2004年08月30日

ソフトバンクの固定電話と電話加入権の会計処理

ソフトバンクが、NTT東西地域会社より月額基本料金が200円安い固定電話サービスを12月から開始するとの報道です。この電話は電話加入権の支払いが不要とのことです。
当然、電話を管理する企業の総務部門やIT部門の方は、これから先の毎月の基本料金や通話料の削減という方向に目が向いて注目しているのでしょうが、(少なくとも私の周りでは)あまり話題にならないのが、既に大昔にNTTに支払った固定電話の加入権の会計処理に関してです。
こうしたソフトバンクの動きもにらんでのことなのかどうかはわかりませんが、NTTも加入権の支払を廃止するとの発表が既にあります。電話加入権は大体72,000円で、加入時に支払うとそれを償却不要の無形固定資産として会計処理していました。建物などは使えば老朽化し、いずれは価値がゼロになるので、減価償却を行わねばならないのですが、加入権は権利で、その価値が廃れることはないとの考えから、償却を一切行っていませんでした。しかし、加入権がなくなってしまうとのことであれば、企業側はこれを一括償却する必要にせまられます。利益が出ている元気な会社にとっては、現金支出を伴わずに節税できて、B/Sも圧縮できて、嬉しいニュースかもしれませんが、ぎりぎりの線で生きながらえている中小企業には、この償却はかなり厳しいものになりかねません。気になる中小企業経営者の方は、顧問の税理士の方に、この会計処理をどうすべきか、早めに相談されてみることをお勧めいたします。

なお、電話加入権の償却に関して早い時点で問題意識を持っていらしたサイト(1月23日の記事)を発見したので、ご参照下さい。

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2004年08月27日

金利が上がると利息が減るローン???

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東京三菱銀行が中小企業向けに金利上昇リスクを回避したローンを投入したとの報道です。2つのタイプのローンが紹介されていて、そのうちの「逆市場連動型ローン」という方は、金利が上がると、支払利息が減るという一見不思議なローンです。実はこれは、派生商品の一つである「金利スワップ」を使用することで、こうしたローンができるのです。
「逆市場連動型ローン」により東京三菱銀行から借入を行う中小企業は、分解して考えると、通常の固定金利を払う一方で、固定金利を支払いTIBORをベースとした変動金利を受け取る金利スワップ契約を銀行と締結していると考えることができます。上の図で実線部分は固定金利ですから、点線部分の変動金利が上昇すると、中小企業側から銀行への支払利息が減るということがご理解いただけるでしょう。
一方で、こんなローンを販売している東京三菱銀行側の経営が心配になる方もいるかもしれません。しかし、大抵は、こうしたデリバティブがらみの商品を販売している銀行は、反対のポジションをとって、自分のところには、その差額のマージンだけ残るように取引を行っているはずです。上図でいえば、銀行は別のカウンターパーティーと固定金利払い変動金利受けのポジションをとって、リスクの残らない形にしているはずです。
みなさんはアメリカのオレンジ郡という地方都市が、デリバティブ取引の失敗で破綻したというニュースを覚えていらっしゃるでしょうか?そして、実はその破綻の原因が、この東京三菱銀行が発売しようとしているローンと似ているといったら、「どきり」とされるでしょうか?でも、この東京三菱銀行のローンが原因で破綻するなどということはないのでご安心下さい。違いはというと、東京三菱銀行のローンではどんなに金利が低くなっても、上限金利が設定されていて、金利が天井知らずで上がっていくことはありません。しかし、オレンジ郡のデリバティブには、こうした上限金利が設定されておらず、金利の動きが目論見と反対に振れてしまったため、悲劇が起きてしまったのです。
では、中小企業経営者の方にこのローンを勧めるかといえば、2つの理由からお勧めしません。第一の理由は節税の観点からです。変動金利である6ヶ月物TIBORが上昇するということは、その裏で景気の動向がよくなっているはずです。景気がよくなって商売繁盛している上に、利息がどんどん減って儲けがでてしまったら、節税対策で頭を悩ませねばなりません。第二の理由は、これは私の個人的な意見ですが、このローンは「リスク回避」というよりは、将来の金利上昇にかけた財テクといった色が強いという気がするからです。本当に金利上昇リスクから身を守りたいのであれば、固定金利で借り入れればよいのです。こうした、財テクで稼ぐことを考える前に、本業でいかに儲けを出すかを考えるべきだと思います。

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2004年08月25日

城南信用金庫の低利住宅ローン

城南信用金庫が9月1日から、20年固定型の貸出金利が年2.90%(団体信用生命保険料込み)と、民間金融機関で最も低い水準の住宅ローンを投入するとの報道です。
弊社でも最近住宅ローンがらみの相談が増えているのですが、公庫廃止をにらみ民間が多様な商品を提供しはじめてきており、結論から言えば、ローンで住宅取得をお考えの方は、弊社のようなFP業者にご相談されるのが無難です。第一に、多彩な選択肢から、それぞれの家計に最適なローンを選択するというだけでも難かしいと思われます。また、「家を手に入れればそれでおしまい」というわけではありません。老後資金の形成においても、公的年金に加えて自助努力で資金を作ることが必要となってきており、そうしたことを考慮に入れずにローンを組んでしまうと、取り返しのつかないことにもなりかねません。ローンを組んだ後のキャッシュフローはどのように変化するのか、豊かな老後を送ることはできるのか、専門的な知識のあるFPに頼んで是非シミュレーションをされることをお勧めいたします。
それでも、「FPなんぞに金を払うつもりはない」という方や「頼むにしてもローンの仕組みをきっちりと理解しておきたい」という方のために、本日は一点だけポイントを紹介しておくと、金利を比較する際にはそれが団体信用生命保険料が込みなのか、抜きなのかをはっきりと把握し、もし込みでなければ団体信用生命保険料を上乗せして上で比較せねばなりません。(団体信用生命保険とは、一家の主がローンの債務を残して
亡くなった場合に、保険会社が残された残債務を一括返済してくれる保険のことをいいます。)城南信用金庫の2.9%は込みの数値となっています。
また、経営コンサルタントとしての視点から、城南信用金庫の経営を考えると、一般的に銀行は長期で貸付、短期で資金調達というバランスシート構造になっています。しかし、住宅ローンに日本の金融機関が本格的に進出するのは経験がないことであり、また金利が上昇過程にあることを考えると、資産と負債のコントロール(ALM)をしっかり行える体制が整っていなければ、将来深刻な経営危機に陥る可能性すらあります。「生保の逆ざや」は負債が超長期で資産がそれよりも短期であったことから生じてしまいましたが、住宅ローンに算入する金融機関はこれとは逆サイド(資産長期、負債短期)の逆ザヤに備えるリスクマネジメントを厳格に実施する必要があります。

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2004年08月23日

負債は企業の価値を高めるのか、低めるのか???

本日はネット上にはアップされていない記事で、私の興味をそそる、ワンセンテンスを目にしたので、それについて考えてみたいと思います。
本日の日経朝刊の3ページにみずほコーポレート銀行頭取の斉藤宏氏へのインタビューが、「月曜経済観測」に記載されていました。企業の資金繰りに関する話題の中で、斉藤氏は以下の発言をされました。「ここ何年か、有利子負債返済で企業価値を高め、株価を上げる動きが、企業の一種の”信仰”だった。」さて、この斉藤氏の指摘する「信仰」について、掘り下げて考えてみたいと思います。
まず、負債と企業価値の関係を説明する2つの代表的な理論を紹介したいと思います。
①MM理論
第一の理論はモジリアーニとミラーが展開したMM理論です。大変難しい理論ですが、大雑把に言えば、「負債を増やせば増やすほど支払利息による節税メリットのため、企業価値が増加する」というものです。つまり、利益を出せば国に税金を取られてしまうけど、負債で利息を払っていればその分、税金額が節約できるから、企業の価値は増加するという理屈です。そして、その節税メリット額は下の計算式で計算できます。

節税メリットによる企業価値増加額 = 負債額面 × 税率(法人税)

負債額が1億円の企業があり、税率を40%とするとすると、その企業の節税メリットのよる企業価値の増加は4,000万円ということになります。
②企業評価(Valuation)の理論
第二はアメリカのMBAで使われるマッキンゼーの企業価値評価に関する理論です。同著によれば、企業価値というのは、以下のような要素に分解できます。

企業価値 = 事業価値 + 非事業用資産の価値(資産サイド)
      = 負債価値 + 株主価値(負債サイド)

上の式によれば、企業価値を増加させるには3つの方法があることが分かります。資産サイドからのアプローチとしては(A)事業の魅力を高めること(B)遊休土地等の非事業用資産を有効活用することが、企業価値を高める戦略となります。一方、資産サイドが一定であるならば、負債サイドからアプローチして、(C)負債を削減することが、企業価値は同じであっても、株主価値を増加させることにつながります。

さて、斉藤氏の発言と上記2つの理論を比べてみると、斉藤氏の言う企業の「信仰」は②の理論に基づいていることがわかります。ただ、負債を返済しても「企業価値」自体は高まることはなく「株主価値」が高まるのであって、これは斉藤氏が定義を曖昧にしているのか、新聞記者の理解不足によるものであるかは定かではありません。
では、②の理論に基づけば、負債返済は株主価値を高めるのかといえば、実はそうではありません。これについては本家マッキンゼーの本田桂子氏の記事がネット上にありますので、そのまま引用させていただきます。

『一定の企業価値を出しつつ有利子負債額を減らすことは、実際的には意味がないことも多い。必要資金額が変わらないとすると、資金調達の構成を変えるということになる。これは、有利子負債を返済する分、増資をすることを意味するが、重要なことは、支払利息は損金参入できるのに対して、配当金は損金参入できないということである。このため、税務上のデメリットを被る可能性があり、有利子負債を減らしても必ずしも、株主価値創造につながらなくなるわけである。』(引用終)

このように、本家マッキンゼーの方が、負債を減らすことは必ずしも株主価値の向上につながらない、とはっきり述べています。このような理論的背景をバックにして、斉藤氏の発言があるのだと思われます。

実際に、企業がなぜ負債返済を急いだかといえば、一つには、こうした財務理論を理解していないという可能性も十分に考えられます。ただ、日本の企業の財務担当者は優秀な方が多く、そういうことを考えると、やはり今までの景気低迷の影響が大きいと思われます。つまり、「節税」できるほどの利益を継続的に稼ぎ出す自信がなかったり、負債を抱えて倒産してしまう、そういうマイナスの側面からのみ負債をとらえていたことが、負債の「過剰返済」につながったのでしょう。

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2004年08月20日

北島のドルフィン・キック疑惑

世間はオリンピック・モードだと思われるので、本日は当サイトのテーマに関連のないオリンピックねたで失礼させていただきます。
北島が100メートル決勝で、禁じられているドルフィン・キックを使用したと、米メディアで報じられているのをご存知でしょうか?北島とハンセンの関係がアメリカではどのように取り上げられているのか気になったのでグーグル検索してみると、トップに表れたのがこの記事をはじめとする、北島への非難記事でした。
日本の一部スポーツ紙では同記事を掲載したようですが、扱いはかなり小さく、ほとんどの日本人は、こうした報道がある事実すら知らないことと思われます。
ここで、思い出されるのが4年前のオリンピックの篠崎VSドイエ(フランス)戦です。金メダルをかけた戦いで、篠崎が先に一本をとったものの、審判の技量が未熟でその技を認識することができず、その後にドイエが効果か有効のポイントをとって逃げ切り、金メダルをさらっていってしまった「悲劇」が生まれてしまいました。
当然、日本人はその後荒れました。ネット上の掲示板はかなり過激な書き込みで溢れていました。担当した審判に嫌がらせのメールを送ろうとよびかけていたり、あのようなプロセスで金メダルをとって平気でいられるドイエやフランス国民全体を罵る書き込みもありました。私自身も、「同じ事実が記録された映像を見ていながら自らの過ちを潔く認めようとしない、フランス人はなんと卑しい民族なのだろう」、などと、フランスの金融機関から給料をもらいながら、思っていたほどです。
さて、時間を2004年に戻して、北島の話を知人にしてみると、彼は国内スポーツ紙の報道で既に知っていたらしく、「ああ、アメリカがケチをつけてるらしいね」と私に返しました。
この2つの出来事を結びつけて考えたとき、私が改めて気がつかされたのは、世論形成に与えるマスコミの影響の大きさです。ドイエのときも、恐らくフランス国内ではその結果を疑う非常に小さな記事が新聞に掲載されただけで、フランス国民はそれを読んで「日本人がけちをつけている」と思っていたことでしょうし、それは自然な世論形成といえるでしょう。
我々の世論というものは、かくもたやすく操作され得るものだということを肝に命ずべきでしょうし、国家間の感情の衝突につながる恐れがあるときは、「相手国ではどういう報道がされて、どういう世論が形成されているのだろうか」と頭を冷やすことが、非常に大切だと思われます。

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2004年08月17日

広がる障害者雇用 ~ 障害者雇用促進法 ~

企業による障害者の雇用が拡大しつつあるとの報道です。本日はこうした動きを後押しする「障害者雇用促進法」について、解説をするつもりなのですが、障害者と仕事というテーマが出ると、必ず私が紹介する話があるので、それをまずはお聞きいただきたいと思います。
私が、フォード自動車で働いていた頃、社員研修の一環として、ある福祉施設の長の方のお話をきく機会がありました。その方が福祉施設での長年の勤務を経て、人間が人間らしく生きていくためには次の3つがあればよいのだと悟ったとおっしゃるのです。それは①友達②共同生活の場③仕事だというのです。私の頭では当然そこにあってしかるべき「家族」という言葉が登場しなかったのが大変意外だったのですが、「家族」が入りえない複雑な状況を察すると、その方の言葉は私にとって重みを持ち、血縁を超えた深い愛を感じ、聞いてから6~7年経た今もなお、私の心に刻み付けられているのです。健常者の我々は見落としがちなのですが、仕事は人として生きていく上で、大切な要素なのだということを認識いただければと思います。

企業の障害者雇用を後押ししているのは、報道にもある2つの要素です。第一にCSR経営の大きな潮流であり、第二に障害者雇用促進法を主とする関連法制です。前半のCSRについては本日のテーマではないので割愛させていただくとして、障害者雇用促進法は企業の障害者促進を図るため、以下の「アメ」と「ムチ」を用意しています。
まず、法定雇用率というものがあるのですが、従業員100人につき1.8人以上の障害者を雇用せねばならないとしています。それを上回る障害者を雇用していれば、超える1人につき月額27,000円を支給し、満たなければ不足する1人につき月額50,000円を徴収するというものです。(ちなみに従業員が300人以下の中小企業は適用されません。)また先程の法定雇用率は企業グループ毎に算定され、障害者雇用のために設立した特例子会社に障害者が集中的に雇用されていても、企業グループとして基準をクリアしていればOKとなります。
現時点ではこうした法制度のアメとムチに促されて障害者雇用が拡大している要素が強いですが、障害者雇用が一般化してくると、今度は障害を持たない人材と同様にいかに障害者を戦略的に活用するか、ということが主眼になってくるはずです。そのような時代になったときに乗り遅れないためにも、企業は今から障害者雇用を、戦略的優位を築くという観点からも、真剣に検討すべきでしょう。

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2004年08月15日

天候デリバティブが上場

天候デリバティブが東京金融先物取引所に上場されるとの日経1面の報道です。「天候デリバティブ」とはなにかについては弊社の過去記事に説明がありますので、そちらをご参照下さい。同過去記事はアクセス数が比較的多く、再び取り上げさせていただきました。
本日は別の角度からこの記事を見てみたいと思うのですが、この上場される天候デリバティブの利用者について損害保険会社を想定しているという点に引っ掛かった方が多いのではないかと思われます。日経新聞の図には、ゴルフ場などの最終利用者が損保会社と契約を結び、損保会社が東京金融先物取引所とヘッジ取引をする図が書かれています。これをみて「猛暑や冷夏をヘッジしたい中小企業などが損保会社を通さず、東京金融先物取引所と直接取引したら、中間マージンをとられず安上がりになるのではないか?」と疑問を持たれる方がいるのではないかと思われます。
実は損保会社を通さず東京金融先物取引所と直接取引した方が安上がりという点では正解なのですが、それでも中小企業が東京金融先物取引所と取引することはお勧めできません。その理由は損保会社が提供する「天候デリバティブ商品」はオプションタイプであり、上場される天候デリバティブは先物であるという違いによるものです。
損保は保険会社なのですから、保険料を支払えば困ったときだけ保険金を返してくれます。「猛暑デリバティブ」商品を損保会社から買えば、猛暑になったときだけ保険金をくれて冷夏のときは、支払った保険料は返ってこない、ということになります。
ところが、上場される先物タイプの天候デリバティブだと、先物を買っておけば、確かに猛暑になったときは高くなった先物を売却してお金が入ってくる点は同じですが、逆に冷夏になった場合、先物が値下がりしていて、損を被ることになるのです。もしゴルフ場が先物タイプの天候デリバティブを購入したとすると、猛暑の場合減収分を先物の売却益でカバーできますが、冷夏の場合、せっかく客数増による増益があっても先物で損をするので、猛暑になっても冷夏になってもトントンです。これでは商売をする意味がありません。
そのようなわけで、一般の事業法人が東京金先取引所の天候デリバティブを活用することはお勧めできないのですが、もし同取引所でオプションタイプの商品が上場されれば、これは検討に値します。ただ、損保会社側はこうした動きには当然反発してくるでしょう。
しかし、「谷連覇・野村3連覇」というニュースがありながら、この記事がトップになるあたり、やはり日本経済新聞ですね。

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2004年08月14日

東京を見直す外資系金融機関

「東京がアジアで最も重要な拠点」と考える外資系金融機関が6割に達するとの報道です。理由については「金融システム不安が遠のいたことや日本の金融機関の情報開示が進んだことなどを評価」としていますが、私にはもっと別の理由があるように思えます。
外資系金融機関が日本にて行う業務は大きくわけて2つといってよいでしょう。一つは株式や債券のトレーディングで、証券の流通市場に関わるもの、もう一つは企業の資金調達に深く関与するもので、発行市場に関わるものや純粋なアドバイザリー業務が後者に該当します。
前者においては、特に為替のトレーディングなどは24時間相場が動いているわけですから、ニューヨーク、ロンドンに加えて、アジアに一つ拠点が必要となるわけです。そして、その選択は東京、香港、シンガポールのいずれかになるのですが、こうしたトレーディング上の要請でアジアに拠点が必要になる場合は、3つのうちいずれでもよく、コストの安いところを選択する傾向が強かったといってよいでしょう。その結果、トレーディングを主体とする金融機関で東京を縮小するところは結構多かったのが実情です。
ところが、今回の調査で東京が見直されているというのは、後者の発行市場がらみの需要が大きくなると外資金融機関が見ていると考えているといってよいでしょう。景気がもちなおしているというのが、最大の理由でしょう。また、一つ私が個人的に注目しているのが、欧米流の(財務)マネジメントスタイルが日本に浸透してきたことも大きい要因だと思われます。例えば、先日の三井住友のUFJ買収提案ですが、こうした敵対的買収の提案を日本企業が行うことは数年前までは考えられなかったことです。「株主を重視した経営」が日本の経営陣にも浸透しつつあり、こうした欧米流の手法に理解が深まると、外資金融機関の活躍できるフィールドが広がるわけです。報道はされませんが、三井住友の背後には絶対にどこかの外資金融機関(米系のGではじまるとこかな???)のアドバイスがあったはずで、UFJに提案した申し入れ書の作成にも関与しているはずです。そして、巨額のフィーを稼いでいたはずです。
更に先のこと、例えば10年くらい先のことをいうと、そのころは中国経済が恐ろしい勢いで成長を遂げているはずです。そうすると、発行市場がらみの注目も中国に集中し、そのとき金融センターとしての本当の地盤沈下が東京を襲うのではないかという気が漠然とします。そうした未来に備え、なにか策はあるのでしょうか?

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2004年08月13日

監査報酬の値切り方

四大監査法人の業績が急速に悪化しているとの報道です。日本経済新聞社の調査によれば、「2003年度の四大法人合計の経常利益は36億円と前の期比37%減り、2年前の3分の1近くに落ち込んだ」とのことです。
私は独立開業するまでは、会計・財務の仕事をしていたため、会計監査を担当する会計士の方達に、数字の中身について説明する機会がしばしばありました。当時は、監査報酬を交渉するほどの偉いポジションにいたわけではないので、実際に監査報酬を値切った経験があるわけではないのですが、理詰めで監査法人を追い詰めれば、監査報酬を値切る余地はあると思われます。
私が勤務していたある会社では、四半期に一度は会計士の方達がやってきて、経理内容について、色々と質問にきていました。その会社には2年近く勤務して、計8回ほど監査対応をしたことになるのですが、当時非常に腹立たしかったのは、毎回毎回来る担当者が異なり、同じ内容を何度も説明させられたことです。監査法人側の事情で若い会計士に色々な業界を経験させたいという事情はわからないでもないのですが、彼等の報酬は彼等の働く時間によって決まっているわけですから、監査法人のOJT研修費用を顧客側が全額もっているようなものです。また、彼等の知識・経験不足による、とんちんかんな質問への対応をさせられることもしばしばあります。あるとき、「債券の利息の勘定の数字がおかしい!」と詰問され、調べてみると、相手は「額面×利率」ではなく「時価×利率」で利息を計算しようとしていた、などということもありました。
こちらのサイトにもありますが、基本的には監査報酬は彼等の工数に応じて決まります。そして、やはり公認会計士の方ですから、単価は高いです。ですから、監査報酬を下げるには、公認会計士の作業を少なくすればよいわけです。つまり、自社の若手の経理社員に、監査業務の補助の一部をやらせればよいのです。もちろん、外部の方にしか行い得ない作業もありますが、伝票を探すのに手間取ったり、数値を検証するのに不慣れなエクセルの操作にとまどったりしてることも多く、そうした会計的専門的知識が全く不要な作業に高い単価を支払うことは全くナンセンスです。先程のサイトにもありますが、会計関係のファイルをきちっと整理するだけでも多少の効果はあると思います。
こうしたことを突き詰めていくと、自社の内部統制の仕組みをしっかりさせていくことが、外部に支払う監査報酬の低減につながっていくといえるでしょう。まあ、これが簡単にできれば経理部長の苦労はないわけですが、内部統制をしっかりさせて外部監査の工数が減少すれば、監査報酬の低減というメリットのみならず、決算短縮化によるIRの向上によるイメージアップも期待できます。経理部も企業価値向上に貢献できる時代になってきたのだという視点をもっていただきたいと思います。

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2004年08月12日

ダイエーの再建策をどう読むか

ダイエーが再建策の中で総合スーパーを専門店に転換する方針であるとの報道です。具体的には大型店については「食品売り場は従来通り直営を続けるものの、衣料品、住居用品の直営売り場は縮小して、外部の専門店を誘致したり、メーカーに売り場作りを任せたりして、総合的な品ぞろえを維持する」とのことです。
さて、このような再建策が発表されたとき、どのようにして再建策を評価すればよいのでしょうか?検証に必要なデータがあればの前提で話すと、以下のようなプロセスを経て再建策は評価されます。
①直営から専門店化することにより得られる年間のキャッシュ・フローを計算する。
直営から専門店化することにより、以下のような追加的なキャッシュ・フローが見込まれます。
・テナントからの家賃収入
・販売員の削減による人件費削減効果
・有力テナントの集客力による直営として維持する食品部門の売上(粗利)の増加
・在庫減によるキャッシュ・フロー増加
同時に以下のようなキャッシュ・フローの減少も考慮に入れねばなりません。
・直営廃止による粗利の減少
②①により計算した将来のキャッシュ・フローを現在価値に割り引く。この割り引かれた現在価値が、ダイエーの事業価値(企業価値)の増加分ということになります。
恐らく融資をする銀行側もこのような考え方で再建策を評価しているはずです。
もちろん私の手元に詳細なデータはないので厳密な評価はできませんが、鍵はテナントの専門店の集客力にあると思います。ただ、集客力の強いテナントであれば、わりのいい家賃を要求してきて、家賃収入が伸び悩む恐れもあります。今後しばらくは、ダイエーから目が離せないですね。

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2004年08月05日

100円ショップの業態転換

100円ショップが店舗の再編を加速し、100円を超える「高額品」も店舗に並び始めたとの日経報道です。実は、景気回復後、インフレ回復後に100円ショップがどう業態転換していくかということは、小売の専門家の間では既に議論されていたことです。(例えば、こちらの会計事務所さんのブログ記事などがあります。)
時代の流れに応じて、小売店舗も業態転換していくということは、生き残るためには必須のことです。その際に、私が最も重要であると考えることは、ストア・コンセプトを明確にするということです。言うまでもなく、100円ショップの今までのストア・コンセプトは、「ワンコインで買えるものをできるだけ多く並べる」ということだったのですが、消費者がその100円ショップに、100円以上支払う気になってきたということは、確実に客単価上昇が見込めるわけですから、100円ショップにとって、大きなチャンスです。
しかし、せっかくのチャンスも、むやみやたらに「高額品」を並べていたのでは、ストア・コンセプトが支離滅裂になり、固定客の離反につながりかねません。
では、100円ショップは具体的にどのような方向性に業態転換すべきかといえば、難しい問題です。私の予想では、「ダイソーはこういう方向性で、キャンドゥはこういう方向性」とチェーン毎に統一するのは、難しい気がします。我々の消費行動を考えても、100円ショップは立地が大変重要であり、常に近隣の店舗(コンビニ、ドラッグストア、文具屋etc)と比較購買していることを考えると、近隣の競合店のパターンから複数(3~4くらい)のストア・コンセプトを定め、それらに業態転換していくことが、既存固定客を失わない、最も賢いやり方ではないかと考えています。一方で、チェーンに一つのストア・コンセプトであったのが、複数になれば、それだけチェーン本部の経営がそれだけ難しくなることは避けられません。
しばらくは100円ショップから目が離せないですね。

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2004年08月04日

エイベックス騒動に思う ~ 音楽プロデューサーの盛衰記

既に浸透したエイベックスのお家騒動の報道ですが、本日は、弊社のビジネスと直接的な関連はないのですが、「音楽プロデューサー」という仕事について、思うところを書いてみたいと思います。
音楽業界においてプロデューサーという職業が強大な権力を持ち始めたのは、1980年代のアメリカにおいてだと私は考えています。当時「大統領の次に忙しい男」と形容されたQuincy Jones、ジャネット・ジャクソンのプロデュースで一躍注目を浴びたJam & Lewis、メロディーにも秀でたLA & Babyfaceなど、数え上げだしたらきりがありません。80年代において、「プロデューサーでレコード(古い・・・)を選ぶ」という人も多かったのではないかと思います。私もその一人でした。
日本で「プロデューサー」がアメリカ並みに注目を浴びだしたのは、やはり小室哲也氏の頃からでしょう。それと前後して登場したのが、今回話題になっているMAX松浦氏で、つんく氏などもプロデューサーの役割の大きさを世間に知らしめるのに大変大きな貢献をしたといえるでしょう。
最近、あまり音楽シーンを日米ともにフォローしておらず、私にあまり語る資格はないのかもしれませんが、今後プロデューサーの役割はどうなっていくかというと、「音作り」の主権は個々のアーティストに戻っていくのではないかという気がしています。例えば最近のアメリカの音楽シーンはラップ全盛で荒廃してしまったかのごとく見えますが、そんな中でセンセイショナルともいえるブームを巻き起こした、Norah Jones、Erykah Baduなどの音は、彼女達以外の誰一人として、真似ることのできないものです。プロデューサーの作る音というのは、過度に商業的でいずれは飽きを生じさせるものです。日本の音楽シーンも、音作りという点において、個々のアーティストが今後は主導していく形になると、私は予想しています。
では、音楽業界のプロデューサーの仕事はどうなっていくのかというと、芸術サイドからビジネスサイドにシフトしていくかと思われます。資金面だとか、マーケティング、プロジェクトマネジメントといった、ビジネス的な資質のあるプロデューサーが、今後求められていくのではないかと思われます。
経済産業省というお役所も、日本のコンテンツビジネスの弱さに危機感を抱き、色々な調査を行っているようです。彼らにどれほど音楽に対する理解があるかは定かではありませんが、求められているプロデューサーの資質という点では、やはり上記と同じような指摘をしています。
なかなか面白そうなレポートを発見したので、ご興味のある方は是非ご覧下さい。

プロデューサー論

コンテンツプロデューサー養成基盤の在り方に関する調査研究報告

Posted by Ken Kodama at 19:20 | Comments (0)