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2008年06月17日

アブダクション 臀部を鍛えるマシーンにあらず

最近、「仮説」をテーマにした本が、ビジネス関係の自己啓発本の書棚でちらほら見かける。期待して中身を見ると、どこかで見たことがあるようなフレームの寄せ集めであったりして、あまり読了する価値があるように思えない。そんな中で出会ったのが哲学書のコーナーにあった下記の本。

「アブダクションって、あのフィットネスクラブに置いてある、ヒップアップ用のマシンでしょ?」という反応をする人とは、なんとなく仲良くなれる気がするが、ここでいうアブダクションとは、推論の形式のこと。ロジカル・シンキングのコースで必ず解説される帰納法・演繹法の他に、哲学者パースはアブダクションなる形式も加えたとされ、そのアブダクションに関する解説書がこの本である。ちなみにパースはアブダクションを「仮説」とも呼んでいたことから分かるように、この推論形式は説明仮説を構築するための推論形式である。
ビジネス書であれ、仮説に関する本を出すなら、このパースのアブダクションに関してなんらかの言及があってもよい気がする。ただ、最近、気のせいかもしれないけど、なんだか同業者が時々このブログを見ているような気がする(笑)。なので、「無償で同業者を利するのもどうよ?」ということで、アブダクションに関する解説はここでは控える(笑)。
一点、この本を読んでいて気づいたことは、ビジネス自己啓発本の言うところの仮説と、パースあるいは自然科学の定義する仮説は違うということ。ビジネスでいう仮説はよく「仮の結論」とアバウトに定義されている。ということは、それが何の結論であるのか、ということにより、アプローチも若干異なるのではないか、という気がする。例えば、意思決定の結論なのか、あるいは分析の結論なのか、といった具合に。

もちろん、ビジネスにおける仮説を考える上でもこの本はなんらかの示唆を与えてくれるものと私は考えるが、仮設とは関係ない下記の一節で、私は目から鱗が落ちた感じがした。自分の備忘録のためにも、以下に引用しておく。

(引用始)
『「美学は理念の科学である。すなわち、それ以外のいかなる理由も考えずに、客観的に賛美に値するものを研究する科学である。(中略)倫理学 - すなわち正邪に関する化学 - は最高善を決定するのに美学に訴えてその助力をえなくてはならない。それは自己統制的、あるいは熟慮的行為に関する科学である。論理学は自己統制的、あるいは熟慮的施策に関する理論であり、よって論理学はその第一原理を倫理学に求めなければならない。」
つまり論理的規範は倫理的規範に依拠し、倫理的規範はさらに美的規範に依拠するというふうに、それらの規範は本質的につながっていて、論理学はその基礎を倫理学に求め、そして倫理学は美学に訴えてその助力をえなくてはならない、というのです。』
(引用終)

「美学→倫理学→論理学」という関係性を、私はついぞこの方考えたことがなかった。特に美学なんて、何の本も読んだことがない。美学は理念の科学・・・ということは、例えばビジネスにおけるビジョンを構築するに際して、美学の素養、あるいは美的センスを有することは、なんらかのプラスになるのか???
あー、このすぐに学問から実利を求めようとする、自分の下卑た性格に自己嫌悪!でも、次なるターゲットは美学!これから忙しいけど、本を読む時間を作らねば!

Posted by Ken Kodama at 2008年06月17日 12:39
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