2005年10月07日

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原油高と管理会計

本日の日経新聞の17ページには『原油高と変わる収益構造(上)』と題したコラムが掲載されています。原油高に対して各社がどのような対応策を打ち出しているかをまとめているコラムであり興味深い内容ですが、書いてある内容を私のメインフィールドである管理会計の視点から整理してみたいと思います。原油高に悩む企業にとっては、原油のコストは変動費であるはずです。そこでこの問題を、「変動費の上昇にいかにして対応するか」という問題に一般化すると、以下のような対応のタイプがあると考えることができます。

①変動比率の切り下げ
最も容易に思いつく対応策です。本日の日経新聞では、割安な代替原料に切り替えたり、中抜き注文を行う動きなどが、具体例として挙げられています。

②固定費の削減
日経新聞の具体例では、JALの希望退職者を募る動きや賃金体系の一元化が紹介されています。これらの人件費は原油高とは全く関連はありませんが、他に減らせるコストを減らしてとりあえずしのごう、という考え方です。

③変動比率の高い製品の販売中止
この例としては、JALが単価の安い団体旅行客が多く搭乗する便を運休したケースが紹介されています。このような対抗策を実施するにあたっては、商品別の売上高と変動費をマッチさせる管理会計の仕組が構築されていることが前提となります。このことからも、管理会計は利益を増やすための戦略的な仕組であるとの認識を新たにしていただけることと思います。

④変動費の固定費化
これはなかなか思いつかない視点かもしれません。具体例としてはペットボトルの内製化に踏み切る飲料メーカーの動きが紹介されています。もちろん、外注しようと内製化しようと、材料であるペット樹脂の価格に変わりはないのですが、まず、内製化することにより外注業者に流れていたマージンを取り戻すことができます。また、外注業者であれば、原油高に対抗してコスト削減に取り組むかどうかは定かではありませんが、内製化することによりコスト削減は自社の問題となり、製造コストに対してコントロールが及ぶようになるというメリットもあります。
反面、内製化することにより製造設備などへの投資が必要となるわけですから固定費が増加するわけで、これにより損益分岐点は上昇し、売上高の低下に対して抵抗力を失うというデメリットにも直面することとなります。

Posted by Ken Kodama at 18:46 | Comments (0)

2005年07月07日

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引田天巧マジックショー@ニューオータニ

ホテルニューオータニの会計処理に関する報道が本日の日経新聞の企業面に掲載されていました。以下にその手法を一部引用しておきましょう。

(引用始)
『ニューオータニ本館の土地(約1万坪)は簿価が39億円に対し、時価は1040億円。評価替えすることで1001億円が含み益となる。この含み益を顕在化するため、同社は9月1日付で100%子会社で広告や宣伝などを手がけるオータニプランニング(同)と合併する。1001億円のうち繰り延べ税金負債などを差し引いた約590億円をニューオータニの資本勘定に計上し、減損処理で生じる損失を相殺する。』
(引用終)

「含み益を顕在化するために子会社と合併する」とありますので、合併会計のパーチェス法の活用により、土地の含み益を顕在化するプランであることが分かります。パーチェス法については、以下の過去エントリーをご参照下さい。

合併会計

さて、この土地がニューオータニ本体にブックされているのか、子会社の側にブックされているのかは明確な記述がありませんが、子会社は広告宣伝の会社であるのですから、普通に考えればニューオータニ本体に土地がブックされているはずです。ここで、パーチェス法で時価に評価替えされるのは取得される側の企業の方ですから、ニューオータニ本体にブックされている土地を評価替えするためには、子会社のオータニプランニングを取得側としなければなりません。
ここまでの私の推測が正しければ、これはあの話題になった三井住友銀行とわかしお銀行の合併時の会計処理と同様のスキームをとっているはずです。実態としては三井住友によるわかしお銀行の取得なのに、三井住友保有の資産を評価替えするために、会計上はわかしお銀行を取得側として認識した、あの悪名高き会計処理です。
私の推測が正しければ、今回のニューオータニの会計処理は、三井住友とわかしお銀行のときと同様、取得側と被取得側が会計と実態で逆になっている点がまず問題ですし、今回の場合はグループ内の子会社との合併なので、これが認められるのであれば恣意的な合併により会計上の数字がいくらでも操作できるということになってしまします。
・・・なんかおかしいですね。私は会計の専門家ではないので、私になにか見落としがあるのかもしれません。日々それほど多くの時間をこのエントリー執筆に割ける訳ではないので、不十分なリサーチのままアップしている点はご容赦下さい。私の誤りを指摘していただける方は、是非コメント欄にご記入をよろしくお願い致します。

Posted by Ken Kodama at 12:32 | Comments (0)

2005年06月21日

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包括利益 VS 純利益

久々に会計ネタです。「包括利益」なるものが本日の主役ですが、まず、NIKKEI NETの報道を引用してみましょう。

(引用始)
『国際会計基準理事会(IASB、本部ロンドン)が企業の決算報告で「純利益」を廃止し、その代わりに「包括利益」を採用する検討を進めていることに対して、経済産業省や産業界が反発している。IASBは年内に結論を出す方針。経産省は純利益が企業の成長性を反映するうえで優れているとして、純利益の存続を主張する報告書をまとめた。』
(引用終)

「純利益」については、当ブログをお読みの方には改めて説明するまでもなく、P/L(損益計算書)の一番最後に来る数字のことです。対して、「包括利益」という言葉自体に馴染みがある方はあまりいないのではないでしょうか?「包括利益」と「純利益」というキーワードで検索してみると、えらく難しい論文しかひっかからないので、本日はこの「包括利益」を料理することといたしましょう。

【損益計算書は資本の増減の明細書】
利益が増えれば、自己資本も増えます。赤字であれば、その分自己資本は減ってしまいます。ですから損益計算書というものは、基本的には資本の部の増減の明細書であると考えて差し支えありません。
では、上場企業の2期間のB/Sの「資本の部」の差額が、P/Lのおしまいの「純利益」の額に一致するかといえば、世の中それほど甘くありません。一致しない原因は二つあります。
第一の原因は出資者である株主とのお金のやりとりです。株主から資本を払い込んで増資をしてもらったり、株主に配当金を支払う・・・こういった類の株主とのお金のやりとりについては、損益計算書にのせません。この点については、国際会計基準であれ、日本やアメリカの会計基準でも一枚岩で、将来的にも意見が割れることは考えにくいです。
第二の原因が包括利益と純利益の差異の原因でもあるのですが、まず具体例もみてみましょう。持ち合い株式を考えてみて下さい。株式持合いというのは、相手企業を支配する意図があるわけでもない一方で、すぐに売却して利ざやを稼ごうという意図があるわけでもない、会計的になんとも扱いにくいシロモノです。
株式持合い目的で1億円で株式を取得し、その株式が株価の下落により期末に5千万円となっていたとします。そうした場合、イメージ的には以下の仕訳をきることになります。

(借)自己資本 5千万円 (貸)持合株式 5千万円

もしこの株式が売買目的の株式であった場合は、仕訳のイメージは以下のようになります。

(借)株式評価損 5千万円 (貸)売買目的株式 5千万円

2つの仕訳を比較して気がつくのは、借方の科目の違いです。売買目的の株式であれば、「株式評価損」というP/Lの勘定を通して評価減を行うのに対して、持合株式の場合はP/Lを通さず直接資本を減少させているのです。このように株主とお金のやりとりをしているわけでもないのに、P/Lにのることなく自己資本を増減させる取引が存在し、それを含めるか否かで「包括利益」と「純利益」という異なる二つの利益の概念が生まれるのです。言うまでもなく、含める方が「包括利益」で含めない方が「純利益」です。
今は持合株式だけを例にとりましたが、本日の日経新聞には(一部の)デリバティブの評価損益等の取引も、「包括利益」と「純利益」の差異を産む取引として記載されています。では、これらはなぜP/Lに載せないのか、ということになるとだんだん難しくなってくるのですが、誤解を恐れず一言でいえば当期生み出された収益に関連がないからです。

【このバトルはP/Lの見せ方の問題】
産業界が反対だの、日本が反対だのと色々書かれていますが、日本の会計基準でも資本の部の数字には反映されているわけですから、基本的にはバトルがどういうところに落ち着こうともB/Sの数字が変わってしまうことはありません。その原因をP/Lに載せるのか否か、載せるのであればどういう載せ方をするのか、という点が論争のポイントです。
国際会計基準は、P/Lには包括利益のみを表示し、純利益を表示させない方向で動いているようです。先ほど見たように、基本的には「純利益 + 株式持合いの評価損益等 = 包括利益」なのですから、「純利益」を表示しないというのはいささか行き過ぎの感がします。こうした国際会計基準の動きの背景にあるのは、「そもそも利益とは何であるか」という、もはや哲学の領域です。会計界で神学論争していただくのは「どうぞご勝手に」ですが、財務諸表を活用するのは個人投資家というlaymenもいるのだということを忘れないでいただきたいものです。

Posted by Ken Kodama at 11:09 | Comments (0)

2005年05月10日

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「見えない幸せ」と企業統治監査

先日、人事評価に関わる研修を受けたときに、その参加者の方が面白いことを口にされていました。それは「人事評価の訓練を受けると、様々な対人関係において、相手を評価する癖がついてしまうのではないか?全ての対人関係の相手のことがよく見えすぎてしまうがための不幸せを、我々は訓練を積めば積むほど経験することになるのではないか?」といった趣旨の発言です。視覚障害者の方に不謹慎な発言と受け取られたとしたら事前にお詫びしておきますが、樹木希林が片目を失明したときに、「今まで見えない方がいいものまで、見えすぎましたから」と発言したことを、改めて想起した次第です。
なぜ、このようなことを切り出すのかと言えば、本日の日経新聞一面の企業統治監査の記事につながるのですが、以下にNIKKEI NETの記事を引用することといたしましょう。

(引用始)
『金融庁は全上場企業を対象に不祥事防止に向けて、日々の業務遂行や内部管理の状況、取締役会の意思決定過程などを文書にし、公認会計士が会計監査の際にチェックする制度を導入する方針だ。証券取引法を改正し、2008年3月期にも義務付ける方向で検討する。企業不祥事が続発したことに対応した措置だが、企業にとっては費用負担が生じるほか、組織体制の見直しにつながる可能性もある。』
(引用終)

私は「会計士」という資格こそ持っていないものの、長年外資系企業で数値分析の仕事を行ってきたのですが、数字をつぶさに見ていると、実に多くの問題点が分かるものなのです。しかし、それを正そうとすると、組織内部の壁というものに阻まれ、その虚しさの積み重ねが、組織の外部に飛び出した理由の一つでもあります。
さて、今回の法改正が実現すれば、監査を担当する公認会計士の方々は、今まで以上に大量の「文書」を目にすることになるのです。私の個人的な興味は、会計士の方々が「見えすぎてしまう不幸せ」を自己の良心に照らして、どう心の中で処理していくのか、という職業的プロフェッショナルの極めてパーソナルな部分に関わるものです。
具体的な例を出して見ると、例えばある鉄道会社が、コスト削減のために安全対策の予算に大ナタを入れたとします。しかし、安全対策に関わる法令には違反していない場合、会計士はその文書に目を通したとしても、それを報告する義務はないのです。そして、その直後、第二の福知山線のような事故が生じてしまった場合、その文書に目を通した会計士の内面では、どのような葛藤が生じるのでしょうか?
この問題は会計士の内面にとどまるものではなく、外部からの監査に対する期待と実態のギャップという問題にもつながっていくものです。本日の日経新聞記事は、「チェック」という言葉を再三繰り返しているものの、それが「誰のための」「どこまでの」チェックであるか、またあるべきかについては、一切触れていません。「チェック」の意味を深く掘り下げて考えることが、期待と実態のギャップの乖離を小さくして、ひいては、会計士の内面の安定につながっていくのではないかという気がする次第です。

Posted by Ken Kodama at 10:49 | Comments (0)

2005年04月28日

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合併会計

本日は久しぶりに会計ネタです。まずは、以下のNIKKEI NETの記事をご一読下さい。

(引用始)
『欧州連合(EU)の証券規制委員会は27日夜、EU市場に上場する日本企業に対し、2007年から追加的な決算情報の開示を義務付けるよう求める中間報告を正式発表した。企業の合併・買収にかかわる会計処理などで日本基準と欧州企業の利用する国際会計基準に違いが大きいと判断したため。』
(引用終)

企業が合併するときの会計処理には①持分プーリング法②パーチェス法の2種類があり、国際的な潮流はパーチェス法に統一されているのですが、日本では例外的に持分プーリング法を使用することが認められており、この点が日本人以外が日本で作成された財務諸表を投資判断の材料とするときに、比較可能を困難たらしめる要因です。
ここで、簡単に両者を説明しておきましょう。持分プーリング法は、会計を少しかじった方にはとっつきやすい方法です。基本的には合併する二社のB/Sを足し合わせればいいだけです。対して、パーチェス法では、合併において主導権をとっている方と、そうでない方をまず明確に識別することからはじめ、合併の主導権をとっている会社が、もう一方の会社を時価で買い付ける、という想定で両者の財務諸表を合体させる方法がパーチェス法なのです。
なぜ、日本では持分プーリング法を温存させているのか?EUの証券規制委員会のサイト内を検索していたところ、この疑問に対し、日本の会計基準委員会からのオフィシャルな回答をみつけたので、以下に引用し、拙訳を併記します。

(引用始)
『However, there have been limited situations where no party obtains control over the other upon business combinations and thus shareholders' interests in entities are not discontinued thereon. In such a case, it is considered that the pooling-of-interest method more reflects the economic substances and avoids an arbitrary treatment to determine which entity acquires the others.』
(引用終)

(拙訳始)
『しかしながら、これまでにも、限られた状況において、合併する両社いずれもが主導権をとらず、したがって株主の利益が中断することがない状況が存在しました。このような場合においては、持分プーリング法が経済的な実質をよりよく反映するのであり、どちらの会社が他方を買収するという恣意的な判断を回避することができるのです。』
(拙訳終)

私は日本の会計の専門家が出した、上記の回答を論駁する意思も能力もありません。しかし、会計基準というのはそもそも、異なる会社の経済的実質を比較可能にするためのルールであり、日本がグローバル・スタンダードと異質なルールに固執すれば、グローバルなレベルでの企業の比較可能性が阻害されることは明確で、会計基準が異なるがために、日本への投資マネーの流入が制限されている可能性すらあると思います。いっそ、今までの日本の会計基準を捨てて、国際会計基準に乗り換えるくらいの思い切りの良さがあってもいいと思うのですが、ここまで言うと言いすぎですかね(^_^;)

Posted by Ken Kodama at 17:53 | Comments (0)

2005年02月10日

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のれん代って???

カルチュア・コンビニエンス・クラブが、のれん代を一括償却することにより、新たに80億円の損失を計上し、47億円の赤字に転落するとの報道が、本日の日経新聞朝刊の企業財務欄に小さく掲載されていました。
恥ずかしながら、私は若かりし頃、「のれん代」というものが一体なんであるのか、よく分かりませんでした。会計の初学者の方は恐らくぴんとこない論点のはずです。本日は原点に立ち返って、のれん代の意味を分かりやすく説明できればと思います。

【仕訳の貸借を一致させるためのもの】
「のれん代の償却」は、基本的には合併・買収を積極的に行う企業特有の論点です。
A企業がB企業の株式を100%購入して買収を行うと、A企業の貸借対照表にはB企業の貸借対照表の資産・負債・資本等が合算して表示されることとなります。A企業はB企業の株式取得のために現金を支払って、B企業の資産・負債・資本等を手に入れるわけですから、仕訳のイメージは以下のようになります。

(借)資産   XXX (貸)負債   XXX
               資本   XXX
               現金   XXX

しかし、株式の時価総額というものは、みなさんもご存知の通り、貸借対照表の資産の金額よりも大きいことがほとんどです。したがって、上記の仕訳では貸方合計の方が借方合計の数値よりも金額が大きくなってしまい、仕訳の貸借が合わなくなってしまいますが、これは簿記の世界では許されません。したがって、仕訳の貸借が合うように挿入される科目が「のれん代」で、上記の仕分けは以下のように修正されます。

(借)資産   XXX (貸)負債   XXX
   のれん代 XXX   資本   XXX
                現金   XXX

したがって、単純に考えれば、のれん代とは企業が合併・買収を行ったときに、仕訳の貸借合計を一致させるための項目と考えることができます。

【なぜ「のれん代」と呼ばれるのか】
では、仕訳の貸借を一致させるだけの項目に、なぜ「のれん代」などという情緒ある名称がつけられているのでしょうか?
さきほど見たように、「のれん代」が挿入されるそもそもの理由は、株式の時価総額が貸借対照表の資産の金額より大きいためです。では、なぜ時価総額の方が貸借対照表価額より大きくなるかと言えば、その主たる原因がブランドパワーにあると考えているのです。「のれん」に書かれる店の名前はすなわちブランドであり、これが「のれん代」と称される理由なのです。
実際のところは、株式の時価総額が貸借対照表の金額より大きくなる原因は、必ずしもブランドパワーのみではなく、優秀な人材が豊富であったり、先進的な技術力のおかげであったりするのですが、それらを代表して「のれん代」と呼んでしまっていると考えて下さい。

【買収しなくたってブランドはあるのではないか?】
センスのよい方は、ここで一つ疑問が湧くはずです。「ブランドパワーは買収によらずとも、全て自前でやってきた企業にも存在するのではないか?」という疑問ですが、それは極めて正しいです。しかし、買収を行っていなければ「のれん代」は基本的には計上されません。なぜ計上しないかといえば、客観的でなくなってしまう恐れがあるからです。
買収の場合は株式取得のために支払ったお金があるわけですから、客観的に「のれん代」を計上することが可能です。対して、自前でブランドを築いた企業は客観的なブランドの評価額が存在せず、野放しにすると、自社の財務状態が健全であるかの如く巨額のブランドの評価額を計上してしまう恐れがあるため、自前のブランドの計上は禁止されています。自前ブランドのことは会計用語で「自己創設のれん」と呼ばれ、その計上は禁止されています。

【のれん代の償却は一括ですべきか数年かけて行うべきか】
この「のれん代」は固定資産等と同様に費用化されます。それは、このカルチュア・コンビニエンス・クラブのように一括で償却するのがよいのか、複数年かけて償却するのがよいのかどちらでしょうか?
損益計算書をより実態に即して見たいのであれば、複数年かけてのれん代を償却すべきです。なぜなら、ブランドパワーは買収した年だけに現れるわけではなく、複数年にわたってじわりじわりと効果をもたらすからです。
しかし、貸借対照表で財政状態をきちんと把握したいのであれば、「のれん代」のような実態のないものは、貸借対照表から消えてしまった方がよいということもできます。したがって、一括償却するか、複数年で償却するかは、一長一短といえます。
しかし、最近の流行としては、一括償却することが多いようです。その理由の一つは、投資家が成熟してきて、赤字決算であってもそれが本業の不調に起因しないものであれば、理解が得られるようになったことにあるといえます。また二番目の理由としては、一括償却で巨額の赤字を計上すれば、翌年にV字回復を演出できるというメリットもあることを忘れてはならないでしょう。


Posted by Ken Kodama at 20:48 | Comments (0)

2005年01月31日

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東芝の業績下方修正と管理会計

東芝が2005年3月期の業績を下方修正するとの報道です。以下にNIKKEI NETの記事を引用致します。

(引用始)
『東芝の2005年3月期は、本業のもうけを示す連結営業利益(米国会計基準)が従来予想を300億円下回り、前期比8%減の1600億円程度となる見通しだ。従来の9%の増益予想から一転、減益となる。デジタル家電向けを中心に半導体の価格下落が進み、電子部品の採算が悪化する。ソニーやNECはすでに業績予想を下方修正しており、デジタル家電関連の価格下落が大手電機全般に波及し始めた。』
(引用終)

下方修正の主因はソニー等も苦しめた「予想外のデジタル家電製品の価格下落」にあるようですが、当初の9%の増益予測から8%減の予測に修正したわけですから、17ポイントの予測修正ということになり、かなり大きな予測修正といわざるを得ないでしょう。
企業はひとたび上場すれば、業績予測というものを外部に示していく宿命を負わされ、その予測にコミットすべく経営を行うことが重要となります。こうした経営を可能にするためには、どのような経営管理ツールが必要となるのでしょうか?鍵は管理会計の仕組の構築にあります。
私は外資系の会社数社で管理会計を担当してきましたが、その仕組みは大枠で共通しています。その仕組みの概要を本日はご紹介いたしたいと思います。
①年間予算の策定
まず、年間の目標を予算として数値化します。そして、後の管理に資するために、この年間の数値を月次レベルにブレークダウンしておくことが肝要となります。
②月次実績決算との差異分析
さて、最初の月が経過した後すぐに、実績値と予算値との差異分析を行います。そして、その差異の真因を探り、経営上の問題点・課題を探ります。例えば、小売業で売上が目標値に至らなかったのであれば、それは来店者が少なかったためか、コンバージョン(買上率)が低下したためか、買上点数が低下したためなのか、その原因をしっかりと認識します。また、このような分析が可能となるためには、年間の予算を策定する段階において、これらの構成要素に分解して予算を策定することが必要であることは、言うまでもないでしょう。
③残りの月の予測値の修正
予実算の差異分析が行われたならば、その結果を残っている月の予測値に反映させる必要があります。例えば、報道にある東芝が仮に7月頃に価格下落を認識したのであれば、8月から3月までの予算をより現実的に修正する必要があります。
④コスト削減プランを盛り込む
さて、年間予測をより現実的な値に修正して、年間の利益が当初の見込みに達成しないようであれば、コスト削減策を早い段階で盛り込まねばなりません。もちろん、外部環境の急変による業績悪化は対応が不可能なものもありますが、業績が下方修正されれば株価の下落を通じて株主が痛手を負うということを忘れてはならないでしょう。

Posted by Ken Kodama at 11:16 | Comments (0)

2004年12月21日

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税務初心者のための法人税別表4の疑問

本日は特別にもう一つエントリーを書かせていただいております。税務に馴染みのない方が共通して経験される疑問を解消しようというのが狙いです。

まず、会計上の損益計算書ですが、以下のような末尾をもった損益計算書を考えてみたいと思います。

税引前当期純利益       50,000
法人税、住民税及び事業税  20,000
当期純利益            30,000
前期繰越利益           10,000
当期未処分利益         40,000

この場合、法人税を計算するための別表4のスタートは当期純利益 30,000円となるわけですが、ここで2つの疑問が生じるはずです。

①別表4とは法人税を計算するためのものであるはずのに、なぜ、法人税を既に控除した控除した「当期純利益」から出発することができるのか???
この疑問については、このように理解するのがよいと思います。損益計算書については株主総会に提出する都合から、税務申告書を提出するより前に作成せねばなりません。したがって、損益計算書上に記載された「法人税、住民税及び事業税」の数字は、実は見積もりの値なのです。別表四では、見積もりの法人税が控除された「当期純利益」から出発して、様々な加減算を行い、きちんとした法人税額を算出していくこととなるのです。

②法人税が差し引かれた「当期純利益」から出発して法人税額を計算したら、二重に税金を計算していることにならないか???
これについては心配ありません。別表四がきっちりと調整をしています。
まず、「当期純利益」から出発した上で、中間申告時の法人税を「損金計上法人税」なる調整項目で加算し、決算時に見積もり計上した法人税額を「損金計上納税充当金」なる項目で加算調整を行い、その上で税額を計算することとなります。したがって、法人税額が二重計上される心配はありません。

Posted by Ken Kodama at 20:33 | Comments (0)

2004年10月27日

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サルにもできた!石油元売の業績予測

原油高を受け、石油元売り各社の2005年3月期の収益が急拡大する見通しだとの報道です。特に、新日本石油においては、連結経常利益が従来予想を310億円上回り、前期の三倍の1700億円前後に膨らむとのことです。
日経新聞の紙面では、こうした増益要因の背景にあるものとして、棚卸資産の評価法の1つである総平均法を挙げています。これはどの会計の基本的な書物には書かれていることであり、一般的に物価上昇期にはFIFOを用いると利益は増加し、LIFOを用いると利益はあまり変わらず、総平均法ではその中間となり、会計の教科書の理論を生きたビジネスの中に見出せる好例といえるでしょう。
しかし、総平均法だけでは、新日石の1,390億円の増益を説明することはできません。事実、日経紙面でも、在庫評価による増益要因は300億円としています。あとの1,000億円近い増益はどのように説明できるのでしょうか?
答えとしては、石油元売各社は原油の上昇によるコスト増を下流に全て転嫁していると考えることができます。原油価格がどれほど上昇しようと、「コストプラス+α%」で下流への販売価格を設定しているため、仕入れ値が上昇すればそれだけ利益も増えるというわけです。
簡単に数値で検証してみたいと思います。新日石の昨年度の連結損益計算書を、かなり数字を丸めたものは以下の通りです。

売上高   4兆2,800億円
売上原価  3兆9,300億円(約92%)
売上総利益   3,500億円
販管費       3,000億円
経常利益     500億円(営業外損益をゼロとする)

ここでいくつかの前提をおきます。
● 売上の「数量」については昨年度と変わらない。
● 原油の価格は2003年度平均から2004年度平均は40%上昇している。
● 石油元売から下流への販売価格設定に際し、昨年度と同じマージンを確保するものとする。
● 販管費は固定費とする。

①まず、原油価格が売上高より40%上昇しているため、今年の売上原価の予想は「3兆9,300億円 × 1.4」より、5兆5,000億円となります。
②昨年度と同じマージンを確保するための今年の売上高は、「5兆5,000億円 ÷ 92%」より、5兆9,800億円となります。
③これらをもとに今年の新日石の業績予測を下記に作成してみます。

売上高   5兆9,800億円
売上原価  5兆5,000億円(約92%)
売上総利益   4,800億円
販管費       3,000億円
経常利益    1,800億円(営業外損益をゼロとする)

これは、新聞で発表されていた1,700億円とかなり近い数字といえるでしょう。私が分析に要した時間はデータ収集も含めて30分くらいしかかかっていません。このように売り手が圧倒的に強く販売価格を支配できる業界においては、業績予測は比較的簡単に行うことができます。みなさんも是非、頭の体操としてみてトライして下さい。

Posted by Ken Kodama at 11:04 | Comments (0)

2004年09月17日

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ストック・オプションの費用計上

本日日経紙面トップ記事ですが、企業会計基準委員会が、企業が従業員などに与えるストックオプション(株式購入権)について、会計上の人件費とするよう義務付ける方針を固めたとの報道です。ストック・オプションを費用計上するのであれば、「いくら」費用として計上すべきなのか、という肝心の部分が日経1面には書かれていません。そして、「ストック・オプションは3面『きょうのことば』」と書かれているため、「きょうのことば」欄を見ると、以下のような記述があり、引用させていただきます。
『費用の計算は、現在の株価や権利行使価格、権利行使可能な期間、株価の変動率などを用いる。新興企業やハイテク企業など株式の値動きが激しい企業は、費用額が膨らむ傾向がある。企業の経理担当者からは計算が複雑で実務の負担が大きいと懸念する声もある。』(引用終)
前半の部分は実は「ブラック=ショールズ」式というものを念頭にいれてます。どんな式か興味ある方は、こちらをご参照下さい。企業の経理実務担当者が嫌がる理由の片鱗を、ご理解いただけたのではないかと思います。
「日経新聞記事をわかりやすく解説」をポリシーとする当サイトとしては、この式を分かりやすく解説してやろうと思っていたわけですが、執筆に1時間以上費やすわけにいかず、残念ながら本日はギブアップです。しかし、ストック・オプションの費用計上額について、本質をつき、かつ数式を使わず分かりやすく説明しているサイトをみつけてきましたので、こちらでご勘弁下さい。

三浦CPAオフィス FAS123 ストック・オプションの会計処理

Posted by Ken Kodama at 10:55 | Comments (0)

2004年08月30日

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ソフトバンクの固定電話と電話加入権の会計処理

ソフトバンクが、NTT東西地域会社より月額基本料金が200円安い固定電話サービスを12月から開始するとの報道です。この電話は電話加入権の支払いが不要とのことです。
当然、電話を管理する企業の総務部門やIT部門の方は、これから先の毎月の基本料金や通話料の削減という方向に目が向いて注目しているのでしょうが、(少なくとも私の周りでは)あまり話題にならないのが、既に大昔にNTTに支払った固定電話の加入権の会計処理に関してです。
こうしたソフトバンクの動きもにらんでのことなのかどうかはわかりませんが、NTTも加入権の支払を廃止するとの発表が既にあります。電話加入権は大体72,000円で、加入時に支払うとそれを償却不要の無形固定資産として会計処理していました。建物などは使えば老朽化し、いずれは価値がゼロになるので、減価償却を行わねばならないのですが、加入権は権利で、その価値が廃れることはないとの考えから、償却を一切行っていませんでした。しかし、加入権がなくなってしまうとのことであれば、企業側はこれを一括償却する必要にせまられます。利益が出ている元気な会社にとっては、現金支出を伴わずに節税できて、B/Sも圧縮できて、嬉しいニュースかもしれませんが、ぎりぎりの線で生きながらえている中小企業には、この償却はかなり厳しいものになりかねません。気になる中小企業経営者の方は、顧問の税理士の方に、この会計処理をどうすべきか、早めに相談されてみることをお勧めいたします。

なお、電話加入権の償却に関して早い時点で問題意識を持っていらしたサイト(1月23日の記事)を発見したので、ご参照下さい。

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2004年08月13日

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監査報酬の値切り方

四大監査法人の業績が急速に悪化しているとの報道です。日本経済新聞社の調査によれば、「2003年度の四大法人合計の経常利益は36億円と前の期比37%減り、2年前の3分の1近くに落ち込んだ」とのことです。
私は独立開業するまでは、会計・財務の仕事をしていたため、会計監査を担当する会計士の方達に、数字の中身について説明する機会がしばしばありました。当時は、監査報酬を交渉するほどの偉いポジションにいたわけではないので、実際に監査報酬を値切った経験があるわけではないのですが、理詰めで監査法人を追い詰めれば、監査報酬を値切る余地はあると思われます。
私が勤務していたある会社では、四半期に一度は会計士の方達がやってきて、経理内容について、色々と質問にきていました。その会社には2年近く勤務して、計8回ほど監査対応をしたことになるのですが、当時非常に腹立たしかったのは、毎回毎回来る担当者が異なり、同じ内容を何度も説明させられたことです。監査法人側の事情で若い会計士に色々な業界を経験させたいという事情はわからないでもないのですが、彼等の報酬は彼等の働く時間によって決まっているわけですから、監査法人のOJT研修費用を顧客側が全額もっているようなものです。また、彼等の知識・経験不足による、とんちんかんな質問への対応をさせられることもしばしばあります。あるとき、「債券の利息の勘定の数字がおかしい!」と詰問され、調べてみると、相手は「額面×利率」ではなく「時価×利率」で利息を計算しようとしていた、などということもありました。
こちらのサイトにもありますが、基本的には監査報酬は彼等の工数に応じて決まります。そして、やはり公認会計士の方ですから、単価は高いです。ですから、監査報酬を下げるには、公認会計士の作業を少なくすればよいわけです。つまり、自社の若手の経理社員に、監査業務の補助の一部をやらせればよいのです。もちろん、外部の方にしか行い得ない作業もありますが、伝票を探すのに手間取ったり、数値を検証するのに不慣れなエクセルの操作にとまどったりしてることも多く、そうした会計的専門的知識が全く不要な作業に高い単価を支払うことは全くナンセンスです。先程のサイトにもありますが、会計関係のファイルをきちっと整理するだけでも多少の効果はあると思います。
こうしたことを突き詰めていくと、自社の内部統制の仕組みをしっかりさせていくことが、外部に支払う監査報酬の低減につながっていくといえるでしょう。まあ、これが簡単にできれば経理部長の苦労はないわけですが、内部統制をしっかりさせて外部監査の工数が減少すれば、監査報酬の低減というメリットのみならず、決算短縮化によるIRの向上によるイメージアップも期待できます。経理部も企業価値向上に貢献できる時代になってきたのだという視点をもっていただきたいと思います。

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2004年07月16日

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ファースト・リテイリング第3四半期決算を読む

ファーストリテイリングの第3四半期の決算が発表されました。おおむね好調で通期の業績予想も上方修正していますが、以下小売業界の決算を読むときの基本的な留意点についていくつか説明したいと思います。上記リンクよりファースト・リテイリングの第3四半期決算情報を見ながら、下記を読んでいただけると幸いです。

【①前年比は既存店売上高ベースで見ること】
第3四半期の売上高は、前年比で12.8%増と表中に記載されています。この数値を見て、即座に「ユニクロ絶好調だな」と判断してはいけません。なぜなら、店舗を増やしていたとすれば、売上が増加するのは当たり前だからです。実際、コメントには「17店舗の純増」とあります。したがって、これらの新しくできた店舗の売上高を除いて前年との比較をしなければ、ユニクロが好調なのかどうかはわかりません。このような新規出店の店舗の売上高を除いた売上高のことを既存店売上高といいます。そして、コメントにあるように、第3四半期の既存店売上高は、前年同期比4.3%増となっています。この数値からユニクロは顧客からの支持を伸ばしていると判断してよいでしょう。
では、どのような場合に気をつけるべきかというと、例えば「全体の売上高が5%増加で、既存店売上高は10%減」というような場合です。このようなときは、顧客からの支持が低下しているにも関わらず、新規出店を加速させており、有効な対策を打たないと、将来的な大幅な業績悪化が心配されます。

【②売上高は客数と客単価に分解して考えること】
さらに、①の既存店売上高の増減は、客数と客単価の増減に分解して考えます。客数とはPOSレジを打った回数のことです。また客単価とは1回の買い物で購入した、平均の金額のことです。つまり、下の式のような計算式が成立するわけです。

売上高 = 客数 × 客単価

一般的に、客単価を下げるような戦略を採ると客数が増えます。つまり、安売りをすれば、それだけ多くの顧客を呼び寄せることができるというわけです。逆に、客単価を上げれば客数が減り、両者はトレードオフの関係にあるのが一般的です。
ファースト・リテイリングの第3四半期決算に戻ると、既存店客単価は前年同期比0.8%減とほぼ前年横ばいである一方、既存店客数は前年同期比5.2%増とあります。つまり、それほど値下げに頼ることなく、顧客を増加させることができるわけで、ここまで細かく見た上で、はじめて「ユニクロ好調だな」と判断できるわけなのです。

【③景気回復後のユニクロ ~長期的展望~ 】
第3のポイントは前2者と異なり、私の根拠なき推論です。
今も使われている言葉かどうか知りませんが、「ユニばれ」という言葉がありました。つまり、ユニクロは安くていいけど、それを着ていることが友達にばれると恥ずかしいというわけです。本当はユニクロなんてあまり着たくないけど、お金もないし、ただ安いから買う、という人たちが結構いたわけです。
では、こうした人達は景気が回復して、たくさんの給料をもらえるようになった後では、果たしてユニクロの服を買い続けてくれるのでしょうか?
経済学にはギッフェン財という用語があります。ふつう、大抵のものは、所得が多くなればなるほど、消費量も多くなります。例えば、酒好きな人は、所得が増えれば酒量も増えるでしょう。ところが、所得が増えると消費量が減ってしまうモノも存在し、それらがギッフェン財と呼ばれます。ギッフェン財の例として、経済学の教科書は、決まったように「アワやヒエ」を挙げます。つまり、米も買えない極貧時代にはしかたなくアワやヒエを食べてしのぐけど、通常の所得になったら、あんなまずいものは食いたくないというわけです。
ユニクロの服はギッフェン財なのかどうかは、現時点ではまだわかりませんが、仮に景気が回復した後に顧客が離れてしまう可能性があるのであれば、なんらかの対策を考えねばなりません。例えば、アメリカのギャップは「ギャップブランド」の他に、比較的高所得層を対象とした「バナナリパブリックブランド」、そして、比較的低所得層を対象とした「オールドネイビーブランド」を保有しています。これにより、企業全体として見たとき、景気変動により生ずるリスクを回避することが可能になるのです。
ファースト・リテイリング株が長期保有するに値するためには、こうした景気回復後もにらんだ展望も抱いていないと、私だったら、躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。

【弊社からのおしらせ】
来月(8月)より、まぐまぐプレミアムマガジンを通じて、『ウォーレン・バフェットへの着実な第一歩 ~株価の動きを解明する~』というメールマガジンの発行を予定しています。毎週月曜、月4回のサイクルでの発行予定で、内容としては、バフェットのような長期投資のスタイルでの投資を考える人が最低限知っておくべき、株式・企業分析の枠組みをわかりやすく紹介するものです。ご興味のある方は、下記サイトより詳細内容をご確認の上、お申込み下さい。

まぐまぐプレミアム・メールマガジン申込みはこちら

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2004年07月10日

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税務書類の電子保存

財務省が、企業などが納税手続きで必要な書類について、電子データでの保存を認める具体案をまとめたとの報道です。「貸借対照表などの決算書や3万円以上の領収書は、これからも紙で保存しなければならない」とのことです。
今からさかのぼること約10年前、私はアンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)という会社で、会計システムコンサルタントをしていましたが、当時流行していたのが「ペーパーレス会計」というものです。膨大な量となる会計伝票を電子上のみで運営して、紙の運搬や保管のコストを削減しようとする試みのことです。グローバル展開していたり、全国に営業所があったりして、請求書を受け取って伝票を作成する箇所と承認する箇所が違う企業などは、請求書等をスキャナで読み込み、伝票や請求書を社内で郵送することなく、承認・決済のプロセスにつなげ、一定の効果を生み出していたことは確かです。ただし、当時もやはりネックになっていたのが、「税務上の必要性」で、これにより、結局請求書は紙で保管せねばならず、それならば、請求書だけ保管するより会計伝票も一緒に保管した方がわかりやすいとのことで、結局保管コストの削減には結びつきませんでした。その程度の効果しか得られないのならば、とペーパーレス会計システムの導入を見送る企業も多かったことも事実です。
あれから、10年、インターネットの目覚しい発展により、紙の授受を行うことなく行われる取引が急増しました。それにもかかわらず、財務省の出した方針は「3万円以上の請求書は保管すること」というものです。もちろん、悪質な不正等を防止するという観点にたっての方針なのでしょうが、その一方で保管等のために社会的なコストは減りません。紙があればなぜよいのか、紙媒体と電子媒体の本質的な違いを認識した議論を行っていただきたいものです。

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2004年06月18日

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長期金利上昇と企業年金 ~ サルでもわかる退職給付会計

長期金利の上昇が連日のように日経新聞で報道されています。このような局面では、我々個人のマネーストラテジーとしては、個人向け国債に代表されるような変動金利建て商品を保有することが有利であることは、先日述べた通りですが、今日は長期金利の上昇により、企業はどのような影響を受けるかを考えてみたいと思います。
直観的には、「長期金利上昇 → 金利の支払負担が増える → 純利益が増える → 企業経営は苦しくなる」といったところでしょうか?本日の日経新聞朝刊でも、借入の多い企業は返済を急いでいるとの記述があり、この流れに沿ったものです。
一方で、長期金利が上昇することで、企業経営にとってプラスになることもあるのです。本日の日経新聞にも数行ふれれていましたが、実は企業年金にとってはプラスになるのです。なぜ、長期金利の上昇が企業年金にとってプラスに作用するかと言えば、理由は2つあります。
第一の理由は、これは日経紙面にも触れられていたことですが、企業年金は株式のみならず、債券でも運用を行っており、長期金利が上昇することにより、債券での運用の利回りが上昇するからです。これは、わかりやすい理由です。
第二の理由は、年金債務の会計処理に関する知識がないと、理解できません。企業年金の仕組がある企業においては、退職給付引当金という長期の債務が計上されています。この退職給付引当金の債務として計上すべき金額を計算するのは、実はかなり大変な作業なのです。
社債を100億円発行している企業は、その社債によりやはり100億円の債務を計上します。これはいたって簡単です。ところが、退職給付引当金は社債のように、計上すべき明白な金額がありません。まず、債務として計上すべき金額を計算するには、将来、その企業で働く従業員に対して退職金及び年金をいくらくらい支払わねばならないか見積もらねばなりません。これは大変な作業です。年金をもらう前に会社を飛び出してしまう人もいれば、中途採用でこれから入ってくる人にも年金を払うわけですから、容易な作業ではありません。
大変な作業ではありますが、将来の退職金・年金の支払額が見積もれたとします。その金額が債務として計上すべき金額かというと、そうではなく、見積もった金額を現在価値に割り引くという作業をせねばなりません。1年後にもらえる1万円と10年後にもらえる1万円のどちらを選ぶかといわれれば、みなさんは当然1年後の1万円を選びます。なぜなら、1年後の1万円を銀行に9年預けておけば、10年後には確実に1万円以上になっているからです。つまり、将来のお金は、今のお金より価値が低いのです。したがって、退職金のような将来支払う債務を計上するときは、今のお金の価値に割り引いてやらなければなりません。これが現在価値に割り引くという意味です。
現在価値に割り引く際に用いられるのが、実は今話題になっている、国債の利回りなのです。将来受け取るお金を国債の利回りをベースにした数字で割ってやって、現在価値を計算します。長期金利は上昇しているわけですから、国債の利回りも上昇していて、割る方の分母の数が大きくなれば、計算結果は小さくなります。したがって、長期金利が上昇すると退職給付引当金は減少するのです
負債の額が減少すると、その裏返しとして、利益を計上することになります。現在の長期金利の上昇のペースを考えると、来年の3月決算の時期には、企業年金を運営する多くの企業が、かなり多額の特別利益を計上することが予想されます。多額の特別利益が計上されるなら、株はカイかと言うと、そう単純ではありません。冒頭に述べたように、利払いの増加によるデメリットもあります。また、退職給付会計から生ずる特別利益は、企業の本業に関係なく、企業価値を本質的に増加させる類のものではありません。やはり、株で儲けるのは難しいのです。

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2004年05月28日

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生保の基礎利益とは?

生命保険会社の2004年3月期決算が相次いで発表されている。(第一生命日本生命住友生命明治安田生命の日経報道はそれぞれのリンク参照)生命保険に加入している人は、年に1回だけでも、自分の生命保険会社の経営内容を、気にするような習慣をつけておく方が望ましい。その際に、最低限チェックしていただきたい2つの指標が、安全性を表すソルベンシー・マージン比率収益性を表す基礎利益で、本日は後者についてのみ解説する。
基礎利益とは生保各社の本業から生じる利益のこと。一般の事業法人でいえば経常利益に相当するものと考えて差し支えない。
この基礎利益は3つの要素から構成される。その3つとは死差益、利差益、費差益の3つ。
生命保険会社の見積もりより被保険者の死亡数が少なく、保険金の支払いが少なくて済んだときに計上されるのが死差益である。
また、生命保険会社の見積もりより事務コスト(営業員の給料とかシステム構築費用など)が少なく済んだときに計上されるのが費差益である。
また、終身保険や養老保険は契約時に一定の利回り(予定利率)が決められており、資産運用が上手くいって予定利率を上回る運用益を稼いだときに計上されるのが利差益であり、逆に運用に失敗して予定利率を下回ったときに計上されるのが利差損で、この利差損のことを俗に逆ザヤという。
一般的に、古くから営業している生命保険会社は、利差損を計上し続けており、それを上回る死差益と費差益の合計額により、プラスの基礎利益を維持している。
この逆ザヤの金額が2003年度の決算で大手6社の合計額がようやく1兆円をきったとの報道が昨日あった。一見して巨額だが、基礎利益はプラスなのだから、それをはるかに上回る死差益と費差益を計上していることがわかり、一部マスコミからは、「儲け過ぎ」との批判もある。
一生命保険契約者として、この基礎利益という数字をどのように見ていけばよいかというと、とりあえず前年比で減っているのか増えているのかを見て、増えていれば特に気にする必要はない。減っていれば、必ずその原因が記事に書いてあるはずなので、それを注意深く読むべきだろう。ただ、基礎利益が減ったからといってすぐ解約などせず、その減少が数年にわたって継続したときにはじめて、ファイナンシャル・プランナー等に相談すればよい。早まって解約をしてしまうと損になってしまうことがよくあるため、是非専門家のアドバイスを参考にしていただきたい。

Posted by Ken Kodama at 18:41 | Comments (0)

2004年05月25日

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サルでもわかる税効果資本

大手銀行の2004年3月期決算が発表されたとの報道。おおむね改善の方向性だが、多くの方が、銀行決算が発表される度に頭をひねるのが「税効果資本」であろう。この概念をわかりやすく説明しようという試みはこのサイトのようにいくつもあるのだが、当サイトでもその試みにチャレンジしてみたい。
【税効果依存度とはなにか】
税効果依存度とは、資産である繰延税金資産を資本でわった比率である。一般的にこの数値が高いほど、その銀行は「あぶない」と言われる。つまり、自己資本の金額に比べて、繰延税金資産の金額が大きければ、危ない銀行との烙印を押されてしまう。なぜだろう?自己資本が大きければ大きいほど、安全というのは直感的にわかるであろう。そこで、まず、繰延税金資産とはなにかを知る必要がありそうだ。
【繰延税金資産とはなにか】
例えば、「前払家賃」が資産であるのはわかるだろうか?1年分の家賃を前払いしておけば、翌年に家賃を支払わなくていい。翌年の支払いが節約できるのだから、前払いは資産である
実は、繰延税金資産も同様で、これは、実は税金の前払いなのである。税金を前もって支払っているから、翌年以降の税金の支払いが少なくなる、だから資産なのだ。
【前払家賃は健全で繰延税金資産は危ないのはなぜ?】
前払家賃がいくら多かろうと、危ない銀行とは呼ばれない。だが、繰延税金資産が多いと危ないといわれてしまう。同じ前払いなのになぜこうも扱いが違うのか?
理由はこうだ。まず、法人税の誰でも知っている仕組みだが、黒字でなければ法人税は課されない。赤字企業は法人税を支払わなくてよい。つまり、「繰延税金資産」などと騒いで法人税を前払いしたつもりでいても、これから先ずっと赤字続きだったら、実はそもそも払う必要のない税金を払っていたことになってしまう
したがって、繰延税金資産を計上するときには、将来税金を支払うぐらいに儲けがでるのかどうかをじっくり調べて、その範囲内でしか計上してはいけないことになっているのだが、なにせ先のことだから、見積もりが狂うこともある。(また、悪い人は黒字になることなんかありっこないと分かっていながら、繰延税金資産を計上したりもする。)見積もりが狂って将来黒字なんてありえないことが判明した時点で、繰延税金資産は突然、資産でなくなってしまうのだ。
前払家賃は企業の将来の利益見積に関わらず資産であり続けるが、繰延税金資産は利益見積が狂うと一挙に資産でなくなってしまう可能性がある、そんな不安定な資産だから、あまり金額が大きいことは望ましくないとされているのだ。
以上が非常に粗い、私なりのわかりやすい説明のつもりだ。もう少し厳密な説明や深いところに興味をもたれた方には、このサイトをお勧めする。

Posted by Ken Kodama at 14:25 | Comments (0)