「結果とプロセス、どっちが大事だと思いますか?」
時々、私は企業研修をさせていただくときに、こんな質問を受講生の方に投げかけます。もちろん、この質問に対する唯一解なんて、ありゃしません。だからといって「どっちも大事です」という答は、あまりにも風流を解せないと言うべきではないでしょうか(笑)。ただ、この質問に対して思考を巡らせることは重要だと思うし、時折(ごくたまにではありますが)こちらが「はっ」と思う明答に出会える楽しみもあるため、私はこの問いかけをやめようとは思いません。
私の研修に臨む一つのポリシーとして、「出来る限り自分の持論を展開しない」というものがあります。持論を語って飯を食えるというほどの知名度やカリスマ性を持ち合わせているわけでもなく、また、いくらテーマが「リーダーシップ」のような漠然としたものであっても、左程年齢の変わらぬ講師から人生論を語られるのは、私であれば苦痛に感じるからです。また、持論を語りたいという欲求は、このブログで十分すぎるほど、満たされています(笑)。もちろん、「リーダーシップ」や「キャリア」という曖昧模糊とした領域においても私なりの持論はあるのですが、研修で話をする際はでき得る限り、私の持論をサポートするような学者による著作に依拠しつつ発言するよう心掛けています。
で、冒頭の問いかけに関しては、様々な人々が様々なことを述べています。それを本日はご紹介しておこうと思う次第です。
私が担当した受講生の方は「結果が大事」という方が若干多い気がしますが、私が読んだ著作は「プロセスの大切さ」を支持するものが多いです。
まず、上記の著作ですが、意思決定においては結果の良否よりも、プロセスの方が大切であると説いています。理由は、(1)プロセスこそがマネージャーにとってコントロール可能であるということと、(2)プロセスが確立すれば結果を安定的に出すことが可能となる、といったところです。(なお、本日のエントリーを書くにあたって、一々本を読み返したわけではないので、細かい点で私の誤認があるかもしれないので、その点はご了承の程を。)
また、以前にもご紹介した上記の著作ですが、これは主に集団の意思決定に関して述べた本です。集団での意思決定は結果に対するメンバーのコミットメントが重要となることから、この本もやはりプロセスの重要性を支持しています。
一方で、「結果こそ全て」というのは、最近読んだこの本です。(ちなみにこの著者の方は以前から名前は知っていたのですが、「髭のはやし方が吉村作治教授に似ていてうさんくさい」という全く一方的な偏見から(笑)、この本以外に波頭さんの本を読んだことはありませんでした。)ただし、これは「プロフェッショナル」という組織にしばられない人々に対してのことであって、組織人にとってはプロセスも大切であるとの指摘はあります。実際のところ、成果主義を導入している企業の多くは、その負の面への反省から、コンピテンシーを核としたプロセス評価の仕組を併用しており、両者の重要性を評価制度に組み込んでいる会社が増えつつあるとの印象を持っています。(ちなみにこの本、最初の方こそ納得できる部分が多かったものの、後半は「ちょっと・・・」という感じです。血尿が出るまでクライアントの利益を重んじたり、あるいは「プロフェッショナルたる者は営業活動をしてはいけない」等、私にはついていけない世界です。私も一応プロフェッショナルの端くれであるとの自覚はもっていますが、この本は「ex-マッキンゼー社員限定の」プロフェッショナル原論であると解釈すべきだと思います。
そして、穏当に「両者が重要である」と説くのが下記の著作です。
ただ、原題は「Results-Based Leadership」であり、コンピテンシー評価の興隆で忘れ去られそうになった結果の重要性を再度認識させることに主眼があるのが特色です。私のように財務畑に10年のキャリアを持つ人間にとって「結果」というと、どうしても「利益」なり「キャッシュフロー」なりを連想しがちなのですが、この本は「結果」というものを①従業員②組織③顧客④投資家の4つの観点から深く考察しているのが優れものです。この本を読んで、バランススコアカードというツールを介して、財務・マーケティング・リーダーシップといったファンクションが統合されるのを実感した印象を得ました。下にリンクを貼った『コーヴィーの第8の習慣』でも、上記の著作を「洞察の深い本」と紹介していていたので手にとったのですが、確かに洞察は深いかもしれないのですが、読みやすくはなく、また面白くもないといった感じでした(笑)。
今日はこんなところで。