2007年06月21日

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社会保険庁と「データ突合」

新聞の1面記事をもとにエントリーを書くのは、何ヶ月ぶりのことであろうか?しかもカテゴリーは超久々の「IT」である(笑)。正直なところ、このブログのタイトルも「Book Review」とかにしないといけないかなーと思っていたのですが、タイトルの修正はなんか結構面倒くさそう。久々に「ニュースレビュー」を書くことができてほっとしました。

【社会保険庁職員の「良心」に関して】
IT的な切り口から考察する前に、やはり避けて通れないのは、彼等の「心」の問題。私も泥臭い事務的な仕事は経験しており、その経験上から考えると、今日のような騒ぎが発生することは、通常レベルの思考能力がある職員であれば、「お見通し」だったはずである。「基礎年金番号の入ってないデータをどうやって紐づけるのか?」こうした疑問は当然現場の職員に湧いていたはずであり、非公式なランチ等の場では語られていた問題であるはずだ。私も法人を持つ身である以上、社会保険事務所に出向くことはしばしばある。彼等のプロとしての知的水準の高さを考えると、こうしたバグに気がつかなかったと考えるのは不自然で、やはり「気付いていながら、しかるべきアクションがとられなかった」と考えるのが自然であろう。
また、彼等との日常的な接触から彼等の多くが国民の税金を食い物にしようと意図する「極悪人」でないことも知っている。当然、彼等の多くはこのような大問題が明るみに出て、いや明るみに出る前から、良心の呵責に苛まれ続けていたはずである。「社会保険庁職員はけしからん!」という単調な大合唱に私が加わる必要性は何もない。私の関心は、私があると信じる「良心の呵責」に対して、彼等の内面でどう折り合いをつけているかという点である。ひたすらこのような感情を抑圧し、責任は上層部あるいは「法」の不備といった「他責」で、自分は「善人」であると居直っているのか?あるいは、自分の子供からも質問を受け、自らが社会保険庁という組織の一員であることに「苦悩」しているのか?この騒動をきっかけに社会保険庁職員が「苦悩」し、ヨブのような道徳心が芽生えたとするならば、その点だけはポジティブに受け止めたい、というのが私の信条である。

【いかに効率的にデータを突合するか】
さて、今度は完全に問題解決モードに頭を切り替えたい。実はデータ突合
という問題に関しては、私は過去の経験上それなりの見識を有しているつもりだ。私のブログの記述内容が社会保険庁職員に届けて受け入れられば幸いだが、そうでなくとも、データ突合はどこの職場でもいつかは必ずぶちあたる問題である。その際に、私が過去の体験から得た以下の教訓を参考にしていただければ幸いである。

①データの内容に関しては、インタビュー内容を過信しないこと
過去SE的な仕事をしていたときの私が得た教訓だが、クライアントとのインタビューを過信しすぎてはいけない。経理システムは周辺システムとのインターフェースが一つの肝であり、周辺システムのデータの概要をベテラン職員からの口頭の説明を盲信すると、あとでしっぺ返しを食らうことになる。多くの場合、インタビューに答える職員に悪意はない。ただ、彼等は業務のプロではあっても、データを四六時中見ているわけではない。やはり、まずは自分の目で「生データ」を見ずして、データ突合プロジェクトはスタートし得ないのだ。インタビューを紙に残してそれにクライアントからのサインを得ることにより、システムベンダーとしては責任を回避できるかもしれないが、「手戻り」の発生によりお互いが嫌な思いをすることには変わりない。
まして、今回は更なる「怠慢」の根拠を見つけ出されまいと、社会保険庁職員が防衛的になってインタビューに応じることが予測される。「社会保険庁職員の供述内容を過信することなかれ。」

②ウォーターフォールは絶対だめ!
私は正直なところ、この時期でデータの突合にいくらかかるだの、何年かかるだのといった数字が一人歩きしていることが理解できない。確かにプロジェクトを開始するにあたって予算を見積もることは不可欠だが、これだけ膨大なデータ突合プロジェクトであれば、本プロジェクト開始に先立って予備調査の段階を設けることが不可欠である。
データ突合はゼロからシステムを構築するのとは訳が違う。様々な入力特性を持ったデータが既に存在するのだ。データを眺めているうちに、誤入力のパターンがいくつか発見できるはずだ。あるものはシステム的な変換をかませることで一発で解決できるであろうし、あるものはどうしてもマニュアル作業に依存せねばならない。
十分な予備調査の段階を経ずに、プロジェクトの金額規模が一人歩きしている点に私は税金を間接的に負担せねばならない一国民として、大いに危惧の念を覚える。なぜならば、こうした金額はかなり現時点でかなり多目に見積もられているはずであり、一度その金額が確定してしまうと、仮にコスト・リダクションの余地が後から発見できても、「当初の予算を消化しよう」という惰性から、税金が浪費されることが懸念されるからだ。
本プロジェクトの開始に先立って十分な予備調査の段階を設けること。また本プロジェクト開始後も当初策定した計画に過度にとらわれることなく、システム的に対応できる新たなエラーパターンが特定できたならば、都度プロジェクト計画を修正して新たなプログラムを開発するような、イタラティブなアプローチで対処することが望ましいと考える。

Posted by Ken Kodama at 09:31 | Comments (2)

2006年06月06日

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「信」とは何なのか? 「Web2.0」と「バフェット」と「オーラの泉」を結ぶもの

突然私の脳内で稲妻が走った。「そうだ、キーワードは『信』だ!何を手がかり人は信じるのだろう?そして、『信』を深めるプロセスとは何なのか?どうすれば、『信』のパワーを利用することができるのか?」
6月6日という誠に不吉な日の書き出しがぶっ飛んだもので誠に恐縮だが、私の書き溜めてきたエントリーが『信』というキーワードで水平的に連携するような気がして、その思うところをばーっと紙に書き出してみた。例えば昨日書いた村上氏とバフェットを分かつものとしての『信』、あるいはオーラの泉を批判したときに書いた、宗教的な奇跡と信仰の関係等々・・・しかし、本日このエントリーを書く直接的な触媒となったのは、非常に遅まきながら最近読んだ、梅田望夫氏の『ウェブ進化論』である。同氏は"My Life Between Silicon Valley and Japan"という人気ブログも運営しており、将棋オタでもある私が羽生現三冠の「インターネット高速道路論」に関するエントリーから着目し始めた方である。同テーマに関しては、私の過去エントリーがあるので、下記をご参照のほどを。

知の高速道路化

何から書いたらよいのだろう?どのようにまとまるのか、あるいはまとまらないのか?とりあえず、梅田氏の著作に取り上げられているネット上の『信』に関して思うところを書いてみようと思う。

【Web2.0とリナックス】
梅田氏は前掲の著作の223ページにおいて以下のように語っている。

(引用始)
『本書で詳述したネット上での新事象群を理解するカギが「不特定多数無限大への信頼」である。』
(引用終)

不特定多数無限大を信頼した新事象群の代表例として、梅田氏はリナックスとWeb2.0の概念を取り上げている。今さら私ごときが解説するまでもなくリナックスとは、オープンソースという思想のもと、全世界のボランティアにより構築されたOSである。このような壮大なプロジェクトを実施するにあたっては、性善説にたってプロジェクトへの参加者を信頼する他はない。Web2.0については私の中で消化しきれてない面もあり、下記の梅田氏の記述が参考になるであろう。

(引用始)
『サービス提供者の立場でいけば、アマゾン・ウェブサービスのように、自社が持つデータやサービスを開放し、不特定多数の人々がその周辺で自由に新しいサービスを構築できる構造を用意することがWeb2.0の本質だ。』
(引用終)

梅田氏はリナックスとWeb2.0を「不特定多数無限大への信頼に基づくネット上の事象」とした上で、その対極にあるものとして(つまり不特定多数を信頼していないものとして)、大組織の情報システムやヤフー・ジャパン及び楽天の方向性を挙げている。

【玉石混交問題への対処】
我々はリアルに対面している人々を信頼することにすら難しさを感じているのに、ネット上で顔も知らない人々を信頼し、かつそうして出来た仕組みが機能しているという点に唖然とするのである。本筋からずれる気はするが、例えば2ch。あそこの書き込みを見ていて、ネット上の顔も知らない人々を、どうして信じられるようになるのかというのか?
ネット上には極めて貴重な情報もある一方で、クズとしか表現のしようのない情報もそれを凌駕し、これを梅田氏は玉石混交問題と表現する。この玉石混交問題に対するシステム的な仕組みとして、一つにグーグルのページランクの概念がある。リンクの数やアクセス数という厳密に定量化できるデータに基づき、信頼に足る情報とそうでない情報を選別するのがグーグルの検索エンジンである。また、皆さんも使っているかもしれないRSSリーダー。これは一人一人の興味というフィルターにより、見るべきエントリーを選別する仕組みであり、本日のテーマの『信』とは趣が異なるかもしれない。
では、玉石混交問題に定性的に立ち向かうにはどうすればよいのか?ここまでは梅田氏の著作に基づく内容で、ここから私の個人的な体験談をご披露したい。昨年、私は腹腔鏡下胆嚢摘出術というオペを受けたのだが、このオペを受けるにあたって大いに参考にしたのが実は2chの病気板である。どこが信頼に足る病院であるか知っておきたかったし、またオペで経験すること、たとえば鼻からチューブを突っ込まれるだとか、尿道にカテーテルを突っ込まれるだとか、そういったリアルな情報でかつ信頼できる情報が欲しく、そのような情報は当然ながらページランクで高く表示されるはずもなく、2chの中から「石」をより分けて「玉」を選び取るしか手立ては無かったのである。しかし、私は「便所の落書き」が混在する中、顔の知らない人々が書いた情報を信頼するに足るか否かという極めて難しい判断を、かなり的確に実践することができ、問題なくオペを終わらせることができた。
その判断のプロセスを記述してみると、まず「私は作為が感じられる」書き込みをドロップした。そう、極めて感覚的に、右脳で判断していたのだ。しかし、作為があるか否かの判断を、もう少し言語化してみようとするならば「仮にこのような書き込みをフィクションで創作したとして、誰かを極端におとしめたり逆に持ち上げたりすることができない」ような情報を信頼していたのだ。あるいは、文章から漂う知的な水準といったものも、選別の基準として機能していたことも否定できない。
対面すらしていない人を信頼するというのは、一見極めてリスキーで、かつ、馬鹿げた行為に思われる。しかし、確かにその情報を提供し、掲示板に書き込みをしているのは、一人の人格を持った人間であることは否定できない。我々は顔の表情や身振りや声のトーンといった視覚・聴覚を取り去ったネット上においてこそ、裸のメッセージが持つ信頼性と正面から対峙できるようになるのかもしれない。

【オーラの泉の信の構造】
江原氏が芸能人のお宅に「訪問」して間取りをぴたりと言い当てて芸能人を驚かせ、前世の「物語」を聞かせることにより、数多くの芸能人が涙をこぼす。あの番組は一体何なのか?
後段の「前世の物語」についていえば、諸富祥彦氏著の『トランスパーソナル心理学』(講談社現代新書)によれば、あれは一種のトラウマ理論に基づくセラピーなのかもしれない。

(引用始)
『自分の苦しみの意味と原因を解き明かしてくれる「説明の物語」を手に入れることで、わけもわからずただ苦しい (中略) 、といった状態から抜け出すことができるわけです。』
(引用終)

が、例えば東野幸治のような現世的な人に、いきなり前世の物語を切り出したところで、効果があるはずがない。しかし、東野幸治は江原氏の「物語」を受け入れる心の準備ができていた。なぜなら、過去の出演者に事前に連絡をとり(いかにも「らしい」やり方だが)、江原氏の部屋の透視術がホンモノであると信ずるにいたっていたから。だから「前世の物語」を受け入れることができた。まさしく、信ずるものは救われるのであり、これが信の持つパワーの効果的な使用法の一つなのであろう。

【ビジネスと「信」】
そして、振り出しに戻って、ビジネスと「信」の関係。村上氏は失敗にぶつかる度に「人間不信」を高め、そして最後は魔の手にかかってしまった。対照的に信頼関係をベースとするバフェットは、尊敬を集めながら、かつ大富豪であるという、「成功」を手中にした。
リーダーシップ、エンパワーメント、コーチング。これらのカタカナ用語を実践できるか否かの最大の鍵は、他人を信頼できるか否かにかかっている。と同時に、他人を信頼するということは、コントロールを放棄することでもなく、チェックを怠るということでもない。

結局まとまらなかったが、ぼんやりと私の考えるべきことが見えてきた気がする。

Posted by Ken Kodama at 09:48 | Comments (2)

2005年12月13日

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みずほ証券誤発注問題を考える

【①東証のシステムエラーとはどのようなものだったのか】
今回のみずほ騒動の原因が東証のシステムの不具合にもあるということが発表されたわけですが、具体的にはどのような不具合だったのでしょうか?手がかりとなるのは、本日の日経新聞の以下の記載です。

(引用始)
『東証のシステムでは取引価格の制限を超える値の注文は制限値で受け付ける「みなし処理」になる。みずほ証券の一円注文はストップ安で受け付ける「みなし処理」が行われたが、システムがみなし処理の取り消しを受け付けないようになっており、「結局一円でも57万2千円でも取り消しが不能な状態」(天野常務)になっていた。』
(引用終)

「みなし処理」の取り消しを受け付けないというのは、「変なシステムだなー」という印象を持たれるかもしれませんが、以下のように推測すれば、どうしてこんなシステムができてしまったのかの説明がつくと思います。以下は、私のシステム構築経験に基づく推測にすぎないという点をご了解いただいた上で、読み進めていただければと思います。
一般的に、取引(トランザクション)の処理を扱うシステムにおいては、その取引の状態を表す「フラグ」なるものが1バイトのスペースに書き込まれるものです。例えば、今回の東証のシステムで言えば、データを「取り消した」からといってデータを「物理的に削除」してしまうと、後々追跡が不可能となってしまいます。このような場合、「フラグ」を「通常のデータ」から「取り消されたデータ」に換えてやることで、データが有効か否かをシステムに判断させるのです。私の推測では、東証のシステムでは、このフラグは少なくとも以下の3種類の値をとっていたはずです。

1.通常のデータ
2.みなし処理データ
3.取消済みのデータ

既に、取り消されたデータでも取消処理ができるようにしてしまうと、ユーザーは本当にデータの取り消しができたかどうか不安になってしまうため、フラグが「3」の値のデータは取消ができないようにシステムを作っておかねばなりません。この場合、

フラグが「3」ならば取消ができない
 フラグが「3」以外ならば取消ができる

というようなロジックを書くこととなります。しかし、なんらかのミスコミュニケーションにより、プログラマーが

フラグが「1」ならば取消ができる
 フラグが「1」以外ならば取消できない

というようなロジックを書いてしまう可能性は大いにあります。そのような場合、「2」のみなし取引は取消ができなくなってしまうのです!もちろん、システムの設計は様々であるので、私の推測通りである可能性はそれほど高くはないと思いますが、エッセンスはこんなところでしょう。つまり、今回の東証の不具合とは、逃れようのないロジックの書き間違えであったということです。

【②東証の責任は?】
前回のシステム問題と、今回の問題も含めて、私には非常に気がかりになった、新聞上でのある表現があります。それは以下のようなものです。

システムの不具合は一義的には東証に責任がある。

意地悪い見方をすれば、わざわざ「一義的には」とつけるのは、東証側が責任を感じていないからだともいえます。なぜ、ズバリ「システムの不具合は東証に責任がある」と言えないのでしょう?「本当は富士通のSEが悪いんだけど、マスコミがうるさいから一応謝っておくか」といった本心が「一義的には」とつけるあたりに見え隠れします。では、東証はどうすればよかったのでしょうか?富士通のSEが書いたプログラムを全て、東証の従業員がレビューすべきだったのでしょうか?これはコスト的に考えても明らかに「無駄」な話です。
恐らく現実的な選択肢は、東証がシステムテストのシナリオ策定に積極的に関わるということです。システムの検証はランダムにデータを流していただけではダメであり、あらゆる可能性を網羅するようなデータを計画的に流してみることにより、検証を行わねばなりません。恐らくは検証段階においても、東証の関わり方はかなり限定的であり、富士通にまかせっきりだったのではないでしょうか?
また、実ユーザーである会員証券会社もテストに積極的に参加させるなどしていたならば、こうした惨事が防げていた可能性はかなり高かったはずです。

【③富士通の問題は?】
富士通のSEの能力に問題があるなどとは、私には思えません。しかし、これも推測の域を出ませんが、プロジェクト管理には問題があったのではないでしょうか?もし、東証のシステムを担当する富士通の責任者に、必要となるリソースを主張する勇気があれば、十分な人員を割いて計画的なシステムテストを実行できていたはずです。
私が古巣のコンサルファームで経験した最初のプロジェクトは、総勘定元帳システムの構築でした。私は一人のプログラマーとしてプロジェクトに参加して、導入後の2ヶ月間もサポートに携わったのですが、その二ヶ月間一度もシステムが落ちたり、欠陥が発見されることがなかったというのが今でも誇りとなっています。しかし、ユーザーさんからの評価は「あれだけ時間をかけてテストをやっていれば当たり前」というあまり好ましくないものでした。もちろんお客様の声は真摯に受け止めなくてはならないですが、必要な手順を愚直に踏むことが、システム構築の王道であることは間違いありません。「コンサルタント」という肩書きがついていても、魔法使いであるわけなどないのですから、当たり前のことを当たり前にやっていいものを作るのがプロの仕事というものです。こうした考えが欠落してしまったために、構造計算書の偽装問題は発生したのであり、その意味では両者の問題は同根のものであるとすらいえるでしょう。必要な工数は決して省略してはならず、請け負う業者はそのために必要なコストを請求する「勇気」を持たねばなりません。


【④気になる証券会社トレーダーの倫理観】
本日の日経新聞7ページにはジェイコム株を大量保有する証券会社の名がリストアップされています。これらの証券会社がジェイコム株を保有している理由は、誤発注にいち早く気付きそこから利益を得ようとしたからに他なりません。証券会社のトレーダーというのは、四則演算に長けた人々であり、誤発注元の証券会社が被る損失額など、すぐ見当をつけることができるでしょう。また、受け渡しの株が不足するであろうことも、お見通しだったはずです。もちろん、金融の世界は食うか食われるかのゼロサムゲームという厳しい側面もありますが、彼等の行為がこの問題の傷口を広げたたことには間違いありません。こうしたトレーディングはいかがなものなのでしょうか?こうした行いは彼等のPrestigeに影響を与えることはないのでしょうか?

Posted by Ken Kodama at 10:08 | Comments (4)

2005年12月05日

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ネットビジネスも二極分化

本題に入る前にですが、昨日の教育テレビのN響アワーをご覧になった方はいらっしゃるでしょうか?小沢征爾指揮のもと、N響とマーカス・ロバーツトリオのコラボレーションが実現していたというのは、私にとって全く初耳でした。もはや、音楽の世界では盲目のハンディを口にすることはナンセンスなのかもしれませんが、全盲のマーカス・ロバーツがジャズのみならず、クラシックにも造詣が深く、かつ両者ともに弾きこなすというのは私にとってあまりにも大きな驚きでした。ちなみにマーカス・ロバーツは先日のエントリーで、私のモルト・ウィスキーのつまみとして紹介した、Wynton MarsalisのLive At Blues Alleyでも、正統派ジャズの真骨頂を聴かせてくれますので、ご興味のある方は是非聴いてみて下さい。
さて、本題ですが、本日の日経新聞には、実に対照的な2つのネットビジネスが紹介されていました。まず、11ページの企業欄に紹介されていたのが、ネットマイル。同社の事業を簡潔に説明すると、『ネットマイルは加盟サイトに対し、1ポイントあたり1円でポイントを販売。1ポイント=0.5円でポイントを景品に交換し、その差額で収益を得る。(本日の日経新聞より引用)』というもので、企業側にとってはポイント制度の運営から開放されるメリットがあり、ユーザー側から見れば、ネットマイル加盟サイトが増えるほどポイントが溜まりやすいというメリットがあり、加盟企業、ユーザー、ネットマイル三者のWin-Winを狙ったユニークなビジネスモデルと言えます。
また、17ページに掲載されていたのは、ソネット・エムスリーによるネット上のコンシエルジュビジネス。ユーザーである医師に対し、個々の興味に応じた情報を選別して提供しようというビジネスです。
両方とも拡大しつつあるネット上の情報に着目した点では同じですが、ネットマイルはポイント収集というどちらかといえば、三浦展氏の言う『下流社会』の行動に着目したのに対し、ソネット・エムスリーは医師という高所得層をターゲットとしている点が私には興味深かったです。マス・アフルーエント層に対するマーケティングに関しては、先日のエントリーでもご紹介したように、その方向性は見えつつありますが、低所得層にフォーカスしたマーケティングとなると、明確な方向性は未だ形成されていないように思われます。ネットマイルのビジネスが一つの参考になるのではないかという気がしました。

Posted by Ken Kodama at 11:41 | Comments (3)

2005年11月02日

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東証のシステム障害を考える。

久々のITネタでのエントリーです。昨日の東証のシステム障害ですが、日経新聞の論調は社説の下記の文章に集約されています。

(引用始)
『直接の原因は単純なプログラムミスでも、システムの処理能力の頻繁な増強が遠因とみる点で関係者の見方は一致している。』
(引用終)

本日の日経新聞でも詳述されているように、個人投資家からの注文増に対し、つぎはぎ的なシステム能力増強を東証が行ってきて、そうした頻繁なシステム能力増強がなければ、今回の惨事がおきなかったというのは、確かに事実です。しかし、では、例えば今後5年間の注文増に耐えうるほどのハードのアップグレードを行うことが、抜本的な問題解決となりうるといえるのでしょうか?そのようなソリューションは、5年後にまた同じ問題を繰り返させるだけです。
私は、東証が注文増に対してつぎはぎ的なシステム増強を繰り返してきたことが、問題の真因であるとは考えません。むしろ、つぎはぎ的な頻繁なシステム増強が、システム変更時のプログラム変更にまつわる問題を顕在化させたのであると考えています。では、システム変更時のプログラム変更にまつわる問題とは何なのでしょう。ここから以降は、私がアンダーセンコンサルティング在籍初年度に経験したプログラミングの経験をもとに推測する記述であるため、プログラミングの現場を離れて10以上経過した現状に必ずしも合致しない記述があるかもしれない点についてはご了承下さい。
プログラミングの実際を知らない方のために「比喩的」な説明をすると(したがってITの専門家の目から見れば若干不正確かつまどろっこしい説明になっている点をご了承下さい)、コンピュータ・プログラムとは①実際の処理を行うプログラム②プログラムを動かすプログラムの2種類に大別されます。前者は、東証でいえば、顧客証券会社から受けた注文データをマッチングさせ、取引を成立させる、といった機能を担うプログラムのことです。実際、プログラマーの仕事の9割5分近くは前者のプログラムを書くことに費やされており、こうしたプログラムを正確にエレガントに、かつ素早く書き上げることは、プログラマーが食っていくための生命線であり、また、プログラマーが嬉々として取り組む仕事でもあります。
対して、後者の「プログラムを動かすプログラム」はどのようなものかといえば、前者のプログラムを作成したならば、必ずテストをしなければなりません。プログラムのテストは、当然のことながら「本番環境」では行えず、「テスト環境」で行うことになりますが、「本番環境のファイルではなくてテスト環境のファイルを読み込んで下さい」という指示が、「プログラムを動かすプログラム」に記述されることとなります。そして、日経新聞の記述を読むと、今回のプログラムミスは「プログラムを動かすプログラム」内の、読み込むべきファイルの場所に関して、エラー記述があったということが推察されます。
「プログラムを動かすプログラム」にまつわる問題点は2つあります。第一は、厳密なテストランができないという点です。「プログラムを動かすプログラム」の中には、イメージ的にいえば「IPアドレス」のような形で、読み込むべきファイル、書き出すべきファイルが記述されています。本番環境のファイルを指定してしまったら、本番環境のデータに影響を及ぼしてしまうため、厳密な意味でのテストランというのは不可能である、というのが最大の問題です。第二の問題は副次的ですが、プログラマーにとって書くモチベーションが湧かないという点です。「プログラムを動かすプログラム」にはエレガントなロジック構造などは要求されず、ひたすら「IPアドレス」のようなものを一字一句間違えないように記述することを要求される、神経だけが磨り減るいやな仕事なのです。
東証の頻繁なシステム能力増強によって、「プログラムを動かすプログラム」の仕様変更にまつわる問題点が顕在化してしまったというのが、今回の問題に対する私の見解で、したがって、ソリューションとしては「プログラムを動かすプログラム」の品質を向上させることを目的としなければ、的外れな対応となってしまいます。
こんなことは、ベンダーの富士通の現場の方には百も承知のことですが、新聞の論調や、トップマネジメントへと吸い上げられるコミュニケーションの過程で、昨今の急激な注文増が真因であるかのような議論のすりかえが起こってしまい、真の意味での抜本的な対応がなされなくなってしまうことを危惧します。
一方で、日経金融新聞では『障害頻発、問われる統治力』との見出しで、注文増よりは東証にとってシステムがブラックボックス化している点を問題点として指摘しており、こちらの方がより的確な議論であるように、私には思えます。

Posted by Ken Kodama at 10:14 | Comments (0)

2005年08月22日

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知の高速道路化

先月の入院の余波が収まらず、最近怒涛のごとく忙しいので、すっかりこのサイトの手入れがおろそかになってしましました。今日はこの後、泊まりの仕事に出かけるため、比較的頭に負担のないライトな話題にて失礼します。
とはいっても本日の日経新聞にリンクした話題。本日の日経新聞1面のトップには『時代進める「知の修練場」』と題する記事があり、将棋の羽生四冠の写真が掲載されていました。実は、私はかなり熱烈な隠れ将棋ファンでして、もちろん一番好きな将棋棋士は羽生四冠で、渡辺竜王(当時五段)との王座戦を横浜のホテルに押しかけて見に行ったことがあるほどです。ですから、本日の「知の高速道路化」という言葉も既にネット上で見て知っていました。この言葉について、詳しく紹介しているサイトは、下記をご参照下さい。

インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞

ここでいう「高速道路」とは何のメタファーなのか?私なりの言葉で簡単に言えば、あらゆる情報がネット上で無償で手に入るため、様々な分野においてある一定のレベルに達するために要する期間が従前に比べて大きく短縮された、ということです。将棋も然りで情報へのアクセスが容易になり、加えて、将棋の場合はネット上での対戦のサイトの普及により、アマとプロが匿名で対局できる場が提供されたため、若手の棋士が一定のレベルに駆け上るための「高速道路」が敷かれた、というのが、「知の高速道路化」のメタファーの意味するところなのです。
と、ここまではネットのいいとこずくめなのですが、この高速道路を降りたところで大渋滞しているというのが、羽生四冠の指摘するところです。今後の「大渋滞」のメタファーとは何なのか?現在20代前半の若手棋士は、ネットという高速道路を使って一気に四段レベルまで駆け上りましたが、その後、若手棋士は四~五段の低段位から抜け出せないで、だんご状態を形成しているのです。なぜか?
「その先は別(引用)」というのが羽生四冠の答えですが、つまり最先端の定跡に関する知識を収集する類の「知」では、将棋という勝負に勝つには不十分なのです。定跡形からはずれた未知の局面を考え抜く力が将棋には不可欠ですが、定跡に頼ることがことが多かった若手棋士は、このような力が不足しているようなのです。情報が氾濫しているがゆえに、かえって考える力を奪われてしまった・・・これがネットのもたらした悪しき側面なのでしょう。
では、この悪しき側面に抗するにはどうすればよいのか?私は、情報の発信者になるより他に、有効な手立てはないと考えています。1年半近く当ブログで情報発信を続けてきましたが、30代後半に入ってなお、私の考える力は急速に高まった気がします。情報の一方的な受け手として、レポートの題材を収集してきては切り貼りする・・こんな受身でネットに接していては、「大渋滞」から抜け出すことは至難の業でしょう。
本日の日経新聞の記事は、重要な部分の省略が多くメッセージが伝わりにくくなっていましたが、羽生四冠の言う「高速道路」とそれを降りた後の「大渋滞」のメタファーは、ネット文化を考えるにおいて、実に深遠な問いかけだと思います。

Posted by Ken Kodama at 17:21 | Comments (2)

2005年06月13日

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猫に小判? ~ダイエーの「攻め」のシステム投資~

本日は新聞休刊日だったため、昨日の新聞記事からのレビューです。ダイエーが40億円かけて「攻め」のためのシステム投資を行うとの報道です。NIKKEI NETの文面だけからは、どんなシステムか分からないため、新聞から一部記事を引用したいと思います。

(引用始)
『新システムでは店員が無線対応の端末を携帯し、作業を店頭ですべて行えるようになる。顧客の注文で別サイズの衣類を探す場合などメーカーへの発注状況や他店の在庫状況が即座に分かる。』
(引用終)

このブログをやってて良かったと思うのは、こういうときです。このシステム、どこかで聞いたことはありませんか?実は当ブログで昨年の9月に取り上げた丸井在庫管理のシステムとそっくりです。当時のエントリーは下記をご参照下さい。

丸井の在庫管理システム

当時のエントリーでは、私は丸井の在庫管理システムを褒めちぎっていますし、今も基本的にその考えは変わりません。私の某社での勤務経験から、このシステムの有効性がよく分かるからです。でも、丸井で有効なこのシステムはダイエーでも果たして有効なのでしょうか?
ダイエーはご存知の通り、「食に経営資源をシフトする」リバイバルプランを掲げています。これについては、私の今年3月のエントリーをご参照下さい。

ダイエーのリバイバルプランを考える

食に経営資源を集中する戦略をとるのであれば、システム戦略も経営戦略と整合性をとって、「攻めの投資」を行うべきは、やはり「食」分野のはずです。生鮮食料品売場ではこの無線端末は役に立たないはずで、「ここから3駅先にあるダイエー鴨居店には万能ネギの在庫が残っています」といっても、下手をすれば主婦から平手打ちを喰らうのがおちでしょう。
もちろん、ダイエーでもこのシステムは衣料品に使うのでしょうが、食に経営資源を集中するといっているダイエーが、今後他店から取り寄せてまで買いたくなるような衣類を扱うスタンスであるのか否かという点が重要だと思います。そこまで魅力的な衣料品を扱うつもりならば、衣料品も看板に掲げた「総合スーパー」道を、まっしぐらに進めばよいはずです。衣料品の扱いを曖昧にしていながら、衣料品分野で「攻め」のシステム投資を行うのはナンセンスな気がします。
また、ダイエーの新CEOと新COOはつい先日就任したばかりなのに、こうした重要案件の決裁を就任早々迫られて押し切られてしまう、トップの地位の相対的な弱さなどを、この報道から推し量ることができます。(この部分は憶測にすぎませんが)ダイエー大丈夫なんでしょうか?ダイエーは恐らく当ブログで取り上げた企業としては、回数はナンバーワンだと思います。そこまで取り上げると、なんだか情が入ってしまいます。

Posted by Ken Kodama at 20:43 | Comments (0)

2005年03月30日

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みずほの二の舞だけは・・・

本日の日経新聞4ページには、『三菱UFJ 統合あと半年』と題したコラムの「下」が掲載されています。銀行統合というテーマで、我々の頭に一番最初に浮かぶことは、みずほの統合時に大問題となった、システムの統合でしょう。同コラムによれば、今回の三菱UFJの統合においては、システムの統合を二段階に分けているようで、最初の段階のいわば仮の統合は2005年中に行われます。以下にその概要を引用しておきましょう。

(引用始)
『焦点はシステム完全統合前の「Day1」と呼ばれる段階だ。東京三菱とUFJの二つのシステムを併存させたまま、中継器を使って預金・振込データを双方のシステムに振り分ける。』
(引用終)

この記述だけ読むと、なんとも危なっかしそうなシステム統合に見えてしまいます。企業の合併時のシステム統合トラブルにとどまらず、新システムを導入するときというのは、なにかとトラブルがつきもので、日経コンピュータという雑誌では『動かないコンピュータ』と題した連載が組まれていたほどです。私もかつて会計システムの構築に携わっていましたが、幸いにも本番稼動後にシステムが落ちたりエラーが発見されたり、という事態には至らず、本番稼動後のサポートにおいては手をもてあましたほどでした。
もちろんシステムにより難易度の高低は千差万別ですが、私の成功体験から語らせていただくと、システムの順調な稼動の鍵は、全てのモジュールが完成した後に行われる統合テスト(システムテスト)にあると思います。ここで大事なのは、統合テストにおいて本番環境のデータを使用して、機能面・パフォーマンス面の二面から、手を抜かずにしっかりと検証を行うということです。
なぜテストデータではだめで本番環境の生のデータを使う必要があるかといえば、生のデータには思いもしない意外なデータが含まれているからです。
システムの仕様を決める際には、その部門、ないしシステム担当者のインタビューに依存することが大きいですが、そうした会社のキーマンであるような方にも誤認識が必ずあり、それを実際のデータでつぶしていかねばならないのです。例をあげれば、私の経験では他部門から連携される会計データに、伝票内で貸借が合わないという、会計の常識では考えられないデータが存在し、統合テストでの発見により、本番稼動後のトラブルを未然に防ぐことができました。
システム構築に携わる側としては、過去の議事録をひっぱりだして「ユーザーさんがこうおっしゃったので、その通りにつくって、こういう結果になりました」と、もめごとになった場合は自己の防衛を考えることも大事ですが、今回のように特に社会的にインパクトの大きい案件においては、不具合でレピュテーションにダメージを受けるという点においては、ユーザーもシステムベンダーも利害をともにしていますので、システム統合のベテランであるSE側がリードして、トラブル回避を率先して行うべきでしょう。
もし、現職のSEの方が当サイトを読まれていたら、「そんな簡単のこと言われなくても分かってるよ!予算・スケジュールが足りねえんだよ!」と言われてしまいそうですが、ボトルネックが予算・スケジュールなら、その拡充を要求すればよいだけです。三菱UFJの統合がうまくいくことをお祈りしたいと思います。

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2005年03月28日

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コーポレートカードの新たなる可能性

本日は昨日の日経新聞記事よりですが、『ジェーシービー(JCB)はルフトハンザ航空グループのルフトハンザエアプラス(ドイツ)と提携し、欧州企業の日本法人向けに出張旅費などの経費管理を効率化するサービスを始めた(NIKKEI NETより引用)』との報道です。
まずこの新たなサービスの母体となるのが、JCBの発行する「経費決済用法人カード」なるもので、「コーポレート・カード」と呼ばれているのが一般的だと思います。私もかつて会計システムのコンサルとして、コーポレート・カードの導入をクライアント企業に勧めたこともありますが、当時の導入の狙いは「キャッシュレス」にありました。すなわち、決済機能を持つカードを活用することにより、仮払いに伴う現金の授受を廃止し、現金の取り扱いに関わる業務の効率化及びアイドル・キャッシュの削減を狙って、コーポレート・カード導入に踏み切るのが一般的でした。
今回の報道の動きは、JCBがルフトハンザエアプラスと提携することにより、『航空会社名、経路、座席クラスなど通常のクレジットカード利用明細には表示されないデータを把握(日経新聞より引用)』できるようになり、付加的な情報を取り込むことにより、企業の経費管理に役立てようとすることが狙いであり、キャッシュレスよりも一歩進んだ感があります。こうした出張にまつわる経費管理を「ビジネス・トラベル・マネジメント」と呼ぶようです。
この報道とは全く別の最近の潮流として、従業員の立替払いの経費(営業マンの電車での移動や交際費など)の清算を、モバイル上のシステムで管理するアプリが結構販売されているようです。利用する企業の立場にたてば、エアチケットの詳細だけを把握できるよりは、こうした細かい立替払いを含めて総合的に管理できてこそ真の「ビジネス・トラベル・マネジメント」が実現できると考えていることでしょうから、クライアントニーズを掘り下げて考えれば、JCBのようなコーポレートカード発行企業によるモバイルシステム構築会社の買収などという動きも考えられるかもしれません。この手の経費はどの企業にも普遍的に発生するため、マーケットは非常に大きいです。

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2005年03月23日

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ERPに牛耳られるオペレーション・マネジメント

本日着目する記事は、国際面の小さな記事ですが、SAPとの買収合戦の末に、オラクルがリテック社の買収に成功したとの報道です。私は恥ずかしながら、このリテック社なる会社は初耳だったのですが、Retail Technologyの略のようで、小売業界に特化したパッケージ・システムを販売している会社のようです。
今からさかのぼること10年前、私は今は亡き(アクセンチュアに改名)アンダーセン・コンサルティングで、BPR(業務改善)だとかシステム設計という仕事をしていたのですが、当時、ERPシステムというのは今ほど普及しておらず、大企業は自社用のカスタマイズしたシステムをゼロから構築することが一般的でした。今ではほとんどありえないと思いますが、当時私は、カスタムメイドの経理システム(G/Lなど)を構築していました。ところが、2000年問題でのシステム改修の必要性を機に、多くの大企業はSAP等のERPシステムを基幹システムとして採用しはじめたのです。
この方向転換は、ERPパッケージの普及により、単にシステムの作り手が企業内から外部に出た、ということを意味するのではなく、業務フロー自体をERPベンダーから買うことに他なりません。業務フローが古いままで、新しいシステムを導入しても、「意味がない」どころか、日常業務が回っていかなくなる可能性があります。したがって、汎用的なERPパッケージシステムを導入するということは、既存の古い業務を捨て、最新の汎用的な業務フローを受け入れる覚悟に他ならないのです。
もちろん、新しい業務フローを構築することは一筋縄では行きませんが、しかし、ERPソフトと導入コンサルタントの支援を得れば、最前線の業務フロー、すなわちベスト・プラクティスを容易く手に入れることが可能となるのです。(もちろん移行過程にある現場は修羅場と化す恐れもありますが・・・)この流れが更に加速化するとどうなるかというと、各企業はオペレーション・マネジメントの分野において、他を圧倒するような差別化ができなくなる、という状況に行き着くことでしょう。
他を圧倒する業務プロセスと言えば、デルのBTO(在庫を持たない受注生産)が真っ先に浮かびますが、うろ覚えですが、デルのプロセスですら、SAPはサポートしているはずです。また、製造業がトヨタの域に迫るのは至難の業でしょうが、SCM等はERPの標準的な機能であり、10年前よりもトヨタの優位性は薄れてきているはずです。
SAPとオラクルがこれほどまでにリテック社を奪い合ったということは、同社のパッケージが小売業のベスト・プラクティスを内包していると考えるのが自然でしょう。同社がソリューションとして掲げるメニューには、以下のようなものがあります。

● Merchandise Operations Management
● Store & Multi Channel Retailing
● Supply Chain Planning & Optimization
● Supply Chain Execution
● Merchandise Planning & Optimization
● Demand Planning

もちろん、かなり私が誇張した表現をしているという面は否定しませんが、オペレーション・マネジメントにおいて競争優位を確立する、という戦略は、ERPパッケージの深化により不可能となってしまうことでしょう。これから更に10年後には、オペレーション・マネジメントは、もはや、「できて当たり前」の減点評価の対象となり、企業はそれ以外の分野で競争優位を見出さねば、厳しい競争に勝ち抜いてゆけないことでしょう。

Posted by Ken Kodama at 20:22 | Comments (0)

2005年03月11日

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IBMはどこに向かうのか

IBMとGEが「選択と集中」により、最高益を上げたとの報道が、日経新聞の国際面にありました。新聞記事は両社の「株主への手紙」に則した内容となっていますので、当サイトではIBMの「株主への手紙」の内容について触れることと致します。原文は英語ですが、以下のサイトをご参照下さい。

IBM 2004 Annual Report; Chariman's Letter

細かい表現面でも、例えばIBM社を株主への手紙なので「Your Company(あなたの会社)」としていたりする点も面白いですが、この手紙の要旨を日経新聞が簡潔にまとめているので、引用したみたいと思います。

(引用始)
『「IT企業は研究開発重視型と大量生産販売型に二極分化しつつある」としたうえで、「IBMは高い付加価値を生む革新技術にこだわる」と強調。コモディティ(日用品)化した事業の縮小・撤退を続けてきたと説明した。』

『事業領域の面では「消費者向けでは強さを発揮できず、企業向けに特化する」と指摘。』
(引用終)

では、同記事の言うところの「高い付加価値」は何なのかといえば、「株主への手紙」の中では、「On Demand(オン・デマンド)」というキーワードが何度も登場します。つまり、顧客企業が要求する新しいビジネスモデルの構築を、新しいテクノロジーのインフラを使って構築していくことが、IBMの向かう方向性であるといえます。これは、私の古巣のアンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)の事業領域とかなりかぶるもので、違いはテクノロジーのハードに関わる部分を製造しているか否かといった点くらいでしょう。こういう方向にシフトしていくということは、2002年のPWCコンサルティングの買収から見られるように、目新しいことではないのですが、この方向性での実行(Execution)を迷うことなく推し進めていくというのが、2005年のIBMの方向性であるといってよいでしょう。
実際にこうした方向性が吉と出るか否かは数年経過してみないと明らかになりませんが、少なくとも言えるのは、IBMは過去の著しい業績低迷を深刻に受け止め、4~5年周期で、自社のビジネスの根源を問い直す体質が身についたということです。環境変化の激しいITビジネスにおいては不可欠な姿勢で、そうした問い直しを行うことができるようになったこと自体が、既にIBMの強みであるといっても過言ではないでしょう。

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2005年01月14日

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キャノンの情報漏えい防止システム

キヤノンが、企業機密や個人情報の漏えい防止に対応した情報管理システムを開発したとの報道です。以下にシステムの概要につき、NIKKEI NETから引用しましたのでご参照下さい。

(引用始)
『デジタル複合機(多機能複写機)やプリンターで入出力する文書の内容を監視、「いつ」「誰が」「どの機器」から入出力したかを確認できる。新システムは、企業が顧客情報などの管理に使うサーバーとプリンターやデジタル複合機などを接続したネットワーク全体を監視する。社員がコピーしたり印刷した文書の内容をサーバーで読み込み、終業時間後に検索。「機密文書」「顧客名簿」など企業があらかじめ指定したキーワードを含む文書がコピーや印刷、ファクスされていたことを検知すると、サーバーがシステム管理者に通知する。』
(引用終)

この報道については、以下の2つの側面から興味深いと思いました。

【①OA機器メーカーのネットワークソリューションへの進出】
本日、日経紙面にて、この記事を読んだとき、最初に頭に浮かんだのが、当サイト11月9日付けのエントリーです。リコーと富士通研究所が共同でナレッジマネジメントシステム開発したとの報道をベースにしたエントリーで、このときはリコーが絡むことにあまりピンとこなかったのですが、本日のキャノンの報道と合わせると、OA機器メーカーが本気でネットワークソリューション分野への進出を目論んでいることが伺えます。キャノン、リコーといった大手メーカーが買収等により、この分野に本格進出してくる可能性も全くは否定できないでしょう。今後の動きに注目していきたいところです。

【②性悪説にたつ個人情報保護の取り組み】
従業員重視の日本的経営はどこへ行ってしまったのやら、最近の個人情報保護の波を受けて、従業員の性悪説にたった取り組みが目立つようになりました。当サイトでもとりあげた同趣旨のエントリーは、下記の2件がありました。

PCメーカーがPCを使わないという衝撃

監視されるソフトバンクBBの従業員

アメリカ企業の内部統制システムは職務分掌等が昔から整備されており、そうした意味では、日本企業も米国に近づいているいえるのかもしれません。ただ、こうした動きを急速に強めると従業員の閉塞感が必要以上に増加してしまう可能性もあるため、人事部主導による「心のケア」的な施策も必要となることでしょう。

Posted by Ken Kodama at 16:08 | Comments (0)

2005年01月05日

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本腰を入れてパソコンに取り組むNEC

NECが家電量販店にパソコンを即納できる体制を整えたとの報道です。以下にNIKKEI NETの記事を引用させていただきます。

(引用始)
『現在は週1回だけの店頭への在庫補充を毎日実施する新方式に切り替える。2006年3月末までに全面的に移行し、企業ごとの受発注も店舗ごとに細分化。きめ細かなやり取りで量販店の在庫を半分以下にし、新製品発売時に起きる旧製品の値崩れを防ぎやすくする。全面移行後は年100億円規模のコスト削減を見込む。パソコンで国内シェア首位のNECの取り組みは他社も追随する可能性が高い。』
(引用終)

改めて、私なりに要約させていただくと、販売店への補充のタイミングを週1回から毎日に切り替えることで、販売店の在庫を圧縮し、新製品への切り替えのタイミングの値崩れを防ぐことが狙いです。一見、運営上の問題の改善にしか見えないかもしれませんが、私にはこの記事より、NECがパソコンビジネスに本腰を入れ始めた姿勢が伺えます。
NIKKEI NETの記事では背後の最も重要なポイントが書かれていませんが、日経新聞上に記述があるように、このような日次の補充が可能となったのは、生産が受注生産から見込生産に切り替えられたためです。まだ注文を受けていないパソコンをNECは作ることになるわけですから、当然NECにおける在庫リスクは高まります。
パソコン組立に強みを持つデルは、全て受注生産により在庫を極限まで減らし、そのことによりコスト的に他社を圧倒しましたが、今回のNECの動きはこの方向性に逆行するようにも見えます。NECの志向するところは、量販店もパートナーであると考えた上での全体最適なのでしょう。デルの場合は直販が主流であるがため受注生産が有効ですが、他社のチャネルに販売を依存するようなケースでは、このような試みが有効なのかもしれません。
パソコンから撤退してしまったIBM、個人向け販売に本腰を入れるNEC、法人向けには(おそらく)ネットワーク端末を主軸にしようとする日立。さあ、明確な方針を打ち出していない他社はどのような戦略を採るのでしょうか?

Posted by Ken Kodama at 11:57 | Comments (0)

2005年01月03日

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PCメーカーがPCを使わないという衝撃

当サイトにお越しの皆様へ

明けましておめでとうございます。本年も昨年同様、日経新聞のニュースを主なソースとした、レビュー・解説記事を主体としたサイトを運営していく所存です。仕事を開始する前、仕事中の息抜きに、当サイトをご覧いただければ幸いです。

さて、年始早々衝撃の報道が日経1面を飾りました。

(引用始)
『日立製作所グループは社員が業務で利用するパソコン約30万台を全廃し、情報漏えい防止型のネットワーク端末に切り替える。新端末は内部に情報を一切保存できず、盗み出されても顧客情報や製品開発情報などが流出する危険がない。機密情報の流出防止が企業共通の課題に浮上するなか、パソコンメーカーでもある日立のパソコン全廃は、企業の情報システムのあり方を大きく変えそうだ。』
(引用終)

PCメーカーがPCを利用しない方針を固めるという報道は衝撃的ですが、同社の動きは、これから同社が外販を開始するというネットワーク端末の販売のための、体を張ったマーケティング活動と見ることもできます。

【PC業界へのインパクト】
IBMのPC事業の売却と合わせ、日立のこの動きがPC業界の再編を加速させる可能性があります。私が改めてここで述べるまでもなく、PC業界はユーザーの低価格志向と、インテル・マイクロソフトといった圧倒的な力を持つサプライヤーの板ばさみになり、デルのように組み立てのプロセス自体によほどの強みを持たない限り、全くうまみのないビジネスと化してしまっているのが現状です。ここで、ネットワーク端末とは、日経新聞の「きょうのことば」欄によれば、HDDはおろかCPUすら持たない端末ということなので、ネットワーク端末の組立製造ビジネスにおいては、少なくとも、サプライヤーの価格支配力から免れることが可能となります。
この報道は、あくまでも日立社内でのPC利用の全廃であり、消費者向け・法人向けのPC製造を中止する旨の記述は全くありませんが、近い将来、少なくとも法人向けには、「ネットワーク端末 + サーバー」の売り込みを主軸に据えようとの目算があるはずで、また、仮にそうした目算もなくこうした動きに出たとすれば、軽率な感がします。私個人の根拠のない推測ですが、PC組立業界の将来像は、今年から来年の業界の出方にかかっている気がいたします。

【ユーザー企業のメリット・デメリット】
さて、ユーザー企業がPCからネットワーク端末にインターフェースを置換した際、どのようなメリット・デメリットが生ずるのでしょうか?私が思いつく限り、以下に列挙してみました。

<メリット>
①情報漏えいのリスク軽減
日立のPC利用全廃の最大の動機はここにあるようです。まず、端末内にデータが蓄積されないわけですから、ノートPCの盗難等に起因する、情報漏えいを防止することが可能です。また、CPUすら持たない端末なのですから、例えば、社内の共有ドライブ等で、「給与」や「査定」と名のつくファイルを検索しようものなら(このサイトの読者の皆様はこんなことしてないと信じていますが・・・)、それは本社のサーバーに記憶され、「不自然な操作」と認識され、「瞬時に拒絶」されてしまうはずです。つまり、物理的・心理的な作用から情報漏えいリスクが軽減されるわけです。
②ランニングコストの軽減
新聞には「パソコン利用に比べ、システム管理費や整備費を三割削減できる」との記述があります。クライアント・サーバ・タイプのシステムを構築すると、クライアント上にインストールされたシステムのバージョン管理等の追加のランニングコストが発生しますが、懐かしき集中管理に逆行することにより、こうしたコストは不要となります。

<デメリット>
①かなり高額なイニシャルコスト
新聞には「システム導入コストは一万台の場合でサーバーや通信インフラ増強を含めて総額約二十億円」との記述があり、切り替えには、かなり高額なイニシャルコストを覚悟せねばなりません。
②レスポンス低下を主因とする生産性の低下
例えば、我々が普段何気なく表計算ソフト上で行うコピーペーストのような処理も、本社のサーバー上で処理せねばならないのだとしたら、レスポンスの低下は甚大なはずで、それに伴い、利用者の生産性の低下が大きな問題となるはずです。また、どんな先進的な企業でも社内のネットワークのトラブルはつき物で、ネットワークが不安定なときに、自分の端末上にデータが保存できないとなると、データ修復のためにやはり生産性は低下するはずですし、そうしたバックアップをサーバ上で行うのであれば、サーバの増強のための出費はばかにならないはずです。

繰り返しになりますが、これは単なる一企業の動きではなく、PCメーカーの動きなのですから、かなり大きな賭けに出たという感がします。日立の今後の動きに注目していきたいと思います。

Posted by Ken Kodama at 14:39 | Comments (0)

2004年12月27日

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来店客分析システム ~あなたの顔は撮影されている~

『ショッピングセンター(SC)運営大手のダイヤモンドシティは来店客の性別や年齢層を自動判別するシステムの実証実験を始めた』との報道です。入店者の顔をカメラで撮影し、画像により年齢・性別を判断しようというのが、新システムの仕組みの基本です。
現在でも、ある程度の規模がある小売店舗は、入口に赤外線センサーを装備し、店舗に入った「入店者数」をカウントしています。小売業界が月次速報等で発表する、「客数」なる数値はこの入店者数とは異なり、実際に品物を買い上げた人数のことであり、赤外線センサーではなく、POSレジにより把握されます。この「入店者数」を分母にし、「買上客数」を分子にした比率が「買上率」又はコンバージョンと呼ばれ、これらの数値を分けて認識することが重要です。
例えば売上が減少しているとして、その原因が入店客数の減少にあるのであれば、より多くのお客様をお店に呼んでこなければ始まらないわけですから、広告を打つ等の対策が必要となります。対して、売上の減少の原因が買上率の減少にあれば、お客様はお店に来ていただいても魅力的な商品がないから購入しないのですから、商品構成を刷新したり、接客を積極的に行う等の対策が必要になり、数値を分けて把握することにより、原因に的確にヒットした対策を打つことが可能となるのです。こうした考え方はネットショップにも導入されており、トラフィック・コンバージョン等の数値データはネットショップの場合は、アクセスログを加工することにより安価で得られるため、ネットショップの方が、現在では進んだ分析が可能となっています。
さて、今回のシステムですが、実際の店舗(モルタル)において、来店客数のデータに「年齢層」と「性別」という属性データを付与することが可能になります。マクドナルドのレジを昔見たとき、顧客の年齢層を入力するボタンがありましたが、ダイヤモンドシティ内の店舗のPOSレジにも顧客の属性を認識する機能があるとすれば、年齢層別、性別毎の買上率を把握することが可能となります。
もちろん、データが増えればより詳細な分析が可能となり、このシステムから得られるデータが有用であるのは間違いありません。反面、店舗に入るだけで顔写真を撮影されるということが分かっていれば、お客様はどう思うでしょうか?『プライバシーに配慮し画像はすぐ消去する。(引用)』とのことですが、やはり顔写真をとられて、年齢を識別されるというのは、特に女性にとっては、嫌な話でしょう。
この報道自体がダイヤモンドシティへの来店客数にどのような影響を及ぼすのか見極めた上で、他企業は導入を考えても遅くはないと思います。

Posted by Ken Kodama at 10:49 | Comments (0)

2004年12月21日

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電線ネット

総務省が、家庭の電源コンセントにパソコンや家電のプラグをつなぐだけで高速インターネットに接続できる「電力線通信」を2006年にも解禁する検討に入るとの報道です。昨日と同様、こうしたテクニカルな問題を真正面から語るバックグラウンドは持ち合わせていないため、本日は斜に構えた視点でのコメントとさせていただきたいと思います。
①NTTの経営へのインパクト
今回の解禁では見送られた屋外での電力線の利用ですが、屋外での利用が解禁されたとき、現在光ファイバーの敷設を進めるNTTの経営へのインパクトは相当なものであると思われます。パソコンだけで考えても、今までは電話線が引いてある部屋でしか使用できなかったのが、コンセントさえあればブロードバンド接続が可能になるわけですから、利便性は電力線通信が勝るはずです。
今から10年程前のことですが、通信業界の某社の役員の方のお話を伺う機会がありましたが、その方は「電話というものは、線さえ引いておけば、黙っていてもお金が入ってくるおいしいビジネス」といった趣旨のお話をされていたのを懐かしく思い出しますが、まさに10年一昔といったところでしょうか。線を引き終わってもお金が回収できなくなる可能性が出てきたわけですから。
②「電線ネット」という言葉
「電線ネット」という言葉でグーグル検索したところ、ひっかかったのはたったの519件で、しかもトップにきたのは、「・・・日立電線、ネット・タイム、・・・」というトピックに全く関係のないものでした。しかし、当然この結果はこのトピックがマイナーであるがためではなく、「電力線通信(英語ではPower Line Communictaion)」で検索すると30万件近くもの検索結果がヒットします。これは、日経新聞が「電線ネット」なる言葉を普及させたいということでしょうか?日経の思惑通り、この用語が定着するかどうか見物です。

なお、ネットサーフィンの過程で、京都大学の梅原助教授の作成する電力線通信がらみのリンク集を発見しました。テクニカルな側面にご関心のある方は是非、ご覧になって下さい。

Posted by Ken Kodama at 11:04 | Comments (0)

2004年11月19日

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近未来のナレッジデータベース

リコーと富士通研究所が、パソコンなど事務機器を通じて企業内などの業務内容を自動的に記録・分析する知識管理システムを共同開発したとの報道です。なぜ、リコーが登場するかといえば、コピー機やファックスからの情報までも取り込もうとする構想であるからのようです。「こうした多様な情報から内容の意味を理解し、データベース化する」ことを目的としているようです。
先日お会いしたMRの方から伺った話によれば、MRの方はマーケティング・ツールとして、医学論文をデータベース化したものを活用しているらしいです。薬の名前や病名などのキーワードをデータベース化して、ドクターの関心領域を探り、効果的なセールスを行っているようで、この新聞報道を読んだときに、連想しました。
新聞報道のデータベースの活用目的は、内部の人的資源の効果的な活用にあり、また、そのデータベースを自動的に作成してしまおうという遠大な計画ですが、システム的に2つの課題があると考えられます。
第一は、ナレッジデータベースを自動生成する際に参照されるであろう、キーワードのテーブルのメンテナンスに関わる問題です。経営に関する用語は次々に新しく生まれており、それを財務から生産、研究開発にいたる社内の全分野にわたって、アップデートしていかなければなりません。大方の部分は富士通が作りこんでおくとしても、社内・業界でしか使用されない特殊な用語(ジャーゴン)もあり、そうした用語は社内の人間にしか対応できず、そうなるとこのシステムのメンテナンス要員に、相当な知識を持つ人物を充てなければなりません。
第二は「意味を理解する」ロジックの精度でしょう。翻訳ソフトの精度などから類推しても、「意味を理解する」部分のロジックはいまだ発展途上にあり、だからこそ翻訳家が食べていけるのです。早期からこのシステムを導入しようとする企業は、導入当初の論理バグをある程度覚悟しておく必要があるでしょう。

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2004年11月10日

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コメントスパム対策

昨日、このサイトもコメントスパムの攻撃を受けました。攻撃しても、私一人がおろおろするだけで社会的になんらインパクトがないので、こうした零細サイトは標的にしていただきたくないのですが・・・他にも大阪府がなんらかのサイバー攻撃を受けたようで、昨日はハッカーにとってのメモリアルな日であったのでしょうか?
おそらく非常に古典的な解決法なのでしょうが、こちらのサイトに紹介されているファイルをリネームする方法を行ったところ、ぴたりと止みました。MTでブログを運営されている方は、予防措置として行っておくことをお勧め致します。

Posted by Ken Kodama at 14:59 | Comments (0)

2004年10月21日

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ブログをビジネスに

「ブログをビジネスに使いましょう」という趣旨の記事を最近よく見かけるようになりました。例えば下記のようなものです。

● 日経BP連載記事
● イーナチュラルサイト

ブログをビジネスに使うことの一般的に語られるメリット・デメリット等は上記のサイトに譲るとして、私もブログサイトを運営しているという立場から、一般的にあまり語られていないメリットについてお話したいと思います。
私がブログサイト運営を通じて、最も享受しているメリットといえば、それは「自己研鑽に最適」であるという点です。当サイトはニュースレビューという形で、弊社のビジネスに関わる経営コンサルティング・ファイナンシャルプランニングがらみの最新のニュースを解説したり、読者の皆様と一緒に考えるというスタイルをとっています。そうした記事を、不特定多数の方の読者の目を気にしながら毎日書くということは、弊社サービスのプロモーションという短期的な観点より、私自身のスキルアップというより長期的な観点から得られるメリットの方が大きいと思われます。ナレッジそのものが売り物であるコンサルティング業界でブログを運営することは大変意義深いことだと私は思います。
起業を考えている人には、会社を辞めてしまう前にまず関連する分野でブログをはじめて見ることを勧めています。アクセスを分析することで、どの分野に潜在顧客の関心があるかどうか分かり、同分野に関心がある人たちとの人脈が形成できる可能性もあるからです。また、自分がビジネスをしようとする分野で定期的に記事を書くことすらおぼつかないようであれば、それはその人の熱意が足りないということを意味します。
ノウハウをウェブ上で無料で提供することに抵抗感を抱く方がいるかもしれません。私の個人的な考えでは、フィーは個々のお客様にカスタマイズしたサービスを提供したときにはじめて頂くべきものだと思っています。一般的なネタを解説するだけでお金をもらえると思っているコンサルタントがいるとすれば、その底の浅さを疑います。
語るべきネタとネットにアクセスできる環境さえあれば、ブログはコストゼロに近いレベルではじめることが可能です。様々な可能性を秘めたブログを、読者の皆様もはじめてはいかがでしょうか?

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2004年09月16日

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丸井の在庫管理システム

丸井が約100億円をかけて、10月から商品管理システムを刷新して、商品の在庫を、店頭の販売員が他店の分までリアルタイムで把握できるようになるとの報道です。私の某アパレルでの勤務経験からすると、このシステムは大変意義深いものであると思います。このシステム投資により、丸井が享受するメリットは何でしょうか?以下、考えてみたいと思います。

①顧客満足度の向上
例えば、私が靴を買いにいくとなると、私の足のサイズは小さいので、大抵店員さんがバックヤードにサイズの在庫があるかどうか確認にいくこととなります。そうした場合、この店のバックヤードはもしかしたら巨大な迷路なのではないのかと思わせる程、気が遠くなるくらい待たされたあげく、「申し訳ないですがご希望のサイズでは在庫がありません」と最後に言われる始末です。しかし、このシステムがあれば、販売員がPDAにバーコードを読ませるだけで、即座に在庫確認ができ、あるかないか分からない在庫確認のために待たされる、という事態はなくなり、顧客満足度の大幅な向上が期待できます。

②他店に在庫がある場合の売り逃し防止
丸井は首都圏に多店舗展開しています。特に新宿、渋谷のようなターミナル駅では、私が把握しきれないほどの丸井店舗が存在します。こうした場合、自分の店舗には在庫がないけど、歩いて数分の店舗には在庫があるような場合、このシステムにより、売り逃しの機会損失を防止することができます。

③他店在庫確認に伴う販売員の確認作業時間の大幅削減
希望するサイズ・色の在庫確認は、まず自店バックヤードの在庫確認から始まります。そして、なかった場合でお客様がどうしても欲しいという場合、近隣の店舗に電話で在庫の問い合わせをします。すると、電話を受けた側の店員がバックヤードに入り在庫確認をして、再びコールバックして、「在庫ありませんでした」と連絡することになります。それでも、お客様が引き下がらない場合は、さらに違う店舗に電話をかけまくる・・・といった、恐ろしい程の無駄な時間が発生します。こうした在庫確認作業をしている間は、販売員は他のお客様の接客に注力できず、更なる販売機会損失を生み出しているのです。このシステムがあれば、問い合わせを受けたお客様と対面したまま他店在庫が確認できるため、そうした機会損失は一切なくなります。

④年間200万枚の在庫受渡伝票の廃止
新聞報道にはこれだけの伝票が削減できると書かれています。在庫の店舗間移動を全てシステム上に乗せるため、店舗間移動のための伝票作成という作業が一切不要になるのでしょう。

⑤店舗間移動を前提とした仕入戦略
新聞報道の記述を以下に引用します。
『例えば同じ衣料品でも都心、郊外など立地の違いで売れるピークは異なる。その時点で最も売れそうな店をパソコン上でシミュレーションし、各店にPDAを通じて在庫移動を指示する。』(引用終)
あくまでも「例えば」ですが、若者ファッションの流行は吉祥寺で始まり、その後渋谷、新宿でブレイクして、しばらくした後藤沢、柏でじわじわ売れる、といったような都心内での立地の違いによる売上動向を丸井が把握していたとすれば、本部から店舗間移動の指示を出すことにより、在庫リスクを低減した仕入戦略が可能となります。

先日、書店の紀伊国屋で他の客と店員のやりとりを立ち聞きしていたところ、紀伊国屋では、他店の在庫検索システムが既に根付いているようで、他店の在庫照会のためのシステムということだけでいえば、既に前例はあります。しかし、「少量多品種化」が徹底したファッション業界に主に身を置く丸井が、首都圏での多店舗展開では他にひけをとらないという強みを活かして、こうしたシステムを導入したとなると、導入効果は絶大でしょう。丸井の外部・内部環境に立脚した、大変効果的な戦略的システム投資であると思われます。

私が学生の頃(もう15年近くも前のことです・・・)、丸井といえば「赤いカード」で、バブルに浮かれた日本中の学生がカードローンで高額なブランド品を購入し、バイト代をローンの支払いに充てる自転車操業の地獄にはまっていました。恥ずかしながら、私も例外ではありませんでした。バブルがはじけたことを実感したとき、丸井もバブルと共に消えていくのでは、とさえ思ったほどでしたが、それから約10年後にアパレル業界に身を置くこととなり、そして今日こうした新聞報道を読む限りでは、丸井は確実に時流を読んで進化を続けていることが伺えます。10年後に丸井がどうなっているのか、想像するだけでも楽しいですね。

Posted by Ken Kodama at 10:20 | Comments (0)

2004年06月30日

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マイクロソフトの画期的な検索エンジン新技術

久しぶりに検索エンジン関連で、eNatural.orgさんのサイトの記事を参考にさせていただきました。
上記サイトが参照しているソース記事によれば、従来の検索エンジンのように入力された語句を含むサイトを機械的に表示するのではなく、その検索の「意味」まで考えるというのです。具体例として、ゲイツ氏は「ユーザーがコンピュータのチップのことを調べている場合は、ポテトチップに関することは表示しない」と述べています。
この報道は色々な意味で大変興味深いものです。第一にグーグルVSヤフーVSマイクロソフトの検索エンジンバトルにおいて、今後マイクロソフトがかなり優位を築くものと思われます。ただ、マイクロソフト製品はよく知られているように大量にバグを抱えたままリリースされますから、導入初期は難しいロジックを加えたことにより、却っておかしな検索結果が表示されることも予想されます。また、ヤフー・グーグルのブランドもそう簡単には突き崩せないでしょう。しかし、マイクロソフトの検索結果の品質の優位性が浸透していけば、確実にシェアを奪うことが予測されます。ゲイツ氏いわく、この技術は「10年間の言語学の研究」により誕生したものであり、資金量や人材面で劣位にたつグーグル・ヤフーが同じ土俵で渡り合うのは困難と思われます。
第二に検索技術をベースとした広告においても、マイクロソフトの技術をベースにすれば、より関連性の高い広告が表示されることとなるでしょう。例えば、会計関連の専門的なブログとして、こちらの「経営・会計通信」というサイトを私はよく拝見させていただいているのですが、トップ部分に表示されるグーグルのアドセンス広告の文章との関連性の悪さといったらありません。こちらのサイトを訪れる方は、会計の学問的で高尚な議論を楽しみにサイトを訪問しているであろうに、表示されるアドセンス広告は消費者金融だったり、低価格で会計事務を代行する会計事務所のものであったりと、想定訪問者との関連性は限りなくゼロに近いものとなっています。ここで、文章の意味を考慮した広告をマイクロソフトがはじめたら、コンテンツとの関連性という点において、グーグルは大きく引き離されてしまうことでしょう。
第三の興味は個人的なものなのですが、私は大学時代、言語学を学んでいたことがあり、今回のマイクロソフトの技術が言語学のどの分野(チョムスキーの生成文法、形式意味論等々)を応用したものであるのか、という点に興味があります。
リリースは7月からということであり、日本でも同時期に開始されるのか定かではありませんが、この新技術が信頼たりうるものとなったとき、ウェブビジネスは新たな節目を迎えることとなることが予想されます。

Posted by Ken Kodama at 21:16 | Comments (0)

2004年06月29日

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監視されるソフトバンクBBの従業員

一連の顧客情報流出騒ぎの末に、ソフトバンクが打ち出した対策は、この報道にあるように、社内に外部のセキュリティー専業者が運営する「顧客情報」監視センターを設置することでした。
「顧客情報を扱う端末の画面やキーの入力状況を見張ったり」、「カメラでも監視し」たりするそうで、情報を預ける顧客としては、かなり安心感が得られる対策になっていると思われるのですが、懸念されるのは同社で働く従業員への影響です。
2003年度のソフトバンクの決算発表において、孫氏はブロードバンドビジネスの顧客の生涯価値が4,000億円と算定されると胸を張りました。つまり、YahooBBの既存ユーザーに今後ADSLの高速化やBBフォン、無線LANパックなどの付加価値メニューを追加し、利益を拡大していくという目論見です。しかし、そうした付加価値メニューの販売にあたって、販売担当者は、当然顧客情報を参照せざるを得ず、どういう属性の顧客にはどういうアプローチをしようと、考えにふけるわけです。そういうクリエイティブな作業をしているそばで、キーストロークを見張られていたり、カメラで監視されていたりしたら、よいアイデアは浮かんでくるのでしょうか?常に監視の目を気にしながら働かざるを得ないとなると、人間の心理にはどのような影響が与えられるのでしょうか?
以前の弊社記事にて、個人情報保護法対策は、情報システム部門だけではなく、マーケティング・営業部門も含めた社内横断的なアプローチで対処せねばならない旨を指摘しましたが、ソフトバンクBBの動きを見ると、人事部門もこの課題に大きな役割を担う必要があることを感じます。

Posted by Ken Kodama at 10:31 | Comments (0)

2004年06月16日

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個人情報保護法の指針への対処とCRM経営

経済産業省が個人情報保護法の適用に関する指針を公表したとの報道がありました。指針に関しては、まだネット上では公表していない模様で、追ってリンクを加えたいと考えています。
6月16日付けの日経トップを飾った記事であるため、目に止まった方も多いと思われますが、同記事の中に「個人情報保護法の対象となる個人情報」が表に列挙されています。様々な議論を経て指針は作成されたのでしょうが、例えばアンケートの回答用紙については、「住所や氏名などに基づいて分類したもの」は保護法の対象になるとするものの、「未整理でまったく分類していない場合」は対象外となるなど、結論だけを見ると、省庁の出す指針にありがちな意味不明なものが多いようです。このような指針を目にすると、例えば「じゃあ、アンケートは整理しないでとっておいて、保護法の対象外にして面倒な規制を免れよう」と考える方がいるものですが、個人情報に関しては昨今の情報流出事件及びその重要性を考えて、法律及び指針を各企業の情報リスクマネジメントの最低限の要求水準と考え更に充実を図る、正攻法のアプローチで対処されることが望ましいと考えます。
指針の全文を見ていないのではっきりとしたことは言えないのですが、この指針がCRMをベースにしたマーケティングを制約する可能性が考えれれます。例えば、日経紙面の記事によれば、アンケートで顧客情報を収集する際には、目的を本人に知らせることが必要で、「サービス向上のため」等の抽象的な表現では足りず、「商品情報の発送のため」等踏み込んだ表現にせねばならないとしています。各企業の具体的な対応策は指針の全文を詳細に検討した後に行われるべきですが、これを機にCRMの手法についても全面的に再考すべきでしょう。CRMにおいて本当に必要な顧客の属性とはなんなのか、原点に戻って考え直すよい機会だと思われます。
また、大規模な企業におかれては、これは情報システム部門のみが抱える課題ではなく、マーケティング戦略にも重要な影響を与えるため、社長をプロジェクトリーダーとした、組織横断的な対応が必要となるものと考えられます。

参考文献
 個人情報保護法全文(首相官邸のサイト)
 CRM経営に関する弊社記事

Posted by Ken Kodama at 10:05 | Comments (0)

2004年05月27日

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Eメールを CRM の第一歩として使おう

今回は、先日に引き続き再びe-Natural.orgさんのサイト紹介されていた記事に触発されたコラムです。
【CRMの背景 ワン・トゥ・ワン・マーケティング】
「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」という考え方が提唱されたのは、今から約10年前に遡る。
この概念が提唱されるまでのマーケティングの特徴を一言で表せば、「マス・マーケティング」。多くの人々が関心をひきそうな製品を開発して、それを多くの人々が関心をひきそうな広告で宣伝して、ガンガン売りまくる、そのような手法をマス・マーケティングという。
しかし、このマーケティング手法も以下の2つの理由から行き詰まりに出会う。第一には、この方法は広告宣伝費用が滅茶苦茶多くかかるということ。多くの人の気をひくためには、テレビや新聞という高価な広告媒体を使用せざるを得ない。第二は、一度つかんだお客様がなかなかリピーターになってくれないということ。この手法では、そもそもお客様の声を聞こうという発想がないのだ。
そこで、この行き詰まりを打破すべく唱えられたのが、「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」の考え方である。つまり、「多くの人の気をひこう」などとは考えずに、個々のお客様の声をきいてニーズを把握して、個々のお客様の望む商品を提供していこうというのが、ワン・トゥ・ワン・マーケティングである。
しかし、この新しい考え方も1980年代までは非現実的だった。というのも、大規模な会社が個々のお客様の声をきこうとすると、営業担当者を増員したりする必要があり、かえってお金がかかってしまうからだった。
【IT技術の進歩とCRMソフトの登場】
ところが、1990年代に入り、IT技術がハード面において飛躍的に進歩した。パソコンの処理能力が飛躍的に進歩を遂げたのはいうまでもない。また、インターネットの普及で、人を介さずとも個々のお客様とやりとりができるようになった。
このようなハードの進歩に押されて、CRMソフトが登場した。CRMソフトとはワン・トゥ・ワン・マーケティングを実現するためのソフトといってよいだろう。イメージとしては、CRMソフトの主キーは「個々のお客様」になる。そして、その個々のお客様の属性・購買履歴・苦情履歴・レスポンス率等の情報がデータベースに蓄積され、分析され、お客様のニーズに合致した商品をタイミングよく提供することが可能になるのだ。
具体例を示せばアマゾンで本を買ったことがある人は、自分の興味のある本の広告メールが送られてくるのを経験したことだろうが、これを可能にするのも、アマゾン社内のCRMソフトの存在があるからだ。
【EメールをCRMの第一歩に】
ようやく、今回の本題だが、そのCRMの初めの一歩として、Eメールを使いましょうというのが、この記事のいわんとするところだ。興味をもたれた方は、是非ソース記事を読んでいただきたいが、私がこの考え方をお勧めしたい最大の理由はコストが安いということ。CRMとて業務用のソフトウェアだから、導入しようとするとかなりの初期コストを要する。ところがEメールだけを独立してスタートさせれば、初期コストを低減できる。また、最近の顧客情報流出からも身を守ることができる。顧客の属性までもシステム上に蓄えようとすると、セキュリティ面のコストがかさんでしまうが、当面はメールアドレスのみをキーに管理すれば、万一情報が流出してしまったとしても、被害を最小限に食い止めることができる。
ネットビジネスを立ち上げようとしている方は、まずEメールからCRMをはじめることをおすすめする。

Posted by Ken Kodama at 17:51 | Comments (0)

2004年05月17日

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グーグルの収益構造の課題

本日は日経のニュースをソースとしたトピックではなく、グーグルのS-1をもとに、グーグルが近い将来直面するであろう収益構造の課題について考えたい。このトピックはITベンチャーでの起業などを志向している方には参考になると思う。
【グーグルの収益構造の現状】
グーグルはどのようにしてお金を稼いでいるのであろうか?実は驚くほど単純である。2003年度のグーグルの売上高は約1,097億円(為替レート114で換算)であるが、その内95%が広告収入である。その95%を更に分解すると、80%がグーグルのサイトでの広告収入であり、15%が他のサイト、つまりAdSense広告による収入である。
【グーグルのサイトでの広告収入に関わるリスク】
グーグルの売上げの大部分はグーグルの検索サイトに表示される広告から生み出されているが、ではグーグルのサイトがこれからも高い売上高を維持できるのかと言えば、様々なリスク要因がある。
最大のリスクは競合による追撃である。マイクロソフトとヤフーの追撃はいうに及ばず、インターネット・プロバイダー等が検索エンジンを提供する動きもあり、他社が検索エンジンを充実させればさせるほど、グーグルのシェアは低下する。
特に無視できないのがマイクロソフトの動きである。私はこのS-1によりはじめて知ったのだが、マイクロソフト製品(例えばワード)から作成されるドキュメントは、キーワードにどれほど関連性があろうと、グーグル検索にひっかかってこないそうである。これは検索の質低下を意味し、グーグルにとって大きな脅威である。関連分野での圧倒的なシェアを武器に新分野に殴り込みをかける、マイクロソフト独特の手法に、グーグルがどう対抗するのかが注目される。
【AdSense広告の課題】
グーグルサイトはこのように大きな競合の脅威にされされているため、収益源を多様化するために生み出されたのがAdSense広告である。
AdSense広告は、広告の表示場所をグーグル自社のサイトに求めるのではなく、他のサイトに求めるものである。例えば、この弊社サイトでもやろうと思えば、グーグルのAdSense広告を表示できる。
このAdSense広告の課題だが、グーグルのサイトでの広告に比べて、粗利益率が低いということが最大であろう。なぜ、粗利益率が低いかといえば、グーグルのブランドが活きないからである。我々がグーグルサイトで検索を行うのは、グーグルブランドに対して圧倒的な信頼があるからであり、広告主はそのグーグルのブランド、集客力を認め高いフィーをグーグルに支払う。
ところが、グーグル社外のサイトに掲載される広告となると、集客力の源のブランドを有しているのは各サイトオーナーであり、グーグルは各サイトオーナーに相当な対価を支払わねばならない。その分だけ粗利は低下せざるを得ないのである。
粗利益率が低い中でも確実に儲けを出すにあたって重要なのが、事務作業を低コストで正確にこなすことだ。しかし、我々のグーグルに抱くイメージからも、淡々と事務作業をこなすグーグル社員というのは違和感があり、S-1においても、グーグル自身、内部統制に問題があることを認めている
AdSense広告にまつわる事務作業をアウトソースする動きにも触れられているが、コアコンピタンス外の業務を外だしする方向性は正しいが、アウトソースとて万能ではない。事務移行に際して混乱が生じることも覚悟せねばならない。
【長期的な戦略課題】
収益源を多様化するために、AdSense広告を開始したこと自体は正解であろうが、グーグルブランドに見合った利益を取れないビジネスだという点が課題であろう。
今後の長期的な戦略課題としては、広告収入だけを収益源とするのではなく、ブランドを活かして他分野に進出することも必要となってくる