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2007年05月02日

排出権取引の問題点

このブログに女性の読者がどれほどいるかどうかは不明だが、多少「不適切」な表現を交えると、正直なところ日経新聞の記事を読んでも「精神的に勃たない」状況が続いていた。もちろん毎日新しいニュースが目白押しなのだが、今の私のレベルで批判できるネタは批判しつくした感がある。もっと深いレベルで考えることも多々あるとは思うが、そこまでブログ執筆に時間を費やすこともできない。「三角合併解禁」のニュースも今の私にとっては「鮎つり解禁」のニュースと同程度の重みしかなく、「あっそ」くらいの感想しか浮かばない。
しかし、そんな最近の私を奮い立たせるのが「環境問題」に関するニュースである。多くの読者の方には、「環境問題って何を今さら」といった感が生じるだろうが、私の中ではこの問題がマイブームなのだから仕方がない。なぜ環境問題に関心が芽生えてきたかというと、一つには化石燃料の消費を中核とした20世紀型経済成長に軌道修正を迫るという、問題自体の重要性がある。また、その解決のための一つの手段としての排出権取引の仕組みに対する、インテレクチャルな関心がある。遥か昔に経済学のテキストで見た「市場の外部性」という問題。排出権取引という取り組みが果たして成功するのか否か、という点からも実に興味深い話題である。
これからも時々この話題でブログを執筆するかもしれないが、事前に「予防線」をはっておくと、文体こそエラソーだが、私はこの問題に関してはド素人である。また、将来この話題がメシの種につながることは考えがたく、したがって勉強のために割ける時間は限られている。で、いいたいことは、間違ったこと、変なことをいっぱい書くかもしれないが、それはこのブログが私自身の自己研鑽を目的としているというからご勘弁を願えればと思う。変なこと言っていたらコメントでご指摘いただければ幸いです。
本日の日経新聞には排出権がらみの記事が3つもある。そのうち2つを紹介すると、まず3ページの記事は温暖化ガス排出権の「格付け」ビジネスがスタートするというものである。また、11ページには双日が排出権のネット取引を仲介するとい記事。排出『権』という以上、これはオプションの一種と考えてよいのであろう。ならば、金融オプションの取り巻きビジネスが、排出権の周辺に進出してきたとしても少しもおかしくはない。どちらのビジネスも大量のCO2の排出は想像しがたく、環境問題が新たな経済成長の場を提供して好例ともいえる。
ただ、排出権取引の報道を見るにつけ、私の心の中には子供の純真さを失っていない、ド素人ならではの疑問がいくつか湧き始める。で、佐和教授は下記の著作で排出権取引に関してどう述べているかという点について、多少表現を変えて要約させていただきたい。

(上記の著作をベースに児玉が要約)
【排出権取引のメリット】
・総排出量を所与の値にコントロールできる。(←精確なモニタリングが必要)
・全世界に共通の炭素税を課するのと同じこと。

【排出権取引の問題点】
・排出権の価格が年々値上がりするのは確実。
・発展途上国の排出量は経済発展に伴い自ずから増加するはずだから、市場に提供される排出権の量は次第に減少する可能性が高い。
・排出権が投機の対象となるもの考えもの。

佐和教授の著作の記述には見られないが、私が排出権取引のデメリットとして危惧するのは、環境問題に対する国民一人一人の意識を鈍磨させるものであるという点である。例えば本日の日経新聞3ページには以下のような記述がある。

(引用始)
『日本は京都議定書の約束期間(2008~2012年)に温暖化ガス排出量を1990年比6%削減する義務を負う。実際には逆に8%増えており、排出権購入に動く企業が今後増える見込み。』
(引用終)

実際にCO2排出量を増やしてしまった日本の企業は、クリーン開発メカニズムという仕組みを通して、我々の知らない遥か彼方の地で行われた環境関連プロジェクトでセービングしたCO2により創出された排出権を買い取ってくることにより、削減のノルマを果たすのである。
日本は6%削減の義務を果たすどころか、8%増の状態にあり、これを金で解決しているのである。実際に全世界規模で削減目標を達成できていれば大きな問題はないのかもしれない。しかし、金で解決したことは、いつか金でしっぺ返しを受けることとなる。京都議定書の約束期間の次には、また新たな削減目標が課されるのであろう。そのときには、排出権に対する需要が高まり、国外での買い取りに走った企業が同様の方法で切り抜けようとすれば、法外なコストを覚悟せねばなるまい。
排出権の価格が急騰したときにこそ、企業経営者はこの問題と真に向き合うこととなるのであろう。「今ちゃんとやっときゃいいのに」と思う反面、数年後に企業経営者を震え上がらせる仕組みを構築したということ自体は、評価すべきなのかもしれない。

Posted by Ken Kodama at 2007年05月02日 10:21
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