2007年10月12日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


セブンイレブン VS ファミマ

久々に新聞記事をネタにしたエントリー。本日の日経新聞朝刊11ページの記事によれば、コンビニ大手の業績が明暗を分けたとのことで、規模ではセブンイレブンが依然として圧倒的に他を引き離すものの、増減益で見るとファミマ、ローソンが営業最高益で、セブンイレブンが営業益3%減とのこと。この原因に関しては以下の記述があり、部分的に引用したい。

(引用始)
『「顧客からみて品揃えに不満があったのだと思う。』
(セブン&アイ・ホールディングスの村田社長談)
(引用終)

(引用始)
『対照的にファミリーマートは生鮮食品を拡充した売り場展開や利益率の高いファストフードで新商品を投入するなど客層拡大策が奏功し、既存店がプラスに回復。』
(引用終)

実は、この辺り「いつまでも庶民派」を貫く私としては(というか、庶民派から抜け出るほど稼いでいないとう事情もあるがw)、数ヶ月前から肌で実感しており、このブログにアップしようかと考えていたほどである。書いときゃ、今頃「ほら見たことか」みたいなスタンスでエントリーを書けたのに、ちょっと悔しい(笑)。
まあ、いいとして、私が肌で感じていたのは例えばこんなこと。私は、研修の本番前に自らを奮い立たせるために、「あれ」をやる。「あれ」とはカフェインが濃縮されている「眠眠打破」のことなのだが、セブンイレブンではこれより100円程高い「強強打破」しか置いていないが、ファミマでは両者が置いてあり、チョイスできる。数字だけ考えて棚割りしているような印象を受け、セブンイレブンにはあまりいい感情を抱けなくなっていた。
それだけに留まらず、新聞記事の引用にあるファミマの「利益率の高いファストフード」だが、これは文句なしに美味い。最初はランチのおかずとして、コロッケやチキンを買っていただけだったが、最近は病みつきになり、スパイシーチキンをおやつ代わりに食ったりすることが多い。(・・・だから体系に変化が現われてきたのだがw)一方で、セブンイレブン。確かに、同様の棚がレジ台の近くに置いてあるが、フランクフルトやらホットドッグの類にもので、まあ嗜好の問題もあるが、こちらは一度たりとも買って食べたいという欲求が生じたことがない。
あと、ファミマの方が「あれ!」と思うような、商品が置いてあることがぽつぽつとある。例えば紙パックジュース。ファミマには「マンゴー&アップル」という独特の味でヘルシー志向のパックジュースが置いてあるが、セブンイレブンはドールの定番の、しかも売れ筋しか置いていない。だからグァバ味のドールのジュースなど、滅多にお目にかかれない。
この辺りの私の体験から、非常にチープな結論を帰納的に導くと、ファミマの方が顧客の繊細なニーズに反応して、商品を多様化させているということが言えよう。では、そうなってしまった要因を推察してみると、恐らくセブンイレブンの企業文化的なものに、端緒があるのではないかという気がする。思えば、セブンイレブンは常に「プロダクト・アウト」の姿勢でビジネスに臨んでいた。正しく「コンビニ」というコンセプトを体現すべく、我々があっと驚くようなサービスを先陣をきって導入して、いかにコンビニが便利な存在かを我々に教えてきてくれたのであった。おでんが登場したときのあの衝撃を、皆様は覚えてらっしゃるであろうか?ATMを置いたり、コピー機を設置したり、あまり「コンビニ史」を詳細に覚えておらず、全てがセブンイレブンが切り開いた訳ではないかもしれないが、主導的な役割を果たしてきたことは否定できまい。
商品の品揃えに置いても、売れ筋・死に筋の徹底的な把握は有名だが、その影で定性的なデータ、つまり顧客の声の収集はあまり行ってこなかったのではないか、というのが私の立てた仮説である。
もう「コンビニ」というコンセプトは固まった感があり、今後は微細な品揃えの差別化に焦点が移されると思う。そうした時代転換に、セブンイレブンがついていけるのか否かが、今後もコンビニ界の王者であり続けられるか否かの分け目になると思う。

Posted by Ken Kodama at 10:36 | Comments (2)

2006年04月20日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


マックの生き残り ~鍵はEBMにあり~

本日の日経新聞朝刊はマックのセット商品の値上げを報じていた。昨年4月に原田CEOは100円メニューと500円セットの「分かりやすい」価格体系を打ち出したが、予想外の客数増とそれを打ち消す客単価減少により、3ヶ月弱で軌道修正を迫られることとなったのは、昨年にもお伝えしたとおり
「百円メニューは集客効果が高いため5月以降も継続する(本日の日経新聞より引用)。」とあるものの、私自身マックヘビーユーザーなのだが、マックの店舗にあるメニューは「どうか百円メニューを注文しませんように!!」と祈念するかのごとく、メニューの隅っこに小さく書かれている。500円セットは早くも崩壊してしまったのだから、100円メニューを温存させるということは、原田CEOの面子を保つ以外に大きな意味をもっていないはず。価格戦略に限定していえば、マックジャパンの今回の一連の動きは「失敗例」としてケーススタディで語り継がれることになるのかもしれない。
そんな中で、マックに光が見出せるのは以下の記述だろう。

(引用始)
『一方、24時間化は全店の約5%に相当する約200点で5月下旬から今夏にかけて、順次実施する。』
『店舗運営効率が改善、昨年から進める早朝など営業時間拡大でコスト増を上回る効果が出ているため、一気に広げる。』
(引用終)

別に私は「24時間運営がマックを立て直す」と言いたいのではない。こうしたマーケティング上の施策を実施店舗を選別しながら、慎重に実施・拡大していくだけの規模を備えていることこそがマックの強みだと思う。小売業界の経験がない原田CEOが大胆な価格戦略を実施したこと自体が、思い上がりの産物であるといってもそれほど過言ではあるまい。原点に立ち返って、豊富な店舗網を活用してマーケティング上の「実験」を繰り返して、その効果を確かめることこそが、マック本来の姿といえるであろう。
2006年4月号の日本語版ハーバード・ビジネス・レビューは『「決断」の科学』と題され、その中に「エビデンス・マネジメント」と題された論文が掲載されている。今回のマックような現場実験を含めて、(直観等に過度に頼りすぎることはなく)エビデンスに基づいたマネジメントを実践することを、エビデンス・マネジメントと呼ぶ(あるいは、少なくとも執筆者はそう呼びたい)らしい。
EBMとはもともと医療の世界の概念であり、例えばこちらのサイトでは以下のように定義している。

(引用始)
『EBMはEvidence-Based Medicineの頭文字を取ったもの,日本語に訳すと,”根拠に基づく医療”です.簡単に言うと,現在利用可能な最も信頼できる情報を踏まえて,目の前の患者さんにとって最善の治療を行う,ということになります.』
(引用終)

「店舗での実験なんて、そんなこと昔から誰だってやってんるジャン!」と言いたければそう言えばよいが、私は医療の世界で発達したEBMの精神をマネジメントが学ぶことは大いに有意義であると思っている。
基本的にはEBMは典型的な「左脳経営」である。だって、データをきっちり分析して経営に活かすのだから。でもこれからは「右脳の時代」だと言う学者もいる。それがDaniel Pinkの"A Whole New Mind"であり、ダイヤモンドで大前研一が勧めていたので、昨日紀伊国屋でペーパーバックを購入してみた。そのうち大前研一氏監訳で日本でも発売されるらしいので、ご興味のある方は是非ご一読を。
本当のところは、これからは自分の脳内の中で左脳と右脳が自在にキャッチボールをできるようにすることこそが重要なのだろう。したがって、21世紀は両者をつなぐ脳梁の時代であるというのが、私の説である。「じゃ、脳梁ってどうやって鍛えられるの?」さあ、どうなんでしょうか。私は知りません(笑)。

Posted by Ken Kodama at 10:04 | Comments (4)

2006年01月05日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


中心市街地への回帰を目指すイトーヨーカ堂

昨日の新聞からではありますが、イトーヨーカ同が店舗閉鎖計画の一部撤回をしたという報道です。イトーヨーカ堂も、私の「小売好き」のせいで、当ブログでよくとりあげた企業の一つです。サイト内検索をしてみると、6件のエントリーがひっかかりました。最初にとりあげたのは、昨年3月の下記のエントリーです。

総合スーパーの行方 ヨーカ堂の進む道

このエントリーにおいては、イトーヨーカ堂の事業構造改革を「総花的」であると批判しています。同ページからイトーヨーカ堂の事業構造改革へのリンクが既に切れてしまったために原文を今確認できないのですが、確かに「総花的」であったという感覚は未だに残っています。ところが、先日の西武・そごうとの経営統合と、本日の店舗閉鎖計画の一部撤回から、中心市街地回帰という一つのテーマがはっきりしてきました。地方の中心市街地の空洞化に対処するために、まちづくり三法の改正案を自民党中心市街地再活性化調査会が了承したのは、昨年の10月27日のことです。やはり、この報道が出るまでは、郊外に大型SCが建設される動きに関して見極めにくかったため、ミレニアム・ホールディングスとの経営統合や店舗閉鎖計画の一部撤回の動きは、昨年の11月以降に最終的に意志決定したと考えてほぼ間違いないでしょう。
ここで私が多少驚くのは、決断力の早さです。わずか2ヶ月の間に今後のビジョンにこれほど大きな影響を与えるほどの意思決定を行いうるというのは、評価したいと思います。そして、もう一点評価したいのは過去の過ちを素直に認めて軌道修正をしているという点です。一度決めた店舗閉鎖計画を撤回するというのは、なかなかできない決断です。また、セブンイレブンが上場されてから随分と時間はたちましたが、これほど大掛かりに子会社上場を廃したのはイトーヨーカ堂が初めてであるといってよいでしょう。詳しいことは下記のエントリーをご参照下さい。

どうして「純粋持株会社移行」で「時価総額」が向上するのか???

素直に過去の過ちを認めて、これほど大きな方向性の転換に関わる意思決定をしたというのは、なにか鈴木敏文氏の心境に変化が芽生えたからなのかもしれません。何が彼をそうさせたのか、非常に興味深いところではありますが、我々には窺い知ることができないのが残念です。

Posted by Ken Kodama at 21:30 | Comments (0)

2005年12月27日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


改めて考える。「百貨店」とは何なのか?

改めてソースを引用するまでもない、セブン&アイ・ホールディングスとミレニアムリテイリングの経営統合の報道。本日の日経新聞朝刊では、両社の経営統合を以下のような文章で表現している。

(引用始)
『両社は業態の垣根を越え日本最大の流通グループとなる強みを生かし複合商業施設や商品を共同で開発する。』
(引用終)

まあ、こんなバラ色の未来を語る前に、そもそも「百貨店」とは何であるのかという地に足のついた視点から、両社の経営統合を考えようというのが本日のエントリーの趣旨。百貨店の特徴としては以下の6つが、とりあえず私が思いついたところ。

①豊富な品揃え
②アミューズメント ~買う楽しさ~
③中心市街地に立地している
④比較的長い歴史
⑤ブランドバリュー
⑥外商 ~富裕層へのパイプ~

まず、「百貨店」の語源でもある①と、デパートに連れていってもらえなかったときのカツオ君の怒りからも察することができる②に関してだが、もはや百貨店単体では、刺激に麻痺した消費者の満足し得る品揃えとアミューズメント機能を満たしえないのではないか、というのが私の印象である。百貨店をも一テナントとした大型SC(ショッピングセンター)には明らかにこの点ではかなわないし、百貨店は必ずしもSCにとって不可欠な要素であるとはいえない。
このように考えると、セブン&アイが西武とそごうを傘下に収める意味は、③から⑥にあるのであろう。つまり、③と④が⑤のブランドバリューの源泉になっているのであり、⑥の外商部隊によりはじめて、百貨店の高収益は維持されるのである。執筆時間に制約があるため、詳細なデータを把握できなかったが、例えばこちらのサイトによれば、高級時計の売上に関しては、外商での販売が店頭販売の実に9倍にも上るブランドも存在するとのことである。まあ、叶姉妹が三越本店で貴金属を買い漁る目撃情報が皆無であることからも、外商部隊が富裕層への販売ルートとして威力を発揮している実態を垣間見ることができるといえよう。
外商には金のかかる店舗は不要である。しかも利益率は、福袋に殺到する我々下流層が店舗で落とすものとは比較にならないほど高い。では、なぜ外商に特化する百貨店がいまだかつて出現しなかったのかといえば、そこが富裕層の心理であり、銀座や新宿といった場所に店舗すら持たぬ店の営業マンを家に上げる気になるだろうか?百貨店の支払う高い地代は、好立地での集客を目的としているというより、ブランドの維持費という側面が強いのかもしれない。
さて、セブン&アイは、残念ながら三越でなないものの、西武とそごうを手にいれた。イトーヨーカ堂のカード会員数は、本日の日経新聞によれば730万人ということであり、購買履歴をシステムにかけて分析すれば、新たな外商ルートを開拓できるかもしれない。イトーヨーカ堂の包装紙ではお中元を出したくなかった人も、西武百貨店の包装紙で配送されるというのであれば、考え直すかもしれない。
日経新聞の社説の下記の指摘は、一応うなずける。

(引用始)
『問題は肝心のセブン側にこの統合でどれほどの果実が期待されるのかがはっきりしないことである。』
(引用終)

確かに確たるプランのないままの、見切り発車の経営統合である感は否めないが、小売業界を知り尽くした鈴木敏文氏と和田繁明氏の直観にもとづく、このようなM&Aも「あり」かと思う。百貨店とスーパーが一緒になることで、様々な可能性が広がる。しかし、その可能性を成功につなげるのは、やはり冷静な現状分析が必要なのであろう。

Posted by Ken Kodama at 11:03 | Comments (0)

2005年09月29日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


モスとマックが読み間違えた「需要の価格弾力性」

本日の日経新聞の15ページにモスフードサービスの経常利益が前年同期比の6%減となる見込みが報じられました。実は、私は先月からモスバーガーを語りたくて、うずうずしていたのです。
先月、何気なく遅いお昼を食べようと馴染みのモスバーガーを訪れたのですが、入ってその「異変」に気がつくことになります。まず、メニュー。例えば本日の日経新聞に出ているような「匠十段」のような、おいしそうで、かつ、お高いメニューがずらり。食べたかったのですが、お昼ということもあり、いつも食べてるスタンダードな「モスバーガーセット」で我慢しました。そして、店内で食べようと席をさがすと、なんと木目調の落ち着いた内装に変わっているではありませんか!!そう、これが緑モスであり、マックが百円メニューの投入で低価格化路線を進めている中で、モスは全く異なる道を歩みはじめていたのです。
はっきりとしたデータはもっていませんが、こうした動きが始まる以前のファーストフードバーガー店の客単価は500円を切るくらいだったと思います。そこから、マックは客単価の引き下げによる客数増を志向し、モスは客単価の増加による粗利益増加を志向したのです。ところが、両者にとって共通の誤算がありました。それは需要の価格弾力性です。平たく言えば、商品の価格を増減させたとき、どれくらい需要が変化するか、ということです。モスは、高価格路線に走った結果、思った以上の客数減に苦しむことになります。マックは、目算以上の客数増に沸くこととなりますが、予想以上にワンコインメニューへ注文がシフトしてしまい、客単価の下落が客数増によって補いきれないレベルになってしまったのです。ハンバーガーの価格弾力性は両社が思う以上に高かった、ということです。
100円ショップ主導のワンコインデフレ(私の造語です)が現在進行中である中、モスバーガーの高級化路線は「博打」とも呼ぶべき思い切ったものです。千円の高級バーガーなどは、もはや「ディナー」の領域です。といっても、私の知る限りではモスバーガーではライスもなく、お酒も注文できず、一体どういうシチュエーションの人が「匠十段」を食べたくなるのか、私には理解不能です。加えて、セルフサービスであり、おいしいとはいえ、マニュアル通りにアルバイトが作っていることには変わらず、それなら腕のある料理人の作った「ディナー」を私は選びます。新しい「食」のあり方を提案するなり、腹を据えてファミレスとの競合を志向するなどしないと、利益の減少には歯止めがかからないことでしょう。
今後とも、バーガーの雄2社の動向からも目が離せません。引き続き、街角レポートを提供していきたと思います(笑)。

Posted by Ken Kodama at 17:32 | Comments (0)

2005年09月26日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


取り残される庶民の資産運用 ~マス・アフルーエントと資産運用ビジネス~

本日の日経金融新聞の一面には『長者囲い込み 群雄競う』とのタイトルで、富裕層の資産運用ビジネスについての記事が掲載されていました。そこで幾度となく登場するキーワードが、マス・アフルーエントという言葉です。このマス・アフルーエントという言葉はマーケティング用語ですが、どのような文脈で登場したかを知るためには、マーケティングの歴史を振り返る必要があります。
かつて、マーケティングなる学問が登場する以前のマーケティングは、いわゆるマス・マーケティングでした。すなわち、顧客のことよりも、まず売りたい商品が先にありきで、その商品を売るためにTVのCMなどを活用した画一的なマーケティングがマス・マーケティングだったのです。ところが、だんだんとモノがあふれ出してくると画一的なマス・マーケティングは通用しなくなり、顧客層のセグメンテーションを行うようになり、遂には究極のセグメンテーションであるワン・トゥ・ワン・マーケティングが誕生したわけです。
確かにワン・トゥ・ワン・マーケティングは顧客にフォーカスした理想的なマーケティング手法であるものの、ネックとなるのはIT投資を中心としたコストです。そこで主に費用対効果の視点から、マーケティングの流行は1対1からマス・マーケティングへと揺り戻しの現象が起きているのです。ただし、このマス・マーケティングは以前のマス・マーケティングとは異なり、ターゲットとするのは主に富裕層であり、この富裕層を対象にするマス・マーケティングをマス・アフルエンス・マーケティングと呼ぶのです。そして、このマス・アフルエンス・マーケティングが金融ビジネスにも取り入れられはじめてきたのです。
まず、このマス・アフルエンス・マーケティングを資産運用に採り入れることの意義ですが、資産運用においてはどのような形態であれマス・マーケティングは望ましくないというのが私の考えです。同じ一億円の金融資産を持っている人でも、その人の価値観、リスク許容度、知的好奇心、お金を手にした経緯(相続なのかビジネスなのか)、年齢、職業・・・などによって資産運用のプランは十人十色となるはずだからです。お金という無色透明のものであっても、その人の人生に即したオンリーワンのプランでなければなく、一人一人のニーズを満たしたワン・トゥ・ワンのアプローチが必要となります。恐らくは良識ある金融機関(があればですが)は、当然こうしたことを理解しているはずで、「マス・アフルーエント」というのはマーケティング手法というよりは顧客の選別の基準という意味合いしかもっていないはずです。
では、具体的にはその選別の基準がどうなっているのかといえば、本日の日経金融新聞では、マス・アフルーエント層純金融資産1億円以上5億円未満、そして5億円以上スーパーリッチと定義しています。もちろん、このサイトに訪れていただいている人がどのような方かは検討もつきませんが、これらの層に属する方はほとんどいないのではないでしょうか?それで、取り残された方の資産運用はどうなるのかと言えば、マネー・リテラシーのある方であれば絶対に相手にしないような金融商品へとつぎこまれているのです。これは決して誇大な表現ではなく、「ありえない」金融商品が人気を博している状況を幾度となく当ブログで批判してきました。
マス・アフルーエンス・マーケティングから取り残されてしまった人の資産運用はどうすればよいのか?本来であれば私のような独立のFPが受け皿となるはずですが、独立FPとてボランティアではないわけですから、作成したプランに対して適性な報酬が支払われないとビジネスにならないわけです。しかし、プランに対してフィーを支払うことに理解を示してくれる方というのは、マス・アフルーエント・マーケティングから取りこぼされてしまった方にはごくわずかであるというのも事実なのです。どうしたもんですかね~、という歯切れの悪い終わり方で本日は失礼します(汗)。

Posted by Ken Kodama at 15:42 | Comments (0)

2005年09月08日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


もう147円のお茶なんて飲む気がしない・・・

セブン・イレブン・ジャパンの清涼飲料水の値下げに関する特集記事が、本日の日経新聞の3ページに記載されていました。この報道は以下の3つの側面から考えて、実に興味深いです。

①価格競争に巻き込まれるコンビニ
当ブログでは、小売の業態の変遷に着目したエントリーをいくつか執筆してきました。以下は、過去の関連エントリーなのでご参照下さい。

ダイエーの「ミニ店舗」と繰り返される歴史 ~小売の輪~

ローソンの『生鮮コンビニ』とかけてQBハウスととく

さて、コンビニもかつては小売の「新業態」であったわけですが、「便利さ」という付加価値を武器に、いきなり高いマージンで参入し、そして根付いたわけです。(そしてこれは「小売の輪」の理論では説明できず、「真空地帯理論」によりコンビニの誕生は説明されるのが一般的です。)ところが、100円ショップという新業態との価格競争に次第に飲み込まれてしまうこととなります。特に私が頻繁に利用する「おやつコーナー」は、コンビニでも100円のおせんべい、100円のかりんとう・・・などで満載です。そんな中にあって、500ミリペットボトル飲料は130円~150円の値段で悠然と売られていましたが、今回の動きで一気に価格帯が下げられることとなりました。
厳しい競争環境下にあって、コンビニも「便利さ」だけを武器に高いマージンを課するプライシング政策は、曲がり角を迎えている感があります。当面は、集客を意識した、「目玉商品を配する」たぐいのプライシングをせざるを得ないでしょうが、それは対症療法にすぎません。「便利さ」というあまりに抽象的すぎた店舗のコンセプトを、いかに修正するかについて、深い思慮をめぐらせる時期にきているのではないかと思われます。

②清涼飲料メーカーの稚拙なチャネル戦略
こうした、値下げを引き起こしてしまったのは、清涼飲料メーカーのチャネル戦略が稚拙であったからに他なりません。特に伊藤園ですが、私が好む「お~いお茶、濃い味」は100円ショップでは当然100円で売られていますが、そこから歩いて1分としないコンビニではその1.5倍近くの値段で売られています。
伊藤園としての理屈はこうなのでしょう。「コンビニは配送の手間がかかるから、配送コストがかさまない100円ショップには安く卸してやっていいか。とにかく売れるところで売りまくって、売上高を増やさなくちゃ。」同じモノが違う値段で売られていれば、安い方の値段に収斂していくことは、あまりにも自明な摂理です。失われたマージンは、恐らく二度と返ってこないでしょう。

③原油高でどうなる?
「飲料品は原油高を受けて石化樹脂製品のペットボトル容器などが値上がりしている事情も抱える。(本日の日経新聞より引用)」コンビニでの販売価格引下げ圧力と、原材料費の高騰の板ばさみの中で飲料メーカーは今後かなりの収益悪化が予想されると思います。ちなみに私は、「お茶」という習慣的な飲み物に対してブランドバリューとペットボトルの材料費を反映した価格を支払うのが馬鹿馬鹿しくなって、最近は紙パックの500ミリリットルのお茶を飲んでいます。最初は、「倒れたりこぼれたりするのではないか」との心配があったのですが、ちょっとだけふたをあけてストローをさして飲めば問題ないです!なんだか私のケチケチ生活が明るみに出てしまいましたが(汗)、浮いたお金をどうしているのかといえば、はちみつ黒酢ダイエットの購入に充てて、ヘルシー志向な人間へと変貌を遂げていたりするのです。
ちなみに、この黒酢関連マーケットは、恐らく私は入院したりしなければ目を向けることはなかったのでしょうが、ここも実に熾烈な競争が展開されています。機会があればエントリーを書いてみたいと思います。人生なんでも意味がある、病気をすることにも意味がある・・・なんてしんみりまとめてみました。

Posted by Ken Kodama at 10:53 | Comments (0)

2005年08月16日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


「自分らしさへのこだわり」で世相を斬ろうとする浅薄さ ~日経新聞「オトコの消費」~

本日は久々に「理論株価」とかお堅いことを抜きにした、とっつきやすい話題で。執筆にあまり時間をかけていないため、つっこめる余地が十分あると思うので(汗)、つっこみたい方は是非、コメント欄に足跡を残していただきたい。
本日の日経新聞の「きょうの紙面」に『「オトコの消費」連載開始』とある。しかも、掲載されるのは経済・金融面。いつもの日経とは違うニオイを感じ、期待を膨らませて記事を読んだが、そこにあったのは大きな失望であった。
しかし、記事の分析で文句のつけようもない事実を述べている点もあるため、その点を確認しておきたい。景気が長いトンネルを抜け団塊の世代が巨大な消費集団へと変貌しつつあり、それが男性消費を後押ししているというのは、紛れもない事実であろう。
しかし、ミクロレベルで個々の男性消費の背後にある衝動として、日経は『「自分らしさ」こだわる』と大見出しでまとめているが、この見出しは本日の日経で取り上げている事象をまとめるには、あまりにも浅薄で、思考の掘り下げが感じられない。本日の日経新聞で取り上げられた男性消費の背後にある衝動には、以下の2つがあると私は思う。

【①高所得層への所属の欲求】
バブル時代に渡辺和博氏著による『金魂巻』なる本がベストセラーになった。その中で印象に残っているのが、「本当の金持ちは華美な格好をしないものだが、成金(なりきん)はブランド物に身を包みたがる」という趣旨の記述である。こうした事実の理由を私なりに考えれば、成金は高額なモノを消費することによってしか、自分が高所得層に帰属するということを実感できないからであろう。こうした形態の消費は、極言すれば高所得であることを実感できさえすればよいのだから、「自分らしさにこだわる」タイプの消費とは対極にあるといえよう。
本日の日経では、オーダーシャツの品定めを、別室のサロンでお酒を傾けながら行う外資系会社員が紹介されている。(書いてて恥ずかしい・・・)洋服仕立屋に豊富なボトルが用意されているはずもなく、はじめてビジネスクラスに搭乗したサラリーマンが、はしゃいで酔っ払いになる状況と似ている。彼等は、お酒を飲みながらシャツを選ぶことによって、「勝ち組」にのしあがったことを実感できればよいのである。オーダーシャツそのものへの「こだわり」を求める人々であれば、余計なドリンクサービスのマージンを廃した、腕の良い職人の門戸を叩くはずである。

【②メトロセクシュアルという性衝動】
本日の日経は「メトロセクシュアル」というコンセプトを紹介した点で大いに評価できるが、その言葉の意味を「都市(メトロ)に住み、身だしなみにこだわる男性をこう呼ぶ。(引用)」とこぎれいにまとめている点がいただけない。「メトロセクシュアル」なのだから、裏にはドロドロとした(とまでは言わなくともなんらかの)性衝動が潜んでいることに、気がつかねばなるまい。
日経に紹介されている「脚が長く見える(引用)」「美脚ジーンズ(引用)」に飛びつく男性客というのは、自分の短足を隠してまでセックスアピールを高めようとするわけだから、どうしてこれが「自分らしさへのこだわり」などというキーワードでまとめられるのだろうか???

とまあ、慣れないことを記事にした日経経済面を揶揄(やゆ)してみたわけだが、ただ男性消費の拡大というのは、私も今後無視できないマーケットになるという点は否定しない。ただし、このマーケットにアプローチするにあたって「自分らしさへのこだわり」といったこぎれいな常套句に頼っていたのでは、真の消費欲求を見極められないと思う。

ちなみにメテロセクシュアルという言葉の英語での定義がWikipediaにあった。英語の読める方は面白いと思うのでご一読を勧める。

Posted by Ken Kodama at 11:16 | Comments (0)

2005年07月05日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


行動ファイナンスから見たウォルマートの西友子会社化

ウォルマートが西友への出資比率を引き上げるとの報道です。以下にNIKKEI NETの記事を引用しておきましょう。

(引用始)
『世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズは年内にも西友を子会社化する方針を固めた。追加増資によって、現在42.4%の出資比率を50%超に引き上げる。あわせて、2009年までの5年間に約500億円を投じ、200店を改装する。西友の業績不振で提携関係を縮小するとの観測も出ていたが、日本市場で反転攻勢を狙う姿勢が明確になった。』
(引用終)

さて、私は西友について、今年の2月に以下のようなエントリーを執筆しています。

なぜEDLPは日本で根付かないのか?

EDLPとは「エブリデー・ロー・プライス」のことで、特売品で集客するのではなく、いつでも安値を提供して集客するウォルマートのマーケティングの根幹をなす手法です。しかし、私の分析があたっているかいないかは別として、日本では上手くいっていないという厳然たる事実は存在しているわけです。にも関わらず、西友への投資額を増やすわけです。しかも、その追加投資はグループ全体の405店舗中の半数に相当する200店舗の改装に使うというのですから、尋常ではありません。
このように「経営者が失敗しているプロジェクトにお金をつぎ込む」ことは伝統的なファイナンス理論では考えられないことですが、伝統的なファイナンスの枠外の事象を説明するのが行動ファイナンスで、この場合は損失回避という概念により、ウォルマートの行動を説明できます。
損失回避の理解を深めるために、『行動ファイナンスと投資の心理学(東洋経済)』及び『人生と投資のパズル(文春新書)』から引用を交えつつ簡単にご説明しておきましょう。みなさんは以下の2つの選択肢を選べる場合、どちらを選びますか?

(1)7,500ドルの確実な損失を受け入れる。
(2)75%の確率で1万ドルを失うか、25%の確率で何も失わないかという賭けをする。

伝統的なファイナンスの立場からは、両方の選択肢はリターンという観点から考えれば等価です。なぜならば(2)の「期待値」は「1万×75% + 0×25%」よりやはり7,500ドルで(1)と等価だからです。しかし、リスクという観点から考えれば、リスクとはリターンのブレ幅のことなのですから、損失が確定している(1)の方が(2)に比べはるかにリスクは小さいのです。
さて、みなさんは恐らく(2)の選択肢を選んだことでしょう。しかし、みなさんは自分はリスク愛好的な人間ではなく、リスク回避的な人間であると信じていることと思います。リスク回避的なあなたは、なぜリスクの高い(2)を選んでしまったのでしょうか?これを説明するのが行動ファイナンスであり、伝統的なファイナンスでは人間はリスク回避的であることを前提にしていますが、行動ファイナンスでは人間は損失回避的であり、損失を回避できると思えばリスク愛好的にもなってしまうと説明しています。株の難平買い等を行う心理もこれにより説明することが可能です。
今回の場合、EDLPはウォルマートの根幹をなす思想であり、それでアメリカでは大きな成功体験を収めているわけです。「アメリカで成功を収めている手法が、日本の失敗原因であるはずがない。日本の失敗原因は・・・そうだ店舗が老朽化しているからだ!店舗に投資して魅力的にすればお客さんは西友に足を向けてくれる。そうすれば後はEDLPの虜になってしまうだけ。マチガイナイ!」まあ、滑稽に書きましたが、意思決定の現場はこんなもんだと思います。また、日本人の西友経営陣は絶対に心の中では「EDLPだけではアカン!」と思っているはずで、それをアメリカ人経営陣に伝えていなかったとしたら、コミュニケーションの深刻な問題を抱えているともいえます。
日本の総合スーパーは、それぞれに自ら袋小路に入っていくように思えます。どこが一番最初に抜け出るのでしょうか?

Posted by Ken Kodama at 21:39 | Comments (0)

2005年07月01日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


ついにバナナ・リパブリック上陸!

遂に、バナナ・リパブリックが日本に上陸するとの報道が、本日の日経新聞の消費面に掲載されていました。なぜ、「遂に」かといえば、私がギャップジャパンに在籍していた当時から上陸の検討の話はきいていたのですが、諸々の事情から最終的な決断は持ち越されていました。それから約5年して、満を持しての出店となります。ちょうど、クールビズが叫ばれている中、グッドタイミングだったのではないでしょうか?会社がカジュアルの方には、お勧めだと思います。バナナリパブリックでコーディネートすれば、法廷の罪人やヒモ呼ばわりされることはないですから(笑)
私と同じくらいの年代の方は(私は36歳です)、バナナ・リパブリックといえば、ハワイ旅行に行った友人に、動物が背中にプリントされたTシャツを買ってきてもらう風習が流行っていたことを思い出しませんか?ギャップがバナナ・リパブリックを買収したのは1983年なので、私が大学生当時は既にギャップ傘下のブランドでした。
ギャップは他に「オールド・ネービー」というブランドも抱え、価格帯としては「バナナ>ギャップ>ネービー」という順番になります。オールド・ネービーの価格帯については、ユニクロに太刀打ちできませんから、恐らくは今後も、日本進出はないかと思われます。
出店は銀座プランタンと六本木ヒルズノースタワーともう一軒とのことです。ヒルズなIT系の人達が物色にくるんでしょうか?なんか嫌ですね(笑)

Posted by Ken Kodama at 20:55 | Comments (0)

2005年06月20日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


マックのつまずきの原因を考える

本日の日経新聞の9ページの『経営の視点』に、マクドナルドの業績の下方修正に関するコラムが掲載されています。一言でこのコラムを要約すれば、4月から導入された百円メニューは大幅な客数増をもたらしたものの、利益の増加に結びつくには至らなかった、といったところです。大幅な客数の増加については、これは当初からマックが目論んでいたことであり、4月の原田CEOのインタビューをもとに私が書いた関連エントリーがありますので、お時間がある方はそちらも参照してみて下さい。

マクドナルドは実は不動産業者???

実は私はマクドナルドのかなりヘビーユーザーでもあり(お里が知れてしまいますが・・・)、経営コンサルタントとしての立場だけではなく、顧客の視点からもマックのつまずきの原因を考えることができます。私が考えるつまずきの原因は以下の3つで、みなさんと一緒に順番に考えていきたいと思います。

①ワンコインメニューを時間限定にしなかった
4月の原田氏のインタビューで「時間帯ごとの売上高」という言葉があったことから、私はてっきりこのワンコインメニューは時間限定のものとばかり思っていました。例えば、昼時は混雑するけど、夕方4時~5時は客があまり入らない、といった情報をマックは蓄積しているでしょうから、そうした時間に限定してワンコインメニューを投入すれば、時間帯別の売上高がより平準化され、ワンコインメニューは利益の増加に貢献しえたはずです。しかし、私がマックを訪れる限りでは(といってもそんなに毎日のように行っているわけではありませんよ!)ワンコインメニューはいつでも買うことができ、店頭で割高なセットメニューの売上を奪っているのが目に付きます。

②「アーブ」が目に付きやすくなったメニュー体系
「マックのメニューには『アーブ』がある。」こう表現したのは、私がかつて勤務した金融機関の同僚です。『アーブ』というのは、『アービトラージ』の略で、いわゆる「価格のゆがみ」のことを言います。金融機関のトレーダーは「アーブ = 価格のゆがみ」をとらえて取引を行って、利益を手にしているのですが、その金融ジャーゴンをマックに使ってみたというそれだけのことですが、面白い表現だと思うので、ここに書いてみました。
「マックのアーブ」とは「ばらで買った方がセットで買うより安い」ということで、以前からマックのメニューにはアーブがありましたが、価格体系の変更によりこのアーブは、一層顧客にとって分かりやすいものとなってしまいました。なぜなら、大半のセットメニューは500円である一方、ワンコインメニューは1つ100円で、「ワンコイン × 5 = セットメニュー」という等式は、暗算が苦手な人にとっても、あまりにも明白だからです。
私自身、価格体系の改変後、マックで500円のセットを購入した試しがありません。お腹がすいているときであれば、380円のハンバーガーセットに100円のチーズバーガーを合わせて買い、合計額は480円でまだセット価格には至りません。また、小腹がすいたときは「シェークとアップルパイ」といった具合で、「200円なり」です。
『均一価格は客がメニューを選ぶ際、価格の高低で迷うストレスを解消する効果はあった。(本日の日経新聞より引用)』つまり、今回のメニュー改訂は顧客心理に着目したものですが、人間は簡単な四則演算をこなす、一応合理的な存在でもあるのだという側面を、あまりにも軽視したメニュー体系であるといえるでしょう。

③テークアウト顧客の軽視
マックにとって重要な顧客層というのは、私はテークアウトで購入する顧客だと思います。なぜなら、当然マック製品には店舗の地代コストが上乗せされていましますが、そのスペースを使用したりクーラーにあたったりすることなく、店内顧客と同じ価格で買っていってくれるからです。テークアウト顧客にとって重要な要素は、やはり味です。最近コンビニ弁当が進化を続け、味やヘルシー志向といった点でもひところとは比べ物にならないレベルまで向上したのに対して、マックは食に対するこだわりはほとんどなく、小手先のメニュー改変に終始し、新商品開発の努力を怠っています。
自らがフードビジネスの担い手であることを自覚し、食に対するこだわりをもたないことには、高い利益率をもたらすテークアウト顧客は離散してしまい、残ったのは百円シェーク片手に集団でメークを直す女子高生のみ、といったことになりかねないですよ。

Posted by Ken Kodama at 10:33 | Comments (0)

2005年05月24日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


ローソンの『生鮮コンビニ』とかけてQBハウスととく

ローソンがショップ99と競合する、百円均一の『生鮮コンビニ』に進出するとの報道です。本日の新聞ではファミリーマート、エーエムピーエム、スリーエフといったところも『生鮮コンビニ』を展開すると書かれています。先日、当ブログで触れたダイエーの食品の「ミニ店舗」も競合するはずですし、生鮮食料品マーケットはまさに戦国時代の様相を呈しています。
さて、ここで全く別の話題にいったん入りますが、皆様はQBハウスという床屋さんに行ったことがあるでしょうか?千円でカットをしてくれる、まさに「理容業界の価格破壊」といったお店なのですが、私は千円という値段は技術的に問題を抱えているような印象がして、最近まで行っていなかったのです。しかし、私の画像で分かるように、これほど髪が短いのに、髪型にお洒落する必要もない、ということにはたと気づいて、先日QBハウスでカットしてもらって、「千円」のカラクリが分かったのです。QBハウスには水周りがないのです。髭剃りはないだろうということは分かっていましたが、頭を洗うシンクすらないので、カット後は掃除機のようなもので、細かい毛を吸い取ってもらいます。床屋にシャワーとシンク・・・当然あると思われる設備を置かないことにより、あの低価格が実現できていたわけで、決して技術の低い理容師さんが働いているわけではないのです。
さて、話はローソンの『生鮮コンビニ』に戻りますが、利益率の低い生鮮食品を百円均一で売って、フランチャイザーとフランチャイジーが共に潤うためには、コンビニにあってしかるべき設備投資を行わないことにより、コスト削減を図るはずです。新聞には『宅配便や公共料金の収納代行などは扱わない。(引用)』とありますが、私は、おそらくPOSレジを置かないだろうと思っています。それは、『百円、二百円、三百円といった価格の刻みで販売する(引用)』との記述とも符号します。POSレジを置かないことで大きなコスト削減になるだけでなく、価格が百円刻みであれば、レジ打ちも単純になり、レジ打ちの人員は店舗毎に一人ですむはずです。
床屋にシンク、コンビニにPOSレジ。当然あると思われる設備を配置しないことによって、販売価格は低下し、我々消費者は恩恵を受け、これがなかなか終わらないデフレにつながっているのでしょう。「何を省くことができるか?」これを突き詰めて考えれば、また、新しい業態が誕生するかもしれません。

Posted by Ken Kodama at 21:18 | Comments (0)

2005年05月20日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


「日本の消費者の厳しい視線」を考える

当ブログを継続的にご覧いただいている方は(改めてありがとうございます)、恐らく本日の日経新聞から、私が何をとりあげたいのか、大方察しがついていると思います。そう、ビンゴです!本日は西友です。
西友が「スーパーセンター」なる大型店舗の本格展開に乗り出すとの報道ですが、NIKKEI NETには記事がなく、詳しい内容をお知りになりたい方は、NIKKEI ShopBizのこちらの記事をご覧下さい。
本日はマーケティングを正面きって考えるというよりは、もう少し深層の部分であると私が考えるところを、おつきあいいただいて一緒に考えてみたいと思います。私が本日の日経新聞の記事で引っかかったのは、以下の記述です。

(引用始)
『日本の消費者は品揃えの幅や品質、季節や流行に応じた変化に対する要求度が高く、低価格だけを優先すると、顧客が離れてしまう。』
(引用終)

グローバルなマーケティングにおいて、国ごとの習慣や国民性などといった違いを意識せねばならないのは、当然のことです。しかし、カルフールが失敗し、ウォルマートが苦戦しているときに、マスコミが使用する上記の常套句には疑問を覚える、というのを超えて嫌悪感すら覚えます。この文章はその裏で「ウォルマートの本国のアメリカ人は品揃えや品質を気にせず、価格が安ければ満足する」というニュアンスを嗅ぎ取ることができ、あの「日本的経営バンザイ!」の時代に蔓延していた、「根拠なき日本人としての優越」のような心理を読み取れることが、私が「嫌悪」というきつい言葉を使う理由です。
アメリカ人は消費者として繊細さに欠けるなどと考えるのは私は間違いだと思います。品質や品揃えに目をつぶって「低価格」で買い物をせねばならない背景には、極端に進んだ「所得の二極分化」があると私は考えます。「所得の二極分化」は日本では、ようやく始まりかけたばかりです。「所得の二極分化」が日本で10年も押し進めば、「日本の消費者の厳しい視線」などという表現はナンセンスになっているかもしれません。「とにかく安いものを買う」という購買行動があるのならば、それは明日の我が身なのではないでしょうか?
あるいは、「日本の消費者」が「厳しい視線」を持っているように見えるのは、地理的な問題や人口密度の密集度等を上げることができるかもしれません。私の事務所の近くには、生鮮食料品を扱うスーパーの隣に、個人商店の八百屋さんが頑張っています。こんな近くに競合店があるものだから、主婦はレタスを買うにも両方の店で、見て触って値段を確かめて、買うことができるわけですから、視線が厳しくなるのは当然です。
日本の株価が天井知らずで上昇していた80年代は、我々の多くはその答えを「日本民族の優越性」に求めていたのではないでしょうか?少なくとも学生の私は、そう思っていました。しかし、その自信はバブルの崩壊と、その後の「失われた10年」で跡形もなく消失してしまったはずです。それにも関わらず、こうした深堀りしない表現が、日本を代表する「経済新聞」で繰り返されるのは、残念なことだと思います。

Posted by Ken Kodama at 19:35 | Comments (0)

2005年05月09日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


ビールと販売チャネル

GW中は皆様いかがお過ごしになられたでしょうか?私は執筆やらセミナーの準備やら研修やらで以外に忙しく、GWでも仕事をしていました。当ブログは休日になると、ガクンとアクセスが減るため、お休みをさせていただいていました。
さて、本日は日経新聞経済面(3ページ)のアサヒビール社長池田弘一氏の「ビール業界から見た消費」と題したインタビューに着目してみたいと思います。新聞記事のみの数値をもとに、ビール系飲料の販路別・商品郡別の売上割合を整理すると以下のようになります。

家庭向け 65% 第三のビール 5%(昨年の数値を採用)
           発泡酒     39%(家庭向けの6割)
           ビール     21%
外食向け 35%  ビール    35%(発泡酒は入り込めなかった)

ビールという商品を考えることはマーケティングを学習する上で極めて有意義で、上記の表に対して色々な切り口があると思うのですが、本日は『外食向けはビールがほとんどで、発泡酒は結局入り込めなかった。(引用)』という発言について考えてみたいと思います。
家庭では受け入れられた発泡酒は、なぜ外食向けでは受け入れられなかったのでしょうか?容易に思いつく理由は、「せっかく外食でおいしいモノを食べにきているのだから、ビールもおいしいものを飲みたい」という消費者(エンドユーザー)にたった視点です。これも一理あるとは思いますが、「とりあえずアルコールがあればいい」という飲み会などであれば、適切な価格が設定されていれば、外食で発泡酒を飲むニーズは十分に存在しうるはずで、これだけでは説明理由として不十分でしょう。
もう一つ考えられる理由は、販売チャネル側の論理です。家庭向けであれば、コンビニや酒類ディスカウントストアが販売チャネルとなりますが、確かに発泡酒をそろえるとより粗利の高いビールの置き場を縮小せざるを得ませんが、低価格品の品揃えを豊富にすることにより、販売数の増加を多少見込むことが可能です。
対して外食産業の場合、席数という制約があることを見逃してはならないでしょう。外食産業で発泡酒が販売されれば、客単価は確実に下落します。いつも満員御礼の繁盛している飲食店であれば、これは売上減、粗利減を意味するもので、こうして考えると外食産業が発泡酒を売るメリットはほとんどないことが分かるはずです。
直販以外の販売チャネルを使ってモノを売っていく場合、必ず考慮に入れねばならないのが、販売チャネルの利益という視点です。エンドユーザーの満足という視点を忘れる方はまずいませんが、エンドユーザー、販売チャネル、メーカーの全てにとって、売上増がメリットになるように考えることが、メーカーの販売の責任者の手腕の見せ所であるということを、お忘れにならないで下さい。

Posted by Ken Kodama at 10:25 | Comments (0)

2005年04月05日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


ダイエーの「ミニ店舗」と繰り返される歴史 ~小売の輪~ 

ダイエーの再生プランの一つとして、食品スーパーの「ミニ店舗」なる概念が登場しました。以下、本日のNIKKEI NETより一部引用したいと思います。

(引用始)
『柱となる食品スーパーは、コンビニエンスストア3店舗分の広さに相当する売り場面積で400平方メートル弱のミニ店舗を導入する。既存店の活性化へ、2007年2月期までに全体の売り場面積の約1割に当たる16万平方メートルに外部の専門店を誘致する。これらにより営業損益を年間100億円以上改善する考え。』
(引用終)

さて、「食品」の「ミニ店舗」といえば、恐らく多くの方がショップ99を連想されたのではないでしょうか?「なぜコンビニでは生鮮食料品を買えないの?」というニーズを汲み取り、『新鮮食生活が99円のワンストップコンビニ!(同社HPより引用)』というコンセプトで成功を収めている企業です。
ショップ99は、まさしく小売の新業態といえますが、その小売の新業態の生々流転を説明する理論として、「小売の輪の理論」なるものがあります。簡単にご紹介しておきましょう。
まず、小売の新業態が登場するときは、大抵、低価格を武器に参入してくるものです。そうでもしないと、既存の業態から顧客を奪ってこれないからです。ショップ99も、まさしくこの原則にのっとり、低価格で生鮮食料品を扱うコンビニとして登場してきています。しかし、他人の成功は大抵真似されるもので、やがては模倣者が現れます。しかし、模倣者が成功を収めるには、「安い」だけでは勝負にならないため、品揃えの拡大や高級化といった非価格競争に向かうこととなります。この段階で、競争の主軸は「低価格→高サービス」に移行するわけですが、その結果価格も「高価格」に移行すると、新たに「低価格」での新業態の参入の可能性を招くわけです。このように「低価格での新業態参入→高サービス高価格化→低価格での新業態参入・・・」を延々と繰り返して、小売業態が発達していく、と説明するのが「小売の輪の理論」なのです。
昨今のダイエー関連報道からすれば、低価格路線を修正する方向性は明確ですから、ダイエーはショップ99が成功を収めている領域に非価格競争を持ちかけてくることは明白であるといってよいでしょう。これだけ国費を投入して債務免除してもらった企業が、成功企業の模倣者として競争を仕掛けてよいものなのか、という議論は当然あるのでしょうが、本日はこの単純な「小売の輪の理論」でかなり多くの小売の新業態の栄枯盛衰が説明できるということを実感いただければ、本日のエントリーの目的は達成されたことになります。

Posted by Ken Kodama at 10:15 | Comments (0)

2005年03月18日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


トイザラス買収 日米の「専門店」の事情の違い

「米玩具専門店最大手トイザラスは17日、米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などの投資会社グループに会社を売却することで合意した(引用)」との報道です。日経新聞はこの買収の背景にあるのが、ウォルマートの攻勢にあるとしています。以下に、日経新聞の記述を引用します。

(引用始)
『トイザラスが身売りに追い込まれた背景にはウォルマート・ストアーズの攻勢がある。世界五十カ国超からの商品調達網と低コスト経営をテコにしたエブリデー・ロープライス(毎日低価格)戦略の展開で、1990年代後半から専門店をなぎ倒してシェアを奪っていった。
米国だけで年間300店超の大量出店の前に、多くの専門店が生存の道を絶たれている。玩具、衣料、食品、宝飾品、音楽CD、DVDソフト、スポーツ用品 ━。いずれの商品でもトップシェアを握るのはウォルマートだ。』
(引用終)

当サイトでは、ダイエー、イトーヨーカ堂をネタに、日本の総合スーパーの苦境について取り上げてきました。そして、日本では総合スーパーよりも専門店で、SCも専門店の集客力だのみ、といった色彩が強かったのですが、アメリカにおいては、ウォルマートの圧勝のようです。なにゆえに、日米の流通事情はかくも違うのでしょうか?
流通専門のコンサルタントの方は確固とした答えを既にお持ちでしょうが、私なりに考えたアメリカの専門店不振の原因を以下に挙げてみたいと思います。

①マークダウンへの不振
ギャップのお店に行かれている方はご存知でしょうが、売れ行き不振の商品はしばらくたつと、大幅な値下げ(マークダウン)をして売られるようになります。もとは、四千円くらいであった商品が二千円をきって売られていた、などということは頻繁にあることで、こうした大幅なマークダウンへの不信感が、ウォルマートのEDLPへの圧倒的な支持へとつながっているのであると考えられます。

②ネットショップの台頭
私はCDと書籍については、大型の専門店でなければ購入しません。なぜならば品揃えが圧倒的だからです。ところが、こうした専門店をはるかに上回る品揃えをそろえているのが、アマゾンなどのネットショップです。しかも、書籍でもコアの部分は中を閲覧でき、音楽についても視聴可能で、モルタル店舗に出向く必要がありません。アメリカでタワーレコードが破産法申請に追い込まれた背景には、ネットショップの台頭があると考えるのが妥当であると思います。

③地理的な商圏の広さ
①と②の理由については、日本についてもあてはまるはずですが、日本では専門店の不振ということはあまり聞きません。それは、恐らく、日本の商圏が地理的に狭く、アメリカのそれが広い、ということにつながってくるのだと思います。
例えば、日本のギャップのコアなお客様は頻繁に店舗を訪れ、マークダウンの状況をチェックしつつ、お買い物を楽しまれているようです。そうしたことが可能になるのは、職場から歩いて数分のところにお店があったり、通勤途中の駅近にお店があったりするからで、これが車を出して30分のところにお店があるのであれば、買うかどうか分からないのにお店に訪れるなどということは起こりえないはずです。


なお、「アメリカ、専門店、ウォルマート」というキーワードでグーグル検索してみたところ、三洋堂書店さんの社内速報なる文書がひっかかりました。昨年10月にCOOの方がアメリカに視察に行かれたようですが、今回のトイザラス買収の背景となるおもちゃの小売事情を実に的確にまとめているので、是非ご参照してみてください。

Posted by Ken Kodama at 10:50 | Comments (0)

2005年03月17日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


総合スーパーの行方 ヨーカ堂の進む道

イトーヨーカ堂がショッピングセンター(SC)の開発・運営事業に乗り出すとの報道です。ダイエー、イオン等、他の総合スーパーと呼ばれる業態が苦境にあることは、皆様ご存知の通りです。しかし、その苦境から脱却するための戦略は、各社、かなり異なる様相を呈しており、非常に興味深いです。

①ヨーカ堂は「なんでもやる」道を選択
総合スーパーも、もともとなんでも売るタイプの業態でしたが、私に言わせれば「中途半端に」なんでも売ってきた感があります。その点を反省して、ダイエーは、そのリバイバルプランにおいて、「食品に特化」という決断をしたことは、過去のエントリーでも取り上げたとおりです。下記の過去エントリーをご参照下さい。

ダイエーのリバイバルプランを考える

対するヨーカ堂がSCの開発・運営に乗り出すということは、特化ではなく品揃えの拡大を志向するという、全く対極的な方向性であると見ることができるでしょう。ここで、気になるのが、展開するSCのコンセプトですが、「ライフスタイル」というなんとも漠たるコンセプトとなっているのが気がかりです。ライフスタイルといってしまえば、娯楽から日常生活から、何でも入ってきてしまうからです。例えば、本日の新聞に登場した、テナントを連想させるキーワードを抜書きしてみましょう。輸入ブランド・高級アパレル・シネマコンプレックス・介護用品・フィットネスクラブ・食品スーパー・生活雑貨・・・これらのテナントが集結するSCとは一体なんなのでしょうか???
集客に重要なのは、明確なコンセプトであるというのは、マーケティングの基本原理で、そのコンセプトが「ライフスタイル」と言ってしまった途端、焦点がぼけぼけになってきてしまいます。

②懸念されるデベロッパーとテナントの馴れ合い
今回のSC事業は三井物産との共同出資という形態を取りますが、懸念されるのはデベロッパーとテナントが馴れ合いになってしまわないか、という点です。ヨーカ堂は当然自らが核テナントとして出店するつもりですし、三井物産は同社系列の松竹系のシネマコンプレックス、介護関連給食会社等をテナントとして送り込みたい思惑が見てとれます。デベロッパーとテナントが同じ資本の傘下にあれば、不採算のテナントの退出が迅速になされない可能性があり、SC全体として成功を収めるためには、こうした馴れ合いを排除する規律を持つことが肝要です。

③ダイエーの末路をほうふつさせる総花的な事業構造改革
こうした動きの背後にあるのが、ヨーカ堂の事業構造改革ですが、下記にリンクを掲載いたします。

イトーヨーカ堂グループの事業構造改革について

この事業構造改革にあえて辛口のコメントをすれば、基本戦略は抽象的すぎて方向性が見えず、具体的方針は、これまた何でもありで、盛り込みすぎです。企業が事業ドメインをどう規定するのかというのは難しい問題で、広すぎても狭すぎでも問題ですが、このプランは明らかに広すぎです。ダイエーの凋落の原因の一端は、ドメインが広すぎたことにあるといわれていますが、このプランからどことなく、かつてのダイエー臭が漂ってきます。
最近のヨーカ堂の大きな動きとしては、藤巻氏起用のIYG生活デザイン研究所と、このデベロッパー事業進出ですが、IYG生活デザイン研究所とSCのテナントは競合するはずで、かなり異なる方向性のもとの動きと見ることができます。こうした、全く別方向の大きな新事業を同時期に開始して、ヨーカ堂グループ全体としてまとめきれるのでしょうか?
総合スーパー各社にとって、今後2~3年で新たな方向性の下で確実な成果を収めることが鍵となるでしょう。その時点での勝ち組スーパーは、どこなのでしょうか?興味がつきない流通業です。

Posted by Ken Kodama at 12:16 | Comments (0)

2005年02月16日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


なぜEDLPは日本で根付かないのか?

西友の業績が依然として不調であるとの報道です。その原因として、ウォルマート流のEDLP(Every Day Low Price)、すなわち破格の安値の目玉商品で集客するのではなく、コンスタントに安値の商品を提供することによりリピーターを増加させていこうとする手法のことですが、これが日本では効果を挙げていないとの指摘が本日の日経新聞では書かれています。なぜEDLPは日本では根付かないのでしょうか?私なりに考えてみましたが、異なる見解・ご指摘等ありましたら、コメントに記載いただければ幸いです。最近、大変ありがたいことに、当サイトへのリピーター数のカウントが着実に増加しています。徐々にインタラクティブなサイトになれば、嬉しい限りです。

①働く主婦 VS 専業主婦
第一に考えられるのは、アメリカでは、結婚後も仕事を続けられる女性が多いのに対し、日本では、依然として専業主婦となる方の人数が多い点です。専門のお仕事をお持ちであれば、当然、買い物に割くことのできる時間も限定され、複数店舗の折込チラシの隅々まで読む時間はなく、したがって、EDLPは忙しい主婦にとって、大変重宝されます。
対して、専業主婦であれば、チラシをくまなく読む時間も豊富にあり、また、チラシを読んで目玉商品を発掘することは、家計の支出を抑えるという意味である種の「生きがい」となっていたり、また、そこまで大げさでなくても、目玉商品発掘を楽しんでいる主婦も多いはずです。
EDLPはこのように専業主婦の生きがい・楽しみを奪いかねない手法なので、西友においても、共働きの比較的多い都市部とそれ以外で、EDLPを採用するか否かを決めていけば、多少効果が上がるのではないかと思われます。

②買回品とEDLPの親和性
購買頻度の高い食料品などをマーケティング用語で最寄品、それほど購買頻度が高くない衣料などを買回品と呼びますが、新聞報道にあるように、買回品にEDLPを導入すること自体、大きな疑問符をつけざるを得ません。買回品は読んで字の如く、買う際において複数の店舗を歩き回って購買を決定するという努力をいとわない商品のことです。こうした商品は、価格を多少高めに設定してでも、差別化を図り、回転率よりも粗利率で勝負すべき商品です。アメリカのウォルマートでは、買回品にEDLPを適用することによる成功体験があるということなのでしょうか?もし、そのような成功体験がアメリカであるとするのなら、その原因を憶測すれば、貧富の格差が大きいというところに行き着くのでしょうか?この辺りについてご存知の片は、是非ご教授いただけると幸いです。

Posted by Ken Kodama at 10:46 | Comments (0)

2005年02月07日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


紙のメディアとSEO

本日は直接的に関連のある日経新聞記事を受けてのエントリーではないのですが、インスパイアされたのは11ページの「電力線ネット」の記事です。
昨年12月21日付けで、「電線ネット」というタイトルでエントリーを書かせていただきました。これは、その日の日経新聞の1面の大見出しに、この「電線ネット」なる言葉が踊っていたことを受けてのエントリーですが、ここで私が着目したのは、「電線ネット」という言葉そのものです。この「電線ネット」なる用語を、12月21日時点でグーグル検索したところ、519件のヒットがあったものの、トップに表示されたものは「・・・日立電線、ネット・タイム、・・・」と、話題と無関連のものであったことから、同日時点においては、ネット・コミュニティーにおいて、「電線ネット」なる用語は使用されていなかったことが確認できます。
ところが、本日、同キーワードをグーグル検索すると、約3,460件と表示され、わずか1ヶ月強の期間において、同キーワードを含むページが3千近くネット上に生まれたことになり、「紙のメディア→ネット」への影響力の強さというものをまざまざと見せつけれらた感がします。「紙のメディア」の強大なパワーの源泉は、やはり①圧倒的なブランド・信頼度によるところが大きいと思われますが、②「電車通勤」という首都圏在住者のライフスタイルに支えられている面も否定できません。ただし、後者については、今後定額パケット料の携帯端末の普及や、携帯端末からのテレビ放送受信などにより、携帯端末との競争激化から徐々に力が弱まっていくものと思われます。
当サイトでも、当初はトラフィックを集める上で意識的に実践していましたが、圧倒的な紙のメディアのパワーを利用したSEO対策というのは、サイト集客にとって実に効果的です。ウェブサイトへの集客でお悩みの方は、想定来客の読むであろう紙媒体を意識したSEO対策を行うことが、費用対効果の面から考えて最も有効であろうと思われます。そして、その際のツールとして有効に機能するのがブログであることは、いうまでもありません。
ひとつ、日経新聞に対して苦言を呈するとすれば、こうした用語の選択に細心の注意を払っていただきたいという点です。本日の11ページでは、「電線ネット」ではなく「電力線ネット」という言葉に戻っていますが、では、なぜ昨年末に「電線ネット」なる言葉が大見出しで踊ったのか理解できません。それが、若手の編集者による、新語を世に出したいという自己顕示欲に基づいたものであったとしたならば、そうした小さな情報操作の意図の積み重ねは、紙のメディアのブランドパワーの低下に自ら拍車をかけるものとなってしまうことでしょう。

Posted by Ken Kodama at 11:19 | Comments (0)

2005年02月03日

  執筆コンサルタントのプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif


携帯電話とキャプティブ製品の価格設定

ドコモが第三世代の携帯端末を値下げするとの報道が、本日の新聞紙面を大きく割いて取り上げられていました。本日はこれに関連して、キャプティブ製品の価格設定というマーケティング上の概念をご紹介したいと思います。
『コトラーのマーケティング入門』に紹介されている事例を取り上げれば、ポラロイド社はカメラ本体に低い価格設定をした上で、フィルムの販売で高い利益を獲得しています。また、ジレット社はカミソリ本体の価格を抑えて、替え刃の価格を高くすることにより利益を得ています。これらの例の場合、フィルム、替え刃にあたるのがキャプティブ製品と呼ばれ、主製品とキャプティブ製品の全体での利益確保を目指し、二段階の価格設定を行うことを、キャプティブ製品の価格設定と呼びます。主製品の価格を抑えるのは、当然新規顧客を呼び込むためであり、また、トータルの利益はキャプティブ製品により補完されるため、こうした価格設定が可能となります。
日経ビジネス文庫の『キャノン式』においては、カメラメーカーとしてスタートしたキャノンが、「我々はフィルムメーカーをもうけさせているだけではないか」との思いから、トナーというキャプティブ製品を抱える複写機製造に進出した経緯が冒頭に描かれています。
携帯電話においても機種変更の場合よりも新規購入の方が価格が安くなるのは、やはり広義の意味でキャプティブ製品である「通話料」が控えているからです。ただし、携帯電話ビジネスの場合、携帯端末の製造を担う企業と通話料を受け取る企業が異なるところに、深刻な問題があります。
携帯電話各社は通話料の確保のために、熾烈な携帯端末の価格競争を繰り広げていますが、その皺寄せは、本日の報道から見る限り、ほとんど端末メーカーにきています。この『携帯大国』と称される日本において、最大手の端末メーカーであるNECが約200億円の営業赤字に転落するという事態は、海外事業不振に主因があるとはいえ、ただごとではないでしょう。端末メーカーの新機種開発のインセンティブが大きくそがれていることと思われます。
日経新聞の記事の最後には端末メーカーの再編の可能性が示唆されています。その再編の方向性の一つとして、携帯電話各社が端末メーカーを内部に取り込むという方向性も、合理的な解の一つではないかと私は思います。

Posted by Ken Kodama at 10:11 | Comments (0)