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2008年01月15日

Creativityが発現する瞬間

私自身は、結構クリエイティブな人間であると思う。こんなブログを書いたりしているわけだし。仕事でも既存路線を愚直に踏襲するよりは、新しいものを作り出す方が、断然楽しいと感じる。
が、「ではどうすればクリエイティブになれるか?」との質問に対する返答は、理論的には大きく逸脱していないものの、どこかリアリティに欠ける返答に終始していた感があった。
そんな中、昨日NHKで午前中放映された、直木賞作家石田衣良氏の創造性に迫る番組は実に興味深かった。番組はNHKのスタッフが石田氏に2日(か3日か)の期間を限定して、以下のお題で短編小説を書くミッションを課し、そのプロセスを30分間にまとめたものであった。

①主役は自殺願望のある少女
②以下の3つの要素を小説に盛り込むこと
 ●光学
 ●がちょう
 ●草書(ちょっとうろ覚え)

創造性とは異質な物を結びつけることと言い直してもそれほど遠くはなく、上記のお題は創造性を試すにはぴったりのお題で、しかも小洒落ていて、NHKスタッフの手によるものとは思えない(笑)まあ、人数の多い組織なので、色々な逸材が隠れているのかもしれない。
お題を聞くや否や、石田氏はマインドマップもどきの図を1枚の紙に書き始める。色は使わないものの、書き方からして恐らく石田氏はマインドマップの概念は知っていたものと推察される。で、異質なお題の結び付け方だが、私には意識的な結びつけと、無意識的な結びつけの二者があるように見えた。
前者の例としては、石田氏は「自殺願望のある少女」というお題から矢印をひいて「生きることの意味を知る前に、生きることを止める決心をした(うろ覚えです)」という趣旨の文言を書き始めた。これは恐らくは、彼の思想の核心部であり、そこへの多少強引な結びつけであるように、私にはとれた。
また、無意識的な結びつけが起きたのは、「がちょう」のお題においてである。なぜ、その瞬間が見てとれたかといえば、脳学者の茂木氏により広められた「Aha! Experience」が表情にありありと見てとれたからである。石田氏は「がちょう」をプロットに取り込むにおいて、当初は苦慮しているように見受けられた。で、それを打破すべく書店に赴き、動物に関する簡単な絵本を立ち読みし、がちょうの習性として「飛べない」という文言を読んだときに、彼の頭の中で何かが走ったのである。彼に学ぶのであれば、異質なものを結びつけるためには、接合部を見出すべく、そのものに関する一歩深い知識を入手することが肝要なのであろう。
また、創造性をEnhanceするお膳立てとしての、彼の音楽の使い方が興味深かった。(ちなみに彼の仕事場には"George Benson/Give Me the Night""Rolling Stones/Tatto you""Stuff"等のばりばり80'sサウンドの「レコードジャケット」が置かれており、無性に親近感を抱いた(笑))一言でいえばBGMを聞きながらやるのだが、使用するBGMがフェーズによって違うのである。プロットを練る段階においては、彼は確かBeth Nielsen Chapmanを聴いていたように思う。彼女の音楽はどこか憂愁を帯びた感じで、石田氏は彼女の音楽をムードを高める目的で使用したとおもわれる。ところが、プロットが固まり、いざ具体的な執筆段階に入って彼がチョイスしたCDはグールドが弾くモーツァルトであった。私は基本的には音楽を聴きながら仕事はしないが、モーツァルトのピアノソナタとかであれば、邪魔にならない。恐らく、執筆段階においては、邪魔にならなくて、アルファ波を高めるような音楽がベストなのであろう。
また、石田氏は創造のプロセスにおいて自分の無意識野の重要性を認識していたが、それを「私の中の『彼』」という呼び方で呼称していた。この辺の呼称は、彼自身心理学周縁分野の本も読んでいるはずであり、そうした著作にインスパイアされたものと推察されるが、興味深かったのはこの無意識野をコントロールできる、と豪語していた点である。そのことは下記のやりとりから。
NHKスタッフとともに喫茶店に入り、「待ちましょうか」と石田氏が言うと、NHKスタッフが「何をですか?」と問い、石田氏が事も無げに「いや、頼んだコーヒーが来るのを待つのですよ」と言う。NHKスタッフが「私はアイデアの神様を待つのかと思いましたよ」と言うと、石田氏は「そんなのは、呼び出せばいつでも来てくれる」といった趣旨のことを口にしたのである。(ちなみに全部、発言内容は私のうろ覚えに基づくものですからね!)
また、石田氏は今は売れ小直木賞作家として多忙な毎日を過ごすが、37歳までフリーター同然に働きぶりをしていた、という経験にも興味をもった。人生の辛酸を舐めたはずであり、それが彼の創造性の基盤を形成にどのように関わったのか、にも興味がある。
今日はそんなとこです。おちはなし(笑)

Posted by Ken Kodama at 2008年01月15日 14:28
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