2004年09月30日

ガンの自由診療・・・保険は「考えて」選ぶ

富国生命保険はセコムグループと共同で、がんの高度診療など国民健康保険の対象外の治療費まで保障する新型保険を開発したとの報道です。同記事を引用すると、「新商品は、入院時に給付金を支払う富国生命の医療保険に、セコム損害保険のがん保険を組み合わせた」とのことです。この組み合わせられたセコム損保のガン保険は、セコム損保独自で既に販売しており、セコム側の部分が非常にユニークなのです。
一般的に生命保険会社で販売している医療保険というのは「入院すると1日1万円、手術すると一時金20万円を支払います!」といったタイプのものがほとんどです。こうした保険が主流となるのは、それなりの理由があります。自己負担が3割にアップしたものの、日本には比較的手厚い健康保険制度があるため、保険がきく医療を受ければ、だいたい1日あたりの自己負担額というのは1万円くらいになるものなのです。自己負担額が高額になっても、それをカバーする高額療養費という制度により、保険がきく医療であれば、それほどべらぼうな額にはなりません。
さて、ここでキーとなるのは、「保険がきく医療」であるとの前提です。保険がきく医療であれば、一般的な生命保険会社の商品で十分対応ができますが、例えば、国内未承認の抗ガン剤を使用する場合などは、保険がきかない「自由診療」となってしまいます。では、自由診療ではいくらくらいの負担を強いられるのかというと、あくまでも一例ですが、免疫細胞療法で知られる瀬田クリニックの医療費案内では結構な額になっています。200万円以上の治療費は健康保険はきかず、また民間の生命保険会社の商品の給付では、焼け石に水といった感があります。
自分がガンになるかもしれない、ということを考えることは嫌なことですが、家系にガンにかかった人が多いような場合、自分もガンにかかるリスクが高いと考えて、その経済的なリスクを和らげる保険への加入を検討すべきでしょう。

【弊社関連記事】
高額医療に対してどう備えるべきか

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2004年09月29日

子会社上場について

さて、本日の話題は昨日と逆のパターンです。NTTの100%子会社で、東京都心にオフィスビルを所有するNTT都市開発が、今年中にも東京証券取引所に株式を上場する見通しであるとの報道です。
昨日の東急電鉄の東急百貨店の完全子会社化について、①事業領域の重複を排除し②利害の相反する少数株主を排除できるという2つのメリットを述べましたが、子会社上場を行うとこれらが、逆にデメリットとして浮上してくるのです。また、より一般的な話として、FP総研さんのレポートは子会社上場により、子会社のキャッシュフローを成長分野にふりむけることができなくなる、という趣旨の論旨を展開しています。こうした論旨に照らすと、NTTの子会社上場は失策なのでしょうか?
色々な考え方があるでしょうが、私はNTT都市開発の上場は正解の選択肢であると思います。それはNTT都市開発のビジネスとNTT本体のビジネスの関連性にあります。NTT都市開発という会社は、旧電電公社が抱えていた遊休地の開発を目的として設立された会社です。つまり、NTTの本業である通信事業との関連性は希薄です。NTTがNTT都市開発株の保有を続ける限り、NTTは地価の変動という、本業に全く関連のないリスクに晒され続けるのです。NTT都市開発株を上場することにより、地価変動リスクが軽減されるだけでなく、株売却により巨額のキャッシュを手にすることができ、それを通信事業関連の投資・M&Aに振り向けることが可能となるのです。
近年の経営学の潮流では、コア・コンピタンスに経営資源を集中させることがよしとされており、NTTの今回の動きはまさしくこの流れの中にあるものです。しかし、十数年前は「日本的経営」の一つとして、土地保有による「含み経営」が絶賛されていました。もしかしたら、また十年後には経営の考え方そのものが変わっているのかもしれませんね。

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2004年09月28日

東急の百貨店完全子会社化とハンズ株売却を考える

東京急行電鉄は27日、東急百貨店を完全子会社化する一方、25%出資する東急ハンズの全株式などの資産を売却すると発表したとの報道です。
おそらく、リストラを経て、東急電鉄は渋谷を中心とした鉄道網がカバーする「地域」に経営資源を集中化させるという選択を行った結果が、百貨店の完全子会社化とハンズ株の売却につながったのでしょう。確かに、百貨店の店舗網の方が、ハンズの店舗網に比べて、東急沿線に集まっています。
東急百貨店のように既に上場されている会社を完全子会社化する動きは近年よく見られます。新聞では東急百貨店の完全な子会社化の狙いを「より迅速な意思決定」と「鉄道と百貨店の相乗効果」と説明しています。
ここでより一般的な話として、一橋大学教授の伊藤邦雄氏の著した『「上場企業」を完全子会社化する日本企業の狙い』という論文を見ておくことは有意義でしょう。伊藤氏は完全子会社化の背景には以下の2点があるとしています。
①事業領域重複の排除を通した相乗効果
②親会社と利害の相反する少数株主の排除
東急電鉄の財務体質は磐石とはいえない中で有利子負債を積みましてまで完全子会社化に踏み切るのは、このような狙いがあってのことですが、このようなグループ経営が身を結ぶのはかなり先のことで、しばらくは依然として東急は厳しい経営を強いられることとなるのでしょう。

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2004年09月27日

内閣改造

当サイトのふさわしい話題ではありませんが、改造内閣のメンバーが発表されました。私の個人的な感想は、ポスト小泉を配慮したメンバーになった感があります。谷垣、麻生、中川、町村、この辺りを小泉首相自身が、自分の後継にふさわしいと考えているのでしょう。小泉首相自身もそろそろ身の引き方を考えていることを匂わせます。
そして、個人的に「お疲れ様」と声をかけてあげたいのが、川口前外相です。マスコミや政治家からあれほど叩かれ続けたにも関わらず、淡々と、かつタフに仕事をこなされてきたのには頭が下がります。民間出身の方ですが、女性で一般企業で成功されるのは、川口さんのような方が多いと思います。すなわち、①華はないが②うたれづよく③淡々と仕事をこなし、④そして実はタフネゴシエーターであるタイプです。イラク人質事件の時は過労でお倒れになり心配しましたが、本当に4年間ご苦労様でした。

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2004年09月25日

イチロー

私は毎朝電車に乗りながら、日経新聞を30分ほどかけて読みます。そして、このブログのネタになる記事はないかなー、と目星をつけるわけです。そして、1時間から1時間半かけて、ネットでリサーチ等もしながら、だだだ、っと書き上げてアップする・・・こんな感じでこのブログを書いているのです。今日の日経新聞には、私が何か書けるネタがなかったので、「イチロー」について思うところを書いてみたいと思います。
月並みですが、「イチローはすごい」の一言につきます。私は、プロ野球はほとんど見ないけど、オリンピックは見る、そんな人間です。つまり、日本という国がかかった勝負となると、熱くなるタイプです。今回のイチローの記録挑戦でも、私は熱くなってしまって、MLBのオフィシャル・サイトまでも閲覧するようになってしまいました。ここで、アメリカ人がイチローをどう評価するかを知りたいのです。そして、イチローが高く評価されていれば、同じ日本人として嬉しいわけです。
イチローが5の5という偉業を成し遂げた日のニュースの動画がMLBのサイトで見れるのですが、解説者とアナウンサーが"The guy is amazing."(こいつはすごい)と続けてつぶやいたのが非常に印象的でした。
日本人の韓国に対する意識が「冬のソナタ」をきっかけに、がらりと変わったとことは、今さらいうまでもありません。国と国との交流には文化やスポーツでの交流が大変重要な役割を果たします。眼鏡をかけてカメラを首にぶらさげて、でも金はもってる・・・そんなステレオタイプの日本人像は、イチローのアメリカでの活躍により、どれほど変わったのでしょうか?

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2004年09月23日

CSR報告書

本日の日経新聞の企業総合面(11ページ)に、CSR報告書を発行する動きが本格化しているとの報道がありました。CSRとはCorporate Social Responsibilityの略で企業の社会的責任のことです。企業は利潤を獲得するためのものであるから、利潤獲得についてだけ考えていればよい、とするのが従来の考え方でしたが、企業も社会の一員なのであるから、社会(環境、地域社会等)に対する配慮が必要であるとする、とするのがCSRの考え方の根本です。つまり、株主だけを見るのではなく、他のステークホルダーにも目を向けなさいというのが、CSRの意味するところです。
CSR報告書を発行した主な企業のリストが新聞紙面に掲載されていたのですが、その中から、3社についてネット上で見てみました。(全てPDFの重めの文書です。)

JR東日本の報告書

ユニ・チャームの報告書

コクヨの報告書

2~30分の時間で3者を眺めただけで、詳細に比較分析したわけではないのですが、3者の中ではユニ・チャームのものが、最も優れているように思えました。ユニ・チャームとコクヨは「CSR会計」なる試みを行っており、CSR活動を数値によって把握しようとしていますが、CSR会計自体の定義がまだはっきりしていないようで、両者のCSR会計は全く異なる様相を呈しています。コクヨのCSR会計は連結財務諸表をCSRという概念で組み替えただけのもので、これによって得られる付加的情報は乏しいように思えます。対してユニ・チャームのものは、CSRという考えのもとにステークホルダー毎に支出した費用額を抜き出し、その横に効果を明記するもので、これもまだ向上の余地はあると思いますが、コクヨのものに比べると、得られる付加的情報はかなり大きいといえるでしょう。
こうしたCSR気運の盛り上がりの背景として、日経新聞は2点を挙げています。まず、食肉偽装やリコール隠しなどの不祥事への対応という側面、そして、CSRの取り組み度合いを銘柄選択の基準とするSRI(社会的責任投資)への対応の側面という2点です。つまり、CSRはお金と人員に余裕があるから行っているのではなく、顧客からの信用の回復、IRの一環として、必要に駆られて行っているのです。中小企業経営者にとってはこうしたCSR関連活動に新たな支出を割くことは困難でしょうが、トップは常にこうした視点をもって経営にあたることが、ビジネスの存続上、不可欠であると私は考えます。

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2004年09月21日

大京再建と「減資による株主責任の明確化」

大京の再建に関する記事が本日の日経紙面トップを飾りました。日経紙面の記事では、減資の可能性も指摘され、以下のような記述が見られます。
『債権放棄だけではなく、損失穴埋めに資本金を取り崩す減資も活用する方向。大京の株主も一定の責任を問われる可能性が高い。』(引用終)
「減資」といえば「株主責任の明確化」。まるで枕詞のように対に使われる表現ですが、本当に「減資」をすると「株主責任」が明確になるのでしょうか?
【減資とは】
減資とは文字通り資本金を減らすことです。(有償減資と無償減資の2つのパターンがあるのですが、有償減資はあまりみられないケースなので、当エントリーでは無償減資にフォーカスすることとします。)減資をするときまった会社は、会計帳簿に以下のような仕訳を記入することとなります。

(借)資本金 XXX (貸)未処理損失 XXX

つまり「減資」をすることによってお金が動くわけでもなんでもなく、会計帳簿に仕訳が1本書き込まれるだけなのです。通常、会社に損失がでてしまった場合、翌期以降頑張って利益を出して、その損失の穴埋めをしようとするものです。しかし、こうした再建が1面で取り沙汰されるような企業の損失額は、べらぼうに巨額であるので、翌期以降の利益では消すことができず、元手である資本金を取り崩して損失を処理せざるを得ないのです。
【減資をすると株主は損をするのか?】
では、こんな仕訳を1本書くだけで、株主は損をすることになるのでしょうか?結論からいうと、減資だけでは損をしません。貸借対象表の「資本金」の金額が減ったからといって、株式の価値の減少に直結することはありません。
減資をする際、株式数には変化を与えないケースと、株式数も減らすケースの2種類があります。後者のケースは例えば「2株を1株に併合する」といったようなケースが考えられます。今まで1,000株の株主は、この場合500株の株主になってしまいます。この場合は、株主は持株数が半分になってしまうので、株式の価値も半分になってしまうのでしょうか?実は、そんなこともありません。
反対のケースを考えてみましょう。1株を2株にする「株式分割」のケースです。この場合の株式分割は1万円札を5千円札2枚に両替するようなもので、分割によって持株数が増えても、会社の価値自体に変化がなければ、持ち株の価値に変化はありません。減資で持ち株数が減るのは、逆に5千円札2枚を1万円札に両替したようなもので、同じように、会社の価値自体に変化がなければ、持ち株の価値に変化はないのです。
【ではなぜ減資により株主責任が明確になるのか???】
上記の説明で減資自体は株式の価値に変化を与えないことが分かりました。では、なぜ、新聞報道は「減資による株主責任の明確化」というフレーズを繰り返すのでしょうか?
考えられるのは、減資の直後に第三者による増資がセットで行われるケースが多いという点です。今回の大京のケースでは、銀行が債務を株式にすることにより(デット・エクイティ・スワップ)、銀行が新たな大株主として浮上します。この場合、企業全体の価値は変わらないとすると、銀行の持分が増えるわけですから、今までの株主の持分は低下します。つまり、スイカを正に今切ろうとしていたサザエさん一家に、ノリスケ一家が突然訪問し、カツオ君がむくれるようなものです。
「減資による株主責任の明確化」の理由として、考えられる2つめのポイントは、極めて精神的なものです。会計上、資本金は投資家が払い込んだ「もとで」を示しています。「もとで」を取り崩してしまう仕訳をするわけですから、これは尋常ではない・・・と新聞記者は考えているのでしょう。
本日のお話はなかなかわかりにくいかもしれませんが、株式投資をする人にとっては基本事項です。ましてや、再生関連銘柄に投資している人には必須の知識なのですが、株式投資関連のブログを見ると、基本的な知識なしに投資をしている人がいかに多いかを、知らされます。
宣伝になってしまいますが、株式投資に必須の知識を伝授するメールマガジンを発行していますので、ご興味のある方は是非、ご購読してみて下さい。

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2004年09月19日

シティバンクよ、お前もか

金融庁は17日、シティバンク在日支店に対しプライベートバンキング業務を手掛ける全4拠点の営業認可取り消しや、新規の外貨預金業務の一時停止などの処分を発表したとの報道です。シティの外貨預金に関しては、この報道と直接的な関係があるかどうかは定かではありませんが、弊社サイトの関連記事がありますので、ご参照下さい。
本日(9月19日)の日経新聞の社説のタイトルは「シティバンクよ、お前もか」でした。これは、CSFB(クレディ・スイス・ファースト・ボストン)の飛ばしがらみの取引に端を発した、一連の外資系金融機関の不祥事を意識してのタイトルなのでしょう。ここまでくると、外資系金融機関の日本の拠点には、構造的な問題があると言わざるを得ないでしょう。なにが問題なのでしょうか?私は外資系金融機関に勤務経験もあるし、また、勤務以外の人脈を通しても多少内部の事情を知っています。また、金融以外の外資系での勤務経験も有しています。そうした、個人的な体験・交流から、外資系金融機関の日本拠点の問題点を挙げるとすると以下のような点になるでしょう。
①お金を稼ぐトレーダー・営業関係者にはコンプライアンスとは縁遠い人が多い
シティ、CSFBなどとカタカナで来られると、英語を操るスマートな洗練された人々の集団であるかのような錯覚を起こしますが、お金を稼ぎ出すトレーダーや営業マンは、そうしたイメージからはかけ離れた方が実際多いものです。そして、はなから「法令遵守(コンプライアンス)」などといったことを馬鹿にしてかかった人が多いのも事実です。
②管理部門の力が営業部門に比べて圧倒的に弱い
①の問題点は、まあ、仕方がない点でもあります。営業マンがあまりにスマートすぎたら、泥臭くお金を稼いでくれません。深刻な問題はこちらの②の方でしょう。管理部門にはコンプライアンス(法令遵守)といった、営業活動が法令に合致したものか調べる専門の部署が存在しますが、管理部門の営業部門に対する影響力があまりに非力なことが多いのです。私は、この現象は、日本の外資系金融機関に特有のものだと思っています。メーカーや小売の場合、お金を稼ぎ出すのは個々の営業マンの努力ももちろんありますが、そのビジネスの仕組自体に依存するところが大きいのです。したがって、営業における「個」の力は小さく、営業系の人々がそれほど大きな顔をすることもありません。
しかし、今回問題となったプライベートバンキングなどの業務のよい場合、個々の営業マンがいかに人脈を有しているかどうかが、大きな鍵となり、したがって、自分の力を知る営業マンは組織の中で大きな顔をして、管理部門のいうことを無視するようになります。
それは、PB業務に限らず、トレーディング、法人営業においても同様です。
外資系金融機関の内部において、管理部門がいかにして復権するかが、こうした不祥事を未然に防ぐ鍵となることでしょう。

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2004年09月17日

ストック・オプションの費用計上

本日日経紙面トップ記事ですが、企業会計基準委員会が、企業が従業員などに与えるストックオプション(株式購入権)について、会計上の人件費とするよう義務付ける方針を固めたとの報道です。ストック・オプションを費用計上するのであれば、「いくら」費用として計上すべきなのか、という肝心の部分が日経1面には書かれていません。そして、「ストック・オプションは3面『きょうのことば』」と書かれているため、「きょうのことば」欄を見ると、以下のような記述があり、引用させていただきます。
『費用の計算は、現在の株価や権利行使価格、権利行使可能な期間、株価の変動率などを用いる。新興企業やハイテク企業など株式の値動きが激しい企業は、費用額が膨らむ傾向がある。企業の経理担当者からは計算が複雑で実務の負担が大きいと懸念する声もある。』(引用終)
前半の部分は実は「ブラック=ショールズ」式というものを念頭にいれてます。どんな式か興味ある方は、こちらをご参照下さい。企業の経理実務担当者が嫌がる理由の片鱗を、ご理解いただけたのではないかと思います。
「日経新聞記事をわかりやすく解説」をポリシーとする当サイトとしては、この式を分かりやすく解説してやろうと思っていたわけですが、執筆に1時間以上費やすわけにいかず、残念ながら本日はギブアップです。しかし、ストック・オプションの費用計上額について、本質をつき、かつ数式を使わず分かりやすく説明しているサイトをみつけてきましたので、こちらでご勘弁下さい。

三浦CPAオフィス FAS123 ストック・オプションの会計処理

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2004年09月16日

丸井の在庫管理システム

丸井が約100億円をかけて、10月から商品管理システムを刷新して、商品の在庫を、店頭の販売員が他店の分までリアルタイムで把握できるようになるとの報道です。私の某アパレルでの勤務経験からすると、このシステムは大変意義深いものであると思います。このシステム投資により、丸井が享受するメリットは何でしょうか?以下、考えてみたいと思います。

①顧客満足度の向上
例えば、私が靴を買いにいくとなると、私の足のサイズは小さいので、大抵店員さんがバックヤードにサイズの在庫があるかどうか確認にいくこととなります。そうした場合、この店のバックヤードはもしかしたら巨大な迷路なのではないのかと思わせる程、気が遠くなるくらい待たされたあげく、「申し訳ないですがご希望のサイズでは在庫がありません」と最後に言われる始末です。しかし、このシステムがあれば、販売員がPDAにバーコードを読ませるだけで、即座に在庫確認ができ、あるかないか分からない在庫確認のために待たされる、という事態はなくなり、顧客満足度の大幅な向上が期待できます。

②他店に在庫がある場合の売り逃し防止
丸井は首都圏に多店舗展開しています。特に新宿、渋谷のようなターミナル駅では、私が把握しきれないほどの丸井店舗が存在します。こうした場合、自分の店舗には在庫がないけど、歩いて数分の店舗には在庫があるような場合、このシステムにより、売り逃しの機会損失を防止することができます。

③他店在庫確認に伴う販売員の確認作業時間の大幅削減
希望するサイズ・色の在庫確認は、まず自店バックヤードの在庫確認から始まります。そして、なかった場合でお客様がどうしても欲しいという場合、近隣の店舗に電話で在庫の問い合わせをします。すると、電話を受けた側の店員がバックヤードに入り在庫確認をして、再びコールバックして、「在庫ありませんでした」と連絡することになります。それでも、お客様が引き下がらない場合は、さらに違う店舗に電話をかけまくる・・・といった、恐ろしい程の無駄な時間が発生します。こうした在庫確認作業をしている間は、販売員は他のお客様の接客に注力できず、更なる販売機会損失を生み出しているのです。このシステムがあれば、問い合わせを受けたお客様と対面したまま他店在庫が確認できるため、そうした機会損失は一切なくなります。

④年間200万枚の在庫受渡伝票の廃止
新聞報道にはこれだけの伝票が削減できると書かれています。在庫の店舗間移動を全てシステム上に乗せるため、店舗間移動のための伝票作成という作業が一切不要になるのでしょう。

⑤店舗間移動を前提とした仕入戦略
新聞報道の記述を以下に引用します。
『例えば同じ衣料品でも都心、郊外など立地の違いで売れるピークは異なる。その時点で最も売れそうな店をパソコン上でシミュレーションし、各店にPDAを通じて在庫移動を指示する。』(引用終)
あくまでも「例えば」ですが、若者ファッションの流行は吉祥寺で始まり、その後渋谷、新宿でブレイクして、しばらくした後藤沢、柏でじわじわ売れる、といったような都心内での立地の違いによる売上動向を丸井が把握していたとすれば、本部から店舗間移動の指示を出すことにより、在庫リスクを低減した仕入戦略が可能となります。

先日、書店の紀伊国屋で他の客と店員のやりとりを立ち聞きしていたところ、紀伊国屋では、他店の在庫検索システムが既に根付いているようで、他店の在庫照会のためのシステムということだけでいえば、既に前例はあります。しかし、「少量多品種化」が徹底したファッション業界に主に身を置く丸井が、首都圏での多店舗展開では他にひけをとらないという強みを活かして、こうしたシステムを導入したとなると、導入効果は絶大でしょう。丸井の外部・内部環境に立脚した、大変効果的な戦略的システム投資であると思われます。

私が学生の頃(もう15年近くも前のことです・・・)、丸井といえば「赤いカード」で、バブルに浮かれた日本中の学生がカードローンで高額なブランド品を購入し、バイト代をローンの支払いに充てる自転車操業の地獄にはまっていました。恥ずかしながら、私も例外ではありませんでした。バブルがはじけたことを実感したとき、丸井もバブルと共に消えていくのでは、とさえ思ったほどでしたが、それから約10年後にアパレル業界に身を置くこととなり、そして今日こうした新聞報道を読む限りでは、丸井は確実に時流を読んで進化を続けていることが伺えます。10年後に丸井がどうなっているのか、想像するだけでも楽しいですね。

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2004年09月14日

インフレ対応型国債と「国」のリスク管理

財務省は今年度、金利や物価が上昇すると利子や元本が増える「インフレ対応型」国債の発行を前年度比6割増やす方針であるとの報道です。インフレ対応型の国債とは、当サイトでは既に紹介してきた、個人向け国債物価連動国債のことです。こうした国債を政府が発行せざるを得ないのは、将来の金利上昇に対する懸念があります。利率が固定した従来型の国債では、将来の金利上昇時に価値が目減りしてしまうことが目に見えていて、誰も買わないからです。
さて、私はファイナンシャル・プランナーとして、個人の方が住宅ローンを組むときは、できるだけ、固定金利で組むように助言しています。なぜなら、変動金利では将来金利が急上昇してしまった場合、毎月の返済額も急上昇して、家計が破綻しかねないからです。同じ理由から、変動金利型の借入をしている企業に対しても、金利スワップのような技術を使って、金利を固定化するよう勧めます。国が個人向け国債や物価連動国債を発行するということは、変動金利型で借入をしているということで、国庫は極めて重大な金利リスクにさらされているといえるでしょう。さて、国はこのような金利リスクに対して、どう備えているのでしょうか?
国庫の細かい事情は知りませんが、国が金利スワップのようなデリバティブを活用して、変動金利を固定化するということは考えにくいです。なぜなら、国の債務といった大規模な債務をヘッジしようとすると、金利スワップ等のデリバティブの市場の需給は崩れ、結果的に割高な資金調達になってしまうからです。
将来金利が上昇するということは、そのときは景気が回復していると考えてよいでしょう。つまり、政府は金利上昇のリスクは景気回復による法人税・所得税の増加で、減殺されると考えているのでしょう。しかし、本当に「金利上昇=景気回復」なのでしょうか?
経済学には「スタグフレーション」という用語があります。野村證券のサイトの用語解説を引用させていただくと、スタグフレーションとは「景気が停滞しているにもかかわらず、インフレーションが続くこと」です。こうした用語があるということは、実際にこうした事態が過去にもあったことを意味し、オイルショック後、物価上昇と景気後退(税収減)が同時に発生したことがありました。当時、各国政府は変動金利建ての債務をほとんど抱えていなかったと思われますが、この先十数年後にスタグフレーションが発生した場合、どうするのでしょうか?大幅増税するか、また国債を大量発行して問題を先送りするかしかないでしょう。
スタグフレーションを懸念して、個人向け国債の発行を中止せよ、などというつもりは毛頭ありません。しかし、先進的な一般企業では、想定しうるあらゆるリスクを洗い出して、そのような事態が発生したときの対抗策を考える、リスク管理を行いつつあります。政府も、変動金利建て債務で資金調達する以上、こうした想定し得るリスクに対抗するシナリオを事前に立てておくべきではないでしょうか?

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2004年09月08日

インボイス社長のインタビュー

最初にお断りしておきますが、本日のエントリーは弊社で発行する有料メールマガジン(最初の1ヶ月は無料)の宣伝を目的とするものになっていることを、予めご了承下さい。
本日の日経朝刊の企業財務面にインボイス社長に対するインタビューが掲載されていました。インボイスは全株主にストックオプションを付与するという、他に前例をみないプランを発表し、株式市場で現在話題になっており、その真意を社長本人に問いただそうというのが、インタビューの趣旨です。
インボイス社長のインタビューを論評するということはあえてしませんが、私が危惧するのは、ネットでインボイス株を売買する個人投資家の方が、こうした社長のインタビューを読んでいるのか、また、読んでわかって、投資をしているのか、ということです。このインタビューに登場する「ストックオプション」や「希薄化」の意味、そしてなぜインボイスのストックオプションが特殊といわれるのか、株式分割と自社株買いの関係・・・こうしたことを何も分からないまま、収入や資産に比して巨額のお金を動かす個人投資家の方が、痛手を負うのではないかと余計なおせっかいながら、不安でなりません。
弊社で発行している有料メールマガジン『ウォーレン・バフェットへの着実な第一歩 ~ 株価の動きを解明する ~』は、株式投資に必須な基礎知識をわかりやすく伝授しようという趣旨のもと、先月より連載を始めました。先月より、まずは株式数と株価の関係に着目して、株式分割、増資といったトピックを扱い、今月はストックオプションをとりあげています。なるべく最新の事例に沿った説明をしようと、株式分割ではライブドア、増資ではマツモトキヨシ、そしてストックオプションではオーソドックスな伊藤園と、そうでないケースとしてインボイスを次週以降のトピックとしてとりあげることを予定しています。ご興味のある方は、こちらのリンクよりお申込み下さい。最初の1ヶ月は無料で購読できます。
なお、インボイスに関しては、あくまでもメルマガは「分かりやすく」に力点を置くため詳細な分析は行いませんが、会計士の磯崎哲也氏という方が運営するisologueというブログに、かなり突っ込んだ分析が法の条文を引用しつつ展開されていますので、興味のある方はそちらをご参照下さい。(ちょっと難しいと思われるかもしれません。)

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2004年09月07日

住宅ローンと証券化

グッドローンがドイツ証券と住宅ローン事業で提携して、グッドローンが保有する住宅ローンの債権をドイツ証券が証券化して販売するとの報道です。基本的には、この仕組みは、2003年10月よりスタートした「民間新型住宅ローン」と同じです。民間新型住宅ローンでは証券化を担うのが住宅金融公庫で、今回の記事では、ドイツ証券が証券化を担うという点が異なる点で、おそらく、ドイツ証券は証券化の事務コストを抑えることで、トータルで低利なローン金利の実現を目指すのでしょう。
住宅ローンの借り手である人々は「証券化という技術によって、民間金融機関が30年近くにわたる長期の貸出しをしやすくなった。」と理解しておけば、それで問題はありません。その背後の仕組みに興味がある方に補足しておくと、一般に住宅ローン市場に参入したがっている民間金融機関は貸出しは30年近くの超長期になりますが、資金の調達は短期資金が主で、そのまま放置しておくと、将来的に逆ざやの問題が発生してしまいます。しかし、証券化という仕組みを通じて貸出債権が売却できれば、こうした逆ざやのリスクは解消されます。では、ローンを販売する金融機関はどのようにして収益を得るのかというと、販売時点のローンの審査や、その後の回収に関する手数料相当分が、ローン販売金融機関の手元に残ることとなり、実質的にはフィービジネスを行っているといえるでしょう。
では、証券化された30年後に満期を迎える債券は誰が買うのでしょうか?考えられるのはやはり生保でしょう。生保の負債はやはり30年以上の超長期で、国債といえど10年満期が主流です。こうしたローン債券を資産に組み入れることで、資産と負債の年限がマッチし、逆ザヤのリスクが低減します。
銀行はROAの向上を目指して、フィー・ビジネスの割合を増やしつつあります。表面的にはやっていることはかわり映えがしないように見えても、10年後の銀行のB/Sはがらりとかわっているかもしれません。

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2004年09月06日

介護保険改革の動向

介護保険の財政悪化に歯止めをかけるための改革案が本日の日経のトップを飾っていました。主なポイントは「①介護施設入所者から居住費用を徴収する②介護サービス事業者の指定を6年毎に更新しサービスの質を確保する③予防に重点を置き筋力トレーニングや栄養改善指導などの新・予防給付を導入する」、といったところでしょうか。
介護保険については、手探りの中、準備不足との批判も受けながら、トライ・アンド・エラーで試行錯誤を繰り返し、年金のように脳死状態になるはるか手前で、ある程度のスピードをもって、小刻みに改革を実施しているという点で評価できます。(もちろん、まだまだ改革のスピード向上の余地は十分あると思われますが)ただ、もちろん現状で満足してはいけないので、あえて批判をするとすれば、「新・予防給付」に関することになります。
介護保険の財政を圧迫させている最大の理由は軽度の要介護者の急増によるもので、軽度の要介護者の発生を最小限にとどめるために、予防給付を実施するというのは、論理的に極めて正論です。しかし、役所が行う筋力トレーニングや栄養改善指導なんて、聞いただけで、退屈そうではないですか?筋力トレーニングなどは、週何日か定期的に行ってはじめて効果が現れると思うのですが、お年寄りがそうした場に参加したいという誘因がなければ、成功し得ないプログラムだと思うのです。実施開始の2009年(準備にこんなに時間をかけていてよいのでしょうか?)までにはまだ時間がありますので、細部にまで細かい配慮をゆきわたらせて、効果的なプログラムになるよう、更なる政府の努力に期待したいものです。

さて、「介護」といえば、今の話題はモブ・ノリオ氏の「介護入門」でしょう。私は文芸春秋で読みましたが、ラップと大麻と介護を結びつけたという時点で、既に個人的な評価は高いです。文芸春秋紙には芥川賞選者の評があり、賛否両論、特に厳しい否定論が多いのに驚きましたが、最も痛烈な批判は河野多恵子氏の「祖母があやつり人形にしかみえなかった」という評であると、私は思いました。前回の「蹴りたい背中」といい、やはり芥川賞に選ばれるだけの小説は面白いですね。お時間のある方は、是非読んでみて、介護問題をソフト・ハードの両面から考える機会を持たれるとよいと思います。

Posted by Ken Kodama at 09:50 | Comments (0)

2004年09月03日

損保ジャパンの無料リスク診断

損保ジャパンが中小企業の無料のリスク診断を行うとのプレスリリースです。以前、当サイトにて損保ジャパンの天候デリバティブに関して紹介させていただきましたが、この2つの商品を見る限りでは、損保ジャパンの戦略には大企業で活用されているリスクマネジメント手法を中小企業の手の届くものにしていこうという意図が見られ、これは私が志すビジネスのスタイルでもあり、個人的に大変好感が持てます。先日紹介した東京三菱銀行のデリバティブを駆使したローンといい、中小企業といえど、最先端の金融技術と無関係ではいられません。
大企業では、リスク管理を総合して扱う部署を設置するところも多くありますが、中小企業ではリスク専任の人材を配置する余裕はありません。無料でレポートを作成してくれるのですから、関心のある企業は是非コンタクトなさるとよろしいと思います。
ただ、こうした「無料のコンサルティング」を受けるにあたって注意せねばならないのは、無料でコンサルティングを行えるのは、保険料にその分のコストが上乗せされているという点です。こうした企業の従業員に悪意がある人がいるなどというつもりはありませんが、仕組みとして保険金額を多くすればするほど、無料のコンサルティングのコストを回収できるようになっています。したがって、診断の結果として加入すべき保険を提示されたなら、その保険金額は妥当であるのか、ご自身で厳しく判断する必要があります。

Posted by Ken Kodama at 19:54 | Comments (0)

2004年09月01日

日経平均連動型の定期預金

新生銀行から金利が日経平均に連動する定期預金が発売されるとの報道です。『「株価上昇型」か「株価下落型」を選び、1年後の株価が預けたときに比べ、予想通りの方向に15%以上、上昇・下落したら金利を1%上乗せする。予想が外れた年も年0.3%の最低金利を保証する。』(引用終)というのが仕組みです。日経新聞には、『こうした商品を日本の銀行が個人向けに販売するのは初めて』と書かれていますが、法人向けには同様の商品は既に発売されており、その下敷きにあったのはデリバティブと呼ばれる金融派生商品の技術です。
先日当サイトで紹介した「金利が上がると支払利息が減るローン」というのも、やはり金利スワップという技術が下敷きにありました。こうした、デリバティブの技術が中小企業や個人向けの商品に使われるのは、最近のトレンドなのかもしれません。しかし、こうした商品の購入を考えていらっしゃる方は、必ずその商品の説明書を細かく書かれている字も含めて、よく読む必要があります。この商品に関してのみいえば、予想が当たれば高めの金利、外れれば低めの金利が適用されるだけのことで、元本割れになるリスクはありません。しかし、法人向けに発売されていた株価リンク債では元本の償還額も株価により異なるタイプのものも存在したため、今後新しい商品が発売されたら、必ずどのようなリスクがあるのかしっかりと確認する必要があります。
こうしたデリバティブを駆使した個人向け金融商品で批判の的となったのがEB(他社株転換社債)です。実はこのEBには、非常にリスクの高い「オプションの売り」のポジションが組み込まれていたのです。「オプションの売り」を組み込むことにより、ある条件のもとでは、高い利率を実現することが可能で、広告の宣伝には、さもリスクがないかのように「9%」という具合に表示していたのですが、株価の動向が期待しない方向にふれて、損を被った方が続出したのです。
あまりにも当たり前の話ですが、高いリターンの裏には高いリスクが常にあると考えてよく、必ず儲かるうまい話など絶対にないのです。変わった金融商品の購入に興味があるのであれば、しっかり調べて勉強した上で、購入していただきたいと思います。

Posted by Ken Kodama at 21:41 | Comments (0)