本日の日経新聞の15ページにモスフードサービスの経常利益が前年同期比の6%減となる見込みが報じられました。実は、私は先月からモスバーガーを語りたくて、うずうずしていたのです。
先月、何気なく遅いお昼を食べようと馴染みのモスバーガーを訪れたのですが、入ってその「異変」に気がつくことになります。まず、メニュー。例えば本日の日経新聞に出ているような「匠十段」のような、おいしそうで、かつ、お高いメニューがずらり。食べたかったのですが、お昼ということもあり、いつも食べてるスタンダードな「モスバーガーセット」で我慢しました。そして、店内で食べようと席をさがすと、なんと木目調の落ち着いた内装に変わっているではありませんか!!そう、これが緑モスであり、マックが百円メニューの投入で低価格化路線を進めている中で、モスは全く異なる道を歩みはじめていたのです。
はっきりとしたデータはもっていませんが、こうした動きが始まる以前のファーストフードバーガー店の客単価は500円を切るくらいだったと思います。そこから、マックは客単価の引き下げによる客数増を志向し、モスは客単価の増加による粗利益増加を志向したのです。ところが、両者にとって共通の誤算がありました。それは需要の価格弾力性です。平たく言えば、商品の価格を増減させたとき、どれくらい需要が変化するか、ということです。モスは、高価格路線に走った結果、思った以上の客数減に苦しむことになります。マックは、目算以上の客数増に沸くこととなりますが、予想以上にワンコインメニューへ注文がシフトしてしまい、客単価の下落が客数増によって補いきれないレベルになってしまったのです。ハンバーガーの価格弾力性は両社が思う以上に高かった、ということです。
100円ショップ主導のワンコインデフレ(私の造語です)が現在進行中である中、モスバーガーの高級化路線は「博打」とも呼ぶべき思い切ったものです。千円の高級バーガーなどは、もはや「ディナー」の領域です。といっても、私の知る限りではモスバーガーではライスもなく、お酒も注文できず、一体どういうシチュエーションの人が「匠十段」を食べたくなるのか、私には理解不能です。加えて、セルフサービスであり、おいしいとはいえ、マニュアル通りにアルバイトが作っていることには変わらず、それなら腕のある料理人の作った「ディナー」を私は選びます。新しい「食」のあり方を提案するなり、腹を据えてファミレスとの競合を志向するなどしないと、利益の減少には歯止めがかからないことでしょう。
今後とも、バーガーの雄2社の動向からも目が離せません。引き続き、街角レポートを提供していきたと思います(笑)。
本日の日経金融新聞の一面には『長者囲い込み 群雄競う』とのタイトルで、富裕層の資産運用ビジネスについての記事が掲載されていました。そこで幾度となく登場するキーワードが、マス・アフルーエントという言葉です。このマス・アフルーエントという言葉はマーケティング用語ですが、どのような文脈で登場したかを知るためには、マーケティングの歴史を振り返る必要があります。
かつて、マーケティングなる学問が登場する以前のマーケティングは、いわゆるマス・マーケティングでした。すなわち、顧客のことよりも、まず売りたい商品が先にありきで、その商品を売るためにTVのCMなどを活用した画一的なマーケティングがマス・マーケティングだったのです。ところが、だんだんとモノがあふれ出してくると画一的なマス・マーケティングは通用しなくなり、顧客層のセグメンテーションを行うようになり、遂には究極のセグメンテーションであるワン・トゥ・ワン・マーケティングが誕生したわけです。
確かにワン・トゥ・ワン・マーケティングは顧客にフォーカスした理想的なマーケティング手法であるものの、ネックとなるのはIT投資を中心としたコストです。そこで主に費用対効果の視点から、マーケティングの流行は1対1からマス・マーケティングへと揺り戻しの現象が起きているのです。ただし、このマス・マーケティングは以前のマス・マーケティングとは異なり、ターゲットとするのは主に富裕層であり、この富裕層を対象にするマス・マーケティングをマス・アフルエンス・マーケティングと呼ぶのです。そして、このマス・アフルエンス・マーケティングが金融ビジネスにも取り入れられはじめてきたのです。
まず、このマス・アフルエンス・マーケティングを資産運用に採り入れることの意義ですが、資産運用においてはどのような形態であれマス・マーケティングは望ましくないというのが私の考えです。同じ一億円の金融資産を持っている人でも、その人の価値観、リスク許容度、知的好奇心、お金を手にした経緯(相続なのかビジネスなのか)、年齢、職業・・・などによって資産運用のプランは十人十色となるはずだからです。お金という無色透明のものであっても、その人の人生に即したオンリーワンのプランでなければなく、一人一人のニーズを満たしたワン・トゥ・ワンのアプローチが必要となります。恐らくは良識ある金融機関(があればですが)は、当然こうしたことを理解しているはずで、「マス・アフルーエント」というのはマーケティング手法というよりは顧客の選別の基準という意味合いしかもっていないはずです。
では、具体的にはその選別の基準がどうなっているのかといえば、本日の日経金融新聞では、マス・アフルーエント層を純金融資産1億円以上5億円未満、そして5億円以上をスーパーリッチと定義しています。もちろん、このサイトに訪れていただいている人がどのような方かは検討もつきませんが、これらの層に属する方はほとんどいないのではないでしょうか?それで、取り残された方の資産運用はどうなるのかと言えば、マネー・リテラシーのある方であれば絶対に相手にしないような金融商品へとつぎこまれているのです。これは決して誇大な表現ではなく、「ありえない」金融商品が人気を博している状況を幾度となく当ブログで批判してきました。
マス・アフルーエンス・マーケティングから取り残されてしまった人の資産運用はどうすればよいのか?本来であれば私のような独立のFPが受け皿となるはずですが、独立FPとてボランティアではないわけですから、作成したプランに対して適性な報酬が支払われないとビジネスにならないわけです。しかし、プランに対してフィーを支払うことに理解を示してくれる方というのは、マス・アフルーエント・マーケティングから取りこぼされてしまった方にはごくわずかであるというのも事実なのです。どうしたもんですかね~、という歯切れの悪い終わり方で本日は失礼します(汗)。
まず、私のもう一つのブログである『金融ニュースの「行間」を読む』の宣伝ですが、本日から今話題沸騰中の商品ファンドを取り上げます。商品ファンドはアセットアロケーションの観点からも、ある程度の範囲内であれば、投資すべきアセットクラスであると私は考えています。ご興味のある方は、上記のリンクよりエントリーをお読み下さい。
さて、本題ですが、本日の日経新聞ではNTTのリストラプランとソニーのリストラプランの両方が一面に掲載されていました。さて、二社に共通する問題点とは何なのでしょう?
答えは資源の重複です。NTTは、同じグループ企業でありながら、インターネット・プロバイダーに関しては、NTTコムのOCN、東西のプララと2つを展開しています。また、ソニーについては、オーディオ事業が「家庭据え置き型、携帯型、車載機器の三部門に分かれた(引用)」状態となっています。先日のエントリーで、私は「カンパニー制廃止の意図が分からない」と書きましたが、本日の新聞報道によれば、重複機能の排除に意図があるようです。ただし、看板を「カンパニー制」から「事業部性」に変えただけでは重複投資は解消しないので、人員削減を視野に入れた大胆な組織改革がなされるのでしょう。
両社のリストラプランに重複投資の解消という共通の視点があるのは事実ですが、両社が向いているベクトルは異なるように思われます。NTTの場合は外部との競争激化に備えて営業部門を集約するという、収入の増加を主に目論んでいるふしが見受けられます。対して、今年の決算で赤字を計上するであろうというソニーはコストの削減に主眼があるようです。
もとをたどれば重複投資にも利点があったわけです。ソニーはカンパニー制を敷き、重複投資に目をつぶることにより、各カンパニーが機動的な意思決定をなしえてきたわけです。NTTグループはグループ内で同一事業で競争し合うことにより、民営化以前のカルチャーががらりと変化したわけです。重複投資と資源の共有化。カンパニー制と事業部性と機能別組織。これらは普遍的にどれかが優位にたつわけではなく、企業が深刻な問題にぶつかる度に再考を迫られる類の問題なのでしょう。そう、私が好きな言葉ですが、まさに「歴史は繰り返す」なのです。
基準地価に関する報道が本日の日経新聞の一面を飾りました。東京23区は15年ぶりの上昇で、大阪などの大都市圏も底入れ感が広がるとの、明るい見出しがついています。そして、日経新聞3ページには、こうした状況を金融面から後押ししたのがREITであるとの記事が掲載されています。
REITとはReal Estate Investment Trustの略で、不動産に対して投資する投資信託のことです。ヤフーファイナンスで「投資法人」というキーワードで検索すると、東証と大証合わせて25銘柄が表示され、いずれも100万円以下の金額で売買できることが分かります。さて、では地価の回復の兆候が鮮明になってきた今日において、REITを購入すれば、地価上昇の恩恵に与ることが可能なのでしょうか?
REITとは小口資金を集めて不動産を購入し、購入物件を賃貸に回して得た賃貸収入から諸経費を差し引いた残余を配当として分配する金融商品です。地価と賃料の動きは連動しているので、確かにREITを保有すれば地価上昇の恩恵に与ることが可能となります。しかしREITの価値を決めるのは保有している不動産だけではなく、実はマネジメント能力も重要な要素となっているのです。
REITのマネジメント能力とは具体的にはこんなことです。例えば、いくら魅力的な物件を保有していても空室率が高ければ、賃貸収入は減少してしまいます。つまり、営業力がREITのマネジメント能力の一つであるといえます。また、賃貸収入が潤沢であっても、物件管理が効率的に行われていなければ経費がかさんでしまい、その結果配当は減少してしまいます。つまり、コストコントロール能力も問われるわけです。こうしてみてくると、なんだか株式会社の経営と似ていませんか?REITの価値は、保有する不動産の価値とマネジメント能力に依存することから、「REITは不動産と株式の中間の金融商品である」といわれることもあるのです。
さらにREITへの投資を考えていらっしゃる方は、株式や債券とあわせた投資配分、すなわちアセット・アロケーションの観点から、全体的な投資比率を決定した上で投資を行うべきでしょう。
・・・とこんな内容を、某社の11月と12月の資産運用のレポートとして丁度執筆している途中だったので、本日のエントリーはその内容のごく一部の内容を拝借しました。
本題に入る前に、下記の私のもうひとつのブログで、本日からADRに関する連載を始めました。BRICs関連株投資にご興味のある方は、目を通してみて下さい。
本日はやはり日経一面のソニーについてですが、タイトルはもちろんこちらと引っ掛けたオヤジギャグです。だれか他にやってるだろうなと思ってグーグル検索してみたら、何語か分からない異国の方のサイトがトップに来ただけであったため、恐らく一生会うことのない異国の「R&Bファンかつオヤジギャグ使い」に親近感を覚えた次第です。苦境のソニーのリストラ策ですが、様々な面から見て大変に興味深いです。
【①ソニーフィナンシャルホールディングスの売却】
中間持株会社であるソニーフィナンシャルホールディングスの上場については既に報じられていましたし、このブログでも取り扱いました。
確かに「グループから外す方向(本日の日経新聞より引用)」ということまでは想定されてはいませんでしたが、その間GMショックなどもありましたから、今回のこの動きには私自身はそれほど大きなサプライズはありません。
上記のエントリーでも関連したことを書きましたが、ソニーという会社は「世界一」ともてはやされたり、市場を震撼とさせるほどの業績悪化を発表したりと、利益のブレ幅が大きい、つまりはリスクが非常に大きな会社です。そして、製造業の金融子会社は、親会社の財務の安定性が収益力の源泉となるため、親会社が苦しいときにつられて業績が悪化して、どうしようもないお荷物となってしまうのです。GM、ソニー、ソフトバンクの動きを受けて、今後安易に金融業に進出する製造業は、恐らくなくなると思われます。
【②カンパニー制の廃止】
なぜ、カンパニー制を廃止するのか、私にはよく分かりません。教科書的な解説をすると、カンパニー制とは、会社の組織形態の一つであると同時に管理会計の枠組みでもあります。よく対比される「事業部制」と比べると、①カンパニー制の方がより各事業の独立性が強く、②P/LだけでなくB/Sもカンパニー毎に管理する、というのが特色です。この教科書的な知識から推測すると、エレクトロニクス、ゲーム、音楽、映画という4部門の長の権限を弱めて、ストリンガー氏が強烈なリーダーシップを発揮して、会社一丸となって再起を志そうということなのでしょうか?あるいは、カンパニー制維持のための本社コストを削減したいのでしょうか?私にはその真意が分かりかねます。
【③エレクトロニクス部門の商品群の選択と集中】
エレクトロニクス部門においては、①ブラウン管テレビの開発中止、②クオリア廃止、③ロボット縮小が3つの目玉のようです。ただ、下のエントリーにも書きましたが、過度な外注により、ソニーのコントロールが及ぶ範囲が縮小してしまった、という深刻な問題もあったはずですが、こちらへの対策については、少なくとも新聞上では報道されていません。
またAIBOを縮小してしまうということは、従業員の士気の低下やブランドイメージの低下につながるのみならず、ソニーらしさというコーポレートアイデンティティの根幹にダメージを与えかねません。
今回のリバイバルプランに対しては、今後様々なビジネス関連メディアで異論・反論が展開されることでしょうが、確実に一つ評価できることは、CEO就任間もないストリンガー氏がスピード感をもってプランを打ち出したという点です。やはり大きな会社というのは様々な課題を抱えているため、ソニーの課題を検討することはコンサルタントとして大いに勉強になります。今後もソニーネタからは目が離せません!!
本題に入る前に(最近このパターンが多いですが)、最近、先月の入院体験を期に早めに帰宅するようにしており、そのおかげでロンドンハーツをよく見てます。見ている方には「いまさら」といった感じでしょうが、昨日見て感じたことを書き留めておきたいと思います。
・飯島愛はやっぱり頭がよい。
・杉本彩は深い。
・梨花の面白さはハンパではない。
・青田典子とカラオケをご一緒してみたい(笑)(昨日のネタで失礼!)
・亮は驚くほど使えない。
とまあ、ある程度私が想像していたことを裏付ける展開だったのですが、一つだけ不協和音が響いたのが国生さゆり。彼女は、あのキャラ、かなり無理してますね。食うために無理矢理キャラをかえた成功例として思い出すのが小川直也。プロレスラー転向当初、いかにぎこちなかったことか。国生さゆりはあれほどしないといけないんですかね?彼女が昨日途中で吐いた名言は「はんこは責任で押すもの」。そう、こういう人なんだよ~、国生さゆりは。今なら、まだ後戻りがきくと思うんですが・・・
さて、ようやく本題ですが、銀行が満期を決めるタイプの定期預金が広がっているとの報道です。これだけでは分からないと思うので、どういう定期預金なのか、NIKKEI NETの記事を引用しておきましょう。
(引用始)
『この新型預金は「4年か8年」「5年か10年」といった形で満期を複数表示しているのが特徴。一定期間後に銀行が満期を決める。預金者は決定権がないことのいわば代償として、目先は通常の定期預金より高めの利息を受け取れる。超低金利が続けば有利だが、原則として中途解約はできない。金利が上昇した場合は預けたお金をほかで運用できなくなるといった不都合が出てくる。』
(引用終)
このタイプの定期預金に関しては、私は否定的な見解を持っており、その理由については、下記のエントリーで既に詳しく述べたので、タイトルを『俺の話を聞け~♪』としたのです。
私だけではなく、このタイプの定期預金のリスクについては吉本佳生氏著の『金融広告を読め』でも分かりやすい文体で詳述されているので、運用を検討中の方は一歩踏みとどまって読んでみて下さい。銀行が満期を決定するタイプの預金には、①満期を短縮されてしまうタイプと②満期を延長されてしまうタイプの2つがありますが、後者の方がよりリスクは高く、後者の商品を積極的に販売して、銀行好感度ランクでなぜか上位にランクインしてしまうのが、「あの銀行」です。
本日は視点を変えて、なぜ人はこのタイプの預金に魅力を感じてしまうのか、という点について考えてみたいと思います。その答えの1つは「元本割れさえしていなければ、損失を被っていない」と考えているからです。このタイプの定期預金は中途解約さえしなければ、確かに元本割れのリスクはありません。でも、金利が上昇してしまえば、本来稼げたはずの利息を稼げなくなってしまいます。また、より重要なことは、いくら元本が確保できたとしても、物価が上昇していたら実質的には損をしているということに、多くの方は気づいていらっしゃらないのです。モノが買えてこそのお金なのですから、損得勘定を元本との乖離だけで考えるのではなく、物価との関わりからも考えるようにマインドを変えることが重要なのです。
さらに金融機関のマーケティングの巧妙さにだまされているふしも見られます。「あの銀行」のサイトで商品の概要を見ると、満期を延長されてしまった後に適用される金利を当初より若干高めに設定することで、満期の延長が預金者にとって苦でないかのようにアピールしています。
「あの銀行」の商品は、これだけではなく住宅ローンも外貨預金も、私であれば絶対に手を出さないタイプのものばかりなのに、なぜか好感度ランキングでは上位を走っています。商品を開発した当の本人も絶対に自己資金をつっこんでいないと思います。
まさに「歴史は繰り返される。」しかし歴史は繰り返すがゆえに、FPという仕事は意味をもつのだということを改めて認識した次第です。
本題に入る前に、あの消費者金融アイクの「忘れないで お金よりも 大切なものがある♪」というCMですが、あのCMの好感度は並大抵ではないと思います。消費者金融はイメージアップのために、あの手この手のCMを展開してきましたが、これほどまでに私のサブリミナル意識に作用したのははじめてです。(って私の感覚がずれてるだけかもしれないですけど・・・)それにひきかえ、高橋克典を起用してしまったアットローン。高橋克典といえば、今は「サラリーマン金太郎」ではなく、「女系家族」の怪しい日本舞踊の先生でなないんでしょうか(笑)
さて、本日の日経新聞国際面には、イーベイによるスカイプ買収とオラクルによるシーベル買収の2つの大型買収の報道です。金額では後者の方が大きいのに、記事の大きさは前者の方が大きいのは、スカイプへの注目度の高さの現れでしょうが、イーベイは現金とイーベイ株の半々で購入するのに対し、オラクルは全額現金で買収するとのことです。ぶっちゃけた話、株で買うのと現金で買うのとどちらが得なんでしょう?
感覚的には、自社株を対価にして他の会社を買う方がずっと得な感じです。だって、現金がびた一文たりとも出ていかないわけですから。でも、この「得」というのを、「誰にとって得か」というのを明確にしなければなりませんが、買収する側の会社の株主にとっては現金で買収する方が得なのです。なぜか?
現金というのは最も収益を生まない資産であるという事実を思い出して下さい。普通預金に預けて0.1%に満たない利回りしか生まない現金が、他の成長性のある企業の株式を買うことにより、被買収企業の儲けが丸々転がり込むことになり、それは買収企業の株主の間で山分けされます。
それに対して、自社株と引き換えに買収すると、被買収企業の儲けが転がりこむという点までは同じですが、その儲けは自社株を渡したあげた被買収企業の株主も含めた上での山分けとなってしまいます。そう、これは希薄化の問題です。
ただ、現金での買収も注意すべき点があります。まず、余剰な現金が十分でないのにキャッシュで支払ってしまうと、企業の安全性が損なわれるという点に留意せねばなりません。余剰なキャッシュが十分でない場合に借入により買収資金を賄おうとすると、今度は財務リスクが高まるという点に気をつけねばなりません。
さて、全額キャッシュで買収するといっているオラクルですが、2005年5月末の時点の連結B/Sを見ると、キャッシュの残高は約39億ドルで、シーベル社のキャッシュを考慮に入れてもこれでは足りずに借入が必要となります。オラクルのシーベル社買収のアナウンスメント文書の8ページを見ると、借入による買収から生ずる財務リスクの高まりへの懸念を払拭するために、過去のキャッシュ・フローのパターンから考えれば借入は1年以内に返済できる旨を明記しています。
私は昔企業向けのシステムの構築に携わっていたことから、どちらかといえばオラクルの買収の内容の方に関心がありますが、オラクルがこうした買収戦略を積極的に行うのは新しいCFOの存在が大きいようですね。
本題に入る前に2つほど。まず、本日の日経新聞の17ページの『経営の視点』の「セブンイレブン変わる便利さ」と題されたコラムですが、このコラムの前半はまるで私の前日のエントリーをパクッたかのごとくの内容です。まあ、私一人に限らず、日本のビジネスマンの思考回路は日経新聞に毒されている訳なので、どちらが卵か鶏か、という側面もありますが、私の文章を格調高い文体で書くとああなる、といった感じの内容なので、お時間のある方は是非ご一読をしてみて下さい。
また、もう一点ですが、私の執筆するもう一方のブログである『金融ニュースの「行間」を読む』ですが、最近の選挙をにらんでの株高の背景にある機関投資家の売買動向を分かりやすい言葉で考えてみました。ある方から「小難しくて分かりにくい」という趣旨のご指摘を受けたので、文体を平易にしてみたので、是非こちらのブログもご覧になってみて下さい。
で、本日の本題ですが、私のブログはアクセス解析のソフトで、どんな検索ワードでたどりついたかが調べられる訳ですが、ここ最近増えているのが検索ワードが「片山さつき」です。さらに昨日は「昭和のパーマ」なんて検索ワードが3件もありました(笑)。こうした需要と供給のミスマッチが発見できる面白さがあるのがアクセス解析ソフトですが、こうした検索ワードでたどりついた方には、先日の私のエントリーは何とも肩透かしだったはずで、そういうニッチな訪問者のために、本日は一筆したためたいと思う次第です。政治とは一線を画すのがこのブログのスタンスでしたが、今回は政治うんぬんというより「人物ウォッチング」の視点のエントリーということでご了承下さい。
【①キャリアの延長線上としての政治家】
これは標題の二人のみならず、佐藤ゆかり氏にも共通している点ですが、今回の選挙を自らのキャリアの延長線上にあると捉えている点が特徴的であるといえるでしょう。もちろん、これまでの官僚の出馬も動機を同じくしているでしょうが、今回の刺客に特有なのは、専門性がかなり強烈に前面に打ち出されている、という点です。この3人に限らず、一般的にキャリア志向の女性の特徴としてゼネラリストよりスペシャリストを志向するという傾向が顕著に窺えます。猪口氏は外交、佐藤氏は経済政策、片山氏は行政改革をメインフィールドとして今後の政治活動を続けていくのでしょうが、こうしたキャリアのスペシャリスト志向のゴールに「政治家」を据えるというのは、国民としてはあまりありがたくない側面もあります。
もちろん実務の現場を知った人間が政治家になることは、大きなメリットをもたらすことでしょう。ただし、週刊朝日の記述から知ったことですが、例えば猪口氏は出馬の前に上智大学の学長選に名乗りを挙げて落選したそうです。これらの候補者が「前職よりも高いポスト」として、政治家を捉えているのであれば、日本の未来は危ういといわざるを得ません。自らのキャリアアップという利己的な動機と、国民生活の向上という利他的な動機をどこまでバランスをとって考えているのか。この3人には特に問いただしたい気がします。
【②「天然」猪口VS「海千山千」片山】
「昭和のパーマ」なんていう検索ワードで私のサイトに来る方にとっては、恐らく前段の記述は無意味に等しいでしょう(笑)。猪口氏と片山氏は、キャリア志向、「かつての」美貌、髪型などから似た側面ばかりが強調されてきましたが、決定的な違いは、猪口氏は「裏を知らない」が片山氏は「裏を知りすぎている」点にあるのでしょう。
いつぞやの日経新聞に書かれていましたが、片山氏は静岡の支援者の前で土下座したとのことです。これは彼女の人格の象徴的な側面で、「目的達成のためには何でもしてみせる」ということです。そこには若干(というレベルかな?)の勘違いも存在するものの、支持者が義理人情を求めれば土下座をしてみせ、昭和のパーマが不評と分かればはちまきで髪を束ねてみせ、よく言えば他人の目を意識し他者の求めるものを敏感に察知し、それを提供しようとする柔軟性を兼ね備えているのが片山氏です。
対して、いつまでたっても箱の中のお人形(という表現も恐いが・・・)といった感のあるのが猪口氏です。国連の軍縮大使を務めていたときの映像で、会議がクローズするときにバンバンと机をハンマーで叩いた後、ガッツポーズを見せたのが、彼女の「天然」さの象徴と言えるでしょう。
こんな「天然」な人よりも、外相に相応しいのは、資質的な面でいけば片山氏の方に軍配が上がる気がします。でも、片山氏だとやりすぎて、金正日の前で引田天巧ショーもどきをはじめそうな恐さもありますが(笑)。
セブン・イレブン・ジャパンの清涼飲料水の値下げに関する特集記事が、本日の日経新聞の3ページに記載されていました。この報道は以下の3つの側面から考えて、実に興味深いです。
①価格競争に巻き込まれるコンビニ
当ブログでは、小売の業態の変遷に着目したエントリーをいくつか執筆してきました。以下は、過去の関連エントリーなのでご参照下さい。
さて、コンビニもかつては小売の「新業態」であったわけですが、「便利さ」という付加価値を武器に、いきなり高いマージンで参入し、そして根付いたわけです。(そしてこれは「小売の輪」の理論では説明できず、「真空地帯理論」によりコンビニの誕生は説明されるのが一般的です。)ところが、100円ショップという新業態との価格競争に次第に飲み込まれてしまうこととなります。特に私が頻繁に利用する「おやつコーナー」は、コンビニでも100円のおせんべい、100円のかりんとう・・・などで満載です。そんな中にあって、500ミリペットボトル飲料は130円~150円の値段で悠然と売られていましたが、今回の動きで一気に価格帯が下げられることとなりました。
厳しい競争環境下にあって、コンビニも「便利さ」だけを武器に高いマージンを課するプライシング政策は、曲がり角を迎えている感があります。当面は、集客を意識した、「目玉商品を配する」たぐいのプライシングをせざるを得ないでしょうが、それは対症療法にすぎません。「便利さ」というあまりに抽象的すぎた店舗のコンセプトを、いかに修正するかについて、深い思慮をめぐらせる時期にきているのではないかと思われます。
②清涼飲料メーカーの稚拙なチャネル戦略
こうした、値下げを引き起こしてしまったのは、清涼飲料メーカーのチャネル戦略が稚拙であったからに他なりません。特に伊藤園ですが、私が好む「お~いお茶、濃い味」は100円ショップでは当然100円で売られていますが、そこから歩いて1分としないコンビニではその1.5倍近くの値段で売られています。
伊藤園としての理屈はこうなのでしょう。「コンビニは配送の手間がかかるから、配送コストがかさまない100円ショップには安く卸してやっていいか。とにかく売れるところで売りまくって、売上高を増やさなくちゃ。」同じモノが違う値段で売られていれば、安い方の値段に収斂していくことは、あまりにも自明な摂理です。失われたマージンは、恐らく二度と返ってこないでしょう。
③原油高でどうなる?
「飲料品は原油高を受けて石化樹脂製品のペットボトル容器などが値上がりしている事情も抱える。(本日の日経新聞より引用)」コンビニでの販売価格引下げ圧力と、原材料費の高騰の板ばさみの中で飲料メーカーは今後かなりの収益悪化が予想されると思います。ちなみに私は、「お茶」という習慣的な飲み物に対してブランドバリューとペットボトルの材料費を反映した価格を支払うのが馬鹿馬鹿しくなって、最近は紙パックの500ミリリットルのお茶を飲んでいます。最初は、「倒れたりこぼれたりするのではないか」との心配があったのですが、ちょっとだけふたをあけてストローをさして飲めば問題ないです!なんだか私のケチケチ生活が明るみに出てしまいましたが(汗)、浮いたお金をどうしているのかといえば、はちみつ黒酢ダイエットの購入に充てて、ヘルシー志向な人間へと変貌を遂げていたりするのです。
ちなみに、この黒酢関連マーケットは、恐らく私は入院したりしなければ目を向けることはなかったのでしょうが、ここも実に熾烈な競争が展開されています。機会があればエントリーを書いてみたいと思います。人生なんでも意味がある、病気をすることにも意味がある・・・なんてしんみりまとめてみました。
今週は久々に、ほんの少し一息つけそうです。今日はオフ日のため(とはいえやらねばいけないことは山積みなのですが・・・)、ファーストリテイリングの「事業戦略」について考えてみました。本日の日経新聞は、M&Aの積極化の部分を強調して報道していますが、9月5日の「事業戦略説明会」の資料も中々面白いです。お時間のある方は、是非下記の資料をご覧になってみて下さい。
この事業戦略を読んだ私の感想は一言で言えば「ユニクロには分不相応」、もう少し丁寧に言えば「ビジョンと現状の間に到底埋めることのできないギャップがある」といったところです。
「2010年に一兆円の売上高を達成する」というあまりにもチャレンジングな目標を掲げていますが、それを実現するためのユニクロの内部経営資源(ヒト・モノ・カネ)はあまりにも不足しています。まず、「カネ」ですが、ファーストリテイリングの平成17年2月28日時点のB/Sによれば、連結ベースの総資産は約2,900億円、キャッシュは約1,000億円でM&Aに必要な4,000億円は外部から調達する必要があります。希薄化を嫌ってか、「買収資金は社債発行や銀行借入で調達する方針(日経新聞より引用)」とのことですが、近い将来の金利上昇のシナリオも見える中での、借入の増大は財務リスクを過度に増し危険です。加えて買収によりビジネスリスクも増加するわけですから、シナリオ通りに積極方針を進めれば、ファーストリテイリングは過度にリスキーな存在となってしまいます。
次に、「モノ」ですが、ユニクロ国内の売上目標は、2006年の3,800億円から2010年の6,000億円まで約1.5倍の売上増を目論んでいます。しかし、既に飽和感のあるユニクロが一体、日本国内のどこで何を売るというのでしょうか?平成17年2月28日時点のユニクロの国内店舗数は700に満たない状況ですが、「事業戦略」においては大型店200標準店1,000小型店1,000の計2,200店舗体制を目指すとしていますが、これは現店舗数の約3倍です。しかも、目標売上高の試算においては、既存店舗間のカニバリゼーションは考慮していないと、恥ずかしげもなく言い切っています。売るモノについても、商品開発の体制の強化策が掲げられるだけで、具体的なアイデアがあるようには感じられません。
しかし、ユニクロにとっての最大のネックは、やはり「ヒト」でしょう。『柳井会長は「グローバルな成長を支える人材の質、量が不足している」と明かす(日経新聞より引用)』とのことですが、恐らくユニクロがグローバルに展開するSPAを目指すにあたって最大の障害は、柳井氏自身の資質なのではないでしょうか?玉塚、沢田といった有能な人材を獲得しながら育成できなかったのは、ユニクロのトップマネジメントの層がそもそも厚くないからであり、それは柳井氏自身の資質に関わる問題だと思われます。
もちろん積極的なビジョンを掲げることはなにも悪いことではありませんが、ユニクロが仮に2010年に目標売上高の1兆円を達成したとしても、そのときにユニクロはユニクロたりえているのでしょうか?アパレルにおいてはブランドイメージやコーポレートカルチャーといったソフトな資産が極めて重要な役割を果たしますが、このまま、これほどの規模の買収を行い、人材をとっかえひっかえしていれば、2010年のユニクロは、今とはかなり異質な企業に変わり果てているはずです。誰かが柳井氏を諭す必要があると思うのですが、諭そうとすればユニクロを去る運命なのでしょう。かなりユニクロの行く末が案じられる「事業戦略」であるように、私には思えました。