(ミッション、価値観、誇りによる手法)
P&Mパス(業務プロセスと評価尺度による手法)
ESパス(起業家精神による手法)
IAパス(個人による達成の手法)
R&Cパス(認知と称賛による手法)

これらのどれが有効であるかは、主に各組織の環境に依存するとされ、また、複数のパスを併用することが有用であると書かれています。例えば、トヨタはケースでは取り上げられなかったものの、P&MパスとMVPパスが併用されていると、巻末の注にて指摘されています。IAパスの代表例として、著者自身が30年以上在籍したというマッキンゼーが取り上げられ、さすがにこの事例は説得力があります。また、著者の父親が在籍していたというアメリカ海兵隊の事例がMVPパスの代表例として感傷交じりに取り上げられ、第9章で「規律」の重要性を改めて別の章を設けて取り上げていることも、特徴的だと思いました。
と、ここまでがこの本の大まかなストーリーであり、ケースも豊富で関心のある方にはお勧めする本ではあるのですが、読後はたと思ったのです。私は、「動機付けがいらない」という『ビジョナリー・カンパニー』の記述を夢物語と感じ、ビジョンに向かわしめる仕組みづくりの指南書として、『コミットメント経営』と題された本を、無意識的に手にとったのです。モチベーションコミットメントって、違う概念であるからこそ別の用語が付されているはずなのに、私の無意識下では両者は左程区別されていなかった、ということに改めて気づかされた次第なのです。モチベーションの方は、まあ、まだ分かりやすい気がしますが、コミットメントという概念は日本語に「バシッ」と決まる訳語が見当たらず、分かった気になっていただけなのかもしれません。ということで、ググッて見ると、素晴らしい文書にヒットしてしまいました、英語ですが。

Employee Commitment and Motivation : A Conceptual Analysis and Integrative Model

最初の方しか読んでいないので、まだなんとも言えませんが、両者の用語が使われ始めた歴史的な背景から記述があり、読み物としてもなかなか面白そうです。
あと、日本語で検索していたら、なんと私の古巣の人事部長をされていた方の著作にヒットしてしまいました。

いやー、こんな本を書かれている方とは知りませんでした。「モチベーションとコミットメント」と題された章があるようですが、その内容がどうなっているかは、中身検索ができないため分かりません。この著者の方とご一緒に仕事をさせていただいていた当時の私は、企業における「人」という問題を「ヘッドカウント」もしくは「アワー(時間)」といった観点からしか考えたことがなく、せっかくこれほどの見識をお持ちの方と仕事をご一緒させていただきながら、その見識に関心すら持っていなかった当時の自分が大いに悔やまれる次第です。タイトルを見る分にはとっつきやすそうな本なので、ご興味を抱かれた方は、是非ご一読されてみて下さい。

Posted by Ken Kodama at 2007年01月04日 11:23
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