2006年08月30日

バンガードの方針転換

8、9月は忙しく、すっかりと執筆が滞ってます。色々と「書く」ことが多く、正直なところこれ以上「書く」ということを想像すると、吐き気を催してしまいそうな、そんな感じです(笑)。が、標題のバンガードの方針転換に関する昨日の日経金融新聞の記事はなかなか興味深かったので、書きながら考えを深めてみたいと思います。

私がなぜ、バンガードなどという会社に着目しているかといえば、それは一重に下記の著作ゆえです。

これはバンガード社というアメリカのインデックスファンドを主体とする投信会社の初代の社長ボーグル氏の手による著作です。ずいぶんと分厚い著作ですが、文体はなかなか平易で、ハートのこもった文章で、資産運用をメインとするFP業を営んでいる人は絶対に読まねばならない本だと思っています。
分厚い本ですが言っていうことは極めてシンプルです。すなわち「効率的市場仮説は成立する」と「コストは悪である」の2点につきます。前者の「効率的市場仮説」についてメンドーなことを大幅にはしょってごくごく簡単に説明すれば、「株を買うならインデックスファンドが一番」ということです。情報が瞬時に伝わる「効率的」な株式市場において、他者を出し抜いて市場平均を上回る高パフォーマンスをあげ続けることなど、不可能であるということを、この本はアメリカの様々なデータを使いながら立証しています。
「市場平均を上回ることなど不可能である」という仮説が真なら、そのもとでの最も正しい戦略は「(1)市場平均に近いインデックスファンドを保有し、(2)コストが低いファンド選ぶこと」になります。そして、この理論にのっとって、良質かつ低コストなインデックスファンドを販売してきたのがバンガード社なのです。彼らのビジネスモデルは、効率的市場仮説を基盤として、実に理路整然として組み立てられているわけです。
彼らにとって「コストは悪」なわけですから、必然的に販売チャネルも余分な中間業者の介在する余地のない直販が主流を占めるわけです。で、ようやく「方針転換」の話題に入れますが、そんなバンガード社も日本でいうところのFPのようなファイナンシャル・アドバイザー(FA)との連携強化に動き始めたというのが、バンガード社の方針転換なのです。こうした方針転換の背景には2つの変化があると、現CEOのブレナン氏はインタビューに答えています。

(引用始)
『これまでノーロード投信を購入してきた当社の顧客も、老後の生活資金の確保などを迫られ、資産運用の助言へのニーズが高まっている。』

『証券会社やFAは、(売買時に発生する手数料であるコミッションから)顧客の預かり資産をもとに、フィーを徴収する料金体系に移行しつつある。』
(引用終)

前者の助言へのニーズということで私の思うところをいえば、例えば日本でノーロードのインデックスファンドを買う人というのは、ネットでの書き込み等を見ると、以外にファイナンシャルリテラシーに乏しい人々であるということに気がつかされます。どういうことかというと、彼らは「手数料ゼロ」ということだけにひかれてノーロードファンドを購入しており、効率的市場仮説などお構いなしです。ですから、「彼らが安いと思うところでノーロードインデックスファンドを買って、高いと思うところで売り抜ける」という、いわゆる短期売買のマーケット・タイミングを行っているのです。こういうタイミングが分かれば「1億皆億万長者」というユートピアが誕生するわけですが、もちろんそんなことはなく、結局マーケットタイミングの失敗で、焼けどを追っている人々が多いのです。
また、海外の市場へのアクセスが容易になり、REITや商品ファンドのような新分野が徐々に大きくなりはじめると、効率的市場仮説信奉者といえど、全資産をTOPIX連動ファンドにぶっこむという単純な手法では、様々なチャンスを逃すことになるわけです。したがって、効率的市場仮説をベースとしたアセット・アロケーション行うことが不可欠となるのですが、残念ながら、ここまで理論的な基盤を理解するにはなかなか時間がかかり、プロの助言が大いに有効となるわけです。
手数料体系についていえば、買ったときに手数料が発生するコミッションは、売り手に回転売買を顧客に勧めてしまうインセンティブがどうしてもぬぐえず、顧客とFAの間で利害の対立が生じてしまいます。そこで、預かり資産残高ベースの手数料体系に移行すれば、顧客の利回りが若干減少するという点は確かに否めないものの、それでも顧客の資産が増えることは、顧客にとってもFAにとってもハッピーなことですから、利害の対立が生じにくい仕組みであるといえます。
このような2つの変化を察知し、バンガードがFAを重要なパートナーとして認めるチャネル戦略を展開しはじめたことは、賢明な投資家にとっても、またFAにとっても歓迎すべき動きだと私は思っています。
で、日本はどうか?私も当初は証券仲介業者として登録することを検討していたのですが、現段階では見送っています。というのも、証券仲介業者の手にできる手数料の取り分はごくわずかであり、かなりの資産残高を抱える富裕層を顧客にとりこまないことには、ビジネスが成り立たないからです。3~40代の資産形成期にあるお若い方こそ良質のアドバイスを必要とするのですが、そうした方の資産残高は証券仲介業者に適正な利潤をもたらすほどには十分ではなく、この既存のビジネスモデルを使って、資産残高の少ない顧客とFPのWin-Winは構築できないと私は考えています。
でも、イノベーションの余地はあるはずです。金融機関がこぞって富裕層に狙いを定めるのは、まさしく発想の貧困であり、また浅ましくさえ思います。では、どんなイノベーションがあるのか?少なくとも執筆している40分の時間内では、私の頭にアイデアは飛来してきませんでした(笑)。

Posted by Ken Kodama at 10:25 | Comments (0)

2006年08月20日

株価と金利の関係を考えてみる

あらら、先週の日曜日にこのタイトルでエントリーを更新したんですが、なんだかデータが途切れてしまった模様です(泣)。家からはエアエッジでつないでいたのですが、やっぱりそれがいけなかったのでしょうか?書いた内容が保存すらされていないし、しかもまた同じ内容を書く気が起こらないので、また新ネタで出直したいと思います。

Posted by Ken Kodama at 21:55 | Comments (0)

2006年08月07日

グーグルも戸惑う私のブログ

今週はちょっと「パニくる」くらいの忙しさで、あの懐かしきサラリーマン時代が偲ばれます。で、本日のエントリーは全く内容がないエントリーなのですが、私のブログの個別エントリーのページではなく、トップページからアクセスいただいている方は、「Ads By Google」と題したグーグルの広告が1行表示されているのが見えると思います。
株関連のネタを書いているときは「ネット証券」だとか「ドイツ証券」だとか、まあ順当な広告のキーワードが並んでいたのですが、先日長々とグローバー・ワシントン・ジュニアのレビューなんてものを書いたら、今見えるキーワードはこんな感じです。

「戸籍謄本 翻訳」
「C++」
「数値計算」
「翻訳」

グーグルのロジックも私の「とびっぷり」にはついてこれないのでしょうか(笑)。あるいは深読みすると、「こういう頭の回線が切れ掛かっている奴は『戸籍謄本 翻訳』なんていう謎めいたキーワードを置いておくと踏みやすい」なんていうロジックにはまっただけなのかもしれません。
もし後者だとしたら、グーグルは本当に恐るべし。なんか『戸籍謄本 翻訳』ってのも踏みたくなってきちゃったし(笑)。「C++」なんてプログラミング言語が、なんで私のブログから導かれるキーワードなのか皆目検討がつかないし、それとも、もしかして頭の切れ掛かった人々が使用する危ないクスリかなんかの隠語の意味もあるのでしょうか?(笑)
来週の後半までは、マトモなエントリーはかけないと思うので、定期的に訪れていただいている方はあまり期待しないで下さいね。それに、みなさんはどうせ「お盆休み」なんていう浮かれた気分に突入されているんでしょうし、あー羨ましい(笑)。

Posted by Ken Kodama at 20:21 | Comments (0)

2006年08月05日

暑い夏の夜に聴きたい一枚

8月は大変忙しいのです。特に今週から来週にかけてが山場で、システム手帳を見ながら「今日はあそこ、明日はあちら、その間にレポートの締め切りがこの日にあって・・・」と忙しく過ごす生活は、独立前に私が憧れていた姿でもあるので、そうした忙しい状態に私を導いていただいたみなさまが、もしこのブログを読んでいただいているならば、この場で改めて感謝の意を表したいと思います。ありがとうございます。
・・・というのは、まあ言い訳で、あまりにも書く作業が多く、ブログ執筆まで頭が回らないのですが、それでもなんか「左脳」を使わない類の柔らかい文章を書いてみたい欲求は消えることなく、土曜日を利用してこのエントリーを書いている次第です。
ここで、一つ別の感謝を。それは約2週間前から始めたアマゾンのアフィリエートなのですが、なんと11冊もの本が私のブログを通して購入された模様であり、これに対して深く感謝申し上げます。皆様にご安心いただくために一言申し上げておくと、私のブログからクリックしていただいても、皆様のIPアドレス等は私に知られることは決してなく、購入者の情報はアマゾンから私に対して明かされることは一切ないので、その点についてはご安心下さい。購入いただいた本は『とっておき中小型株投資』が圧倒的に多く、また『人を伸ばす力』などというあまり知られていない著作も2名の方が購入下さった模様です。
11冊売れて私の手元に入ってくるのはわずか200円ばかりに過ぎません(笑)。ですから金銭欲等は全く満たされないのですが、それでも私が嬉しいのは『PV』や『訪問者数』といった数字よりも深いレベルでの私と皆様の交流が、このアフィリエートプログラムの販売実績によって確認できるからです。特に『人を伸ばす力』とあと『リナックス革命』を買ってくださった方がいたことは嬉しかった!!私の魂の叫びに共鳴していただいて、私がお薦めする本を購入したいただいた方がいるということは、正しく感無量であり、今後このブログを継続していく上での大いに動機づけとなります。
今日は一風変わって音楽CDのレビューなんぞを書いてみようかと。なぜ音楽のレビューかと言うと、あまり「左脳」を使いたくない(笑)という理由と、あとこのCDは毎年暑い夏の夜に聴きたくなるからで、タイミング的にばっちりと思われたからです。ご興味があれば是非、クリックをして試聴されてみて、よろしければお買い求めになって下さい!

【All My Tomorrows / Grover Washington Jr.】

音楽は映像を喚起する。このアルバムを聴いて、私がいつもながら思い浮かべる光景はこんな感じだ。
暑い夏の夜。私はどこかの南の島、おそらくバリ島あたりのリゾート地のホテルのプールサイドで、南国風のカクテルを飲みながら初老のバンドメン達の奏でるライブを聴いている。空気は暑く湿っぽく、しかし時折心地よいBreezeが私のほてった頬を冷ましてくれる。
初老のバンドメン達の奏でるジャズは、みなどこかで聴いたことのあるような郷愁を誘うメロディーである。決してアバンギャルドで尖った音楽ではなく、私を包み込むような優しさと包容力を兼ね備えており、しかし人生独特の『苦味』も味わえる、やはりこれは『Easy Listening』などではなく、正真正銘の『JAZZ』なのだ。
初老のジャズメン達の奏でる音楽は円熟味があり、人生の酸いも甘いも知り尽くしている、そんな感じを引き起こす。しかし、決して『枯れ果てて』などいるわけではない。彼等は昔を回想しながら、でも今も味わいながら、南国のリゾート地で異国からのゲスト達を前に、音楽を奏でる。そして、私は見たこともないようなトロピカルなフルーツを添えられたカクテルをもてあましながら、一人彼等の音楽に聴き入る。昔を回想しながら。頬にはなぜか涙がつたう。それが悲しみゆえなのか、と問われると、私はどう答えてよいのか分からない。
なぜこのCDは私に『真夏の熱い夜』を連想させるのか。これを少し分析的に考えるという無粋な試みをしてみたい。まず、暑さを連想させるのはフレディー・コールの嗄れ声のボーカルであろう。彼を知らない人も、彼がナット・キング・コールの実弟であると言えば、彼の声には大方の察しがつくであろう。そんな彼が、当アルバムではスティービー・ワンダーのOverjoyedのカバーとI'm Glad There Is Youの2曲でボーカルをとっている。
『湿り気』を感じさせるのはエディー・ヘンダーソンのトランペットであろう。マイルス・デイビスのトランペットがポロックのアクション・ペインティングであるならば、エディーのトランペットはさながら水墨画である。ほどよい湿り気を含みながら、トメ・ハネ・ハライと、微妙なタッチを吹き分ける。彼は医者も兼業しているというが、一体何科のお医者さんなのであろうか?
『円熟味』や『包容力』を感じされるのは、ハンク・ジョーンズのピアノである。彼の柔らかなタッチは誰にも真似できない。彼が現在87歳で昨年私がライブを見に行ったことは、下記のエントリーでご紹介したとおりである。

87歳でなお「学習」し続けるピアニスト

そして、暑さの中に涼風を漂わせているのが、リーダーのグローバー・ワシントン・ジュニアが奏でるソプラノ・サックスである。特にスティービー・ワンダーのオーバージョイドのカバーで奏でられるイントロの美しさは、エリック・ドルフィーの"Last Date"の中の"You Don't Know What Love Is"のフルートの美しさにも匹敵すると、私は個人的に思っている。
グローバー・ワシントン・ジュニアと言えば、私と同年代の方は、あの田中康夫の『なんとなくクリスタル』の映画の主題歌『クリスタルな恋人達(Just The Two Of Us)』を思い浮かべることが多いであろう。確かにグローバーはあの映画のおかげで日本での知名度こそ上がりはしたが、バブリーで軽薄な映画とアンカリングされてしまったことは、決定的な不幸でもある。彼はいわゆる『フュージョン』のサックス奏者として有名であるが、このアルバムでは極めて正統的なジャズを奏でていると私は思う。言いたいことは、外からつけられた変なイメージでグローバー・ワシントン・ジュニアを馬鹿にしないでくれ、ということである。
そのグローバーも、もうこの世にはいない人物である。一体、彼は何を回想しながら、このアルバムで演奏していたのか。その答えはCDを聴くことによってしか得ることはできない。

どうでしょう?マンション住まいでタバコをベランダで吸わされる哀しきお父さん達は、真夏の熱帯夜の空気をむしろ楽しみながら、i-podでこのCDを聴かれてみてはいかがでしょう?しばし、五月蝿い子供の声から現実逃避ができ、新婚当時の想いが蘇ってくるかもしれません(笑)。

Posted by Ken Kodama at 12:40 | Comments (0)

2006年08月01日

日航増資 第五の疑問

最初に断っておく。本日のエントリーは日航増資を題材にしたロジカル・シンキングのトレーニングである。日航増資の背後に黒いものがあるなどと糾弾する類のものでは当然なく、私にそのような情報網があるはずがない。論理的に思考を積み重ねると、後述するようなブラックな結論がでてきてしまうが、それは私の有する情報の絶対量が不足していることに起因する。
本日の日経金融新聞には『日航増資 4つの疑問』と題された囲み記事が掲載されていた。日経新聞を愛読されている方なら、日経新聞がさながらネガティブ・キャンペーンのごとくの断続的な批判を増資発表後から行ってきたことから、よもや日航株を買おうと思った方はいるまい。そこで、ごく素朴な疑問が私の頭の隅に引っかかっていた。この期に及んで日航の新株を引き受ける人々というには一体どんな人々なのか?一つの仮説として、マネーリテラシーが完全に欠落していながら、しかし株で一儲けしたいという、「卑しき無知善良の民」のような人々が日航株をそそのかされて「買わされた」というストーリーが考えられるだろう。しかし、本当にそんな馬鹿でお人よしがそれほどたくさんいるものなのかという素朴な疑問が依然として残る。
この疑問への解答の手がかりとして、本日の日経金融新聞には『最後は国内が2億7千万株、海外が4億3千万株になった(引用)』と、記述されていた。つまり、海外の投資家の方が圧倒的に多いわけである。となると、前段で建てた私の仮説である「卑しき無知善良の民」というのは、青い目の人々であると考えを修正せねばならない。例えば、ケンタッキー州在住の63歳の退役軍人ジョン・ドーン氏みたいな。あるいは、ユタ州在住の信心深いモルモン教徒のおばあちゃん、イザベル・モンロー未亡人74歳みたいな。まあ、想像力を逞しくしてこのように考えていけば、「青い目の卑しき無知善良の民」が日航新株を購入したという仮説は、いかに馬鹿げた仮説であるかが、容易に分かる。今までは「海外の投資家」といえば、二アリーイコール「ヘッジファンド」であった。だとすれば、今回日航新株を購入したのも、やはりヘッジファンドと考えるのが妥当ではないか?
と、考えると今度はまた素朴な疑問が湧く。ヘッジファンドとはみすみす損をするような人々ではなく、したがって希薄化により値下がりすることが事前に分かっている株を購入するはずがない。この文章は前段は正しいが、後段は必ずしも正しくない。希薄化により値下がりすることがわかっている株を購入しても、確実に儲かる方法は存在する。それは、事前に空売りしておくこと。
とここで、本日の日経金融新聞が「第一の疑問」として掲げているものを引用しておきたい。

(引用始)
『6月30日時点でモルガン・スタンレー証券グループ8社が日航の発行済み株式の5.78%を握る筆頭株主になった経緯だ。大半はヘッジファンドなどの貸株需要に応じるためとされるが、同日は日航が公募増資を発表した日。そんな急に集まるのか。』
(引用終)

結論めいたものを言うとすれば、いないとは思うが、このブログを読んで、今更ながら「希薄化」という言葉をググッているような人は、悪いことは言わないから、個別株投資はするな、ということである。

Posted by Ken Kodama at 23:44 | Comments (4)