本日の日経新聞5ページには『量的緩和解除への視点』と題したコラムが掲載されており、そのサブタイトルは「時期」となっている。もはや、量的緩和が「Yes」か「No」の問題ではなく、「When」と「How」の問題に移行しつつある点には疑いの余地はあるまい。なお、最初に断っておくと、昨日の「医療」の分野と同様に、マクロ経済学に関しても私は素人である。どのくらいの素人かというと学部生が読むような基本書を大分昔に通読したことがあるのと、私が持つ中小企業診断士とFPの資格をパスするに十分な知識を持ち合わせている程度。ま、ド素人である。
そんなド素人の目から見て、日銀の政策運営というお仕事は、ハラハラささせられる。例えば、本日のコラムで浜田エール大教授はこんな注文をつけている。「金融政策の正常化はゆっくりとやってほしい(本日の日経新聞より引用)」ぼんやりとしていそうで、実はこの「ゆっくりと」を実現するのは、かなりのスキルがいるはず。というのも、金利マーケットの参加者はみなプロであり、みな経済的に合理的な意思決定を行う人々の集合のはずである。そこに直線的なメッセージを与えれば、「ゆっくりと」は実現せず、少なからぬ「ショック」をもたらす。しかし、「ショック」が一度起こると、「プロ」だと思っていた金利マーケット参加者は狼狽しだして、その影響は増幅されてしまう。こうした「増幅」を回避するために必要なスキルとは、グリーンスパンが得意としたように多義的に解釈され得るメッセージを発し続けたり、あるいは市場参加者の裏をかくといったことである。もちろん「多義的に解釈されうるメッセージ」といっても支離滅裂なことを言っていては市場の信任を失ってしまうだけであるため、それは日銀ウォッチャーと呼ばれるインテリゲンツィア達の鑑賞に堪えうるほどのノーブルさを備えていなければならず、かつ、彼等の解釈がばらけるほどのアンビギュイティーもなければならない。しかも、日銀が操作し得る変数は金利の他には預金準備率等、ごくごく少ない。このブログを読んでいただいている方にとっては、私には逆立ちしても書けないタイプの文章であることは察していただけるであろう。
「心理学+ファイナンス」の行動ファイナンスがあるくらいだから、行動経済学もあるかもしれないと思って、「Behavioral Economics」でググッてみたら結構でてきた。が、「Behavioral Economics」のテーマに中央銀行と金融マーケット参加者のばかしあいが含まれているか否かは知らない。ただ、一つ英語で恐縮だが、PDF文書で12ページくらいでBehavioral Economicsについて初心者向けに分かりやすく解説した文書を発見したため、興味のある方のためにリンクをはっておきたいと思います。
久々に日銀ネタです。企業経営に関する記事はつぶさに読むのに、経済ネタとなると一瞥もしない方も結構いるのではないのでしょうか?そうした方を対象に、日経新聞を余すところなく読み取っていただけるよう、本日は「分かりやすい解説」というスタンスでエントリーを書いてみたいと思います。
まず、NIKKEI NETより記事を引用することといたしましょう。
(引用始)
『日銀は20日の金融政策決定会合で、金融の量的緩和の目安としている日銀当座預金の残高について、誘導目標の下限としてきた30兆円を一時的に下回ることを容認すると賛成多数で決めた。金融不安の後退で金融機関が手元に余分な資金を置かなくなり、目標達成に向けた資金供給が難しくなっているためで、4年間にわたる量的緩和政策のもとで初めて目標割れを認める。ただ目標水準そのものの引き下げは見送り、現行の量的緩和の枠組みは堅持する。』
(引用終)
もし、上記の文章が皆様の眠気を誘ったとしたら、執筆者の力量を疑う前に、恐らく「量的緩和」と「日銀当座預金残高」の意味を調べることが先決事項でしょう。これらの意味が分からないと、恐らく一歩も先には進めません。
「量的緩和」の意味については、以下の昨年7月に執筆した私の過去のエントリーをご参照下さい。
自画自賛になってしまいますが、このエントリーは今読み返してみても、自分で感動するほど分かりやすいです。原点に立ち返って、こうした分かりやすいエントリーの執筆を志したいものです。
【日銀当座預金残高とは?】
この辺の用語が分かりにくくなるのは、この当座預金が日銀のものなのか、民間金融機関のものなのか、といったものが曖昧に記憶されてしまうからでしょう。
正解はといえば、日銀当座預金残高とは、一般の金融機関が日銀に開設している当座預金の残高をいいます。ですから、この残高が増えるということは、民間の銀行のB/S上で「現預金」の勘定の残高が増えることを意味します。では、この残高をどうやって増やすかといえば、それが買いオペなる手法によってです。つまり、民間の金融機関の債券や手形といった他の資産を買い取ってあげて、そのかわりに現金を渡すのです。こうすることによって、民間に出回る現金の量が増えるので、「量的緩和」と呼んでいるのです。
【なぜ誘導目標残高を下回ることを容認するのか】
さて、日銀は「日銀当座預金残高」の目標を30兆円と掲げた政策を一貫してきたわけですが、ここでこの目標残高を下回ることを容認したわけです。なぜでしょう?この理由として、日経新聞の記述を引用しておきましょう。
(引用始)
『金融不安の後退により金融機関が手元に余分な資金を置こうとしなくなったためで、日銀は目標下限の三十兆円を維持するのが難しくなっている。』
(引用終)
現金が他の資産と比べて、最も収益を産まない資産であるというのは、銀行とて同じことです。「金融不安」という銀行の信用面での不安材料が後退したことから、銀行は自らの収益性のことを優先的に考え始め、結果として日銀の買いオペに応じるメリットがなくなってしまったのです。民間の金融機関が買いオペに応じないならば、民間に資金の供給をすることは難しいですから、「目標残高の下割れ」を容認せざるを得なかったのです。
【では、なぜ目標残高自体を下方修正しなかったのか?】
さて、目標残高の三十兆円を一時的に下回る事態となったわけですが、それならば、なぜ目標残高自体を、例えば二十兆円といった具合に下方修正しなかったのでしょうか?どちらであっても、実際の残高が三十兆円を下回っていることに変わりはないじゃありませんか???
この言い回しこそが、我が日本の中央銀行総裁の「話術」なのでしょう。「目標残高を下方修正」といってしまうと、「金融引き締め」の色合いが強くなり、そうすると7月のエントリーに書いたように長期金利が上昇し、場合によっては株価に影響を与え、実質的な景気にも影響を与えかねません。「目標は維持しつつも一時的には容認」という話術が、金融引き締めの色彩をやわらげる上で有効だと福井総裁は考えたのでしょう。
昨日はエントリーをお休みしてしまいましたが、日経一面のトップは資源高騰に関わる報道でした。鉄鉱石、鋼材、原油等の資源の価格が高騰しているとの記事でしてたが、記事を注意深く読むと、各業界の温度差が浮かび上がってきて、興味深いです。例えば、鋼材については、「新日鉄は二月にも値上げを要請する。(引用、強調は私の判断)」とありますが、ガソリンについては、「新日本石油は十九日、二月からガソリンなどの卸値を前月比一リットル当たり一~一・五円値上げする方針を明らかにした。(引用)」と明らかにトーンが異なります。これはそれぞれの業界の競争構造が異なっているのが原因で、その業界の競争構造を明らかにしようというのがマイケル・ポーターの5フォースモデルと呼ばれるものです。
【5つの競争要因】
中小企業診断士試験においては頻出されますが、ポーターは業界の競争構造の要因を以下の5つに分けて考えることを提唱しています。
①新規参入の脅威
②競合の脅威
③代替品の脅威
④供給者の脅威
⑤購入者の脅威
鉄鋼業界が5割近くもの鉄鉱石の価格値上げを受け入れざるを得ないのは、供給者の価格交渉力が圧倒的なパワーを持っているからに他なりません。鉄の代替品というものは考えにくく、また巨大な設備投資が必要なため新規参入もほぼ考えられないですが、それにも関わらず原料の値上げをすんなりと製品価格に転嫁できないのは、自動車業界に代表される購入者が強大な価格交渉力を持っているがためです。余談ですが、一月ほど前に新日鉄が企業理念を制定したとの報道がありましたが、同社サイトで見ても企業理念の中に「顧客」という言葉は登場しません。一般的に、きれいごととはいえ企業理念にはカスタマーを登場させるものですが、そうでないところに、この業界の事情を推察せざるを得ません。
それに比べて石油元売のガソリン価格の値上げの速やかさといったら、鉄鋼業界とは比べ物になりません。こうなってしまうのは、購入者であるガソリンスタンドが全く価格交渉力を持たないからです。石油元売は原料の値上げをほぼ100%製品価格に転嫁していると考えられるため、業績予測も行いやすく、同記事は下記の過去エントリーをご参照下さい。
一方で、ガソリンスタンドが販売価格にすんなりと転嫁できないのは、新規参入が比較的容易で、かつ、業界内の競争が激しいからに他なりません。
個人投資家として株式投資を行う際の視点としても、個別企業のみならず、こうした業界の分析を行うことは重要で、その際の考える視点がポーターの5フォースモデルになりますので、活用してみて下さい。
【本日のソニーも・・・】
ソニーの業績見通しの下方修正の報道が本日の日経一面にありましたが、主因はエレクトロニクス部門の不振とのことです。このエレクトロニクス部門の不振は、新聞報道にあるように、ブランド・バリューの低下、製品開発力といった、個別企業の努力の観点から分析されねばなりませんが、先程の記述から関連させれば、このエレクトロニクス業界というのは競争が激しい業界であるということが、遠因であるといえるでしょう。携帯型オーディオといった分野にアップルが新規参入してきたり、松下・シャープらとの既存競合との競争も激しく、また量販店を物色して回る我々消費者が顧客であり、こうした要因から、この業界の競争が激しくなってきています。
本日の日経新聞5ページに『GDP統計 景気判断の波乱要因に』なる、一見、難解そうであまり面白くなさそうなコラムがありました。
コラムの粗筋はこんな感じです。
『現在のGDPデフレーターの算出方法によれば、実勢よりかなり低い物価下落率がはじきだされていて、問題である。したがって、算出方法を「連鎖方式」に見直し、実勢に近づけるべきだが、そうすると実質GDPが下振れし、景況感が変わるリスクがある。』
なかなかマニアックな議論ですが、「経済学」が受験科目に入っている資格試験(例えば私が担当する中小企業診断士など)受験者の方には、「ラスパイレス」「パーシェ」の特徴を、より実戦的に復習するよい機会かもしれません。以下、「ラスパイレス」「パーシェ」そして、新聞の「連鎖方式」をからめて、整理してみたいと思います。
【CPI(消費者物価指数)の計算方法】
まず、一番みなさんになじみのある物価指数である、消費者物価指数(CPI)です。この数字をもとに、我々は「物価が上がった下がった」と論議をします。この指数を計算するには、我々が日常生活で使いそうな品物をピックアップして、それらの価格を加重平均して、物価指数を計算するわけです。
ここで問題となるのは、ウェイトづけする品物の数量を、いつの時点を基準とするか、という点です。CPIの算出においては、ある基準年を定め、その数量でウェイトづけを行っており、その基準年は現在2000年になっています。こうした、ある昔の基準年の数量でウェイトづけして物価指数を計算する方法をラスパイレス方式と呼びます。
実は、このラスパイレス方式で物価指数を計算すると、実勢より高めに物価が計算されてしまう、という上方バイアスが生じてしまいます。なぜなら、我々はあるものが安くなれば、その安くなったものの消費を増やしますが、ラスパイレス方式では数量を基準年に固定しているため、こうした「安いものの消費を増やす」という数量構成の変化をとらえきれないためです。
【GDPデフレーターの計算方法】
一方で、基準年ではなく比較時点での数量でウェイトづけして計算するのがGDPデフレーターで、この方法をパーシェ方式と呼びます。
ただ、一点注意せねばならないのが、こちらにおいても「基準年」という概念がなくなってしまうものではない、ということです。実際、GDPデフレーターの基準年は、現在1995年に設定されています。
では、この基準年を使ってなにをするかというと、品質調整ということを行います。品質調整とはなにかというと、例えばパソコンなどを、基準年(つまり1995年)と比較年との間で性能を比較してみるわけです。そして、性能が4倍になっていれば①価格は4分の1になったとみなすと同時に②消費数量は4倍になったみなす、ということを行います。
当然、我々はパソコンの性能が4倍になったからといって、パソコンを4倍買うことはなく、今度は先ほどのCPIとは逆に、「安いパソコンの消費量を過大にみなしてしまう」という問題から、GDPデフレーターは下方バイアスがある、といわれています。
【GDPデフレーターの見直し ~連鎖方式~】
現在の方法では、品質調整という仕組みによりGDPデフレーターが下振れしてしまう、ということを確認しましたが、その下振れを大きくしてしまう原因の1つに、設定されている基準年が古いという問題があります。1995年と比べ続けていれば、品質調整による下振れはどんどん大きくなってしまいます。
解決策として考えられているのが連鎖方式なるもので、この基準年をこまめに見直していくことで、下振れを少なくしましょうというのが狙いです。
【当エントリーの参考文献】
日銀論文 経済点描 『GDPデフレーターの下落率はなぜ大きいのか?』
財務省は今年度、金利や物価が上昇すると利子や元本が増える「インフレ対応型」国債の発行を前年度比6割増やす方針であるとの報道です。インフレ対応型の国債とは、当サイトでは既に紹介してきた、個人向け国債や物価連動国債のことです。こうした国債を政府が発行せざるを得ないのは、将来の金利上昇に対する懸念があります。利率が固定した従来型の国債では、将来の金利上昇時に価値が目減りしてしまうことが目に見えていて、誰も買わないからです。
さて、私はファイナンシャル・プランナーとして、個人の方が住宅ローンを組むときは、できるだけ、固定金利で組むように助言しています。なぜなら、変動金利では将来金利が急上昇してしまった場合、毎月の返済額も急上昇して、家計が破綻しかねないからです。同じ理由から、変動金利型の借入をしている企業に対しても、金利スワップのような技術を使って、金利を固定化するよう勧めます。国が個人向け国債や物価連動国債を発行するということは、変動金利型で借入をしているということで、国庫は極めて重大な金利リスクにさらされているといえるでしょう。さて、国はこのような金利リスクに対して、どう備えているのでしょうか?
国庫の細かい事情は知りませんが、国が金利スワップのようなデリバティブを活用して、変動金利を固定化するということは考えにくいです。なぜなら、国の債務といった大規模な債務をヘッジしようとすると、金利スワップ等のデリバティブの市場の需給は崩れ、結果的に割高な資金調達になってしまうからです。
将来金利が上昇するということは、そのときは景気が回復していると考えてよいでしょう。つまり、政府は金利上昇のリスクは景気回復による法人税・所得税の増加で、減殺されると考えているのでしょう。しかし、本当に「金利上昇=景気回復」なのでしょうか?
経済学には「スタグフレーション」という用語があります。野村證券のサイトの用語解説を引用させていただくと、スタグフレーションとは「景気が停滞しているにもかかわらず、インフレーションが続くこと」です。こうした用語があるということは、実際にこうした事態が過去にもあったことを意味し、オイルショック後、物価上昇と景気後退(税収減)が同時に発生したことがありました。当時、各国政府は変動金利建ての債務をほとんど抱えていなかったと思われますが、この先十数年後にスタグフレーションが発生した場合、どうするのでしょうか?大幅増税するか、また国債を大量発行して問題を先送りするかしかないでしょう。
スタグフレーションを懸念して、個人向け国債の発行を中止せよ、などというつもりは毛頭ありません。しかし、先進的な一般企業では、想定しうるあらゆるリスクを洗い出して、そのような事態が発生したときの対抗策を考える、リスク管理を行いつつあります。政府も、変動金利建て債務で資金調達する以上、こうした想定し得るリスクに対抗するシナリオを事前に立てておくべきではないでしょうか?
インフレ参照値・・・最近しばしば小耳にはさむ言葉です。何を意味するのでしょうか?
【インフレ参照値とは】
インフレ参照値とは中央銀行が望ましい物価上昇率を示すことをいいます。例えば日銀が1%くらいの物価上昇率が望ましいと言えば、その1%がインフレ参照値です。「そんなことはわかっている」という声が聞こえます。では今なぜインフレ参照値が、我々庶民の耳に届くまで話題になっているのでしょうか?それには現在の経済情勢をざっと見ておく必要があります。
【デフレはそろそろ終わりらしい】
現在の経済情勢をざっと見ると、デフレはそろそろ終わりそうだ、と言えるでしょう。消費者物価指数の動向を見るとだんだんプラスに転じている方向性が見えてきます。
では、なぜデフレが終わりそうになったかといえば、実は日本銀行が一役かっています。日銀は「デフレが終わるまで量的金融緩和を続ける。」と約束し、その約束通りに量的金融緩和ベースにした金融政策を実行してきました。
ここで量的金融緩和とは、日銀がいろいろな方法でお金を市場に放出することをいいます。では、なぜ日銀がお金を市場に放出するとデフレがおさまってしまうのでしょうか?それは、例えばキャベツがあまりにも豊作だと値段が暴落しますよね。それと同じような感覚で、お金もあまりにも量が多すぎるとお金自体の価値もさがってしまうのです。お金の価値が下がるということは、逆から見れば、ものの価値があがるということです。すなわち物価があがる。だから、量的金融緩和はデフレを収めてくれるのです。
【デフレが終わると長期金利が上がる?】
さきほど、デフレは収束にむかいつつあるといいましたが、すると日銀の約束は「デフレが終わるまで量的金融緩和を続ける」ことだったのですから、裏返せば、デフレが終わって物価が上がりはじめたら、もう量的金融緩和は行わないといえます。つまり、簡単にいえば、金融引き締めに転じるということです。どうやって日銀は金融引き締めを行うかといえば、市場に出回っているお金の量を減らしていったり、さらには公定歩合を引き上げたりして、金融引き締めを行います。・・・ということは、金利が上がるわけで、その辺を先読みして、長期金利が最近になって急上昇しはじめたのです。
【長期金利が急上昇は好ましくないと日銀は考えている】
日銀は、長期金利が急上昇することを、あまりおもしろく思っていません。なぜならば、景気の回復を妨げてしまう恐れがあるからです。現在国債の利回りが上昇しているのですが、銀行から企業への貸出金利も国債の利回りをベースに決められます。国債の利回り上昇につられて企業への貸出し金利が上昇すれば、利払いの負担が増えて苦しくなる企業がでてきたり、そこまでいかなくとも、はでな投資を行おうとしていた企業の意欲を妨げ、そのような過程を経て景気回復のシナリオに暗雲が漂いはじめてしまいます。では、どうしたら長期金利の急上昇を避けることができるのでしょうか?
【長期金利の急上昇を避ける方法がインフレ参照値】
長期金利の急上昇を抑える働きをしてくれると考えられているのが、このインフレ参照値なのです。では、どのようなメカニズムでインフレ参照値が長期金利の急上昇を抑えるのか?それにはフィッシャー効果という下の式を理解する必要があります。
名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率
名目金利とは、まあ、世間で口にされる、あるいは、新聞で書かれている金利のことです。日経新聞で「長期金利が1.8%」と書かれていればそれが名目金利です。上の式の意味は、物価が上がっていくと期待される中では、名目金利もそれにつれて上昇するということを意味しています。
ですから、今長期金利が急上昇しているというのは、実はこの期待インフレ率が急上昇しているということなのです。
ここで、強大なパワーをもつ日銀が「私が望ましいと思う期待インフレ率は1%くらいなんです。」といってくれたらどうでしょう?「日銀さんがそういうんだったら・・・」ということで、人々のインフレ期待も1%程度におさまり、したがって、長期金利が急上昇をするということはなくなるのです。つまり、このようなメカニズムでインフレ参照値は長期金利の急上昇を抑えてくれるわけなのです。