2005年03月30日

みずほの二の舞だけは・・・

本日の日経新聞4ページには、『三菱UFJ 統合あと半年』と題したコラムの「下」が掲載されています。銀行統合というテーマで、我々の頭に一番最初に浮かぶことは、みずほの統合時に大問題となった、システムの統合でしょう。同コラムによれば、今回の三菱UFJの統合においては、システムの統合を二段階に分けているようで、最初の段階のいわば仮の統合は2005年中に行われます。以下にその概要を引用しておきましょう。

(引用始)
『焦点はシステム完全統合前の「Day1」と呼ばれる段階だ。東京三菱とUFJの二つのシステムを併存させたまま、中継器を使って預金・振込データを双方のシステムに振り分ける。』
(引用終)

この記述だけ読むと、なんとも危なっかしそうなシステム統合に見えてしまいます。企業の合併時のシステム統合トラブルにとどまらず、新システムを導入するときというのは、なにかとトラブルがつきもので、日経コンピュータという雑誌では『動かないコンピュータ』と題した連載が組まれていたほどです。私もかつて会計システムの構築に携わっていましたが、幸いにも本番稼動後にシステムが落ちたりエラーが発見されたり、という事態には至らず、本番稼動後のサポートにおいては手をもてあましたほどでした。
もちろんシステムにより難易度の高低は千差万別ですが、私の成功体験から語らせていただくと、システムの順調な稼動の鍵は、全てのモジュールが完成した後に行われる統合テスト(システムテスト)にあると思います。ここで大事なのは、統合テストにおいて本番環境のデータを使用して、機能面・パフォーマンス面の二面から、手を抜かずにしっかりと検証を行うということです。
なぜテストデータではだめで本番環境の生のデータを使う必要があるかといえば、生のデータには思いもしない意外なデータが含まれているからです。
システムの仕様を決める際には、その部門、ないしシステム担当者のインタビューに依存することが大きいですが、そうした会社のキーマンであるような方にも誤認識が必ずあり、それを実際のデータでつぶしていかねばならないのです。例をあげれば、私の経験では他部門から連携される会計データに、伝票内で貸借が合わないという、会計の常識では考えられないデータが存在し、統合テストでの発見により、本番稼動後のトラブルを未然に防ぐことができました。
システム構築に携わる側としては、過去の議事録をひっぱりだして「ユーザーさんがこうおっしゃったので、その通りにつくって、こういう結果になりました」と、もめごとになった場合は自己の防衛を考えることも大事ですが、今回のように特に社会的にインパクトの大きい案件においては、不具合でレピュテーションにダメージを受けるという点においては、ユーザーもシステムベンダーも利害をともにしていますので、システム統合のベテランであるSE側がリードして、トラブル回避を率先して行うべきでしょう。
もし、現職のSEの方が当サイトを読まれていたら、「そんな簡単のこと言われなくても分かってるよ!予算・スケジュールが足りねえんだよ!」と言われてしまいそうですが、ボトルネックが予算・スケジュールなら、その拡充を要求すればよいだけです。三菱UFJの統合がうまくいくことをお祈りしたいと思います。

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2005年03月29日

ペイオフを機に資産運用を考える

4月からのペイオフ解禁を題材にした記事が本日の日経新聞の3ページにありました。金融専門家10人の意見によれば、3人の方が「一年以内の発動はない」と断言しており、残りの7人は「可能性は極めて低い」とコメントしているとのことで、これだけを見れば、特に我々はアクションをとらなくてもよいような気がしてしまいます。
しかし、銀行に預金をするということは、決済のサービスを享受できるメリットもあるものの、基本的には我々が銀行にお金を貸していることに他なりません。ムーディーズの格付け一覧をご覧になり、預金利息がその銀行の信用リスクを反映しているのかどうか、これを機に熟考されることもよいかと思われます。ペイオフの対象については、本日の新聞紙面にて確認していただくとして、一点だけ、誤解が多い部分を強調しておくと、外貨預金は預金保険の対象外であるというポイントです。ですから、外貨預金という金融商品は販売している金融機関の信用リスクにまともにさらされることになるのです。外貨預金自体の商品性については以前のエントリーにも書きましたが、信用リスクと手数料を考慮に入れると、あまりお勧めできる金融商品であるとは言い難いです。
さて、少し幅広く、今後の個人の資産運用のあり方について、私の意見を述べさせていただくと、洗練された個人の資産運用は2つの方向性に発展していくと思われます。第一の方向性はポートフォリオ理論(MPT)、アセットアロケーションの理論に裏打ちされた、投資信託の活用を主体とする分散投資です。この考え方を個人向けに詳述した本が、マネックス証券の内藤忍氏著の『内藤忍の資産設計塾』です。マネックス証券の方が書いた本ですから、マネックス証券自体、こうした資産運用法を軸とした営業を展開していくと思われますし、また、既にこの考え方にのっとって営業展開しているのがLPL日本証券です。
第二の方向性が、バフェット流の株式による長期投資です。バリュー株を発掘し、長期保有により大きなゲインを得ようとする戦略で、第一の方向性に比べれば、費やす労力(情報収集、財務理論等の学習)は比較にならないほど多く、お仕事に専念したい方は「アセット・アロケーション+ポートフォリオ」、アフター5は全て財テクに費やす覚悟がある方は「バフェット流株式投資」という形態に分岐していくと思われます。
しかし、この2つの方向性は、あくまでも私の予測であり、かつ、「洗練された」個人の資産運用に関わることなので、大半の方は普通預金の巨額の資金を溜め込んでいたり・・・というのが実情だと思います。

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2005年03月28日

コーポレートカードの新たなる可能性

本日は昨日の日経新聞記事よりですが、『ジェーシービー(JCB)はルフトハンザ航空グループのルフトハンザエアプラス(ドイツ)と提携し、欧州企業の日本法人向けに出張旅費などの経費管理を効率化するサービスを始めた(NIKKEI NETより引用)』との報道です。
まずこの新たなサービスの母体となるのが、JCBの発行する「経費決済用法人カード」なるもので、「コーポレート・カード」と呼ばれているのが一般的だと思います。私もかつて会計システムのコンサルとして、コーポレート・カードの導入をクライアント企業に勧めたこともありますが、当時の導入の狙いは「キャッシュレス」にありました。すなわち、決済機能を持つカードを活用することにより、仮払いに伴う現金の授受を廃止し、現金の取り扱いに関わる業務の効率化及びアイドル・キャッシュの削減を狙って、コーポレート・カード導入に踏み切るのが一般的でした。
今回の報道の動きは、JCBがルフトハンザエアプラスと提携することにより、『航空会社名、経路、座席クラスなど通常のクレジットカード利用明細には表示されないデータを把握(日経新聞より引用)』できるようになり、付加的な情報を取り込むことにより、企業の経費管理に役立てようとすることが狙いであり、キャッシュレスよりも一歩進んだ感があります。こうした出張にまつわる経費管理を「ビジネス・トラベル・マネジメント」と呼ぶようです。
この報道とは全く別の最近の潮流として、従業員の立替払いの経費(営業マンの電車での移動や交際費など)の清算を、モバイル上のシステムで管理するアプリが結構販売されているようです。利用する企業の立場にたてば、エアチケットの詳細だけを把握できるよりは、こうした細かい立替払いを含めて総合的に管理できてこそ真の「ビジネス・トラベル・マネジメント」が実現できると考えていることでしょうから、クライアントニーズを掘り下げて考えれば、JCBのようなコーポレートカード発行企業によるモバイルシステム構築会社の買収などという動きも考えられるかもしれません。この手の経費はどの企業にも普遍的に発生するため、マーケットは非常に大きいです。

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2005年03月25日

アンガールズの面白さをどう表現すればよいのか?

とある方より、「このブログもたまには少しはみだした方がよい」とのアドバイスを受けました。それで、といってはなんですが、本日は最近気になってしょうがない、アンガールズについて書いてみようと思います。
私は最近でこそ、テレビを見る時間がめっきりと減りましたが、以前はかなりのテレビジャンキーで、得意分野は「お笑い」でした。「夢であえたら」「ガキの使い」「カノッサの屈辱」・・・といったあの時代のお笑い番組をこよなく愛していたのですが、恥ずかしながら昨年から開花していた、エンタの神様ブームは、今年のお正月番組で初めて知った有様でした。
しかし「昔取った杵柄(きねづか)」を過信して、私はお正月番組だけから、エンタの神様ブームの本質をとらえていたかのごとく思っていたのですが、それはアンガールズを深く知るにつけ、思い上がりであったことが判明したのです。
その思い違いとは、こういうものです。「エンタの神様」ブームというのは、「お笑いの型(かた)への回帰」であると、最初はとらえていました。私は、「お笑い」はダウンタウンによって、完全にその「型(かた)」を破壊されたと認識しています。ダウンタウンの初期の頃のガキの使いでのフリートークというのは、その直前に他を圧倒していた「タモリとさんまの『笑っていいとも』でのフリートーク」ですら、予測可能なパターンの集積であると感じさせてしまうほど、「フリージャズ」の域に迫る「フリートーク」であったはずです。ところが型にはまらない「フリー」なお笑いというのは、かなりの凄腕がないとできません。ダウンタウンの後続の芸人が不毛な「フリー」を排出し続けたために、お笑いはポピュラリティーを失っていき、その流れへの反動が「エンタの神様ブーム」なのだ、と私は認識していました。
確かにこの認識も、大部分において、今でも正しいといってよいでしょう。波田陽区ヒロシレギュラー(あるある探検隊)などを持ち出すまでもなく、エンタの神様芸人の大半はオリジナリティーのある「型(かた)」を作り出し、それにネタをはめていくだけです。(ま、それも面白いのですが)そうした「型(かた)」にはめる笑いは川柳好きの日本人が嫌いなはずはありません。ただ、彼らの作り出した「型(かた)」は、五・七・五のように長持ちはしないでしょうが・・・そしてアンガールズというのは、「じゃんがじゃんが」というあまり見栄えのしない「型(かた)」を持つコンビなのだ、というくらいの認識しか当初はなかったのです。
ところが、彼らの「ファッションモデル」と「すし職人」のショートコント(どちらも5分くらい)を見たのですが、そのときから、彼等は日本のお笑いの歴史の1ページを書き換えるくらいのすごいコンビであるとの認識を深めていったのです。なにがすごいのか・・・残念ながら、私はそれをどう語ればよいのか、わかりません。日経エンターテインメントでは、彼らの笑いは「ニッチな分野の開拓である」といった類のまとめ方をしていましたが、間違いではないものの、極めて表層的な分析です。
ナンシー関が生きていたら彼等をなんと表現するか、非常に気になるところです。しかし、彼女亡き今、その筆力の足元にも及ばない私が、あえて語ろうとするならば、「一見『つっこみ』に見える方が実は『ボケ』、しかも神経症的、かつ過剰分析的、かつ危険」といったあたりに、アンガールズの独自性は見出せるのではないでしょうか?
ダウンタウンの浜田、ナインティナインの矢部、爆笑問題の田中・・・と並べると、これらの人々は、なんと良識のある方に見えることでしょう。ところが、一見『つっこみ』に見える田中卓志のデンジャラスなことといったら・・・はてなダイアリーの山根良顕の説明も、どちらをボケとしたらよいのか戸惑っており、本質をついていると思います。
とまあ、色々書きましたが、「語りつくせない」から「面白い」のであって、アンガールズの笑いが説明されつくされる日が来れば、我々は彼等を見ても「クスリ」ともしないことでしょう。


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2005年03月24日

地価が底を打てば、「持たざる経営」の転機とすべきなのか

ライブドアネタはもうお腹いっぱい、という方のために、土地の話題です。公示地価が底打ちらしいとの報道が今朝の日経一面にありましたが、それを受けて5ページの『底入れ感広がる地価』というコラムでは、『「持たざる経営」転機に』とサブタイトルをうっています。一部同記事を引用したいと思います。

(引用始)
『婦人下着大手のトリンプ・インターナショナル・ジャパンは昨年末、静岡県大東町に二万七千平方㍍の物流センター用地を購入した。自前の物流用地購入は実に十一年ぶり。吉越浩一郎社長は、「地価は底値に達したと判断した」と話す。
不動産証券化協会が昨年末に実施した調査では、上場企業の三割が「不動産を積極的に取得する」と答えた。地価が右肩下がりで下落する過程で主流となった「持たざる経営」は転機を迎えている。』
(引用終)

企業が「持たざる経営」に移行したのは、地価下落だけのためであったのでしょうか?トリンプ社の決定をマネジメント的にどう評価すればよいのでしょうか?トリンプ社の内情は全く知りませんが、結論から言えば、私は正しい判断だと思います。
土地を買うことは、もちろん投資の一つなのですから、その投資が正のNPVを生み出すのであれば、投資は実行する価値があります。この場合、土地を購入することにより支払わなくてすむようになる地代、土地を購入することによる新たな出費(固定資産税等)を見積もり、その永続価値を求め、投資額を差し引いた値が正であれば、土地は買うべきでしょう。
上記はあくまでも投資の一般論ですが、企業が土地を購入する、という場合は、その用途が重要な判断材料となるはずです。小売業の店舗用の用地であれば、将来の来店者数の推移が不透明なため、いくら地価が底を打ったとしても、購入すべきではありません。
トリンプ社はネット販売が主体のようですので、物流はトリンプ社の要となる機能です。物流という機能自体を自前で持つか否かという議論はすべきですが、ひとたび物流を自前で持つと決めたならば、物流機能でコストメリットを得るための積極投資は大いに評価されるて当然です。土地を自社で保有することにより、土地の貸主に流出していたマージンが自社内に蓄えられますし、将来の地価上昇による地代上昇の心配もなくなります。
地価が下がったからといって、一番やってはいけないことは、本業に全く関連のない、「非事業用資産」として土地を購入することです。土地開発のプロでない企業が土地を保有しても有効に活用できず、ROAを押し下げる厄介者となることは目に見えています。また、この土地の含み益を活用しようと経営陣が目論んでいたとするならば、それこそバブル時代の放漫経営が再現したしまうだけです。

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2005年03月23日

ERPに牛耳られるオペレーション・マネジメント

本日着目する記事は、国際面の小さな記事ですが、SAPとの買収合戦の末に、オラクルがリテック社の買収に成功したとの報道です。私は恥ずかしながら、このリテック社なる会社は初耳だったのですが、Retail Technologyの略のようで、小売業界に特化したパッケージ・システムを販売している会社のようです。
今からさかのぼること10年前、私は今は亡き(アクセンチュアに改名)アンダーセン・コンサルティングで、BPR(業務改善)だとかシステム設計という仕事をしていたのですが、当時、ERPシステムというのは今ほど普及しておらず、大企業は自社用のカスタマイズしたシステムをゼロから構築することが一般的でした。今ではほとんどありえないと思いますが、当時私は、カスタムメイドの経理システム(G/Lなど)を構築していました。ところが、2000年問題でのシステム改修の必要性を機に、多くの大企業はSAP等のERPシステムを基幹システムとして採用しはじめたのです。
この方向転換は、ERPパッケージの普及により、単にシステムの作り手が企業内から外部に出た、ということを意味するのではなく、業務フロー自体をERPベンダーから買うことに他なりません。業務フローが古いままで、新しいシステムを導入しても、「意味がない」どころか、日常業務が回っていかなくなる可能性があります。したがって、汎用的なERPパッケージシステムを導入するということは、既存の古い業務を捨て、最新の汎用的な業務フローを受け入れる覚悟に他ならないのです。
もちろん、新しい業務フローを構築することは一筋縄では行きませんが、しかし、ERPソフトと導入コンサルタントの支援を得れば、最前線の業務フロー、すなわちベスト・プラクティスを容易く手に入れることが可能となるのです。(もちろん移行過程にある現場は修羅場と化す恐れもありますが・・・)この流れが更に加速化するとどうなるかというと、各企業はオペレーション・マネジメントの分野において、他を圧倒するような差別化ができなくなる、という状況に行き着くことでしょう。
他を圧倒する業務プロセスと言えば、デルのBTO(在庫を持たない受注生産)が真っ先に浮かびますが、うろ覚えですが、デルのプロセスですら、SAPはサポートしているはずです。また、製造業がトヨタの域に迫るのは至難の業でしょうが、SCM等はERPの標準的な機能であり、10年前よりもトヨタの優位性は薄れてきているはずです。
SAPとオラクルがこれほどまでにリテック社を奪い合ったということは、同社のパッケージが小売業のベスト・プラクティスを内包していると考えるのが自然でしょう。同社がソリューションとして掲げるメニューには、以下のようなものがあります。

● Merchandise Operations Management
● Store & Multi Channel Retailing
● Supply Chain Planning & Optimization
● Supply Chain Execution
● Merchandise Planning & Optimization
● Demand Planning

もちろん、かなり私が誇張した表現をしているという面は否定しませんが、オペレーション・マネジメントにおいて競争優位を確立する、という戦略は、ERPパッケージの深化により不可能となってしまうことでしょう。これから更に10年後には、オペレーション・マネジメントは、もはや、「できて当たり前」の減点評価の対象となり、企業はそれ以外の分野で競争優位を見出さねば、厳しい競争に勝ち抜いてゆけないことでしょう。

Posted by Ken Kodama at 20:22 | Comments (0)

2005年03月22日

日本では置き去りにされてしまった"And Ethics"の視点

本日の日経新聞朝刊の3ページの『市場行政「裁量」に限界』と題した記事は、ニッポン放送問題で露呈した株式市場の問題点に対する規制を考える、という今までの野次馬レベルの記事から一歩掘り下げた内容となっています。
同記事内において、『ニッポン放送株の買収に絡み表面化した市場の課題』と題した表が掲載され、5つの課題が列挙されているため、以下に引用したいと思います。

(引用始)
▽立会外取引
▽TOB
▽大量保有報告書
▽株式分割
▽下方修正条項付転換社債
(引用終)

前二者は「買収防衛」という観点、後三者は「投資家保護」という観点からの課題であるといえるでしょう。「買収防衛」という観点からの規制については、政治家に大きな影響力を持つ財界の面々の後押しにより、既に「合併対価の柔軟化を1年凍結させる」という方向で、会社法改正案に反映されていますが、「投資家保護」という観点の規制はどうしても遅れがちで、多くの問題をはらむMSCB自体への規制の動きについては、一向に聞こえてきません。
一方で、こうした問題に全て規制強化で対応しようとすれば、「市場の円滑な取引に支障が生じる恐れもある(引用)」とする、見解も否定できません。こうした、明らかな市場の抜け穴には、どういうスタンスで望んでいけばよいのでしょうか?
根本的に考えて、日本の株式市場にこうした問題点・歪みが数多く存在するのは、証券会社において「倫理」という観点が欠落しているからに他ならないと私は考えます。もちろん、証券会社も常に前進を続けています。CSFBの「飛ばし」が大問題になったとき、証券各社は、こぞってコンプライアンス(法令順守)機能の強化を実施しました。私も金融業界に身をおいていたこともあり、多少の内情は知っていますが、各社のコンプライアンス部には、証券法務を熟知する精鋭が数名~十数名の規模で配置され、企業の全ての取引を「法に外れていないか」という観点から、日々ウォッチしています。
しかし、例えばこちらの企業のサイトからも分かるように、アメリカではコンプライアンス単独で考えず、「Compliance And Ethics(法令順守と倫理)」というくくりかたで、考えていることが一般的です。コンプライアンスという言葉は既にカタカタ日本語になるくらいに普及しましたが、なぜか後半の「And Ethics」の方は忘れ去られてしまったのです。そして、それは単なる言葉の遊びに留まるのではなく、日本の証券各社のコンプライアンス部のスタッフの多くは、「Ethics」という観点で仕事をしたことがある方は、皆無に近いのではないかと思われます。
証券アナリスト試験では「倫理」も合わせてテストされるようですが、倫理が必要なのは、アナリストのみならず、トレーディング部門でも投資銀行部門でも同じです。「倫理」を忘れた証券会社は、その自らの行いにより、当局の規制でがんじがらめになってしまうという因果応報を忘れてはならないでしょう。

Posted by Ken Kodama at 21:20 | Comments (0)

2005年03月18日

ハナコアラ

私は普段テレビをあまり見ないので、東横線の電車の中のパネルで、このCMを初めて見たとき、驚きと可愛らしさで、思わず声をあげてしまったかもしれません。お仕事中の息抜きに是非ご覧下さい。

ハナコアラ『ウェブの家』

Posted by Ken Kodama at 19:08 | Comments (0)

トイザラス買収 日米の「専門店」の事情の違い

「米玩具専門店最大手トイザラスは17日、米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などの投資会社グループに会社を売却することで合意した(引用)」との報道です。日経新聞はこの買収の背景にあるのが、ウォルマートの攻勢にあるとしています。以下に、日経新聞の記述を引用します。

(引用始)
『トイザラスが身売りに追い込まれた背景にはウォルマート・ストアーズの攻勢がある。世界五十カ国超からの商品調達網と低コスト経営をテコにしたエブリデー・ロープライス(毎日低価格)戦略の展開で、1990年代後半から専門店をなぎ倒してシェアを奪っていった。
米国だけで年間300店超の大量出店の前に、多くの専門店が生存の道を絶たれている。玩具、衣料、食品、宝飾品、音楽CD、DVDソフト、スポーツ用品 ━。いずれの商品でもトップシェアを握るのはウォルマートだ。』
(引用終)

当サイトでは、ダイエー、イトーヨーカ堂をネタに、日本の総合スーパーの苦境について取り上げてきました。そして、日本では総合スーパーよりも専門店で、SCも専門店の集客力だのみ、といった色彩が強かったのですが、アメリカにおいては、ウォルマートの圧勝のようです。なにゆえに、日米の流通事情はかくも違うのでしょうか?
流通専門のコンサルタントの方は確固とした答えを既にお持ちでしょうが、私なりに考えたアメリカの専門店不振の原因を以下に挙げてみたいと思います。

①マークダウンへの不振
ギャップのお店に行かれている方はご存知でしょうが、売れ行き不振の商品はしばらくたつと、大幅な値下げ(マークダウン)をして売られるようになります。もとは、四千円くらいであった商品が二千円をきって売られていた、などということは頻繁にあることで、こうした大幅なマークダウンへの不信感が、ウォルマートのEDLPへの圧倒的な支持へとつながっているのであると考えられます。

②ネットショップの台頭
私はCDと書籍については、大型の専門店でなければ購入しません。なぜならば品揃えが圧倒的だからです。ところが、こうした専門店をはるかに上回る品揃えをそろえているのが、アマゾンなどのネットショップです。しかも、書籍でもコアの部分は中を閲覧でき、音楽についても視聴可能で、モルタル店舗に出向く必要がありません。アメリカでタワーレコードが破産法申請に追い込まれた背景には、ネットショップの台頭があると考えるのが妥当であると思います。

③地理的な商圏の広さ
①と②の理由については、日本についてもあてはまるはずですが、日本では専門店の不振ということはあまり聞きません。それは、恐らく、日本の商圏が地理的に狭く、アメリカのそれが広い、ということにつながってくるのだと思います。
例えば、日本のギャップのコアなお客様は頻繁に店舗を訪れ、マークダウンの状況をチェックしつつ、お買い物を楽しまれているようです。そうしたことが可能になるのは、職場から歩いて数分のところにお店があったり、通勤途中の駅近にお店があったりするからで、これが車を出して30分のところにお店があるのであれば、買うかどうか分からないのにお店に訪れるなどということは起こりえないはずです。


なお、「アメリカ、専門店、ウォルマート」というキーワードでグーグル検索してみたところ、三洋堂書店さんの社内速報なる文書がひっかかりました。昨年10月にCOOの方がアメリカに視察に行かれたようですが、今回のトイザラス買収の背景となるおもちゃの小売事情を実に的確にまとめているので、是非ご参照してみてください。

Posted by Ken Kodama at 10:50 | Comments (0)

2005年03月17日

総合スーパーの行方 ヨーカ堂の進む道

イトーヨーカ堂がショッピングセンター(SC)の開発・運営事業に乗り出すとの報道です。ダイエー、イオン等、他の総合スーパーと呼ばれる業態が苦境にあることは、皆様ご存知の通りです。しかし、その苦境から脱却するための戦略は、各社、かなり異なる様相を呈しており、非常に興味深いです。

①ヨーカ堂は「なんでもやる」道を選択
総合スーパーも、もともとなんでも売るタイプの業態でしたが、私に言わせれば「中途半端に」なんでも売ってきた感があります。その点を反省して、ダイエーは、そのリバイバルプランにおいて、「食品に特化」という決断をしたことは、過去のエントリーでも取り上げたとおりです。下記の過去エントリーをご参照下さい。

ダイエーのリバイバルプランを考える

対するヨーカ堂がSCの開発・運営に乗り出すということは、特化ではなく品揃えの拡大を志向するという、全く対極的な方向性であると見ることができるでしょう。ここで、気になるのが、展開するSCのコンセプトですが、「ライフスタイル」というなんとも漠たるコンセプトとなっているのが気がかりです。ライフスタイルといってしまえば、娯楽から日常生活から、何でも入ってきてしまうからです。例えば、本日の新聞に登場した、テナントを連想させるキーワードを抜書きしてみましょう。輸入ブランド・高級アパレル・シネマコンプレックス・介護用品・フィットネスクラブ・食品スーパー・生活雑貨・・・これらのテナントが集結するSCとは一体なんなのでしょうか???
集客に重要なのは、明確なコンセプトであるというのは、マーケティングの基本原理で、そのコンセプトが「ライフスタイル」と言ってしまった途端、焦点がぼけぼけになってきてしまいます。

②懸念されるデベロッパーとテナントの馴れ合い
今回のSC事業は三井物産との共同出資という形態を取りますが、懸念されるのはデベロッパーとテナントが馴れ合いになってしまわないか、という点です。ヨーカ堂は当然自らが核テナントとして出店するつもりですし、三井物産は同社系列の松竹系のシネマコンプレックス、介護関連給食会社等をテナントとして送り込みたい思惑が見てとれます。デベロッパーとテナントが同じ資本の傘下にあれば、不採算のテナントの退出が迅速になされない可能性があり、SC全体として成功を収めるためには、こうした馴れ合いを排除する規律を持つことが肝要です。

③ダイエーの末路をほうふつさせる総花的な事業構造改革
こうした動きの背後にあるのが、ヨーカ堂の事業構造改革ですが、下記にリンクを掲載いたします。

イトーヨーカ堂グループの事業構造改革について

この事業構造改革にあえて辛口のコメントをすれば、基本戦略は抽象的すぎて方向性が見えず、具体的方針は、これまた何でもありで、盛り込みすぎです。企業が事業ドメインをどう規定するのかというのは難しい問題で、広すぎても狭すぎでも問題ですが、このプランは明らかに広すぎです。ダイエーの凋落の原因の一端は、ドメインが広すぎたことにあるといわれていますが、このプランからどことなく、かつてのダイエー臭が漂ってきます。
最近のヨーカ堂の大きな動きとしては、藤巻氏起用のIYG生活デザイン研究所と、このデベロッパー事業進出ですが、IYG生活デザイン研究所とSCのテナントは競合するはずで、かなり異なる方向性のもとの動きと見ることができます。こうした、全く別方向の大きな新事業を同時期に開始して、ヨーカ堂グループ全体としてまとめきれるのでしょうか?
総合スーパー各社にとって、今後2~3年で新たな方向性の下で確実な成果を収めることが鍵となるでしょう。その時点での勝ち組スーパーは、どこなのでしょうか?興味がつきない流通業です。

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2005年03月16日

50年国債 出たら買うべきか?

欧州で50年物などの、超長期国債の発行が相次いでいるとの報道です。日本で発行された物価連動国債なども、先にイギリスで発行されており、日本政府もいずれは超長期国債の発行を検討することになると予測されます。
一般的には、金利は満期が長くなるほど高くなると考えておいてよいでしょう。(まれに、金利の低下が予測されるときには、満期が長いほど金利が低くなる場合もあります。)そうであるならば、金利は10年満期より20年満期、20年満期より50年満期の方が高くなります。国債を発行しているのは政府に変わりないわけですから、もし50年満期の国債が日本で発売されたなら、我々は運用手段として高い利率の50年国債を買うべきなのでしょうか?
結論から言えば、我々個人の資産運用手段として、50年物国債を使うことは考えない方がよいでしょう。ほとんどの人にとって、50年物国債の満期が来る前に、自分の寿命の方が先に訪れるはずです。満期に国債が償還されるのであれば、元本通りの金額が受け取れますが、満期前に国債を売却すると、その時の金利動向により、元本通りの金額を受け取れない可能性があります。金利が上昇していれば債券価格は下落し、途中売却により受け取る金額は元本より小さくなってしまいます。
しかも、この債券価格の変動というのは満期が長いほど大きいのです。つまり、金利が上昇した場合に10年物国債の価格の下落より50物国債の価格の下落の方が、はるかに大きいわけです。したがって、お金が必要になったときに50年物国債を売却するとき、運悪く金利が上昇していたら、かなり大きな損失を被ることを覚悟せねばなりません。
債券で運用をするときは、必ず満期を意識する必要があります。ご自身のライフプランを立ててみて、資金が必要となるタイミングより後に満期が訪れるような債券で、運用をすべきではありません。

Posted by Ken Kodama at 19:09 | Comments (0)

2005年03月15日

バタイユの普遍経済学とニッポン放送騒動

昨日眠る前の本として何か読みたいな、と思いつつ本棚に目をやると、私が大学生の頃に読んだ、ジョルジュ・バタイユ著の『呪われた部分』が目につきました。私の学生時代は、浅田彰や中沢新一といったポストモダンの思想家が顔をきかせていた時代で、バタイユは彼らに影響を与えたフランスの思想家です。なぜ、この本を再び手にとってみようかと思ったのかといえば、『普遍経済学』とのサブタイトルが目についたからです。
ホリエモンはMSCBで資金調達してしまったがために、ライブドアの株価がずるずると下げていくこととなります。その上、コスト度外視で、ばか高い値でニッポン放送株を市場から買い集め続けており、これは長い目で見ればライブドアの企業価値を低めることにほかなりません。しかし、彼はライブドアの筆頭株主でもあるわけで、そうしたことを続ければ自らの懐を痛める結果にもなるわけです。「経済学」という学問では、自らの懐を痛めることがわかっていながら行動するような、非合理的な人間の存在を認めようとしません。というか、そういう人の存在を認めると「経済学」自体が成立しえなくなってしまうのです。しかし、世の中を見渡すと「経済学」に反したホリエモンのような行いは結構行われているわけで、そうした一見すると「経済学」に反する事象を「普遍経済学」という枠組みで説明しようとしたのが、このバタイユの『呪われた部分』なのです。
同書の中では、アメリカ・インディアンのポトラッチなる風習が取り上げられていますが、以下に一部記述を引用してみたいと思います。

(引用始)
『ポトラッチは商業と同じく富の流通手段ではあるが、しかし出し惜しみを排斥する。それは大抵の場合、侮辱し、挑撥し、債務を負わせる目的で、ある首長からその競争者に提供される、莫大な富の公式贈与のかたちをとる。受像者は屈辱をそそぐべく、挑戦に応じざるをえず、受納によって負わされた義務を果たさねばならない。しばらく時をおいて、最初のものよりもさらに気前のいい、新たなポトラッチによる以外に返報のしようはない。高利を添えて返さざるをえないわけだ。
贈与がポトラッチの唯一の形式ではない。富の荘厳な破壊でもって競争相手に挑戦することもある。
(引用終、強調は私)

このような一見無意味に見えるポトラッチの末に獲得されるものは何なのか?バタイユはそれは身分であるとしています。

(引用始)
『なるほど「ポトラッチ」は損失の欲望に還元できるものではないが、しかしそれが贈与者にもたらすものは返しの贈与の不可避的増加ではなく、最後に打ち勝つ者にそれが授ける「身分」である。』
(引用終)

「NPVがプラスになるから投資を実行する」「リスクに見合ったリターンを求める」・・・経済学、ファイナンスの常識が通用しない事象が多く垣間見られるのが、M&Aの舞台においてです。なぜなら、(敵対的)M&Aは一種の祝祭であり、ホリエモンも「これは祭りだ」と思ってるはずです。「祭り」には「祭り」の論理で対抗する必要もあり、そうした上で、バタイユの『呪われた部分』は我々ビジネスマンにも、今後多くの示唆を与えてくれるのかもしれません。

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2005年03月12日

ビジネスプラン・コンテストの様相に フジVSライブドア

「ライブドアがニッポン放送のフジテレビジョンに対する新株予約権の発行による増資差し止めを求めた仮処分申請で、東京地裁(鹿子木康裁判長)は11日、「フジサンケイグループ経営陣の支配権維持が主目的で、不公正発行に当たる」として、予約権の発行を差し止める決定をした(引用)」との報道です。
私が改めていうまでもなく、この両者の争いの真の源をたどれば、「じいさん」連中の支配構造を破壊して、経済界で頭角を現そうとする堀江氏の支配欲と、そうはさせじとするフジテレビ・ニッポン放送経営陣の抵抗に他ならず、そして、この問題がこれほどまでに報道で大きく取り上げられるのは、(おおまかにいって)若年層は堀江氏に、中高年層は現経営陣側に肩入れするという、世代間闘争という側面があるからに他なりません。
しかし、裁判ともなれば、世代間闘争などということを争うわけにもいかず、争点はニッポン放送株主の「株主利益」というテーマになり、それを両陣営が争うというのは、私には滑稽ですらあります。
最近報道でも取り上げられてきたように、ライブドアをはじめとする新興企業の多くが、これほどまでにハイペースで成長を遂げてきたのは、株式分割によるところが大きいといってよいでしょう。株式分割は企業価値になんらプラスに作用しないのに、個人投資家の錯覚を利用して自社の株価をつりあげて資金調達をしてきた企業が、「株主価値」向上を謳って、裁判で訴えられる側ではなく、訴える側に回るというのは、全くナンセンスです。
一方で、フジ側も長年の資本構造の歪みを放置してきた企業が、なにを今更「株主価値」なんだ、という感もあります。
しかしながら、こうした裁判の場で、両陣営のビジネスプランの片鱗が見えたことは、大変興味深いことです。買収により企業価値がどう変化すると両陣営が考えているのか、簡単にまとめてみたいと思います。

【ライブドアのビジネスプラン】
ライブドアの主張しているニッポン放送の企業価値増加のためのプランのコアの部分は、私なりの言葉でまとめると以下のようになります。

「現ラジオリスナーをライブドアポータルに移動させることにより、ライブドアの広告収入が増加し、その70%をニッポン放送に還元する。」

もちろん、上記はコアな部分を抜き出したものだけで、ラジオとインターネットというメディアを融合させる上でのディテールのアイデアは、面白いと思わせるものもあり、その点ではライブドアのプランを評価したいと思います。
しかし、これだけ世間を騒がせる買収の果てに実現される株主価値の向上というのは、株価が12,493円から13,808円へ上昇することによる、わずか10%足らずのものです。また、この10%足らずの株価上昇の前提となっている数値根拠は、「コアリスナー1,050万人が3年間でライブドアの顧客となる」とのものですが、皆さんのお知り合いの10人に1人がニッポン放送のコアリスナーなのでしょうか?また、その人たちは皆、ラジオのパーソナリティの呼びかけに応じて、ほいほいとライブドアに会員登録するお人よしなのでしょうか?
ネットとラジオの融合策については、敬意を払うべき新奇なアイデアも多く見られますが、どうしても「ニッポン放送の株主価値の増加」というゴールが先にありきですから、その数値をプラスにもっていくために、多くの前提条件にお化粧を行っている点が難点です。仮に、このプランを持って銀行借入を申し込んでも、100%融資は実行されないでしょう。「アイデアは良いが、数値化を正当化するには至らない」と、そんなところでしょうか?ですから、ライブドアによるニッポン放送の買収が成立したときに笑うのは、ニッポン放送の株主でもライブドアの株主でもなく、堀江氏本人とそれに肩入れする若い世代であり、その笑いは経済的価値の増加によるものではなく、支配欲が満たされたものであることに他ならないのです。

【ニッポン放送のビジネスプラン】
ニッポン放送側は、ライブドアに支配されることにより、どれだけ企業価値を損なわれるかを言えばよいので、「ビジネスプラン」と呼ぶのははばかられますが、この裁判により、貴重なセグメント情報が公開されたことは、我々にとっては興味深い反面、重要な情報が流出せざるを得なかったことは問題でしょう。買収騒動に巻き込まれると、こうした情報まで開示せざるを得ないという点を肝に銘じた上で、他の上場企業は買収対抗策を練り上げる必要があります。以下に「フジサンケイグループから離れることによる損失」の金額を列挙しておきます。

① イベント事業関連の売上減少
 売上 ▲71億円 粗利益 ▲28億円
② ポニーキャニオンの映像事業の収益減
 売上 ▲234億円 粗利益 ▲80億円
③ ビッグショットの広告・イベント運営・販促プレミアム等の収益減
 売上 ▲29億円 粗利益 ▲4.2億円
④フジサンケイエージェンシーの保険収入の減少
 売上 ▲10.65億円 粗利益 ▲1.83億円

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2005年03月11日

IBMはどこに向かうのか

IBMとGEが「選択と集中」により、最高益を上げたとの報道が、日経新聞の国際面にありました。新聞記事は両社の「株主への手紙」に則した内容となっていますので、当サイトではIBMの「株主への手紙」の内容について触れることと致します。原文は英語ですが、以下のサイトをご参照下さい。

IBM 2004 Annual Report; Chariman's Letter

細かい表現面でも、例えばIBM社を株主への手紙なので「Your Company(あなたの会社)」としていたりする点も面白いですが、この手紙の要旨を日経新聞が簡潔にまとめているので、引用したみたいと思います。

(引用始)
『「IT企業は研究開発重視型と大量生産販売型に二極分化しつつある」としたうえで、「IBMは高い付加価値を生む革新技術にこだわる」と強調。コモディティ(日用品)化した事業の縮小・撤退を続けてきたと説明した。』

『事業領域の面では「消費者向けでは強さを発揮できず、企業向けに特化する」と指摘。』
(引用終)

では、同記事の言うところの「高い付加価値」は何なのかといえば、「株主への手紙」の中では、「On Demand(オン・デマンド)」というキーワードが何度も登場します。つまり、顧客企業が要求する新しいビジネスモデルの構築を、新しいテクノロジーのインフラを使って構築していくことが、IBMの向かう方向性であるといえます。これは、私の古巣のアンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)の事業領域とかなりかぶるもので、違いはテクノロジーのハードに関わる部分を製造しているか否かといった点くらいでしょう。こういう方向にシフトしていくということは、2002年のPWCコンサルティングの買収から見られるように、目新しいことではないのですが、この方向性での実行(Execution)を迷うことなく推し進めていくというのが、2005年のIBMの方向性であるといってよいでしょう。
実際にこうした方向性が吉と出るか否かは数年経過してみないと明らかになりませんが、少なくとも言えるのは、IBMは過去の著しい業績低迷を深刻に受け止め、4~5年周期で、自社のビジネスの根源を問い直す体質が身についたということです。環境変化の激しいITビジネスにおいては不可欠な姿勢で、そうした問い直しを行うことができるようになったこと自体が、既にIBMの強みであるといっても過言ではないでしょう。

Posted by Ken Kodama at 13:13 | Comments (0)

2005年03月09日

新株売買翌日に VS 神業を持つオバチャン

このブログも影響力を持ち始めたのか、先日の私のエントリーが証券各社の動きを後押ししたようです。「証券各社は株式の決済会社である証券保管振替機構と組み、企業が株式分割した後の新株を分割翌日から売買できるようにする方針を固めた(引用)」との報道です。(もちろん、冒頭文は真に受けないで下さいね・・・)
実は、既に紙の株券を廃止して、全て電子株券に置き換えようという動きがありますが、その制度が動き出すのは2009年といわれています。電子株券案の詳細については、下記をご参照下さい。

株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案

したがって、今回の証券各社と証券保管振替機構(保振)の動きは、あくまでも暫定的なものとなります。具体的には証券各社と保振がどのようなことを行うかというと、以下の日経新聞の記述を引用させていただきます。

(引用始)
「同機構に参加する証券会社や銀行などが自社の口座内で、分割した分だけ株数を計算上増加させる仕組み。」
(引用終)

したがって、保振に保管される実際の株券の券面上の株数と、保振及び証券各社のシステム上の株数の間に不一致が生じる期間が約1ヶ月発生することになります。色々とイレギュラーなケースを考え出すと、私であれば、特に保振のシステムの仕様変更にはタッチしたくないな、という気になってしまいますが、この仕様変更により、約3年も前倒しで市場の歪みが正されて社会的意義が大きいわけですから、担当されることとなったSEの方は、胸を張って職務にあたっていただければと思います。
今日は天気がよく気分が良いので、あまり明かさない私の過去をご紹介すると、大学2年生のときに行ったアルバイトが、今は無き「株券の名義書換」というものです。当時、バブル真っ盛りで、株取引は大変活発でした。
まだ、保振などというものはありませんでしたから、株の売買が行われれば、必ず、名義書換を行わねばなりません。当時の「名義書換」とは、株券の裏に新たな保有者の名前を書くことです。大口の保有者であれば、ゴム印を使用して、ぺたぺた名義を押していくのですが、文字通り目にも止まらぬ速さでゴム印を押していく神業を持ったオバチャンたちが、証券代行会社というところで働いていたものです。
私も夏の間だけ、その証券代行会社で働いたのですが、輪ゴムで束ねられた株券が、洗濯物を取り込むときに使うカゴのようなものに、無造作に放り込まれ、まるで工場でモノを作るかのごとく、株券が処理されていく光景に、少なからずショックを覚えた記憶があります。
証券代行会社は何社かあったと思いますが、少なくとも1日の株商いの4割近くの、巨額の富があの場所に集結していたはずです。そして、その巨額の富を横目に、3時になるとオバチャン達は、突如としてまな板と包丁を取り出し、りんごの皮むきを始めるのです。そのアンバランスな光景を目前にしたことが、後の私の人格形成に影響を与えたかどうかは定かではありません。
あのオバチャンたちの神業は、今はどこでどう伝承されているのでしょうか?

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2005年03月08日

どこに行ったか、ソニーのソフトとハードの融合という夢

ソニーの出井氏が退任し、後任に外国人のCEOが誕生するとの報道です。ソニーほどの規模の企業で、外資が入り込むわけでもなく、外国人のCEOが誕生するのは、ソニーの文化ならではという感じで、外国人のトップが誕生しうる柔軟な土壌を持っている点は高く評価できるといえるでしょう。ただし、今後のソニーの経営を考える上で、いくつかの疑問がないわけではありません。
まず第一に本社機能が日本にありながら、CEOがアメリカに滞在するというポイントです。いくらメールやテレビ電話等のIT技術が発達したとはいえ、このレベルのエグゼクティブはミーティング中心で、時差の問題で、全社的な問題に関わるミーティングの時間が十分とれないであろうとの懸念が生じます。また、日本に住居を移すことなく、アメリカから日本の会社を経営しようなどというのは、ストリンガー氏に「やる気」があるのか、という観点からも疑問です。
第二の問題点はより本質的ですが、「ソフト→ストリンガー、ハード→中鉢」という役割分担ができあがってしまっていることです。本日の日経紙面にはソニーの株価チャートが掲載されていましたが、2000年度に急上昇し、その後急落し、最後には出井氏就任時のときよりも値を下げ、ピーク時の一割近くの株価となってしまっています。もちろん、原因は一つではありませんが、この大きな流れをあえて一言で説明するならば、「ソフトとハードの融合は幻にすぎなかったと市場が気づいた」といったところでしょう。
もちろん、個々の部門、とりわけハードの立て直しに注力することはソニーにとって必要なことですが、ソニーが目指そうとしていたものの原点であるソフトとハードの融合を実現させないことには、失われた企業価値の復活は難しいといわざるを得ません。ソニーの長期的な課題が、「1+1」を3に4に5にしていくプランを練り上げることなのに、それらを統合することに専念するポジションが一見するとないことに、大きな不安を覚えます。
ストリンガー氏は自らの後任であるソフト部門のヘッドを米国で養成し、東京に拠点を移して、真の意味での全社的な融合策、経営資源配分に注力する体制を築き上げることが、ソニーの真の復活の原点となるといえるでしょう。

Posted by Ken Kodama at 10:12 | Comments (0)

2005年03月07日

大幅株式分割に指針

東証が、「大幅な株式分割に伴う株価の異常な高騰を避けるために指針を設け、転換社債型新株予約権付社債(CB)を発行後間もない企業には分割の自粛を求める(引用)」との報道です。
株式投資を行う人にとって必須の非常に基本的な知識ですが、株式分割を行っても、1株あたりの本質的な価値は変わることはありません。100分割であるならば、それは1万円札を100円玉100枚に両替してもらったことと同じで、100円玉100枚の方が1万円札1枚より価値がある、などという人は決していないのに、なぜか株式になると、こうした基本的な事柄が見えなくなってしまう人が結構いるものです。その裏返しである、形式的減資は、100円玉100枚を1万円札1枚にかえてもらうのと同じことで、減資で株主の価値が減るのは、その後第三者からの増資が確定した時点です。減資については、過去に書いた過去のエントリーが参考になるのでご参照下さい。

大京再建と「減資による株主責任の明確化」

では実際問題として、なぜ株式分割に伴って株価が乱高下するかといえば、その仕組みについて、本日の日経新聞の記述を引用したいと思います。

(引用始)
「ただ、現行制度の下では、新たに発行される九株が株主の手元に届くには株券の印刷などで一ヵ月半ほどかかる。この期間に既存の株主は売りたくても旧株の一株しか売れない。このため、市場に出回る株式数が実態に比べ極端に少なくなり、わずかな買いでも株価は上昇しやすくなる。」
(引用終、強調の太字は私の判断)

基本的に私は、こうした市場の明らかな歪みに東証が乗り出してくれることは、健全な市場の育成という観点から大歓迎ですが、今回の株式分割の指針については、「企業にさらに詳細な情報開示を求める」としている方向性に多少疑問を感じます。株式分割に伴って株価が乱高下するのは、上記に引用したとおり、子株の流通までに約1月ほどのタイムラグがある点であり、そのタイムラグの主因は「株券の印刷のため」とされています。私は株券を発行する実際の事務手続きには明るくないのですが、なぜ印刷するだけに1ヶ月もかかるのでしょう?仮に実際1ヶ月かかるとしても、なぜ分割と同時に子株を売却できるように、タイミングを調整できないのでしょうか?なんらかの事情はあるとは思いますが、それは実にくだらない事務上の問題であると推測され、いくらでも工夫によってこうしたタイムラグを解消できることは可能であると思います。
分割により乱高下してしまった企業の株価のチャートの一例が、最近西武球団買収に名乗りをあげたインボイスであり、ライブドアもまた然りです。株式分割に伴う乱高下の最高値で株を買ってしまった人は、それは本人が株式投資の基本的知識すら習得することなく火遊びをしたことによる自業自得とも言えます。ただ、その一方で、そうした間抜けな個人投資家を利用して自社の株価をつりあげ、より多くの資金を調達して自らの支配欲を満たそうとする、私から言わせれば「悪質」に見える経営者が、特に新興市場に多く存在することも、事実であるといってよいでしょう。
一部のケースを除いては、既存の株主軽視も甚だしい、MSCB(Moving Strike Convertible Bond)ですが、これはisologueの記述で教えてもらったことですが、同じ用語で検索してもひっかかるのは日本語のサイトのみです。このことから「推測」できるのは、日本に比べた場合のマネーリテラシー先進国であるアメリカでは、こうした既存株主軽視の資金調達手段は認められていないのか、可能であっても、市場の浄化作用により淘汰されていくのだと思います(あくまでも私の推測で、本当の事情は定かではありませんが)。株式投資においても、日常生活で発揮しているような「常識」が働きさえすれば、そもそもこうした規制すら必要ないはずなのです。

Posted by Ken Kodama at 10:20 | Comments (0)

2005年03月04日

公開企業 VS 同族経営 西武問題

ネット上のソース記事を引用するまでもない、西武問題ですが、本日の日経新聞には、企業経営の根幹に関わる興味深い記述がありました。西武問題は、堤氏の個人的意識の欠落と片付けてよい問題では決してありません。現在ベンチャー企業のIPOブームですが、そうしたベンチャー企業のオーナー経営者も自らの利益と他の株主の利益相反という問題をあまり意識していないケースが多く、我々がこの問題からきちんと学ばねば、第二第三の西武問題が起こることが考えられるからです。

【企業価値を引き下げると相続税が減る???】
まず、本日の日経新聞から部分的に引用をしたいと思います。

(引用始)
「加えて、収益力を抑制することはコクドの企業価値を引き下げることになり、堤前会長から後継者への将来の相続税の節約につなげようとも考えていたようだ。」
(引用終)

大企業の経営しかしらない方は、中小企業が自らの企業価値を減らそうとして様々な手を尽くしいると聞くとびっくりされるかもしれませんが、これは相続税の軽減を目的としているからです。相続税を軽減するためには、株式の価値を減らすことが有効であり、そのためには利益を減らすことが有効な手段であったりするのです。例えば、日興コーディアル証券の事業承継対策とのタイトルがつけられたページには以下の記述があります。

(引用始)
3. 利益の引下げ
短期的な対策としては、次のようなものがあります。
・不良在庫処分
・不良債権償却
・固定資産の売却損の計上
・従業員への決算賞与支給
・役員退職金の支給
中長期的な対策としては、次のようなものがあります。
・減価償却資産の購入
・レバレッジド・リースまたはオペレーティング・リースの導入
・生命保険への加入
(引用終)

同様の記述はファイナンシャルプランナーのテキストにも頻出されており、これが同族経営の経営者に対するアドバイスの常套句なのですが、こうしたことを株式公開企業が行っては、他の株主との利益相反になるため、絶対行ってはならないのはいうまでもありません。
確かに、今回このようなことが行われたのはコクドという非公開会社ですが、傘下に西武鉄道のような上場企業を抱えているのであれば、他の株主と利害をともにする覚悟で経営に当たらねばなりません。
そのためにまず行うべき第一のステップが資本関係の透明化です。ニッポン放送買収も、元をたどれば資本関係のゆがみがあったことが原因です。歴史のある企業グループは非常に複雑な資本関係を有しているのが常ですが、そうした複雑な構造になった経緯を調べると、現時点ではあまり意味のないことが多いものです。透明性の高い資本関係を再構築する動きが、ニッポン放送・西武問題を受けて、日本で加速化していくことを希望します。

【過度な負債は企業価値を損なう】
第二のポイントを知る上で有用な記述を日経新聞より引用します。

(引用始)
「80年代後半から90年代初めにかけて、コクドは毎期50億~140億円の営業利益を上げていた。一方で60億~170億円の借入金金利を払い続け、最終利益は1億~2億円台まで圧縮された。課税対象となる法人所得と最終利益は必ずしも一致しないが、重い金利負担は所得減らしに結びつく。」
(引用終)

負債による節税メリットが企業価値を向上させることは、当サイトでも繰り返しお伝えしてきましたが、度を越えた負債への依存は企業価値を損なうということも、財務理論上知られています。これがMMの第三定理で、財務破綻に伴うコストの存在により、ある水準を超えた負債は企業価値にとってマイナスに作用すると言われています。企業価値向上のために負債を活用するには、要はバランスが肝心であるということです。

Posted by Ken Kodama at 11:07 | Comments (0)

2005年03月03日

ダイエーのリバイバルプランを考える

ダイエーの支援先が丸紅グループに決まったとの報道ですが、本日は債権放棄・優先株うんぬんという技術的な問題を離れ、再生プランの中身を考えてみたいと思います。

①食品のSPAを目指す
丸紅グループが支援を引き受ける最大の強みは、同グループの食品分野におけるプレゼンスです。丸紅の食品分野の商社機能に加え、食品卸も系列に抱えており、それに今回、消費者としてのインターフェースであるダイエーが加わるのですから、丸紅グループとして、食品分野のSPAを志向して垂直統合を加速させていくべきでしょう。ここで、重要なのは、グループ全体で最適解を見出そうと一丸となることであり、卸業者が保身に徹したり、ダイエーがデータを出し渋るといったばらばらな行動が出れば、丸紅がリードをとる意味は消滅してしまうことでしょう。

②何が「集客力」となるのかを深く考える
今朝の一面には「ダイエー再建 多難な船出」と題したコラムがあり、その中に以下のような記述がありましたので引用します。

(引用始)
「総合的な品揃えをやめてしまえば、集客力が衰え、強みの食品も売上を維持できなくなるかもしれない。」一部の店長からは再生機構の計画に対し不安の声が寄せられている。
(引用終)

一見、しごく正当な意見ですが、「総合的な品揃え」をすれば集客できるというのは、私に言わせれば妄想にすぎず、その妄想がダイエー、そして総合スーパー全体の地盤沈下を招いているのだと私は考えます。強みである食品分野に、どのような売場を追加していくかは、かなり微細な地域特性を考慮に入れなければなりません。
あくまでも「例えば」ですが、国府津あたりなら、衣料もインテリアも食品に加えれば意味を持つかもしれませんが、中野でダイエーが自前の衣料売場を持つことは、よほどの奇策がない限り、無意味です。
では専門店の誘致となりますが、その場合はレントの交渉が重要で、以下に日経新聞の記述を引用します。

(引用始)
「店内に専門店を誘致しようとしても家賃を確安に設定しなければならず、直営よりも赤字幅が広がる例があるという。」
(引用終)

専門店は自らの集客力に自信があるため、かなり割安なレントを要求してくるのが一般的です。しかし、その割安なレントに見合うだけの集客を食品分野の売上向上につなげるという数値根拠を得ることができない限り、安易な専門店誘致は避けるべきでしょう。なお、アパレルの専門店を総合スーパーが自前で持ってしまおうというのが、ヨーカドーによる藤巻氏の起用の企図するところなのでしょうが、総合スーパーの負うべきリスクとしては大きすぎるような気がしますし、ヨーカドー全店舗で売れる衣料品などというコンセプトは存在しない気もします。お手並み拝見といったところです。
専門店誘致だけが集客策ではなく、例えば最近話題のコミュニティービジネスの考え方やリテールファインナンスの窓口の誘致等、集客策はいくらでもあります。重要なのは、その費用対効果と微細な地域特性にマッチしているか否かというポイントで、売場構成の決定権を各店舗レベルまで落とさねば、深い洞察に基づいた集客は難しいのではないかと思います。

③「食品に特化」という「中の上」のプラン
私が仕事でダイエー再生を引き受けたとしたならば(もちろんありえませんが)、やはり自らの保身のため「食品に特化」という無難なプランを提示していたでしょうが、このプランは、MBA流の「選択と集中」という無難な解という感が否めません。
例えば、ガースナーがIBMという巨象を躍らせてしまった「ソリューション」のような、それくらい斬新なプランでないと、ダイエー、そしてひいては総合スーパー全体の逆転劇はおきないのではないかと私は思います。その際の考えるべきポイントは、私が②で述べた集客力であると思います。BMW出身の女性社長に期待したいところです。

Posted by Ken Kodama at 14:47 | Comments (0)

2005年03月01日

「サプライ」がアキレス腱に

トヨタがJR貨物、日本通運と組み、2006年秋から専用貨物列車を使って自動車部品の輸送を始めるとの報道で、背後にあるのは二酸化炭素排出削減という環境上の要請です。
これまで自動車業界に関連するエントリーをいくつか書いてきましたが、どうやらキーはサプライにあるようです。新潟の震災でにわかに注目を浴びた製造業のBCPですが、製造業のBCPを厄介にしているのは複雑なサプライチェーンを有しているからに他なりません。また、鋼材の需給逼迫も当然ながらサプライの重要な問題ですし、今回の環境への配慮からのロジスティクスの見直しも、やはり「サプライ」に包含される問題です。以下は当サイトの関連するエントリーです。

自動車鋼材需給ひっ迫とSCMの更なる深化

製造業のBCP

SCMとBCPは両立するのか ~LNG輸出の削減~

トヨタのカンバンシステムはサプライが円滑であることを暗黙裡の前提としてきましたが、この基盤を揺るがすような大きな潮流が続くようであれば、場合によっては、生産管理の思想までも根本的に見直す必要が生じてくるのかもしれません。今回の物流と二酸化炭素排出の問題にしても、在庫を抑えようとすれば必然的に輸送回数は増加し、本質的には在庫低減と二酸化炭素排出の抑制は相容れないものであるはずです。
こうした深遠な問題に「購買」「生産管理」といった部門毎の縦割り組織で対応しようとすると、必ず矛盾が生じるものです。奥田-張体制は私の印象では販売・グローバル展開に重点を置いていた感がしますが、渡辺新社長が取り組むべき課題はトヨタの根源に迫るもので、そうした意味では社長交代、役員一新のタイミングは正に時機をとらえたものであったといえるでしょう。
カンバンを更に進化させていくのか、あるいは新しい世紀にふさわしい生産体制を築いていくのか、いずれにせよ、今後もトヨタの動向から目を離せないことだけは確かです。

Posted by Ken Kodama at 20:56 | Comments (0)