2004年05月29日

外貨預金の罠

新生銀行とシティバンク銀行が、外貨預金の広告に問題があると公正取引委員会から警告を受けたとの報道
問題となっている広告は新生銀行のサイトではここにある。
警告を受けているのだから、修正される可能性もあり、ここに広告内容を再現しておく。
「500万円を金利年5%のニュージーランドドルの外貨預金に預けておくと、利息として年間約194,000円のおこづかいがもらえる」としているのが、問題とされている箇所。
まず、19万4千円の根拠だが、以下の算式により計算されたものである。
5百万円 × 5% × 80% = 20万円
最後の80%をかけているのは、利息に対する源泉税を差し引くためである。
まず、最初に指摘しておかねばならないのは、この20万円近くの利息を受け取れるのは、為替水準が預入時と満期時で同一であるとの前提のもとでなければ実現しない。この前提自体HP上にははっきり書いてはいないのだが、このこと自体が問題として警告を受けたのではない。
ここで、めざとい方は私の算式だと20万円なのに、広告では19万円4千円になっており、この差に目がいくであろう。これは、新生銀行がとる為替手数料のせいだ。我々が銀行で外貨を買う場合には手数料をとられるし、外貨を売って円に戻すときも手数料をとられる。この20万円の利息を外貨預金から受け取るときも往復の手数料がとられ、その結果6千円目減りしているのである。
随分、細かい点まで考慮に入れて親切な広告である気もするが、問題なのは、元本部分の為替手数料が非常にわかりづらい細かい文字でしか書かれていないことだ。大きな文字で「年間19万4千円のおこづかい」と書かれた下に、小さい字で以下のような記述がある。

(満期日に預入日と同じTTBレートで円転した場合の元本は約485万円となります。)

この文章自体もわかりにくいが、要は為替相場がかわらなければ、元本部分は15万円の往復の手数料をとられて485万円になりますよ、とのことだ。つまり、為替相場に変化がなければ、おこづかいの19万4千円から15万円を差し引かれて、本当のおこづかいは4万4千円になってしまうのだ。これは確かによくない広告だろう。本来ならば年間のおこづかいは4万4千円と書くべきであろう。
年間のおこづかいを4万4千円とした場合、利回りを計算すると、なんとわずか0.88%となってしまう。
おそらく、この外貨預金を購入した人の多くは、5%という表面的な利率の高さに惹かれて購入したのだろうが、よほど為替相場が円安にふれない限り、5%という利回りは得られない。
外貨預金に限らず、投信や最近人気の変額年金保険なども、なにかと手数料をとられるが、やはりそれらの手数料の記述もわかりにくい。難しい金融商品を購入するときは、細かい説明文もよく読む必要があるということを肝に銘じていただきたい。
また、手前味噌になってしまうが、このような金融商品の購入に興味がある方は、弊社のようなFP業者にご相談されるとよいだろう。

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2004年05月28日

生保の基礎利益とは?

生命保険会社の2004年3月期決算が相次いで発表されている。(第一生命日本生命住友生命明治安田生命の日経報道はそれぞれのリンク参照)生命保険に加入している人は、年に1回だけでも、自分の生命保険会社の経営内容を、気にするような習慣をつけておく方が望ましい。その際に、最低限チェックしていただきたい2つの指標が、安全性を表すソルベンシー・マージン比率収益性を表す基礎利益で、本日は後者についてのみ解説する。
基礎利益とは生保各社の本業から生じる利益のこと。一般の事業法人でいえば経常利益に相当するものと考えて差し支えない。
この基礎利益は3つの要素から構成される。その3つとは死差益、利差益、費差益の3つ。
生命保険会社の見積もりより被保険者の死亡数が少なく、保険金の支払いが少なくて済んだときに計上されるのが死差益である。
また、生命保険会社の見積もりより事務コスト(営業員の給料とかシステム構築費用など)が少なく済んだときに計上されるのが費差益である。
また、終身保険や養老保険は契約時に一定の利回り(予定利率)が決められており、資産運用が上手くいって予定利率を上回る運用益を稼いだときに計上されるのが利差益であり、逆に運用に失敗して予定利率を下回ったときに計上されるのが利差損で、この利差損のことを俗に逆ザヤという。
一般的に、古くから営業している生命保険会社は、利差損を計上し続けており、それを上回る死差益と費差益の合計額により、プラスの基礎利益を維持している。
この逆ザヤの金額が2003年度の決算で大手6社の合計額がようやく1兆円をきったとの報道が昨日あった。一見して巨額だが、基礎利益はプラスなのだから、それをはるかに上回る死差益と費差益を計上していることがわかり、一部マスコミからは、「儲け過ぎ」との批判もある。
一生命保険契約者として、この基礎利益という数字をどのように見ていけばよいかというと、とりあえず前年比で減っているのか増えているのかを見て、増えていれば特に気にする必要はない。減っていれば、必ずその原因が記事に書いてあるはずなので、それを注意深く読むべきだろう。ただ、基礎利益が減ったからといってすぐ解約などせず、その減少が数年にわたって継続したときにはじめて、ファイナンシャル・プランナー等に相談すればよい。早まって解約をしてしまうと損になってしまうことがよくあるため、是非専門家のアドバイスを参考にしていただきたい。

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2004年05月27日

Eメールを CRM の第一歩として使おう

今回は、先日に引き続き再びe-Natural.orgさんのサイト紹介されていた記事に触発されたコラムです。
【CRMの背景 ワン・トゥ・ワン・マーケティング】
「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」という考え方が提唱されたのは、今から約10年前に遡る。
この概念が提唱されるまでのマーケティングの特徴を一言で表せば、「マス・マーケティング」。多くの人々が関心をひきそうな製品を開発して、それを多くの人々が関心をひきそうな広告で宣伝して、ガンガン売りまくる、そのような手法をマス・マーケティングという。
しかし、このマーケティング手法も以下の2つの理由から行き詰まりに出会う。第一には、この方法は広告宣伝費用が滅茶苦茶多くかかるということ。多くの人の気をひくためには、テレビや新聞という高価な広告媒体を使用せざるを得ない。第二は、一度つかんだお客様がなかなかリピーターになってくれないということ。この手法では、そもそもお客様の声を聞こうという発想がないのだ。
そこで、この行き詰まりを打破すべく唱えられたのが、「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」の考え方である。つまり、「多くの人の気をひこう」などとは考えずに、個々のお客様の声をきいてニーズを把握して、個々のお客様の望む商品を提供していこうというのが、ワン・トゥ・ワン・マーケティングである。
しかし、この新しい考え方も1980年代までは非現実的だった。というのも、大規模な会社が個々のお客様の声をきこうとすると、営業担当者を増員したりする必要があり、かえってお金がかかってしまうからだった。
【IT技術の進歩とCRMソフトの登場】
ところが、1990年代に入り、IT技術がハード面において飛躍的に進歩した。パソコンの処理能力が飛躍的に進歩を遂げたのはいうまでもない。また、インターネットの普及で、人を介さずとも個々のお客様とやりとりができるようになった。
このようなハードの進歩に押されて、CRMソフトが登場した。CRMソフトとはワン・トゥ・ワン・マーケティングを実現するためのソフトといってよいだろう。イメージとしては、CRMソフトの主キーは「個々のお客様」になる。そして、その個々のお客様の属性・購買履歴・苦情履歴・レスポンス率等の情報がデータベースに蓄積され、分析され、お客様のニーズに合致した商品をタイミングよく提供することが可能になるのだ。
具体例を示せばアマゾンで本を買ったことがある人は、自分の興味のある本の広告メールが送られてくるのを経験したことだろうが、これを可能にするのも、アマゾン社内のCRMソフトの存在があるからだ。
【EメールをCRMの第一歩に】
ようやく、今回の本題だが、そのCRMの初めの一歩として、Eメールを使いましょうというのが、この記事のいわんとするところだ。興味をもたれた方は、是非ソース記事を読んでいただきたいが、私がこの考え方をお勧めしたい最大の理由はコストが安いということ。CRMとて業務用のソフトウェアだから、導入しようとするとかなりの初期コストを要する。ところがEメールだけを独立してスタートさせれば、初期コストを低減できる。また、最近の顧客情報流出からも身を守ることができる。顧客の属性までもシステム上に蓄えようとすると、セキュリティ面のコストがかさんでしまうが、当面はメールアドレスのみをキーに管理すれば、万一情報が流出してしまったとしても、被害を最小限に食い止めることができる。
ネットビジネスを立ち上げようとしている方は、まずEメールからCRMをはじめることをおすすめする。

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2004年05月26日

「パートに残業手当」報道の解説及び対処法

本日の日経朝刊のトップを「パートに残業手当」の文字が飾った。これが対応するネット上の記事。この法案が来年の通常国会に提出される予定とのことだが、パートを多く活用している中小企業は人事がらみの案件だけに、早めに手を打つ必要があろう。以下、報道に従って簡単な解説をしておきたい。
【残業手当の現状】
現在の労働基準法の下では、法定労働時間を超えて労働させた場合には25%~50%の割増賃金を支払わなければならないとしている。法定労働時間とは労働基準法で週40時間と決められている。これは、パートだろうと正社員だろうと同じで、両者とも週40時間を超えて働いたら、割増賃金がもらえる。
【改正後の残業手当】
改正案では、法定労働時間ではなく、所定労働時間を超えて労働させたら割増賃金を払わねばならない。所定労働時間とは、各企業の就業規則で定められた時間から休憩時間を差し引いた労働時間のことである。各企業で定めている時間であるから、企業毎でバラツキがあるのだが、多くの企業では正社員の所定労働時間は法定労働時間と同じ40時間である一方、パート社員の所定労働時間は週30時間未満に抑えられていることが多い。したがって、この改正により、ほとんどの正社員は影響を被らないが、パート社員については、今まで割増賃金を支給されなかった分についても、割増賃金を支給される可能性がでてくる。
【なぜ正社員とパートの所定労働時間は違っていたのか?】
さきほど、正社員の所定労働時間は40時間でパート社員は30時間未満のケースが多いと述べたが、その原因は厚生年金法にある。厚生年金法では、その対象にすべき人(被保険者)について、以下のように定めている。

「短時間労働者(パート社員)については、所定労働時間が一般の人に比べて4分の3以上の場合であって、常用的使用関係が認められる場合に、原則として被保険者となる。」

つまり、正社員の所定労働時間は40時間だから、パートの所定労働時間を30時間以上にすると、「4分の3以上」にひっかかり、パートも厚生年金の被保険者としなければならなくなってしまい、そのためのコスト負担が企業側に生じてしまうのだ。
【この法案改正への単純な対処法】
この法案への単純な対処としては、パートの所定労働時間を法定労働時間の40時間まで拡大することが考えられる。ただし、その場合厚生年金保険料のコスト負担増があるため、割増賃金率と厚生年金保険料の増加をシミュレーションして、最適な法定労働時間を割り出す作業を行うべきであろう。
【この法案改正への本質的な対処法】
上記案は以下に現金支出を抑えるかしか考えていない。そもそも、この法案改正の背景には、パートの労働が正社員に比して、正当に評価されていないとの認識がある。日経朝刊記事の後半部分には、「正社員とパート・派遣社員の処遇格差を縮めることも企業に求める」との記述もある。この改正をきっかけに、パートの処遇全般について、抜本的に見直しをかけるのが本筋であろう。

【弊社PR】
当法案改正をきっかけに人事制度改革を考える企業があれば、弊社として相談にのりますので、メールにてご連絡下さい。

Posted by Ken Kodama at 10:46 | Comments (0)

2004年05月25日

サルでもわかる税効果資本

大手銀行の2004年3月期決算が発表されたとの報道。おおむね改善の方向性だが、多くの方が、銀行決算が発表される度に頭をひねるのが「税効果資本」であろう。この概念をわかりやすく説明しようという試みはこのサイトのようにいくつもあるのだが、当サイトでもその試みにチャレンジしてみたい。
【税効果依存度とはなにか】
税効果依存度とは、資産である繰延税金資産を資本でわった比率である。一般的にこの数値が高いほど、その銀行は「あぶない」と言われる。つまり、自己資本の金額に比べて、繰延税金資産の金額が大きければ、危ない銀行との烙印を押されてしまう。なぜだろう?自己資本が大きければ大きいほど、安全というのは直感的にわかるであろう。そこで、まず、繰延税金資産とはなにかを知る必要がありそうだ。
【繰延税金資産とはなにか】
例えば、「前払家賃」が資産であるのはわかるだろうか?1年分の家賃を前払いしておけば、翌年に家賃を支払わなくていい。翌年の支払いが節約できるのだから、前払いは資産である
実は、繰延税金資産も同様で、これは、実は税金の前払いなのである。税金を前もって支払っているから、翌年以降の税金の支払いが少なくなる、だから資産なのだ。
【前払家賃は健全で繰延税金資産は危ないのはなぜ?】
前払家賃がいくら多かろうと、危ない銀行とは呼ばれない。だが、繰延税金資産が多いと危ないといわれてしまう。同じ前払いなのになぜこうも扱いが違うのか?
理由はこうだ。まず、法人税の誰でも知っている仕組みだが、黒字でなければ法人税は課されない。赤字企業は法人税を支払わなくてよい。つまり、「繰延税金資産」などと騒いで法人税を前払いしたつもりでいても、これから先ずっと赤字続きだったら、実はそもそも払う必要のない税金を払っていたことになってしまう
したがって、繰延税金資産を計上するときには、将来税金を支払うぐらいに儲けがでるのかどうかをじっくり調べて、その範囲内でしか計上してはいけないことになっているのだが、なにせ先のことだから、見積もりが狂うこともある。(また、悪い人は黒字になることなんかありっこないと分かっていながら、繰延税金資産を計上したりもする。)見積もりが狂って将来黒字なんてありえないことが判明した時点で、繰延税金資産は突然、資産でなくなってしまうのだ。
前払家賃は企業の将来の利益見積に関わらず資産であり続けるが、繰延税金資産は利益見積が狂うと一挙に資産でなくなってしまう可能性がある、そんな不安定な資産だから、あまり金額が大きいことは望ましくないとされているのだ。
以上が非常に粗い、私なりのわかりやすい説明のつもりだ。もう少し厳密な説明や深いところに興味をもたれた方には、このサイトをお勧めする。

Posted by Ken Kodama at 14:25 | Comments (0)

2004年05月21日

厚生年金の受給時期繰り下げ

本日の日経紙面のトップを飾ったこの報道。2007年4月から、厚生年金の受給の繰り下げが可能になるとのことだ。
受給の繰り下げについて説明が必要かもしれない。実は、基礎年金である国民年金については、現在でも、受給の繰り下げが可能だ。国民年金は現在支給開始年齢が65歳だが、自ら申請することによって、支給開始年齢を遅らせることができる。こんな馬鹿な申し出をする人などいないかと思われるかもしれないが、実は支給開始を遅らせる見返りに支給額が他の人に比べて多くなるという仕組みだ。
どのくらい多くなるのかといえば、一月遅らせると0.7%増える。一年遅らせると0.7×12(ヶ月)で8.4%、最高の5年間遅らせると0.7×12×5でなんと、42%も年金の手取額を増やすことができるのだ。この増加率は国民年金の話であるが、報道によれば、厚生年金でも同じ率が適用されることとなるそうである。
したがって、65歳で退職した時点でその時点の金融資産残高と今後5年間の予想支出額を計算し、今後の5年間の支出を十分賄えるのであれば、繰り下げ申請をして、額の多い年金を遅れて受給するというのは、有力な選択肢だ。
恐らくこのブログに目を通して下さる方は、40代未満であるかと思われるが、実はこの報道にもあるように、年金財政の悪化から、支給開始年齢自体の引き上げが検討されており、現在40代未満の人は、最初から年金支給開始年齢が70歳などということも十分に考えられる。したがって、支給繰下などという話は遠い将来は全く関係なくなってしまっているかもしれない。このような公的年金の先行きの不透明さが、我々国民、そしてFP業者の頭を悩ませるのである。
なお、この改正の動きに批判的なコメントを加えると、年金の受給繰り下げが申請できるのは、かなり家計が裕福な方に限られると思われる。見方を変えれば、家計が裕福な方の資産運用を国家が補助しているともいえ、所得の分配という観点からは望ましいとはいえないであろう

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2004年05月19日

知的財産信託とは?

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本日のこの日経報道に関して。新聞を購読の方は上の図を紙面にてご覧になったかもしれない。
まず、知的財産とは特許権、商標権、著作権等をいい、わかりやすい説明はこのサイトに譲る。
本題の今回の仕組みだが、日本生命保険の子会社の持つソフトの著作権を、みずほ信託が受託し日生に代わって管理するというもの。ここで、素朴な疑問が湧く。両社にとって、このスキームを使うメリットはなんであろうか?
まず、みずほ信託側だが、こちらは簡単だ。信託業務の対象を拡大して、手数料収入を拡大したいのだ。日経紙面によれば、現在の信託業法では原則として知的財産は対象外であるらしい。今回の仕組は著作権法の例外規定を利用したもので、今国会で審議中の改正信託業法が成立すれば特許権等も対象となり、ビジネス基盤は飛躍的に拡大する可能性がある。
では、利用する日生側のメリットとなるとわかりにくい。まず報道でも触れらているのが、「著作権管理の事務作業から解放される」というもの。これは確かにわかりやすいメリットだが、それだけなら、なにも信託などという仕組を使う必要はないであろう。
ここで参考になるのが経済産業省のこのPDF文書。この中に知的財産信託を活用した場合のメリットがいくつか書かれているが、私の想像による日生側の最大のメリットは、恐らくソフトの著作権を時価で譲渡して、価値を顕在化させることであろう。生保各社は内部留保を厚くしているとの報道もあり、方向性としては合致する。ただ、このPDF文書には、それを特許権のメリットとしており、著作権でも時価譲渡できるのかどうか、私にははっきりとわからない。
また、当サイトでこの記事をとりあげたのは、それが中小企業の資金調達の道を広げうるからだ。すぐれた技術を特許権などの形で保有しているが、まだ経営基盤が確立されていないベンチャー企業などは、特許権を信託銀行に託することで、資金提供者はその中小企業の倒産によるリスクから隔離され、資金調達が従来に比べ容易になる。
今後法案が通った後での各信託銀行の動き注意深く見守っていきたい。

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2004年05月17日

グーグルの収益構造の課題

本日は日経のニュースをソースとしたトピックではなく、グーグルのS-1をもとに、グーグルが近い将来直面するであろう収益構造の課題について考えたい。このトピックはITベンチャーでの起業などを志向している方には参考になると思う。
【グーグルの収益構造の現状】
グーグルはどのようにしてお金を稼いでいるのであろうか?実は驚くほど単純である。2003年度のグーグルの売上高は約1,097億円(為替レート114で換算)であるが、その内95%が広告収入である。その95%を更に分解すると、80%がグーグルのサイトでの広告収入であり、15%が他のサイト、つまりAdSense広告による収入である。
【グーグルのサイトでの広告収入に関わるリスク】
グーグルの売上げの大部分はグーグルの検索サイトに表示される広告から生み出されているが、ではグーグルのサイトがこれからも高い売上高を維持できるのかと言えば、様々なリスク要因がある。
最大のリスクは競合による追撃である。マイクロソフトとヤフーの追撃はいうに及ばず、インターネット・プロバイダー等が検索エンジンを提供する動きもあり、他社が検索エンジンを充実させればさせるほど、グーグルのシェアは低下する。
特に無視できないのがマイクロソフトの動きである。私はこのS-1によりはじめて知ったのだが、マイクロソフト製品(例えばワード)から作成されるドキュメントは、キーワードにどれほど関連性があろうと、グーグル検索にひっかかってこないそうである。これは検索の質低下を意味し、グーグルにとって大きな脅威である。関連分野での圧倒的なシェアを武器に新分野に殴り込みをかける、マイクロソフト独特の手法に、グーグルがどう対抗するのかが注目される。
【AdSense広告の課題】
グーグルサイトはこのように大きな競合の脅威にされされているため、収益源を多様化するために生み出されたのがAdSense広告である。
AdSense広告は、広告の表示場所をグーグル自社のサイトに求めるのではなく、他のサイトに求めるものである。例えば、この弊社サイトでもやろうと思えば、グーグルのAdSense広告を表示できる。
このAdSense広告の課題だが、グーグルのサイトでの広告に比べて、粗利益率が低いということが最大であろう。なぜ、粗利益率が低いかといえば、グーグルのブランドが活きないからである。我々がグーグルサイトで検索を行うのは、グーグルブランドに対して圧倒的な信頼があるからであり、広告主はそのグーグルのブランド、集客力を認め高いフィーをグーグルに支払う。
ところが、グーグル社外のサイトに掲載される広告となると、集客力の源のブランドを有しているのは各サイトオーナーであり、グーグルは各サイトオーナーに相当な対価を支払わねばならない。その分だけ粗利は低下せざるを得ないのである。
粗利益率が低い中でも確実に儲けを出すにあたって重要なのが、事務作業を低コストで正確にこなすことだ。しかし、我々のグーグルに抱くイメージからも、淡々と事務作業をこなすグーグル社員というのは違和感があり、S-1においても、グーグル自身、内部統制に問題があることを認めている
AdSense広告にまつわる事務作業をアウトソースする動きにも触れられているが、コアコンピタンス外の業務を外だしする方向性は正しいが、アウトソースとて万能ではない。事務移行に際して混乱が生じることも覚悟せねばならない。
【長期的な戦略課題】
収益源を多様化するために、AdSense広告を開始したこと自体は正解であろうが、グーグルブランドに見合った利益を取れないビジネスだという点が課題であろう。
今後の長期的な戦略課題としては、広告収入だけを収益源とするのではなく、ブランドを活かして他分野に進出することも必要となってくるのではないだろうか?そのためには、買収等も選択肢の一つとして検討せねばなるまい。

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2004年05月16日

グループホーム増設に歯止め

厚生労働省は介護保険を使って高齢者に共同生活の場を提供するグループホーム(介護住宅)が特定地域に急増している問題で、市町村に設置を拒否できる権限を2006年度から認める検討に入ったとの報道
グループホームについて説明が要るかもしれない。グループホームとは主に痴呆症のお年寄りが5~9人で専門の介護スタッフとの共同生活を通じて、痴呆のケアをするもの。以前は痴呆症のお年寄りをベッドに縛り付けておくなどということもあったらしい。そうした扱いに比べて、はるかに人間としての尊厳を重視しているし、また、痴呆症状の緩和という観点からも絶大な効果があるらしい。食事の準備を共同で行ったり、リビングのようなスペースで団欒をしたり、そうした昼間の生活が適度な疲労を生んで、夜徘徊することも減少するという。
そんな素晴らしいグループホームの増設になぜ歯止めをかけるのかというと、問題は先日にも触れた介護保険財政に関係してくる。詳しい経緯に関しては、このサイトに譲るが、要はグループホームが充実している自治体に域外から痴呆症者が移り住んできて、その場合、介護保険金の支払いに備えるため、その地域の地元の人々の保険料が増加してしまうという現象が生じるためだ。
しかし、報道でも触れられている通り、この動きによって人間的な尊厳を大切にしたケアを受けられるはずだった痴呆症者が、そうでない治療を受けるなどということにもなりかねず、懸念される。
もとをたどれば、介護保険の保険者が国でなく市町村であることが問題なのだが、介護保険は果たして地域で行うべきか国で行うべきか、これは非常に難しい問題である。近い将来設立される社会保障協議会にて是非実のある議論を行ってもらいたいところである。

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2004年05月14日

損保ジャパンの天候デリバティブ商品

損保ジャパンから夏季限定の天候デリバティブ商品が3種類発売されるとのプレスリリース。天候に業績を左右される中小企業経営者に是非活用していただきたい商品である。
デリバティブなどという難しいものは中小企業が使うべきものではないのではないか、とお考えの方もいるかもしれないが、損保会社から発売されているのであるから、損害保険の一種と考えていただければよい。天候デリバティブの仕組みの概要をコンパクトにまとめたこのサイトの説明文を引用させていただく。前もって料金(保険料にあたる)を払っておくと、気温や雨量などが一定の条件を満たした場合に、払った料金の何倍かのお金(保険金にあたる)を受け取ることができる、という仕組みだ。損害保険と違うのは、契約者が損害を受けたかどうかと関係なく、天候という外的な条件が満たされればお金が支払われるという点だ。そのため、煩雑な手続きが要らず、利用しやすいというメリットがある。
損保ジャパンの商品は冷夏に備える「冷夏デリバティブ」猛暑に備える「猛暑デリバティブ」長雨に備える「日本晴れ(夏休みプラン)」の3種である。対象企業に海の家、ビアガーデン、プール等が明記されており、1口の金額が10万円というのも加入を容易にしている。
ここで、損保側の経営を考えてみると、「日本晴れプラン」を除いて考えると、「冷夏デリバティブ」と「猛暑デリバティブ」を揃えて販売するのは幅広い販売先を開拓するという意味と、損保会社側のリスクヘッジの意味合いがある。つまり、冷夏になれば冷夏デリバティブの顧客に保険金を支払わねばならないが、猛暑デリバティブの保険料はまるまる損保側のものとなり、逆の場合もしかりである。(金融オプション戦略から類推すればショートストラングルのポジションを損保ジャパンはとっているといえるのかもしれない。)

関連記事「天候デリバティブが上場」はへのリンクはこちらです。


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2004年05月13日

物価連動国債を組入れた投信

物価連動国債を組入れた投信が第一勧業アセットマネジメントにより6月に設定されるとの報道
物価連動国債とは、読んで字のごとく、元本や利払いの額が物価に連動する国債のことである。詳しい仕組みについては、このPDF文書が簡潔で的を得ている。
組入れられる対象の物価連動国債自体は個人では購入できず、このような形で個人でも購入できるようになる意義は大きい
我々は皆老後の資金を形成していかねばならぬが、2~30年先のこととなると心配されるのは、インフレによって貯蓄が目減りしてしまうことである。インフレに打ち勝つ投資手法として一般的にFPが進めるのが「株式インデックス投信」の購入である。ソニーやトヨタと言った個別の株では、それぞれの企業の事情で2~30年先の価格など全く不明だが、2~300銘柄組入れた株式のインデックス投信ならば、個別企業のリスクはとりのぞかれ、物価との連動性が高まる(ポートフォリオの分散効果)
ただ、株式インデックス投信とて、物価と100%連動しているわけではない。株式市場特殊の要因によってバブルで乱高下したり、ブラックマンデーのようなことが今後ないとも限らない。やはり株には株のリスクがあるのである。
一般的な話だが、将来のインフレを懸念する堅実な方は、株式をポートフォリオに組入れるだけのリスク許容量がない。そのような方にとって、インフレに連動した「国債」は格好の金融商品である。
残念ながら、この投信の最低販売単位は1,000万円と、庶民には手を出しにくい金額である。組入対象となるインフレ連動国債の発行額が厚みを増し、低額で購入できる投信が登場したり、インフレ連動国債自体を個人でも購入できるような環境が整うことが望まれる。

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2004年05月08日

未支給の高額療養費70億円

この不景気のご時世に、なんとももったいない話である。
高額療養費とは、健康保険に加入していれば、自己負担額がある一定限度を超えれば、超過分を払い戻ししてくれるという制度である。
これほどまでに巨額の未支給額がある理由は2つである。第一は、制度が複雑なこと。自己負担限度額は年齢と収入、そして若干の他の要因によって異なり、その算式はわかりづらい。このサイトは、比較的わかりやすくまとめていれば、それでもイメージがつかみづらいであろう。
第二に、払い戻しを受けるには、自ら申請せねばならないこと。該当者に対して自動的に申請用紙一式を送付してくれる親切な自治体もあれば(例:八王子市)、そうでないところもある。したがって、日経紙面によれば、都道府県別で未支給率は5%~40%もあり、ここでも社会保険の「地域間格差」の実態が浮かび上がる。
防衛手段としては、「今月なんか医療費が高かったなー」と感じたら、健保組合に電話で相談するか、当サイトに戻ってきて、関連リンクで詳細を調べていただきたい。

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